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ゼロの使い魔・ブルー編-15

結局、ギーシュがついて来ることになった。
あの後取り繕うとして逆にどんどん暴露したルイズにより、
ギーシュは殆どのことを聞いてしまったのである。
最初の方は軽いつもりでついて行くつもりだった彼も、
話を聞いたらは真剣になり、真面目に同行を申し出てきた。
そんな態度の相手を断れるほどルイズは非常には成れなかったので、
今現在ギーシュが馬を準備しているのを待っていたのである。
ギーシュが口を開く。

「すまない、無理矢理ついて行くのに更にあれだが、お願いがあるんだ」
「何よ?」
「僕の使い魔を連れて行きたいんだ」
「あんた、使い魔なんて居たの?」
「居るに決まってるじゃないか」
「連れて行けばいいじゃない。何処にいるのよ?」

ギーシュはその言葉に対し、指で地面を指さした。

「居ないじゃない」

その言葉に対し、ギーシュは軽く足でタップを踏む。
すると、ギーシュが指を指し示していた地面が盛り上がり、
そこから茶色の大きな生物が、穴を空けて現れる。
ギーシュは膝をつくと、その生き物を抱きしめた。

「あぁ、ヴェルダンデ!僕の可愛いヴェルダンデ!」

今まで黙っていたルージュが、それを見ると、思わず言ってしまう。

「なんですか?それ」
「僕の可愛い使い魔のヴェルダンデだ」
「あんたの使い魔って、ジャイアントモールだったの?」

それはもぐらと言うには大きすぎる気がするが、
確かに姿形はモグラである。
まぁ、差異の範囲内なのかも知れない。

「そうだ、ああ、ヴェルダンデ、君はいつ見ても可愛いね。
 どばどばミミズはいっぱい食べてきたかい?」

ギーシュの言葉に対しもぐらは鼻をひくつかせる。
どうやら肯定を表しているようで、ギーシュが頬をこすりつけている。
が、ルイズがあることに気付いたらしい。


「無理よ、ギーシュ。地面の下を進んでいくでしょう?馬に追いつけるの?」
「大丈夫だ。ヴェルダンデは結構早いんだ」
「アルビオンまで行くのよ?どうやって」
「船に乗せていけばいいじゃないか」
「それはそうだけど……」

と、そこでヴェルダンデが妙な動きを見せた。
ルイズにすり寄ったかと思うと、押し倒して、鼻で身体をまさぐり始める。

「ちょ、ちょっと!何するのよ!」

ルイズは手足をばたつかせて抵抗するが、
ヴェルダンデは上から離れようとはしない。
鼻でつつき回され始めると、ルイズは顔を紅くしてより強くもがく。
そんな様子をみたギーシュは。

「いやぁ、動物に襲わ……動物と戯れる美少女というのは、なかなかに良い物だね」
「そういうものですか…………?」

ルージュは首をかしげる。
ヴェルダンデは、ルイズの右手の薬指の指輪を見つけ出すと、それにすり寄った。

「姫様から貰った大事な指輪に何をするのよ!」
「ヴェルダンデは宝石とか大好きだからね」
「どっかで聞いたような……」
「貴重な鉱石や宝石を僕のために見つけてきてくれるんだ。
 『土』のメイジの僕にとっては嬉しい――」

ギーシュが言い終わるまえに、どこからか風が吹き荒れ、
ヴェルダンデを吹き飛ばした。ギーシュが叫ぶ。

「ヴェルダンデっ!?誰だ!」

全員が辺りを見回すと、
長身の貴族が朝靄のかかった景色の中から出てくるのを見つけられた。
ルイズとルージュは彼に見覚えがあった。いや、ルイズは面識があった。
ギーシュはその人影に対して叫んだ。


「貴様!僕のヴェルダンデに何をするっ!」

ギーシュは短く呟いて薔薇の杖を引き抜く。
だが、その人影が一瞬早く呟いて、薔薇を吹き飛ばす。
周囲に大量の花びらが舞い踊り、視界が薔薇の花びらで覆い尽くされる。

「……なに?」

人影が呟いた、その次の瞬間、
ギーシュが花嵐を切り裂いて人影の喉元に剣を突きつけていた。

「貴様、何者だッ!」
「……僕は敵じゃない、姫殿下より、君たちに同行することを命じられた者だ」

その返事に、ギーシュはおとなしく剣を下げた。
任務のことを知っているのなら、敵ではないだろう。そう判断した。
……それはルイズがうっかり漏らしてなければの話だぞ。

「心とも無い、と同行を命じられたが既に頼もしい同行者が居るようだね。ルイズ」

と、その人影はルイズに話しかけた。
ルイズは立ち上がると顔を紅くする。

「……申し遅れたね、僕は女王陛下の魔法衛士、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」

その名前を聞いて、ギーシュが態度を一変させる。

「し、失礼しましたッ!」
「いや、僕の方こそ。婚約者が襲われているのを見過ごすわけにはいかないのでね」
「へ?」「はい?」

二人は、まずそのルイズの婚約者と名乗ったワルド子爵の顔を凝視してから、
今度は振り返って顔を紅くしているルイズを凝視する。

「ワルド様……」
「久しぶりだね!ルイズ、僕のルイズ!」


ワルドは駆けよると、ルイズを抱き上げる。
ルイズは抱き上げられていることに文句は言わず、頬を紅く染めたまま言う。

「お、お久しぶりでございます」
「ははは、相変わらず軽いね君は!まるで羽のようだ!」
「……恥ずかしいですわ」

思わず、二人は顔を見合わせた。
ワルドはルイズを下に下ろすと、此方に向け腕を開いて言った。

「ルイズ、僕にそこの頼もしい二人を紹介して欲しいんだが、いいかな?」
「あ、……ギーシュ・ド・グラモンと、使い魔のルー……ブルーです」

そう言われると、ワルドは二人の方に歩み寄り、会釈する。

「君がルイズの使い魔かい?ルイズが世話になっているよ――それにしても、人とは珍しいね」
「どうもそうらしいですね」

次いでギーシュとも2、3言葉を交わす。
そうした後、ワルドは口笛を吹いた。
先ほどワルドが現れたときのように、靄の中からグリフォンが現れた。
王女が来たときに乗っていたものと同一のようだ。使い魔なのだろう。
ワルドは再びルイズを抱き上げると、そのままグリフォンにまたがった。

「では諸君!出撃だ!」

グリフォンが駆け出す。
ギーシュが慌てて馬にまたがり、その後を追う。
ルージュは落ち着いて馬にまたがりながら、またその後を追った。


さて、場所は変わって。
ここは『金の酒樽亭』。
傭兵やならず者など、荒くれな人々愛用の酒場である。
殴り合いに用いられ、壊れた椅子が積み重なり、
ボロボロで、汚れも酷く、正直廃屋ではないか、と思わせるほどのひどさである。

「アルビオンの王様も終わりだな!」
「いやはや、『共和制』って奴の始まりだね!」
「『共和制』に乾杯!」

そう言い、酒を飲んでいるのは、王党派、つまりレコンキスタの敵側についていた傭兵である。
良識で言えば、かつてとはいえ相手の敵の掲げているものに乾杯することはしないのだろうが、
そこら辺は金で雇われ、危険があればさっさと逃げ出す傭兵である。
そんな良識を持ち合わせていたら、傭兵なぞはやっていられない。
彼らが酒を飲んでいると、ふと扉が開いて、女が一人入ってきた。
なかなかの美人であったので、酒場にいた者達の目が殆どそちらを向く。
彼女はそれらを見返すと、全員に聞こえる程度の大きさの声で言った。

「傭兵はいるかい?」
「なんだ嬢ちゃん、俺達を雇いに来たのか?」
「そうさ」
「金はあるんだろうな?」

その言葉に、女は大きな布袋を取り出すと、それを無造作に机に横にした。
輝く金貨が口から漏れ出す。

「すげぇな、エキュー金貨じゃねえか」
「雇われるのかい?別に断っても構わないよ」
「受けるに決まってらぁ」

が、傭兵達のうち一人が女に近づくと、下卑た声で言った。

「へへ、雇われてやっても良いが、その前にどうよ、俺と一ば――」
「叩き潰されたいなら構わないよ」

男の目の前に、いつの間にか杖が突きつけられる。
その杖を見て、男は尻餅をついてしまう。

「おやおや、この程度で腰を抜かすなんて、役に立つのかね?」

女に笑われると、腰を抜かした男は顔を赤くするが、言い返せなかった。
そんな中扉を開けて、白い仮面の男が入ってきた。
女はそちらを見やる。


「おや、早かったね」
「連中が出発した」
「こちらも準備は出来てるよ」
「そうか」

白い仮面の男は周りを見やる。

「お前らは、王党派に雇われていたのか?」
「そうですよ。先月まではね」
「でも、負けそうになってまでついて行くほど律儀じゃあないんでねぇ」

男達は笑った。仮面の男も笑った。

「そうか、俺はそれは許さん。逃げるようなら殺す。だが見合うだけの金は払おう」
「へ、見返りさえ期待できりゃ、雇われてやるよ」

その会話を聞きながら、女は奥の方に居た店主に話しかける。

「食事を頼むよ。あと部屋は開いてるかい?」
「開いてるよ」

酒と同時に出された言葉に対し、女は座る。
すると、視界の端に妙な格好をした二人組の男が目に映った。
なにやら興味が湧いたので、その男達に話しかけてみた。

「おい、あんたらは違うのかい?」
「俺達は傭兵じゃねえよ」
「へぇ?じゃあ何でこんな所に居るんだい?」
「宿屋を探してて見掛けたから入ったんだ」
「旅でもしてるのかい?」
「アルビオンとか言うところまでな」

女は、ははと笑った。

「今アルビオンに行くのなんて傭兵ぐらいだろうに。
 傭兵じゃないとすればなんなんだい?」

二人組の男の、黙っていた方が、
その外見に似合う渋い声で、小さく言った。

「観光だ」

女はその答えを聞いて、より大きく笑った。


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