「へやー!」
「あゆむちゃん、いくらなんでも今すぐ魔法が使えるようにはならんと思うよー」
「私もそう思うなあー」
召喚されて以来何かに目覚めた大阪は、毎日欠かさず自分なりの魔法の練習を始めた。
魔法が存在する!たった一つの事実が、大阪の頭をいい感じに揺さぶってしまったからだ。
…魔法の使えない大阪の自己流トレーニングに何の意味があるのか。
それは本人にすらわからないに違いない。
「あきらめたらそこで試合終了やねんでー。へやー!」
「そ、そうね。諦めたらそこで終わりよ!たー!」
その大阪の様子に不幸にも感銘を受けてしまったルイズが、これも欠かさず魔法の練習を始めてしまう。
ルイズの魔法は大阪とは違い、爆発という失敗の結果だけはしっかり残してゆく。
今日は不幸にも、宝物庫の壁が犠牲になったようだ。
土くれのフーケが、その千載一遇のチャンスを見逃すはずもなかった。
巨大なゴーレムが、宝物庫のそばに姿を現す。
「な、なんやー!?」
「聞いたことがあるわ!土くれのフーケっていう盗賊が、この学院を狙ってるって!」
「盗賊ーて初めて見たわー」
「ウチも職業が盗賊て人は初めて見るなあ」
「ずいぶん豪快な盗賊さんやねぇ」
ルイズと三人がいまいち緊張感の感じられない会話を交わす間にも宝物庫の壁が壊され、
フーケらしき人影が宝物庫の中に踊り込んで行く。
「フーケ…フーケ…つちくれのフーケ…」
大阪は、自分では精一杯の緊張感を出しているつもりの気の抜けた表情を見せ、
ぽんと一つ手をうつと、自分なりの名推理を披露した。
「風化と関係が?」
ルイズはあっけに取られて黙り込む。他の二人も黙り込んだのは黙り込んだのだが、
その静寂はルイズの絶句とは全く意味が違っていたようだ。
「おー」
「あゆむちゃん頭ええなあ」
「そやねん。たぶん風化と何か関係あるねん。土やし」
ルイズ以外の三人には、何らかの共通見解が芽生えたようだ。
…『風化』という理解もあながち間違いとは言い切れない所が、大阪の恐ろしい所である。
「ちょっと!逃げちゃうわ!」
痺れを切らしたルイズが、何とか三人からまともな反応を引き出そうと必死に声をかける。
「大丈夫や。あとは私に任せといてな」
そんなルイズを安心させる笑みを浮かべ、はやてがようやくゴーレムに向き直った。
「リインがおらんし…こんな時は何がええかな…」
少し悩んだ後、はやては浮き上がって古代ベルカ式の三角の魔方陣を発動し、長い詠唱を開始する。
詠唱を続けるその顔に、戸惑いのようなものが浮かんだ。
(制限がかかってない…!それどころか、むしろ増幅されて!?)
契約の後、胸に描かれたルーンが何らかの形で干渉しているようだが…中途半端に詠唱を止める訳にもいかない。
「遠き地にて、闇に沈め。デアボリックエミッション!!」
宝物庫と学院の四分の一、そしてその何倍もの草原地帯が黒い半球に覆われ。静かに、爆発した。
「はやてちゃん危ないー」
「やりすぎちゃうのん?」
さすがに文句をつける大阪と木乃香に、はやては笑いながらこう答えた。
「大丈夫やー、非殺傷設定やからな」
その言葉に大阪、木乃香、ルイズはまるで魔法に掛かったように安心して、一息つく。
「なんやー、非殺傷設定やったんかー」
「非殺傷設定やったらあんしんやー」
「そ、そうなの?ほんとに大丈夫!?」
なんとか事態は収まったように思われたが、安心した大阪は信じられない言葉を口に出してしまう。
「ほんならやー」
「ん?」
「非殺傷設定ってなにー?」
やはり大阪は、どこまで行っても大阪であった。
「あゆむちゃん、いくらなんでも今すぐ魔法が使えるようにはならんと思うよー」
「私もそう思うなあー」
召喚されて以来何かに目覚めた大阪は、毎日欠かさず自分なりの魔法の練習を始めた。
魔法が存在する!たった一つの事実が、大阪の頭をいい感じに揺さぶってしまったからだ。
…魔法の使えない大阪の自己流トレーニングに何の意味があるのか。
それは本人にすらわからないに違いない。
「あきらめたらそこで試合終了やねんでー。へやー!」
「そ、そうね。諦めたらそこで終わりよ!たー!」
その大阪の様子に不幸にも感銘を受けてしまったルイズが、これも欠かさず魔法の練習を始めてしまう。
ルイズの魔法は大阪とは違い、爆発という失敗の結果だけはしっかり残してゆく。
今日は不幸にも、宝物庫の壁が犠牲になったようだ。
土くれのフーケが、その千載一遇のチャンスを見逃すはずもなかった。
巨大なゴーレムが、宝物庫のそばに姿を現す。
「な、なんやー!?」
「聞いたことがあるわ!土くれのフーケっていう盗賊が、この学院を狙ってるって!」
「盗賊ーて初めて見たわー」
「ウチも職業が盗賊て人は初めて見るなあ」
「ずいぶん豪快な盗賊さんやねぇ」
ルイズと三人がいまいち緊張感の感じられない会話を交わす間にも宝物庫の壁が壊され、
フーケらしき人影が宝物庫の中に踊り込んで行く。
「フーケ…フーケ…つちくれのフーケ…」
大阪は、自分では精一杯の緊張感を出しているつもりの気の抜けた表情を見せ、
ぽんと一つ手をうつと、自分なりの名推理を披露した。
「風化と関係が?」
ルイズはあっけに取られて黙り込む。他の二人も黙り込んだのは黙り込んだのだが、
その静寂はルイズの絶句とは全く意味が違っていたようだ。
「おー」
「あゆむちゃん頭ええなあ」
「そやねん。たぶん風化と何か関係あるねん。土やし」
ルイズ以外の三人には、何らかの共通見解が芽生えたようだ。
…『風化』という理解もあながち間違いとは言い切れない所が、大阪の恐ろしい所である。
「ちょっと!逃げちゃうわ!」
痺れを切らしたルイズが、何とか三人からまともな反応を引き出そうと必死に声をかける。
「大丈夫や。あとは私に任せといてな」
そんなルイズを安心させる笑みを浮かべ、はやてがようやくゴーレムに向き直った。
「リインがおらんし…こんな時は何がええかな…」
少し悩んだ後、はやては浮き上がって古代ベルカ式の三角の魔方陣を発動し、長い詠唱を開始する。
詠唱を続けるその顔に、戸惑いのようなものが浮かんだ。
(制限がかかってない…!それどころか、むしろ増幅されて!?)
契約の後、胸に描かれたルーンが何らかの形で干渉しているようだが…中途半端に詠唱を止める訳にもいかない。
「遠き地にて、闇に沈め。デアボリックエミッション!!」
宝物庫と学院の四分の一、そしてその何倍もの草原地帯が黒い半球に覆われ。静かに、爆発した。
「はやてちゃん危ないー」
「やりすぎちゃうのん?」
さすがに文句をつける大阪と木乃香に、はやては笑いながらこう答えた。
「大丈夫やー、非殺傷設定やからな」
その言葉に大阪、木乃香、ルイズはまるで魔法に掛かったように安心して、一息つく。
「なんやー、非殺傷設定やったんかー」
「非殺傷設定やったらあんしんやー」
「そ、そうなの?ほんとに大丈夫!?」
なんとか事態は収まったように思われたが、安心した大阪は信じられない言葉を口に出してしまう。
「ほんならやー」
「ん?」
「非殺傷設定ってなにー?」
やはり大阪は、どこまで行っても大阪であった。
オスマン氏によると、後に草原で発見されたフーケも、非殺傷設定なので命に別状はなかったということじゃ。
魔法学院は、今日も平和だった。