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夜刃の使い魔 第五夜

夜刃の使い魔 第五夜『四夜の行間。そして決闘へ』


「で、どうしてそれが食堂で給仕の真似をしてる事に繋がるのよ?」

ホークアイからの話を聞いたルイズの反応は、至極尤もだった。
(異世界云々の部分は、ホークアイがルイズへ話す必要性無しと判断した為単に交流の一切無い遠い国程度の無いように変えられている)
確かに、学園にとどまるという流れは理解できるが、それ以後が語られていない。

「それにオールド・オスマンが何でアンタの願いを聞くの?理由が無いじゃない!」
「それは・・・まぁ、秘密だ」
「何よそれ!?」

確かにルイズの言うとおり、生徒の呼び出した使い魔に対して学長が全面的に責任を取るというのは、少々内容的に極論といえる。
そもそも使い魔召喚の儀はメイジと使い魔同士の契約だ。
他人の口出しすべき物では、本来は無い。
・・・実は学長室やり取りには、まだ語られていない部分があった。


「あせらん事じゃな。ワシもその件については調べてみるつもりじゃ。今は見つからずとも何か方法はあるかも知れぬからの」
「そうか。ま、期待せずに待ってるさ」

そう言うとホークアイはデスストロークを懐に入れ、立ち去ろうとする。
その背中へオスマンが呼びかけた。

「古い文献を調べれば何かつかめるかも知れん。じゃが・・・お前さんの頼みを聞くのはかまわんが、交換条件が欲しい所じゃの」
「なんだ?金なら今無いぞ。時間さえあれば(盗みで)用立てるくらい出来るけどな」
「金なんぞ要らんよ。それよりもじゃ・・・此処に忍び込んだお前さんの力を見込んで頼みがあるんじゃ」

手招きするオスマン。
ホークアイが訝しげに耳を寄せる・・・その目が見開かれるのに数秒の時間がかかった。

「し、下着だと!?アンタの秘書の!?」
「こ、こら、声が大きい!!誰かに聞かれたらどうする!?」
「お断りだ!!俺はそんな物は盗まない!いや、其処まで自分を堕としたくない!!」
「元の世界に返りたくは無いのかのう?ワシ以外で調べられるのは、人体実験が趣味のイカレた連中くらいの物じゃが」
「・・・くそっ!」

ホークアイがその条件を(しぶしぶながら)呑んだのは言うまでも無い。
更に昨夜のうちにその仕事を果たしていたり、追加の依頼として今後も何度か盗む約束をさせられていたりもする。
ちなみに、昨夜の獲物は結構派手な柄の黒でした。
当然人には言えない内容だ。ルイズどころか他の誰にも言えない。
同時にその『仕事』とその後の自己嫌悪で、気が点くと朝になっていたのはホークアイだけの秘密だ。
むしろホークアイにとっては、イーグルを救えなかった事並に人生最悪レベルの汚点と言える。
まぁ、それはともかく。

「・・・平民の使い魔なんて珍しいから、オールド・オスマンが興味持ったのかもしれないわね」
「・・・使い魔って所以外はそういう事にしてくれ・・・」

横で疲れ果てていたキュルケのそんな呟きで、オスマンの件はルイズも納得したようだ。とは言え全てを納得した訳でもなく

「でもまだ此処で給仕してる理由がわからないわ!」
「あの・・・」
「ん?誰よアンタ」

始めの疑問を更にぶつけようとした所で、横合いからおずおずと投げかけられた声にルイズは首をかしげた。
見ればこの食堂でよく見るメイドの一人だ。緑色の髪を肩の辺りで切りそろえている。

「ああ、シエスタ。こっちは全部配り終えたよ」
「ありがとうございます、ホークアイさん」
「大げさだな。大したことはしていないぜ?」

シエスタと呼ばれたそのメイドは、ホークアイに頭を下げる。
ホークアイは、そんなシエスタに微笑みながらルイズの問いに答えた。

「給仕をしてる理由だけどな、まかない食を分けてもらう代わりにここの仕事を手伝っていたのさ」

実際の所、ホークアイは食堂で何か簡単に食べられるパンなどを拝借しようと考えていた。
普段から隙だらけの貴族である。朝のまだ頭の働いていない状態なら尚更、ホークアイにとってはまさしく寝ていても出来るだろう。
だが食堂にはホークアイ単身では、服装の違いや外見年齢(ホークアイは一応成人。実年齢は20を超え)の事もあり入りにくい。
そうやって入り口近くの物陰で考えている所、

「あの、そんなところでどうしました?」

一人のメイド・・・シエスタが話しかけてきたのである。

「何か食べる物が無いかと思ったんだけどね。でも、どうにも入りにくくて」
「そうなんですか・・・あれ?その格好・・・もしかしてミス・ヴァリエールの呼び出した平民の使い魔ってあなた?」
「・・・使い魔になった気は無いけど、呼び出されたのは確かだよ」

難しい顔で答えるホークアイ。だが内心ではひそかに驚いていた。
物陰に隠れていたつもりは無くとも、気配は何時もの癖で消していた。
そのホークアイを見つけるとは、この緑の髪の少女は余程注意力に優れているのだろう。

「やっぱり・・・召喚の魔法で平民が呼び出されたってみんな噂してますから」
「噂か、有名になるのは考え物だね・・・俺はホークアイ。よろしくな」
「私はシエスタです。ところで、おなか空いているんですか?」
「考えてみると昨日から何も食べていなくてね」
「あの、良かったら・・・」

そこで厨房に案内され、まかない食のシチューを馳走になったのである。

「それで、食事の恩を返そうと思ってな。給仕の手伝いをしていたんだ」
「ホークアイさんって凄く素早くて器用で、あっという間に料理を配り終えちゃうんですよ」
「朝から数えてこれで二回目だからな。手馴れもするさ」

ホークアイからの一通りの説明とシエスタの補足をまとめれば、つまりはそういうことだ。
ある意味わかりやすい話でもある。しかしルイズの表情は険しい。

「・・・貴族の下で働きたくないって言ってたのは何処の誰よ」
「俺は貴族のしもべとして手伝ったわけじゃないぜ?一生懸命働く女の子を助けただけだ」
「それよ!なんであのメイドの言う事は聞いて私の言う事は聞かないのよ!!」

貴族の自分の言う事は聞かず、平民のシエスタを助けたのが気に食わないらしい。
だがホークアイにとっては必然でもある。
元々ナバール盗賊団の獲物は悪徳商人や横暴な貴族。一般の一生懸命働く人々は獲物にせず、買い物も普通に行う。
それどころか一般的な商人にとってナバール盗賊団は、気前の良い支払いで良客の内に入っていた。
同時にナバール地方を民衆を他国の侵略から守ってもいたのだ・・・美獣が来るまでは。
よってホークアイにとって、懸命に働く学園の使用人達を手伝う事に一切躊躇いは無いのだ。

「それが解らないからお嬢ちゃんだって言うのさ・・・シエスタ、後何か手伝う事はあるかい?」
「あ、いえ・・・あとはデザートだけですけど・・・ミス・ヴァリエールが」
「いいから、厚意は受け取るものだよ?・・・じゃあな、ルイズ。まだ忙しいから、文句は後で聞かせてもらうよ」

そのままルイズを放置しシエスタと立ち去るホークアイ。
残されたルイズは怒りを始めとした無数の感情で小刻みに震えている。
(何よ、あの平民!私のこと馬鹿にして!なんで私の言う事を聞かないのよ!?)
その様子を見てキュルケはため息をついた。これは午後もルイズの機嫌は最悪だろう。
彼女の好敵手を自認するキュルケとしては、彼女をからかうにもからかえないこの状況はいかんともしがたい物がある。
何時もの打てば響くようなルイズの反応が好きでたまらないと言うのに。
(今下手なことを言えば冗談にもならないものね・・・あの平民の彼が使い魔って認めてくれれば、冷やかしようもあるのに)
同時にキュルケは、今彼女に出来る事は無いと言う事も承知していた。

しかたなく、その問題のホークアイが運んできたデザートを口に運ぶ。
程よい甘みが心地よい・・・が、問題は何も解決しない。
同じくデザートに手を伸ばしやけ食いするルイズと、何時の間にか横に来て、同じようにデザートを(凄まじい勢いで)パクつくタバサを眺める。
どれほどそうしていただろう?
そのなんともいえない微妙な時間は、突如として上がった声と歓声に中断される。
何かと思って振り向いたキュルケたち。その先には・・・

「な、何してるのよ、ホークアイ!?」

『青銅』のギーシュと、先刻まで話をしていたホークアイが対峙していた。
ホークアイの背後には、先刻見たメイドのシエスタが今にも泣きそうな表情になっている。
そして・・・

「ならば礼儀を教育してあげよう。ヴェストリの広場に来たまえ!」

ルイズたちが何かする間も無く、ギーシュの声が食堂全域に響き渡ったのだった。

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