あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのイチコ01


「……う、浮いてる?!」
あまりにびっくりしたので、思わず目の前に起こってることをそのまま口から出してしまった。
浮いていた、何がというと自分の呼び出した使い魔がである。
しかもそれはフクロウでもドラゴンでもなく人間だった。
いや、浮いているから人間じゃないのだろうか。
「おい、あいつ杖持ってないぞ!」
「まさか、エルフ?!」
「でも耳は尖ってないわよ」
「じゃあ、なんだ? もしかして精霊?」
まわりから様々な憶測が聞こえた。
精霊か、それともヴァンパイアやゴーストのたぐいか。
だがそんな憶測よりも……先に気になることがあった。
「スゥ……スゥ……」
寝ていた。大音響と供に呼び出したはずのソレは完全に熟睡していた。
肩ほどまでのまっすぐな髪を揺らして、膝をかかえてソイツは眠っていた。
服は綺麗な白地の服。ドレスみたいだけどどこか違う。
「……んぅ、ふぁああ」
と大きなあくびをして彼女は目を覚ました。
パチパチと大きな目を瞬かせると、私を見てこう言った。
「おはようございます」
空中で足を折りたたみ、手を膝の前に出して妙な礼をした。
「あんた、何?」
「はい、私は高島一子と申します。以後よろしくおねがいします」
と起きてるのか寝てるのか怪しい表情で再び礼をする少女、タカシマ。
変な名前だと思う。あまり可愛くもかっこよくも無いし。
「はれ?」
キョロキョロと周りを見渡す少女、ぐるりと体を回転させ周囲をマジマジと眺めて再び私と目線を合わせる。
そして人差し指を頬に当てて数秒。
「ぇええええええ、ココはどこですか? ぇえと、ぇえと、私は確かお姉さまに会いたくて病院を抜け出して寮に向かったけれどお姉さまが居なくて。
しょうがないからいらっしゃるまでちょっと寝ようかなと思って目をつむったら、ココに居ました。
はっ、もしや私ってばお姉さまへの思いのあまりに瞬間移動を?!
すごいです私って超能力者、ってぜんぜん違うところに飛んでたら意味が無いんですけどね~」

あはは、と頭のうしろを掻いてタカシマは笑った。
あまりの言葉の勢いに止めるのも忘れてしまっていた。
「と言うわけで、申し訳ありませんが聖應女学院はどっちか分かりませんか?」
「そんな学院聞いたことないけど」
それよりも状況を理解してないでしょう、そう言いたかったのだが。
「そうですか、それはお手間をかけました。それでは!」
と飛んで行きそうになるのでとっさに足を掴んで止めた。
「あれれ、前に進みません~」
と宙で平泳ぎをしている。
「ルイズ君、そろそろコントラクトサーヴ――」
いいかげん話が進まないのに業を煮やしたのか、コルベール先生が進行させようとした。だがタカシマの声がそれを遮る。

「私、浮いてます! すごい、いよいよ私って本格的な超能力者ですね。はっ、もしかしたらテレビとかに出れるのでしょうか?
そうすると私も一躍人気者? でもでも、まんがいち有名になったとしても一子はお姉さま一筋です。はいっ!
この想いは誰にも負けません、むしろ超能力で今すぐにでも会いに行きます、お姉さまぁああ!!」

と再び飛んで行きそうになったタカシマを地面にひきずり降ろした。
「おねえさまぁ、じゃないわよ! あなたは私の使い魔なの。どこに行くつもりよ?!」
「いやだなぁ、私は使い魔じゃなくて高島一子ですよぉ」
「だ・か・ら、名前じゃなくてあなたの存在、やるべき使命、職業が使い魔なの!」
「ぇえ、そうなんですか?!」
「そうよ」
「それはちょっと弱りましたね、聖應女学院はアルバイト禁止なんです」
「違うって言ってるでしょお!!」
結局、彼女に今の状況を理解させるの相当の時間を食ってしまった。
周りの生徒は私とタカシマが言い合いしている間にコルベール先生によって解散させられていた。
未だにコントラクトサーヴァントを済ませていない。
「でも、なんで私って魂だけ召喚されちゃってるんですか?」
「私が分かるわけないじゃない」
彼女の言い分によると彼女は学院寮に居た時に呼び出されたらしい。
学院生といっても魔法は使えない平民だということ。
「ともかく、コントラクトサーヴァントを済ませるわよ」
「あの、でも私の学院はアルバイトが……」
「それはもう聞き飽きたわ」
と、ふわふわ浮いてる彼女の体を引き寄せ、口付けを交わす。
幽霊のように実態が無いのかと思ったけれど、彼女に触れるとちゃんと人の肌の触感がした。
「ファ――」
「なによ?」
「ファーストキスだったのにぃ!」
いきなり涙を溢れさせて泣き始めた。
それに、そんな事をいったら私もファーストキスになるのだけど。
「うるさい、女性同士だからノーカウントよ!」
「あ、それなら良かったです……ってお姉さまとキスしてもノーカウントなんですか?! う~ん、それはちょっと寂しいというか悲し、あつっ?」
手を押さえて蹲る、どうやらコントラクトサーヴァントは成功したようだ。彼女の体にルーンが刻まれているようだ。
「ふむ、コントラクトサーヴァントは一発で成功したようだね」
とコルベール先生が使い魔のルーンを確かめる。
「珍しいルーンだね……それじゃあ今日はここで解散だ。使い魔と仲良くやるんだよ」
「はい」
未だに悶えてるタカシマを引っ張って私は学院寮に戻ることにした。
見た目よりも重さが無いため、運ぶのは楽だった。
自室に戻って、あらためて自らが呼び出した使い魔を眺めた。
何故か神妙な顔で床に座っている。ように見えて実は浮いている。
「落ち着いて考えると、心あたりがあるんです」
ポツリと、こちらが何も言って無いのに話し始めた。
「私、昔から体が弱くて、病院に入院して安静にしていないといけないのに無理に抜け出したんです。たぶん、そのまま死んでしまったんじゃないかと……」
そして私に呼び出されたと。そう考えれば魂のような状態にも説明はつく。
それにしても入院するほどの体を押して、なぜそんな無茶をしたのか。
「たぶんバチが当たったんですね、病院の先生の言うことも聞かずに、お姉さまだって迷惑するに決まってるのに」
「なんでそんな事をしたの?」
「お姉さまが、ご結婚なさると聞いたんです――それで……」
引き止めたかったのか、祝福したかったのか、それともただ会いたかったのか。次の句は告げられなかった。
彼女の話にずっと出てくる『お姉さま』とはどんな人物なのだろう。
自分にとってのお姉さまと言えばカトレアお姉さまが頭に浮かぶ。とっても優しいちい姉さま。
彼女の気持ちは分からないでもない。どんなに苦しくてもその人が遠くに行ってしまうと知ったらどんな状態でも会いたいと思う。
でも、迷惑はかけたくない。それでも会いたい。
「むしろ、ここはそのまま昇天しそうだった私を呼び出してくれたルイズさんに感謝するべきです。本当にありがとうございました」
と急に笑顔になり、頭を下げられた。
今まで泣きそうになっていたのに無理に笑顔を作ってるのが分かる。
彼女のお姉さまにはもう二度と会えないかもしれないのに。
その姿はあまりに痛々しかった。
「無理するんじゃないわよ」
「はぃっ?」
「なんでも無いわ。ともかく明日からは使い魔として働いてもらうからね」
「はい、がんばります!」

特別に、同じ布団で寝かせてあげようと思う。


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