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ゼロのしもべ第3部-14

 空にそびえる水神(わだつみ)の城♪
 とか替え歌を歌いたいような、うねる巨大な水の竜巻が出現した。まるで、水の城だ。
 完成した城は、おまけに命の鐘の力をもって意思を得ている。やばさは尋常のものではない。いうなれば意思をもった大量殺戮
兵器である。
 土砂を吸い上げながら、その城は進軍を開始した。触れるもの全て飲み込み、破壊していく。凶悪なミキサーであった。
 こんなものに襲い掛かられては、人間の作ったものは城であろうとなんであろうとひとたまりもないだろう。
「我に仇為す不届きものども!命を食らえば現世を失う!春夏秋冬万物流転!消滅尚もて往生せ!」
 水竜巻がけたたましい笑い声をあげる。竜巻表面に浮きでたクロムウェルの顔がぐじっと醜く歪んだ。嗤っているのだ。
 その大きさからは想像できぬほど、速い。人間の全速力などナメクジほどでしかないはずだ。バビル2世は逃げ出せても、キュルケやタバサは逃げるのが間に合わないだろう。つまりここで迎え撃ち、その間に2人を逃がすしかあるまい。
「なれば、数で威力を削り取る!」
 残月が叫び、キセルを振った。水竜巻を取り囲むように、6個の小竜巻が発生した。
「往生!」
 6個の竜巻が同時に水竜巻に踊りかかった。唸りをあげて、独楽のようにぶつかり、その威力を削ろうとする。
「笑止千万抱腹絶倒。無意味なりて我を止めるは無駄行為!」
 水竜巻が叫ぶと同時に、小竜巻は消え去った。まるでハエを追い払う牛のようだ。
 これでは時間稼ぎにもならない。
「いかんな。このままではシャルロット君たちを脱出させようにも…ッ」
 ぐぬう、と歯噛みするセルバンテス。マントを振ると、その下からマジックミサイルが何十発と現れて、水竜巻めがけて襲い掛かる。
雨あられとマジックミサイルを食らっても、竜巻の威力は少しも変わらない。
「我々では足止めにもならぬか。」
 せめて竜巻に対抗できる技を得意とするものがいてくれれば、と後方をちらりと窺うバンテス。
 そんな抵抗など無駄無駄ァ!とあざ笑うように、水竜巻はさらに激しくうねる。
 まさにバビル2世たちを竜巻が飲み込まんとするとき、飛び込んできたのは赤い馬。
 上にピンクブロンドの髪の少女を乗せ、竜巻の前に立ちふさがった。
「ルイズ!?」
 代わりに答えるかのように、赤い馬がいなないた。上には半死半生の態のルイズが。
「し、死ぬかと思ったわ……」
 真っ青な顔をして、今にも落馬しそうだ。
「どうしたんだ!?いったいこの馬は?何があったんだ!?」
「その話はあとだ/今はこのピンチをどーにかするのが先決じぇねーのか?/」
 代わりに答えたのは、ルイズが背負ったデルフであった。カタカタと刀身を揺らしている。
「デルフ!?」
「おうよ/デルフさまよ/忘れてた、なんていう悪い子には知恵をかさねーからな/」
 忘れてはないけど、いらない子なのは間違いない。という言葉を全員が飲み込んだ。デルフ、不憫な子。
「このピンチをどうにかする。まさか…」
 ハッと気付いたバビル2世の、顔が青ざめる。
「虚無の魔法を使うと言うんじゃないだろうな。」
 脂汗をかき、デルフを問い詰める。あの巨大な光を間近で見た人間にとって、地上で虚無を使うと言うことは恐怖以外の何ものでもない。下手なことを言えば刀身をへし折るぞと言わんばかりの勢いで、デルフに詰め寄る。
「安心しろ、現相棒/エクスプロージョンじゃないからよ/こういうときにうってつけの魔法があるんだっての/おでれーたか?」
 デルフに顔があればおそらくにやりと笑ったことだろう。自信満々なデルフの態度に、バビル2世は身を引いた。
「いいだろう。相棒としてデルフ、きみを信じようじゃないか。それで、ぼくたちは何をすればいい?」
「決まったことよ。いつもどおり、詠唱が終わるまで、竜巻を押さえ込んでくれ。」
「無茶な!」
 残月が叫ぶ。
「それができるならば当の昔にやっている。それができないから、我々は困り果てているのだ。」
「だけどよ、やるしかねーぜ?」
 デルフの言葉にバビル2世が頷いた。
「わかった。やってみよう。」
 水竜巻に向き直る。

「ぼくの超能力をフルに使えば、なんとかなるかもしれない。」
 すでにルイズは詠唱をはじめている。雨音に混じって、ルイズの詠唱があたりに響く。
 なんという心地よい旋律だろうか。
「おい、相棒/」
 デルフがバビル2世を呼び止める。
「おれを忘れるなってーの/こう見えても、ある程度の魔法なら吸い込めるんだぜ/」
「それはいいことを聞いた。」
 デルフを鞘から抜いて、握るバビル2世。左手甲がまばゆいばかりに輝きだす。
「あの竜巻を全部吸い込めるかい?」
「うーん、微妙だな/でも、ま、言い出しっぺだし、折れない程度までならやったるけどよー/」
「折れるまでやれ。」冷たく言い放つバビル2世。
 デルフを構えて、バビル2世が竜巻へと歩を進める。
「精神動力をフルに使って、ぼくが削れるところまで削ろう。あとはデルフに任せた。」
 バビル2世の髪がたなびいた。
 大地が鳴動をはじめ、地割れが起こる。
 土砂や岩が浮き上がり、渦を巻いていく。
 猛烈な勢いで回転する力の渦がバビル2世を中心に巻き起こったのだ。

 精神動力と竜巻が真正面から激突した。
 はじける。
 削れる。
 ぶつかる。
 うなる。
 のみこむ。
 締め上げる。
 えぐり、ひきさき、ぶちかまし、吹っ飛ばす。
 それは巨人同士の取っ組み合いにも似ていた。隙あれば組み伏せ、相手を踏み潰し、ひねり殺そうとする。
 技、などというものは一切入る余地のない。純粋な力と力の激突だ。
 そういう意味ではバビル2世は不利である。
 なにしろ先ほど地球監視者No.1と、念動力対決を行っていたのだ。それでかなりの消耗をしている。
 加えて敵はトライアングル同士によるヘキサゴン・スペル。通常の威力の六乗にまで達した魔法の塊だ。さらに命の鐘の力まで
が加わっている。
 消耗した力と、通常の六乗にまで増加した力+α。勝敗はだれが見ても明らかである。
 やがて予想通り、精神動力が押され始める。全体を竜巻で削られ、どんどんやせ細っていく。
「ぐ、ぐうぅ…」
 脂汗をかき、懸命に力を振り絞るバビル2世。だが、このまま行けば遠からず力を使い果たし、竜巻に飲み込まれるだろう。
「おいおい、現相棒/まだこの程度じゃおれは全部吸いきれないぜ!/」
 焦ったようなデルフの声。命の鐘の力が加わったことにより、竜巻の威力が予想以上なのだ。通常のヘキサゴンスペルであれば、飲み込めたに違いない。しかし、それに加わって命の鐘の力まであるとなれば、さすがのデルフリンガーと言えども吸収限界をオーバーしていておかしくはない。
 そうしている間にも、精神動力はどんどんか細く、弱くなっていく。なにか契機があれば一気に飲み込まれてもおかしくはない。
「是即ち終結。覚悟を決めるはバビル2世!勝利を決めるは命の鐘よ!」
 水竜巻表面の顔が、大口を開けて笑った。
 次の瞬間―
「否ッ!」
 水竜巻の巻き込んだ水が逆回転をはじめた。竜巻の流れに逆らうように、暴れまわり、踊り狂っていく。
「何事在るは我報告!?」
 あわてて周囲を見回すクロムウェル。その目に飛び込んできたのは…
「あそこにビンあるは水が精霊!」
 ビンの中で、怒り猛った水の精霊であった。
「よくも……よくも我が愛しき方を!!」
 完全にぶちぎれた水の精霊が、ビンの中で吼えた。全身を輝かせながら、周囲の水を水竜巻に叩きつける。
「否ー!?」
 水に翻弄され、クロムウェルが大きく揺らぐ。
「よくも我が愛しき方を痛めつけてくれたな!100倍、いや1000倍にして返してくれよう!」
 ポセイドンを吹っ飛ばされたことで、水の精霊がプッツンきたのだ。周囲の影響云々はどこへ行ったのか、あたり一面の水をありったけ竜巻に叩きつける。

「……怖…」
 脅されて、ビンをここまで運んできたモンモンが物陰で怯えている。よく自分の先祖はこんな水の精霊と契約できたのだと改めて感心していた。
 同時に、「水の精霊の前でされた誓約はたがえられない」という言い伝えは、この性格に由来するものなんじゃないかと考えてもいたりした。
「こうなれば私も気絶するまで魔力を使いきらせてもらう!」
 残月が、空気の塊を何十個もぶつけていく。水の塊を喰らってふらついていたところにそのようなものを浴び、さすがの竜巻も威
力が落ちていくではないか。
「いまだ、現相棒!/」
 デルフが叫んだ。この勢いならば、充分に吸収できると踏んだのだ。
 バビル2世が竜巻にデルフを突き刺した。荒れ狂う竜巻が、デルフを中心に回転し始める。クロムウェルの苦痛に満ちた叫び声が周囲に響き渡る。
「行けるぞ、現相棒!/このままなら竜巻を飲み込めるぜ!/」

 だが、
「否!ここで滅せずとも我が命ぃッ!」
 クロムウェルが吼えた。懸命に体勢を立て直し、改めて回転速度をあげていく。
「我にたてつく無法がものども!所業を返せば現世に帰る!」
 がおおおおおん、と叫び、ルイズを睨みつけた。
「汝が希望は我滅す!すなわちこの娘の魔法を頼りで皆守る!始末すること我が勝利也ー!」
「な、なんじゃこりゃー!/」
 デルフが竜巻の速度に耐え切れず、吹っ飛ばされた。バビル2世が巻き込まれ、空中に跳ね上げられた。
「ビッグ・ファイア様!」
 残月が思わず目でバビル2世の行方を追う。次の瞬間、腹に重い衝撃を受けて後方に飛ばされた。
 岩だ。
 飲み込み、巻き上げていた岩を、周囲にはじき出しているのだ。
「危ない!」
 詠唱中でトランス状態のルイズ。そんなルイズめがけて吹っ飛んできた岩を、バンテスが身体で受け止めた。ゴーグルがはじけ跳び、頭から血が吹き出る。
「ぐぅぅ…なんという威力…ッ」
 ルイズを守るように前に仁王立つバンテス。その身体に大小の石つぶてが襲い掛かる。
 そのこと如くを身体で受けとめ、ルイズを守る。
「セルバンテスさん!」
 着地したバビル2世が駆け寄ろうとする。が、精神力をフルに使ったバビル2世に動く余裕はない。デルフを杖代わりに、立っているのがやっとというありさまだ。
「だ、大丈夫だッ…。」
 笑みを浮かべるセルバンテス。だがその身体には容赦なく岩が叩きつけられていく。
「娘を守るは感心なれど、所詮は無益が抵抗よ!今が我が身を賭ける時也!」
 クロムウェルの目が光る。衰えていた回転速度がにわかに増し、威力を挙げていく。
 全ての力を振り絞って、最後の賭けに出たのだ。
 狙いは、呪文を詠唱するルイズただ一人。さすがのセルバンテスといえども、この竜巻を受け止めることは不可能だ。
 水の精霊といえども風の勢いばかりはどうにもしようがない。
「絶命覚悟が汝は人生ッ!」
 轟、とうなりをあげる竜巻。
 竜巻が、ルイズに襲い掛かった。

「甘い!」
 竜巻がルイズを飲み込もうというまさにそのとき、赤い風がクロムウェルに襲い掛かり、進行を阻んだ。
 進行を阻むのみならず。なんと竜巻を押し返していくではないか。
「汝が何奴これ我が疑問!?」
 クロムウェルが、赤い突風・衝撃波の現れた方向を見て叫ぶ。
 そこにいたのは、そう。間違いない、
「名前など我々には存在しない!」
 地球監視者No.3だ。
 竜巻に飛び掛る地球監視者。両腕を中に突っ込んで、衝撃波をほとばしらせる。
「否!否!否!?」
 No.3が竜巻の中に飲み込まれた。飲み込まれたかと思うと、全体に赤い衝撃波が広がっていく。
 自らの肉体を、衝撃波に変えたのであった。
 赤い衝撃波は竜巻と逆回転を始める。竜巻内部で火花が起こり、風の勢いをどんどん飲み込んでいく。
「No.3、そのまま押さえ込めておけ!」
 No.1が精神を集中させる。竜巻のすぐ真下の地面を地割れさせ、持ち上げていく。
 竜巻の中に、見る間に岩の塔がいくつも出来上がっていく。岩の塔にぶつかって、竜巻の威力がどんどん衰えていく。
 衝撃波旋風と、岩の塔がこれでもかと竜巻を痛めつけるではないか。
「あ、あなたがたは……」
 バビル2世が問うと、No.1は照れくさそうに、
「先ほどはご迷惑をおかけした。悲しいかな、われら二人。己の過ちを知らず、何が真で何が偽か、気づくことなくここまできた。」
 衝撃波となったNo.3が続ける。
「左様。たとえ我々が人にあらず、人工のものなりといえども、過ちを見抜く目を持たねば地球人類の性質の善なるか悪なるかを判断することはできぬ!」
「これ我ら二人の罪なり!罪にして誤りなり!」
「罪を禊ぎ、誤りを正さんとす!」
「孔明殿の言葉感じ入った。なれば、その説得に応じよう!」
「左様、我ら二人」
「「助太刀させていただく!」」
 その様子を後方で伺う男が一人。傍らに赤いよろいを着た男を引き連れている。
 そう、孔明だ。
「価値観を否定し、心理を不安定にさせておき、そこに新しい価値観を叩き込む。さすれば、人はわが思いのままとなる…」
 はるか後方で孔明が扇を掲げた。
「これまさしく策士の技」
 ぐへへ、といやらしく笑う。どうやら孔明があの二人に対してなにかしでかしたようであった。

 そうこうしている間にも、岩山は竜巻を削り取り、衝撃波は威力を飲み込んでいく。
 徐々に竜巻は回転力を失い、勢力を弱めだす。
 つむじ風となり、先細って行き。
 やがて、消え去った。
 巻き上げた泥水が巨大な滝のように地面にばっしゃーんと崩れ落ちる。その中からNo.3が元の姿となって飛び出し、くるくると回って着地する。
 呪文を完成させたルイズが、崩れ落ちる水の隙間から、クロムウェルとウェールズめがけ、『ディスペル・マジック』を叩き込んだ。

 アンリエッタの周りに、眩い光が輝いた。
 すぅっと、隣に立ったウェールズの身体が地面に崩れ落ちる。アンリエッタは駆け寄ろうとするが、精神力を消耗しきっていたおかげで意識を失い、地面に崩れ落ちる。
 辺りは一気に静寂に包まれた。

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