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宵闇の使い魔 第漆話

眼鏡の美人には警戒しておいて損はない。経験則だ。
さて、尻尾を出すか出さないか―――
暫くは小芝居に付き合うのも悪かないな。


宵闇の使い魔
第漆話:拳骨


四人はロングビルを案内役に早速出発した。
馬車とは言ったものの、道中での襲撃があった場合に備えて屋根無しの荷馬車のようなタイプだ。
手綱はロングビルが握っている。

「ミス・ロングビル。手綱なんて付き人にやらせれば良いじゃないですか」

キュルケは虎蔵の葉巻を低温の火でじっくりとあぶりながら、黙々と手綱を握るロングビルに声をかける。
オスマンの秘書ということで、キュルケは彼女が貴族だと考えていた為だ。
しかしロングビルはにっこりと微笑んで、
「いいのですよ。私は貴族の名を無くしたものですから」
と答えた。
「あら、オールド・オスマンは貴族や平民だということにあまり拘らないタイプなのね」
へぇ、と僅かに思うところがある様子で呟くキュルケ。
キュルケはゲルマニア貴族である事に加えて、ここ最近の虎蔵との交流もあり、貴族至上主義に多少なりとも違和感を覚えていた。

するとそこへ、荷台の柵に寄りかかっていた虎蔵がロングビルに視線を向けて問う。
「ん――てことは、あんたもメイジなのか」
「えぇ。とはいっても、たいした実力ではありませんし、戦いは苦手なのですけどね」
虎蔵はふーん、と気だるげに頷く。
続けてクラスと属性を問い、土のラインと知ると、今度はタバサに視線を向け、
「あのゴーレムに土のラインクラスで少しでも有効打は与えられると思うか?」
と聞いた。
「―――ゴーレムを使うのが得意とかでなければ、難しいと思う」
「まぁ、石の礫なんかじゃ吸収されちゃいそうだものねぇ」
僅かに考えてから答えるタバサに、キュルケも同意する。

そこでルイズが
「じゃあ、いざゴーレムが出てきたら後ろに下がっていてください。ミス・ロングビル」
と告げると、キュルケが僅かに顔をしかめる。
「ルイズ。あなたも――って言っても聞かないでしょうけど、昨日みたいな無茶はやめなさいよ?」
「わかってるわよ―――昨日はちょっと頭に血が上ってしまっただけ」
むっとして答えるルイズに、大丈夫かしらと肩をすくめるキュルケ。

タバサが何か言いたげに虎蔵に視線を向ける。
虎蔵はしゃあない、といった感じで柵から体を離して座りなおすと、もしあのゴーレムと戦うことになったら、と前置いた上で話し始めた。
「二人は足を狙ってみろ。んで、本体――フーケだったか?を狙う。見当たらなければ一緒に足だ。
 んでま、効きそうになければ逃げろ。後はまぁ、なんとかするさ」
最初にルイズとキュルケに、続けてタバサに指示を出す。
ルイズは「なんで使い魔に指図されなきゃなんないのよッ」と抗議の声をあげるが、この中では明らかに虎蔵がもっとも実戦経験が豊富であろう事から、キュルケに宥められる。
とはいえそのキュルケ自身も「けどダーリン。ルイズの魔法で平気なの?」と虎蔵の指示に懐疑的ではある。

だがそれには、虎蔵よりも先にタバサが「あの爆発なら一番の有効打――かもしれない」と答えた。
キュルケの物言いにムッとしたルイズだったが、思わぬところからのフォロー――もっとも失敗を前提に話されているので素直に喜べるわけもないが――に意外そうな顔をする。
「あのサイズには並みの風ではどうすることも出来ない。炎も燃えない相手だから有効打になりにくい。
 でも爆発ならあるいは――」
「あ、えーと――うん、がんばる、けど」
真顔で失敗魔法を当てにされると、喜んで良いのか怒って良いのか分からずに、曖昧に答えるしかなかった。

しかしそうは言ったものの、タバサの本心としてはルイズの失敗魔法も殆ど効果がないだろうと思っていた。
なにせ、あの再生速度だ。表面を幾ら穿ったところで意味はないだろう。
ゆえに望みがあるとすればフーケ本人が出張ってきてくれるか――
「でも――なんとかって?」
虎蔵のなんとかする、という言葉だけだ。
その言葉にタバサは、ゴーレムを倒せるかもという望みの他にも、彼の更なる実力を見れるのではないかという期待も生まれた。

「ん?まぁ――なんとかさ」
「ふーん。まぁ、ダーリンがそういうなら信用しておくけど」
曖昧な返事にしか答えない虎蔵だが、キュルケはとりあえず納得しては葉巻を虎蔵に渡す。
どうやってゴーレムを倒すかを必死に考えていたルイズも、そんな調子で葉巻を受け取る虎蔵をみて、

――なんかイカガワシイ店みたいなんだけど――

そんなことを思っては肩の力を抜いてしまうのだった。



馬車は深い森に入っていった。
鬱蒼とした森がいかにもな雰囲気をかもし出し、五人の――正確には三人の恐怖を煽る。
「ここから先は、徒歩で行きましょう」
ロングビルがそういって、全員が馬車から降りる。
森を通る道から、あまり整備されていない小道が続いており、一行は多少警戒レベルを上げながら歩き出した。
三人に加えて、ロングビルも杖を手にして警戒の様子を示す。
唯一虎蔵だけが、葉巻こそ流石に吸っていないが、相変わらずの調子だった。

そして暫く歩き続けると、一行は開けた場所に出た。
森の中の空き地といった風情の場所で、なかなかの広さを誇っている。
その中央にある廃屋が、おそらく目的の場所だろう。
先導していたロングビルが木の陰に隠れながら振り返り、「あちらです」と告げる。
全員がそこを確認し、一旦廃屋を視認できる範囲で離れると、顔をつき合わせて相談を始めた。

とにかく、あの廃屋の中にいれば奇襲が一番なのだが、外に出ていた場合無闇に攻撃してフーケが逃げてしまっては台無しである。
また、建物ごと攻撃して《破壊の杖》まで壊してしまっては元も子もないのだ。
そこでタバサが、囮兼偵察役が小屋に近づき中を確認し、フーケがいれば挑発して外におびき出し、集中砲火を加えるという作戦を提案した。
小屋の中には、あの巨大ゴーレムを作り出すほどの土はない筈なので、出てきてゴーレムを作るまでの隙を狙うのが確実というわけだ。
囮兼偵察役は無論、虎蔵である。


四人がそれぞれある程度の距離をとって廃屋を取り囲んだのを確認すると、虎蔵は僅かに身をかがめて滑るように廃屋に近づく。
しかし実を言えば彼は、廃屋の中にフーケはまず居ないと踏んでいる。
なぜならば彼は、フーケの正体はロングビルである可能性が高いと考えている為だ。
絶対の確証があるわけではない。
だが、杖が盗まれた夜の不自然な邂逅、抱きついた時に感じたただの秘書とは思えない鍛えられた身体、
あまりにも早すぎるフーケの目撃情報――
一つ一つならば取るに足らない情報であるが、ここまで積み重なれば怪しいと思わざるをえない。
加えて先ほど聞いた同系統のメイジであるという点もある。
ただし、ロングビルがフーケだとすると、なぜこのようなことをしているのかという点が分からず、また自身の勘違いということもまったくない訳ではなかったため、誰にも言わないで居たのだ。

静かに廃屋の中を確認するが、やはり予想通り誰もおらず――ここからではよく見えないが、床に何かが落ちているのが見えるだけだ。
人が隠れる場所があるようにも見えないし、これだけ接近して気配も感じられない。
とりあえずは――と、片手で「来い」とジェスチャーをして全員を呼び寄せた。

「罠はないみたい」
タバサがドアに向けて杖を振ってから言う。
中に入って何か残されているものはないか探ろうという事になり、
虎蔵・タバサ・キュルケが中へ入り、ルイズが見張りとして外に残ることになった。
ロングビルは「では、辺りを偵察してきます」と言って、森の中に消える。
虎蔵はしばらく彼女の行く先を眺めていたが、タバサとキュルケが中に入っていくと、それに続いた。
しかし――


「え、ちょっと待って―――これって」
「《破壊の杖》」
虎蔵が廃屋へ入ると、二人のそんなやり取りが聞こえた。
どうやら先ほど覗き込んだ時によく見えなかった何かこそが《破壊の杖》だったようだ。
――さて、どういうことだか――
そう考えながら二人に近づき、その手元を覗き込む。

「おい、こいつは―――これが《破壊の杖》なん?」

それを見て、思わず声を怪訝な様子で問いかけた。
彼女らの感覚からすれば、柄が少し太いモールにも見えるだろう。
パンツァーファウスト150――それが《破壊の杖》の正体だった。
なるほど、確かに杖に見えなくも無い。多少苦しいが。
キュルケがそれを持とうとして「うわ、重いのねこれ……こんなの振れないわよ?」と言っている。
射程150m、装甲貫徹力200mm以上を誇るそれは重量にして約7kg。
杖として持つには重過ぎるだろう。
実際、タバサは見つけても持ち上げることを諦めていた。


「きゃぁぁぁぁぁッ!」

キュルケが重そうに持ち上げたそれを受け取ろうとしたとき、外で見張りをしていたルイズの悲鳴が聞こえた。
「チッ――出たか!」
一斉にドアを振り向くが、次の瞬間、派手な音を立てて廃屋の屋根が吹き飛ぶ。
パラパラと降って来る屋根の破片から顔をかばいながら見上げれば、フーケのゴーレムが見下ろしてきている。
虎蔵はチッ――と舌打して、どこからともなくデルフリンガーを取り出し、鞘から抜き放つ。

「おい、てめぇッ!買っていきなり丸一日放置ってどんなだ、って、なんだこの状況はぁぁッ!?」
「五月蝿ぇな、黙ってろ。舌噛むぞー」
丸一日ぶりに鞘から開放されて激しく抗議するデルフだが、虎蔵はえらく適当に答えつつ僅かに残っている屋根へと跳躍する。
デルフが「ねえよ、舌!」などと怒鳴っているが無視。
「引き付ける。そいつを持って下がってな!」
キュルケとタバサはその言葉に頷くと、屋根を吹き飛ばされた衝撃で半開きになったドアから転がるように逃げ出した。

「ルイズ!ルイズ、どこよッ!」
重い《破壊の杖》を抱きかかえながら小屋から飛び出ると、ルイズはゴーレムの背後に立っていた。
ルーンを呟き、杖をゴーレムへと振りかざす。
爆ぜるゴーレムの背中。
痛覚がある訳ではなかろうが、ゴーレムは怒ったかのように振り返り、腕を振り上げる。

「ルイズ!逃げなさいッ!」
キュルケが叫ぶが、助けに行くには距離がある。
タバサが杖を構え、振り上げた拳に《ウインドブレイク》を放つが、大質量の拳を抑えることは出来ない。

「相棒!」
「わぁってるよ!守るってのは、やっぱり性に合わんな――ッッ!」
叫ぶデルフに虎蔵はうざったそうに返事をすると、空気の爆ぜる音を残して掻き消え――

漸ッ――!

甲高い音を一つ鳴らし、次の瞬間にはデルフを振りぬいた体勢でルイズの目の前に現れた。
ゴーレムは拳を振り下ろしながら、バランスを崩して跪いた。
膝にあたる部分を切断寸前まで深く斬り裂かれたためだ。

「おっでれーた!おめぇ、なんて腕してやがる!」
「剣に褒められてもなぁ―――すぐに再生される。下がってろ」

自らの担い手の驚くべき剣技に歓声を上げるデルフだが、虎蔵は微妙な表情をしつつルイズを下がらせようとする。
しかし彼女は、
「いやよ!あいつを捕まえれば、誰ももう、《ゼロ》のルイズとは呼ばなくなるの!」
といって再度杖を構え、ルーンを呟く。
胴体部分が爆ぜるが、深いダメージを与えられているようには思えない。
そうこうする内にゴーレムは膝を再生させて、立ち上がる。
「馬鹿、効いてねえんだ。せめて奴から離れて――」
キュルケとタバサは既に十分に離れているのが見える。
ルイズが離れれば、雷術で―――と考えるが、

「敵に後ろを見せない者を貴族というのよ!利かないからって逃げるようじゃ、貴族じゃないの!」
「そいつぁ結構な覚悟だが―――もうちっと現状をだな―――」
ゴーレムが今度こそはと拳を振り上げる。

「五月蝿い、五月蝿い、五月蝿いッ!
 笑って欲しい訳じゃない!同情して欲しい訳じゃない!慰めて欲しい訳じゃない!発破掛けて欲しい訳じゃない!
 私は!認めて欲しいのよッ!!」
ルイズは圧倒的なまでの感情の爆発を見せ、半泣きになりながらも再度杖を振りかざしルーンを呟いた。

しかし、ゴーレムは三度目の爆発を意にも介さず、振り上げた拳を虎蔵とルイズに向かって振り下ろす!
せまる死の恐怖に目を瞑ってしまうルイズだが、その耳に「だから子供は苦手なんだ――」という言葉が聞こえた気がした。

「ダーリン!ルイズ!」
悲鳴を上げるキュルケだが、爆撃のような拳によって巻き起こされた土煙の中から、虎蔵がルイズを抱きかかえて飛び出してくるのを見て、安堵のため息をつく。
デルフは持っていない。あっという間に"しまわれて"しまったようだ。
ざっと草を踏みしめる音とともに虎蔵が二人のそばに着地し、
「ふぅ―――なんだ、貴族ってのは誰も彼もこんなに無茶なのか?」
ルイズを抱きかかえたままでキュルケとタバサに問いを投げかけた。

「まさか。その子だけよ―――っていうか、良い格好ね。ルイズ」
キュルケがからかう様に笑うと、ルイズは自らの状態に気づいて「なっ、なな、何してんの。おろして!」と叫ぶ。
だが虎蔵は下ろそうとはせずに、
「じっとしてろ。面倒だが、御主人様のお望みとありゃ仕方があるまい。奴を倒させてやる―――走るぞ。こっちだ」
と答えて、キュルケとタバサを先導して走り出す。
ゴーレムは思いきり振り下ろしたために地面に埋まってしまっていた拳をようやく引き抜き、彼らの方へと身体の向きを変えたところだ。
ゴーレムも追いかけてくるが、鈍重な動きのせいもあり、少しずつ離されていく。
「ちょっと!逃げてどうするのよ!―――うわっ」
ルイズは虎蔵の肩越しにゴーレムをにらんで抗議の声を上げが、そのタイミングで地面に下ろされて悲鳴を上げる。

「逃げやせんて。キュルケ、《破壊の杖》だ」
「え?えぇ――でもこれ、使い方が―――」
虎蔵の言葉に戸惑いながらもパンツァーファウストを渡すキュルケ。
虎蔵はそれを受け取ると、二人に横に離れていることを指示すると、ルイズには膝立ちをさせる。

「ちょっと、え、なに―――重ッ!?これ、《破壊の杖》!?」


膝立ちになったとたん、肩に7kgの塊を担がされるルイズ。
虎蔵はルイズの背後にぴたりとくっつき――もちろん高熱ガスを浴びないためだ――手早く照準のサイトを起こし、自ら狙いを定める。
もっとも、30メートル級のデカブツだ。狙いなどあってないようなもの。
出来るだけ臍の辺りに当たるように調整して―――

「よし。良いかー、撃つぞー」
「ちょっと大丈夫なの――これ」
あまりにも軽く予告する虎蔵に焦るルイズだが、
「前にも言った筈だがな、ルイズ。お前さんの使い魔なんだ。少しは信用しろ」

密着している為か、虎蔵がくくっと笑う振動がルイズにも伝わってきた。
多少不本意ではあるが、なぜだか彼の体温が安心してしまう。
ゴーレムが一歩一歩迫ってきているのに、だ。

「よし、撃てッ!」
「ッッ―――!!」

虎蔵が掛け声とともに、パンツァーファウストを握るルイズの手を自らの手で抱き込むようにして発射させる。
後方に高熱ガスが噴射される音と直径15cmの成形炸薬弾頭が飛び出す音がシンクロ。
反動はほとんど無い。
ルイズは訳も分からずに先端から飛び出していったものを目で追った。

――そして弾頭は山形の軌道で飛翔し、

何が起きるのかと戦々恐々とするタバサとキュルケが見守る中、

――派手な爆発音を立ててゴーレムの上半身が吹き飛んだ。

「なッ――嘘ッ――」
ルイズが息を呑む。
虎蔵は破壊しきれるか多少の不安があったのだが、ゴーレムの身体が土であったためか、あっさりと上半身が吹き飛び沈黙してしまった。
虎蔵はヒュゥと口笛を吹いて立ち上がると、いまだに呆然としているルイズの頭をぽんぽんと撫でて
「見れ。倒したぜ」
と告げた。

「ちょっと凄いじゃない。やったわよ!」
「凄い威力――」
キュルケが興奮したようすでルイズに抱きつく。
タバサの声も、いつもより起伏があるようだ。

虎蔵は弾頭が無くなったパンツァーファウストを拾い上げると、
――さて、後はどうしたもんか――
と偵察に出たままのロングビルのことを考える。
状況はさらに黒に近づいた。

キュルケはまだルイズに抱きついて盛り上がっているが、タバサがはっと気づいた様子で「フーケは」と呟く。
キュルケとルイズも、その言葉で慌てて杖を持ち直す。
流石にまたあのゴーレムが出てくることは無いだろうが―――


すると、茂みの中からロングビルが「今、凄い音がしましたが―――」と出てきた。
「ミス・ロングビル!無事でしたか。ゴーレムは倒したのですが、肝心のフーケが――」
ルイズが答える。
するとロングビルは一行に近づいてきて、
「辺りで人影は見かけなかったのですが―――あら、ミスタ・ハセガワ。それは?」
と、虎蔵が手にする弾頭の無いパンツァーファウストに興味を示した。
すると虎蔵は、
「《破壊の杖》だ。ほれ」
と気軽に手渡す。
当たり前だ。残っているのはただの鉄パイプに過ぎないのだから。

「ぇ、あ――はい」

見せてくれと言った訳でもないのに、あっさりと手渡されて戸惑うロングビル。
―――渡された瞬間の、ニヤニヤとした笑いに嫌な予感が背筋を走った。
しかしその形状を見ると、表情を厳しいものに変えた。
「あの――どうも、私の聞いた《破壊の杖》と形状が異なるようなのですが――」
ロングビルがそういうと、虎蔵以外の三人もようやくそれに気づく。
「嘘。え、まさか壊れた――」
ルイズが顔を真っ青にする。
幾らフーケのゴーレムを倒すためとはいえ、秘宝を壊してしまったとなると――

しかし、そこで虎蔵が何時もの調子で「使い捨てだ」と告げた。

「使い捨てって―――そんなことあるの?」
「確かに何かが飛んでいってたから―――って、そうよ。
 さっきは気づかなかったけど、ダーリン――なんで《破壊の杖》の使い方を?」

虎蔵の言葉に今回は流石にキュルケも懐疑的になるが、ルイズが虎蔵が使い方を知っていたという疑問に気づく。
キュルケやタバサも、そしてロングビルまでもが虎蔵に視線を向けた。
すると虎蔵は肩をすくめて
「ま、それは俺の故郷の方の武器だからな」
と答える。

「まぁ、良いじゃねぇか。今度説明してやるよ――それより、フーケを探したほうが良いんじゃねぇの?」
と、なぜかロングビルを問いかけた。
「え、えぇ―――まぁ、フーケの目的のものがこうですから、どうしたものかとも思いますが――」
すると彼女は少し焦ったように答えてしまい、誤魔化すように視線を手の中の使用済みパンツァーファウストに向けた。
ルイズら三人も暫くの間、虎蔵を怪訝な様子で見ていたが、
ルイズが「わかったわ。必ず、ちゃんと説明してよね」と言うと、フーケの探索を始めるのだった。



その後暫くフーケを探して辺りを歩き回ったが、日も落ちてきたため捜索を打ち切り、学院に報告に戻ることにした。
こうして"フーケの捕獲"は叶わなかったものの、《破壊の杖》を取り戻すことに一応は成功したのだった。

帰り道、ルイズは《破壊の杖》を使ってしまったとはいえ、あのフーケのゴーレムを倒したことに満足げな様子だった。
その一方でロングビルは、まったくもって思い通りに行かなかったどころか、背後の荷台で美味そうに葉巻を吸っている男に正体がばれているのではないかと言う疑惑に、人知れず深い溜息をつくのだった。

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