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使い魔のゼロ 第六話

第六話 剣を買う戦士

「剣を買いに行きましょう」
「剣、お前が使うのか?」
「ちがうわよ!あんたの剣。この前あんなにうまく使ってたんだし剣があると便利でしょ。
ちゃんとしたのを買ってあげるわ。ほら、いくわよ」
剣か……。ゼロは考える。自分にはすでに剣ならある。
ゼットセイバー。自分が最も信頼するもっともなじみのある武器。
だが、これは人に向ける武器ではない。殺傷力が高すぎるのだ。
それならばルイズについていって剣に限らず殺傷力の低い武器を手に入れるのもいいかもしれない。
「ああ、分かった」

二人が馬屋へ向かうと一人の少女が駆け寄ってきた。
「あっ、おはようございます、ゼロさん」
「シエスタか」
「はい。今日はお出かけですか?」
「ああ」
「あの、またお暇なとこき厨房へ来てもらえませんか?皆さん歓迎しますよ」
「何度も言ったが俺には必要ない」
「で、でも、気が向いたら、気が向いたらで結構ですからよろしくお願いします」
あの決闘以来シエスタがこうしてゼロを誘うことは多くなっていた。
あの決闘のとき、彼女はゼロが勝利し無事に戻ってきたのを見ておおいに喜んだ。
そしてゼロを置いて逃げ出した事について涙を流してわびた。
無論ゼロは、
「気にするな」
とだけいって話を済ませたが彼女はそれでは気がすまなかった。きちんとした償いがしたかったのだ。
厨房でも平民が貴族を倒したと聞いてコック長のマルトーがゼロのことを大いに気に入り
彼を呼びたがっていたこともあって彼を誘い、食事でもてなそうとしたのだ。
しかし、レプリロイドであるゼロにとって食事とは意味の無いもの。
「必要ない」
の一言で断ったのだが、事情の分からないシエスタは遠慮しているのだろうと考え、
気にしなくてもいいと言って、こうして誘い続けているのだった。
この光景がルイズにとっては面白くない。
ゼロが自分以外の女と喋っている(実際に喋っているのはほとんどシエスタだが)ことや
メイドが自分を差し置いて話していることもそうだが、
シエスタが「ゼロ」と名を呼ぶのも気に食わない。
ゼロのことは認めたし名前で呼ぶようになったが、
それでも他人がその名を呼ぶと自分が馬鹿にされた気分になってくる。
長年の劣等感はそう簡単には消えないのだ。
「ほら、さっさといくわよ!ゼロ!」
「ああ」
「いってらっしゃーい」

こうして二人が出かけた後、学園では騒ぎが起きていた。
といっても寮の一室に限った話だが。
せっかくの休日タバサが本を読んでいるところへキュルケがやってきて曰く、
「恋なのよ!恋!」
だそうだ。
なんでも圧倒的強さでギーシュを倒したルイズの使い魔にほれ込んだらしい。
すでに誘いをかけるもあっさり断られたそうだが、そのクールさがさらにつぼなのだそうだ。
そんなゼロがルイズと二人で出かけたからこうしてはいられない追ってくれ、だそうだ。
正直静かな読書の時間を中断したくは無かったが友人の頼みでもあるし、
自分自身も彼に興味が無いわけではなかった。
彼は独特の雰囲気がある。そう、何かいろいろなことを潜り抜けたような雰囲気が。
結局彼女達はシルフィードに乗って飛び立っていったのだった。

ルイズとゼロは、城下町のブルドンネ街を進んでいた。
「ここがトリステインで一番大きな通りよ。この先にトリステインの宮殿があるわ」
一番大きな通り。ゼロにはそういう判断がつかなかった。
あの日目覚めて以来、ゼロはずっとレジスタンスとともに戦ってきた。
見たものといえばせいぜい小規模のキャラバンの集落だった。
このような人でにぎわう町並みは見たことが無い。
ただ、遥か過去、眠りにつく以前にはもっと大きく広い都市を見たことがあるような気がする。
「あ、そうそう。スリが多いんだから気を付けてね。
中には魔法を使ってくるのもいるんだから」
返事が無いのを感心しているととったルイズは、
気をとられているんじゃないかと思い一応忠告に声をかけた。
あんなに強かったゼロのことだから大丈夫とは思うが、魔法のことをを知らないといっていたし。
「……貴族がスリをするのか?」
「メイジの全てが貴族ってわけじゃないわ。
貴族から身を持ち崩すのもいるし、そういうのが傭兵、それに犯罪者になるのよ。
「分かったわね。じゃあ、さっさと武器屋へ向うわよ」
「ああ」
だがその心配は杞憂だった。

武器屋への道中いきなりゼロが通行人の腕を掴みあげていた。
「ちょっと、いきなりどうしたのよ?」
「スリだ」
よく見るともう片方の手では杖を取り上げていた。
その掴まれた男は歯軋りしてこちらを睨みつけていた。
そして口を開こうとしたが、ゼロに睨まれると声を失い黙ってしまった。
そしてもはや腕に力が込められていないことに気づくと、腕を払って杖をとり走り去ってしまった。
「どうして分かったの?」
「魔法であろうとなんであろうとこちらに何か仕掛けようとするのならその空気を読めばいい」
「よくわかんないけどすごいわね」
すごいのはそれだけじゃない。あの男は何かを言おうとしていた。
弁明か、恫喝か、それともとぼけようとしたのか、それをゼロは一瞬で黙らせてしまったのだ。
戦い続けた年季とでも言うんだろうか。
ギーシュとの決闘ではどうだったのだろうか。最もギーシュはそんな空気は読めない気もするが。

そうこうしている内に武器屋につき、使い魔に武器を持たせるということでルイズは早速店主と交渉を始めていた。
いっっぽうゼロは、そんなやり取りを無視して自分で武器を見繕っていた。
なるべく殺傷力が低く、かつ頑丈で長持ちしそうな武器、そういうものを探していた。
みねうちもできるし片刃の剣は無いかと周りの剣を見回っていくがほとんどが両刃の剣だった。
しょうがないが槍でも買って刃をつぶして使おうかと考え出したとき鞘に入った一本の剣を見つけた。
片刃か両刃か確かめようと抜いたそのとき、声が聞こえてきた。
「よう、俺をとるとはお目が高いね……っておでれーた。あんた、『使い手』か」
「喋った?今のはお前か?」
「おう。なんだ、俺みたいなインテリジェンスソード見たことねえのか?」
「ああ」
だが、あってもおかしくは無い。
元の世界でもレプリロイドのデータはその気になれば小さいチップに収められ、
さまざまな場所に搭載されることもあった。
魔法という未知の技術でも似たようなことができるのかもしれない。
「ま、そんなことはどうでもいいや。それよりも俺を買え」
鞘から出した刀身を見るとそれはなかなかいいように思えた。
片刃であるし、サビが浮いているもののかなり頑丈そうに見え、条件にぴったりだった。
それに、
「おれを『使い手』といったな。どういうことだ?」
気づけば決闘のときのように手のルーンが淡く輝いている。
このことについて何か分かるのではないか?そう思った。
「おう、あんたは確かに使い手だ。でもって使い手ってのはなあ……なんだっけ?
いや!なんか頭に引っかかるもんがあるんだよ!ただちょっとそれが出てこないだけで!うそじゃねえよ!」
ゼロにはそれが信じられた。自分も目覚めたばかりのとき、記憶はあいまいで霞がかったようだった。
そして今でも完全ではない。
「分った、そういうこともあるだろう」
「信じてくれるのか?」
「ああ。お前を買おう」
「サンキュー。じゃあ自己紹介するが俺はデルフリンガー。あんたは?」
「俺の名は、ゼロだ」
「ゼロか。よろしくな、相棒」

「ルイズ、これがいい」
ゼロが声をかけたとき、二人は豪華なつくりの剣を前に押し問答していたところだった。
「え、何かほしいのあったの…ってなにそのぼろ剣?」
「お決まりですかってデルフ、てめえなんで!」
「誰がぼろ剣だ、貴族の娘っ子!」
「え、インテリジェンスソード?」
「それにおまえもなんだ!武器屋の癖に俺が売れるのに不満そうにしやがって!」
「いや、よう、しかし。ほら貴族の従者ともなればやはりこっちのような立派なものが……」
「そうよ、こんな口の悪い剣よりもっとこういうちゃんとしたものを買ってあげるから」
そういって指し出せれた剣にゼロはまったく魅力を感じなかった。
見た目ばかりがよくて実用に耐えられるものではないように思えた。
「いや、これでいい。」
取り付き島も無く結局デルフリンガーを買うことになり、一向は学園へと帰っていった。
「イヤー、いい買い物をしたねえ」
「……ほんとによかったの?」
「ああ」

一方儲けのチャンスをふいにして悔しがっていた悔しがっていた店長だったが思わぬ幸運が振って沸いていた。
二人組みの貴族が件の売りそこなった剣を言い値で買ってくれたのだ。
「ルイズったら、彼にあんなみすぼらしい剣をプレゼントして。
彼にはこういう剣がふさわしいのよ。これをプレゼントしてダーリンの心をゲットよ!」
「彼はもともとあちらの剣をほしがっていた」
「分ってないわねぇ。きっとルイズの財布の中身を見て遠慮したのよ。
まったく!ダーリンにそんな気遣いさせるなんて!でもそういう配慮がきくところもステキ」
こうして彼女達もまた帰路に着いたのだった。

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