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使い魔のゼロ 第五話

第五話 体開く戦士

ルイズが広場にたどり着いたとき、彼女の目に飛び込んできたのは
無謀にもワルキューレの群れへ突っ込んでゆくゼロの姿だった。
そのときの気持ちは将来消えずに残るだろうというほどの後悔、罪悪感、絶望であった。
自分で呼び出した使い魔、これから先長い時間をともに過ごすパートナーである彼を自らが突き放した。
そしてその結果、ゼロは青銅の人形達の槍に串刺しとなるのだ。

が、それはルイズの描いた彼女のこれまでの経験と常識の描いた想像でしかなかった。
現実に破壊され地面に転がっていたのはワルキューレのほうだった。
そして次の数瞬には全てのワルキューレが両断されていた。
よく見ると今破壊したもの以外にもいくつかの残骸が転がっている。
自分が来る前にすでに戦いは始まっていたようだった。
ワルキューレを失ったギーシュにゼロが近づき彼の杖、薔薇の造花を奪い取る。
こうして戦いは終わった。ギーシュとゼロ、どちらも傷つくことなく。

ルイズはあの決闘の後逃げ出すように部屋に戻っていた。
自分は決闘前に言った。相手を傷つけずに勝ったならゼロのことをちゃんと認めてやると。
そしてゼロは見事にそれを実行した。だが、それが問題なのだ。
あの時はあんな馬鹿なことを言ってしまったがこれまでだってゼロは言われた事はちゃんとやってくれていた。
魔法が使えないからといって決して馬鹿にすることもなかった。
そして何より決闘の前に見せた、自分の持つ貴族としての誇りと同じような強い信念。
このような、輝くものを心に持っているというのは何にも増して大切なことだ。
そんなあいつを認めなかったのはあいつの名前も「ゼロ」だからというこちらの一方的なひがみに過ぎない。
確かに一般的な使い魔としての役割は果たしていなかったがそれでもあいつは十分自分の使い魔だった。
傷つけないとかの約束など関係なく。
けれどそれをどう伝えればいいのだ。
このままでは「ゼロが約束どおりに勝ったから」ゼロを認めたことになってしまう。
本当はそんなことは関係ないのに。
分からない。だからいまだにルイズはゼロと顔をあわせられずにいた。
しかし時間はない。使い魔にとって主人の部屋が自分の部屋なのだ。ゼロはすぐにでも戻ってくるだろう。
そしてとうとうそのときが来た。ドアが開き、ゼロが帰ってきた。
ルイズはいまだにどういえばいいのか考え付いていなかった。
だが、ゼロの顔を見た瞬間思い出した。あいつはいつも素直に人の話を聞いていたことを。
なら、主人である自分もそう接するべきではないかと。
そして真っ先に言うべき言葉を言った。
「ごめんなさい、ゼロ」
と、初めて彼の名を呼んで。

その後、謝罪に対して不思議そうな顔をしたゼロに対してルイズはたどたどしいながらも自分の気持ちを話した。
理不尽で一方的な反感を持っていたことへのワビ、決闘に勝利したことへの賞賛、
また、そのこととは関係なく彼を認めているということ。
話は、整理されてもまとまってもいない分かりにくいものだった。
それでもゼロは黙って話を聞いていてくれた。
そしてこちらが話し終えると一言、
「ありがとう」
といってくれた。
ルイズは感じた。主人からの一方的なものではなく、
互いに信頼しあう本当の関係がようやく今始まったのを。


だが、話はこれで終わりではなくルイズにはもう一つ確かめたいことがあった。
「ねえ、ゼロ。ちょっと聞きたいことがあるの」
「なんだ?」
「あんた、自分がレプリロイドって言ってたわよね、人間じゃないって」
「ああ」
「その、証拠ってあるの?あんたが人じゃないっていう」
ゼロは自分に対して嘘をついてこなかった。
確かにこいつは強かったし、傷つけないで勝つということも実行してのけた。
なら、このことも本当なのではないのか?
だが、ルイズはそれを信じ切れなかった。
こいつはどう見ても人だ。契約に、その、キスをしたときも柔らかい、人の肌をしていた。
それが人形などとどうしても思えなかった。
ちゃんとゼロを認めるといったのにこのままではゼロを信じきれない。
だから、これははっきりさせなければならなかった。
ゼロはこれを聞くと黙って左腕を突き出した。そしてルイズの目の前で腕のよろいが縦に割れ、開いた。
「え……」
そこには人ならあるべきものがなかった。人なら鎧のしたには当然肌がある。
しかしゼロは違った。開いた隙間からは肌ではなく、金属の棒、何本もの管、
そしてほかにもなんだかよく分からないものが覗いていたのだ。
続いてゼロは右手を胸にやると胸を開いた。
そこにも同様に棒、板、管、チカチカ光ったりする何かが詰まっていた。
「ほんとう、なんだ」
さすがにこれを見て信じないわけにはいけなかった。
ゼロはやはり正しかったのだ。
それにこんなものを見せられたらほかにゼロが言っていた事、
月が一つしかない別の世界から来たということ、も信じられる。
自分は魔法は使えない。その代わり勉強し、知識だけは立派なものだと自負している。
まあ、それでも学生の範疇だし一流の専門の知識とまでは行かないが。
だが、そんなものでも基礎は学んでいる。激しい嵐を起こす魔法でも元は弱い風を起こす簡単な魔法の発展だし
貴金属の錬金も授業でやったような簡単なものからの発展だ。
しかし、こんなものは原始的なもの、初歩の簡単なものというのも見たことがない。まったく未知の技術だ。
もっとその世界について聞いてみたい。そう思った。
でも、あることを思い返し、ルイズにはそうすることができなかった。
こいつは自分を戦うしか能がないと言っていた。
そんなことを言うぐらいなのだからこいつはずっと戦いだけを続けてきたのだろう。
それに元の世界にはほとんど自然が残っていないとも言っていた。
戦いが続き自然もない世界。それはつらい世界だったろう。
そんな世界でのことについて踏み込むことに抵抗を感じた。
ずっと、魔法に関して以外ではそれなりに満たされた人生を送ってきたルイズは、
そんな世界に対して気後れしてしまっていたのだ。
結局ルイズにはゼロの世界について聞く事はできなかった。
結局また壁を作ってしまっている。自分の弱さのせいで。
強くなりたい、そう思った。

数日後、キュルケが騒いでいた。
ルイズが聞くと、なんでも決闘の雄姿を見てゼロにほれて、ふざけたことに部屋に呼び誘惑したらしい。
が、取り付くしまもなく断られてあっさり出て行かれてしまったそうだ。
これまでの付き合いでキュルケの強引さは知っている。それが引き止めることもできず出て行かれたというのだ。
キュルケのプライドにも大きな傷がついただろう。
そう思うと愉快な気持ちになり、思い悩んで沈んでいた気持ちが少し、晴れた。

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