「え……と」
静まりかえったその場で、ルイズは召喚してしまった手前、その使い魔に近寄った。
あまり近づきたくはなかった。
女性なら本能的に距離をおく存在がそこにはいたからだ。
「おおっ!? なんだここは!」
「こ、ここはトリステイン魔法学院よ。それからあなたは私の使い魔なの」
その男は半裸に下半身は黒タイツというエキセントリック極まりない格好をしていた。
歳はコルベールに近いといっていい。頭も寂しくなりかけているのがうかがえる。
お世辞にもナイスミドルとはいいがたい。
平民らしいけれど……というか貴族にはまずみえないし、かといって平民とよんでいいものか。
かけるべき言葉のみつからないルイズをきょとんと見つめていた半裸の平民は、次の瞬間何を思ったか突然その場にひっくり返った。
「おぅおああぁあああああああああーーーーーっ!!?」
辺りに響き渡る叫び声。
雄叫びか奇声か判別のつかない叫び。
「ぬおぅああぁああああ!」
どったんばったんとのたうつように動き回ると、最後に見事な三点倒立を決める。
一同、いったい目の前の男が何をしているのかまったく理解できない。半ばその破天荒な動きに唖然としてしまっている。
「あははは!」
ことの成り行きを見守っていた者の中でキュルケのみがその様子に思わず笑ってしまう。
と、その笑い声に反応したのか、男はその年齢からは想像のつかない俊敏さ(某害虫を連想させるマイナスな俊敏さ)で彼女のところへ走り寄ると、今度は彼女をその場にひきずり倒した。
静まりかえったその場で、ルイズは召喚してしまった手前、その使い魔に近寄った。
あまり近づきたくはなかった。
女性なら本能的に距離をおく存在がそこにはいたからだ。
「おおっ!? なんだここは!」
「こ、ここはトリステイン魔法学院よ。それからあなたは私の使い魔なの」
その男は半裸に下半身は黒タイツというエキセントリック極まりない格好をしていた。
歳はコルベールに近いといっていい。頭も寂しくなりかけているのがうかがえる。
お世辞にもナイスミドルとはいいがたい。
平民らしいけれど……というか貴族にはまずみえないし、かといって平民とよんでいいものか。
かけるべき言葉のみつからないルイズをきょとんと見つめていた半裸の平民は、次の瞬間何を思ったか突然その場にひっくり返った。
「おぅおああぁあああああああああーーーーーっ!!?」
辺りに響き渡る叫び声。
雄叫びか奇声か判別のつかない叫び。
「ぬおぅああぁああああ!」
どったんばったんとのたうつように動き回ると、最後に見事な三点倒立を決める。
一同、いったい目の前の男が何をしているのかまったく理解できない。半ばその破天荒な動きに唖然としてしまっている。
「あははは!」
ことの成り行きを見守っていた者の中でキュルケのみがその様子に思わず笑ってしまう。
と、その笑い声に反応したのか、男はその年齢からは想像のつかない俊敏さ(某害虫を連想させるマイナスな俊敏さ)で彼女のところへ走り寄ると、今度は彼女をその場にひきずり倒した。
「えっ!? ちょっと何……」
「テレビじゃ放送できないこと全部やってやるよ!」
トリステイン魔法学院の人間には意味不明の言葉を叫びながら、悲鳴を上げる彼女の脚をつかむと、そのままジャイアントスイングをはじめる。
彼女のスカートが遠心力でめくれ、その色っぽい下着が丸見えなのはおかまいなしだ。
「1クールのレギュラーより1回の伝説ーーーーっ!」
「いやああああああああ!!?」
周囲がパニック状態になる中、一人の少女が回転させられている親友のもとへ歩いていく。
水色の髪と、無表情が印象的な小柄な少女。タバサだった。
「ダメ」
抑揚のない声で男に話しかけると、キュルケが放り投げられる。
振り返った男は、今度はタバサを凝視した。
無表情な少女と半裸黒タイツの男。
奇妙な沈黙がその場を支配する。
「お……」
男が小刻みにふるえながら何か言おうとしている。
「お前なんで笑ってないんだよ!?」
タバサは珍しく目を丸くした。
この使い魔の興味はどうやら自分の顔らしい。
笑っていないと何か不都合でもあるのだろうか。
タバサは首をかしげる。
「おぅし! 笑えない人を笑わすなら警察に捕まってもいい!」
男はタバサの前でそう何かを覚悟すると、次の瞬間その黒タイツに手をかけた。
「伝説つくってやるよっ!!」
「っ!!!!??」
タバサが硬直し、他の者は全員絶叫する。
「高ーく買いますアラジンですぅ! マンダイ書店でこれなんぼ!?」
男はトランス状態のように意味不明の歌をうたいながら下半身丸出しで女子を追いかけ始めた。
泣き叫び、蜘蛛の子を散らすように逃げまどう学院生たち。
放心状態でその様子を見つめるルイズ。
強力な魔法を使っているわけでも腕力が特別にあるわけでもないのに、学院はたった一人の平民に阿鼻叫喚の地獄絵図に変わっていた。
「取り押さえろぉ!!」
ようやく我に返ったコルベールが数人の男子生徒とルイズの召喚した使い魔を取り押さえにかかる。
今度は男が逃げる方になり、窓際に追い詰められる。
しかし往生際悪く抵抗を続ける男。
「何だここは! トルコかっ!?」
暴れながら男が叫ぶ。
「君はいったいなんなんだ!?」
コルベールが思わず訪ねる。
男は答えた。
「江頭2:50ですっ!」
「テレビじゃ放送できないこと全部やってやるよ!」
トリステイン魔法学院の人間には意味不明の言葉を叫びながら、悲鳴を上げる彼女の脚をつかむと、そのままジャイアントスイングをはじめる。
彼女のスカートが遠心力でめくれ、その色っぽい下着が丸見えなのはおかまいなしだ。
「1クールのレギュラーより1回の伝説ーーーーっ!」
「いやああああああああ!!?」
周囲がパニック状態になる中、一人の少女が回転させられている親友のもとへ歩いていく。
水色の髪と、無表情が印象的な小柄な少女。タバサだった。
「ダメ」
抑揚のない声で男に話しかけると、キュルケが放り投げられる。
振り返った男は、今度はタバサを凝視した。
無表情な少女と半裸黒タイツの男。
奇妙な沈黙がその場を支配する。
「お……」
男が小刻みにふるえながら何か言おうとしている。
「お前なんで笑ってないんだよ!?」
タバサは珍しく目を丸くした。
この使い魔の興味はどうやら自分の顔らしい。
笑っていないと何か不都合でもあるのだろうか。
タバサは首をかしげる。
「おぅし! 笑えない人を笑わすなら警察に捕まってもいい!」
男はタバサの前でそう何かを覚悟すると、次の瞬間その黒タイツに手をかけた。
「伝説つくってやるよっ!!」
「っ!!!!??」
タバサが硬直し、他の者は全員絶叫する。
「高ーく買いますアラジンですぅ! マンダイ書店でこれなんぼ!?」
男はトランス状態のように意味不明の歌をうたいながら下半身丸出しで女子を追いかけ始めた。
泣き叫び、蜘蛛の子を散らすように逃げまどう学院生たち。
放心状態でその様子を見つめるルイズ。
強力な魔法を使っているわけでも腕力が特別にあるわけでもないのに、学院はたった一人の平民に阿鼻叫喚の地獄絵図に変わっていた。
「取り押さえろぉ!!」
ようやく我に返ったコルベールが数人の男子生徒とルイズの召喚した使い魔を取り押さえにかかる。
今度は男が逃げる方になり、窓際に追い詰められる。
しかし往生際悪く抵抗を続ける男。
「何だここは! トルコかっ!?」
暴れながら男が叫ぶ。
「君はいったいなんなんだ!?」
コルベールが思わず訪ねる。
男は答えた。
「江頭2:50ですっ!」
(終)
(注)エガちゃんは以前、企画でトルコに行ったとき、笑いをとろうと全裸になったところ、それを見た群衆が暴徒化し、危うく殺されそうになった経験がある。
-ルイズが「江頭2:50」を召喚