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ゼロの使い魔・ブルー編-12

「う、ううむ…………」

いかほど気絶していたのだろうか?
ギトーは覚醒した。いや、なんか能力値とか跳ね上がる訳じゃなく、
普通に目が覚めた。車輪が石に当たる音が聞こえる。

気絶する前の最後の一瞬を思い出す。
確か『ライトニング・クラウド』が何故か自分に当たって……。
そこまで言って、ギトーは身を跳ね上がらせる。

「そ、そうだ!『土くれのフーケ』はどうした!?」
「もう終わったよ」

と、後ろから声がする。

「なんだと!?」

と振り返ると、そこには確かに
フーケらしき人物が何か妙な格好で倒れていた。
なんというか、驚愕の表情を保ったまま固まっている。
近寄って触ってみると、まるで石のようだった。

「これは……どうなってるんだ?」
「秘密」
「……まぁ、それは良いが、何で更にロープで縛ってるんだ?」

その疑問に、タバサではなくアセルスが返す。

「聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいこと?」

ロープで少々粗くもしっかりと縛ると、ルイズがギトーに言う。

「先生、すいませんがちょっとあっち向いてて貰えますか?」
「何でだ?」
「えー、と……それは秘密です」
「……まぁ構わんが」

彼女の言葉に、ギトーは釈然としない様子だったが、従い、適当な方向を向く。
彼の耳に、水の音が聞こえてくる。

「もう良いですよ」
「な、なにが起こったんだい!?」


その声にギトーは振り向く。
そこには、さっきまで石のように固まっていたフーケが縛られながらも暴れていた。
その様子を見て、ルイズの使い魔の青年が言う

「観念してください。杖ももう奪いました」

そう言うと、フーケはおとなしくなる。
次いで、アセルスがフーケに問う。

「ちょっと聞きたいんだけど」
「なんだい」
「君のゴーレムに刺さっていた剣だけど、どうしたの?
 あの後小屋を探しなおして見たけど、無かったんだ」
「あんたなんかに君呼ばわりされる年じゃないがね。
 まぁいいか。あの剣なら妙な格好をした男にやったよ」
「……え?」
「途中で立ち寄った村でいきなり見つけられたもんだから、
 口止め料としちゃあ何だがその剣を渡したのさ」
「そ、そんなぁ……」

うなだれるアセルス。
そこに、ギトーが口を挟む。

「すまんが……アセルスとか言ったかな?魔法学院まで来て貰う」
「……何で」
「その女は『土くれのフーケ』と呼ばれる泥棒だ。
 それと戦っていた君に幾つか聞きたいことがある」

返事も聞かずに、ギトーはフーケの方に近づく。

「『土くれのフーケ』。当然、お前にも魔法学院まで……」

と、フーケの顔を見た瞬間、ギトーが驚きに満ちた表情で言う。

「ミス・ロングビル?」
「……そうだよ」

『土くれのフーケ』、ミス・ロングビルと名乗っていた女はその疑問に答えた。


「そうか、ミス・ロングビルが『土くれのフーケ』じゃったのか……
 美人だったものだから、何の疑いもなく採用してしまったわい」

学院長室で、5人の報告を受けたオスマンは呟く。キュルケは、火傷の治療のためここにはいない。
その5人とコルベール加えたをくわえた6人は、お前それはどうよ、と思っていた。
自分以外の全員からの冷たい視線に晒され、オスマンは冷や汗をかきながら咳払いをする。

「と、ともかくじゃ、フーケを捕まえた諸君らの健闘、心より祝いたい。
 『火返しの鏡』は残念だったとは言え、『盗賊の指輪』は取り返した」
「当然の結果です」

と、言ったギトーに対して、他の四人がすかさず言う。

「何もしなかったよね……先生」
「役に立ってない」
「むしろ足手まといだったね」
「いない方が良かったな」

華麗な四連携であった。ギトーが硬直する。とそこに、オスマンが続けた。

「もとより期待しておらん」

訂正。華麗な五連携であった。ギトーが崩れ落ちる。精神的LPが5は減っただろう。

「さて、フーケは城の衛士に引き渡した。『盗賊の指輪』も宝物庫に収まった
 これで万事解決じゃな。」

一旦間を空けてから、オスマンは続ける。

「ミス・ヴァリエール。君の『シュヴァリエ』の爵位申請を宮廷に出しておいた。
 今ここにはいないが、ミス・ツェルプストーも同様にじゃ。
 タバサ嬢はすでにシュヴァリエの称号を持っているので、
 代わりとして精霊勲章の授与を申請しておいた」

そう言うと、ルイズは顔をほころばせる。
オスマンはまだ続けた。

「さてさて、今日は『フリッグの舞踏会』じゃ。この通り『盗賊の指輪』も戻ってきたことだし、
 予定通り執り行う。アセルス殿……でしたかの?あなたも良かったら客人として出てはいかがかな?」
「うーん……じゃあ、出させて貰うかな」
「なら歓迎させて貰おう!さて!今回の主役は君たちじゃ!精々着飾るのじゃぞ!」

二人は礼をし、残りの二人は礼をせず、一人は崩れ落ちたままで、
その後4人が外に出ようとする。動かなかったのは、ブルーであった。
ルイズがそれを見て言う。

「ブルー?」
「後で行く」


ブルーが素っ気なく言うと、ルイズは心配そうな顔をしながらも去っていった。
何故心配していたかというと、馬車の帰り道で、タバサと話してからずっと様子が変なのである。
どこか遠くを見ているような、そんな感じであった。
タバサに何を話したのか後で聞いてみるのも良いかも知れない。
ルイズは何か話の切っ掛けになるような事を考えた。
思いつかない。どのような話ならこの少女は話してくれるだろうか。
考えている間に、どんどんと廊下を進んでいく。
ルイズは、取り敢えず一つの話を持ち出した。

「それにしても、あの『盗賊の指輪』って凄いわね」
「…………」

タバサは黙ったままである。
それでもルイズは続けた。

「人の姿を消すなんて。『盗賊の指輪』って言うけど、本当に盗賊が持ってたら大変じゃ……ない」

何故最後の方遅くなったのかというと、何か違和感を感じたからである。
なんでオスマンはあのとき「秘密じゃ」と言ったのだろうか。
ルイズはある考えに思い至り、廊下を逆走して学院長室へと向かった。

転じて、学院長室。

「……何かわしに聞きたいことがあるようじゃな」

そう言って、オスマンはコルベールに退室を促す。
コルベールは納得はしてなかったようだが、外に出た。
その後、ブルーは口を開いた。

「『盗賊の指輪』は、俺の知ってる人間が持っていた道具だ」
「ふむ、知り合いかね?」
「いや、俺が一方的に知ってるだけだ。それは何処で手に入れたんだ?
 ……いや、『火返しの鏡』だったか、それもだ」

オスマンは、その言葉を聞くと、何かを思い出すように黙り込み、
その後重く口を開けた。

「それらをわしにくれたのは、どちらもわしの命の恩人じゃ」
「そいつらはどうしたんだ?」
「『火返しの鏡』を持っていた人間は、今どこにいるかは知らん。
 『盗賊の指輪』を持っていた人間は、死んでしまったよ」
「……なんだと?」
「それほど昔のことでも無いのだがな、
 わしが森を散策していると、ワイバーンの群れにおそわれたのじゃ。
 そこを彼女が救ってくれたのじゃ。彼女は、『盗賊の指輪』を使い、
 わしを逃がしてくれたのじゃ。だが、彼女は酷い怪我をしておった。
 わしは彼女を助けようとしたのじゃが……」

オスマンは俯いた。


「間に合わんかった。彼女は「まぁ、因果だね」などと言っておった。
 何をしてきたのかは知らんがの……」

その話にも心を動かすことはなく、冷静にブルーは次の話を聞いた。

「『火返しの鏡』は?」
「あれは、30年ほど前じゃったかのう。
 わしはワイバーンに襲われておった。」

どんだけワイバーンにおそわれてるんだ?

「じゃが突如現れたその男は……あれは銃だったのかのぅ?
 とにかく、それでワイバーンを吹き飛ばしたのだ。
 その後、何か妙な道具を取り出して、なにやら叫ぶと消えてしまった。
 その時に『火返しの鏡』を落としていったのじゃよ」
「……消えた?」
「そう、突然スッパリとじゃ」

ブルーは考え込む。
それはもしかしたら――

「済まない、その道具は残っていないのか?」
「残っておらん……その道具が必要なのかね?名は何というのだ?」

ブルーはその名を告げた。

「『リージョン移動』だ」
「『リージョン移動』?ふむ、聞いたこと無いの……
 それは一体何なのだ?」
「リージョン間を移動するための『ゲート』を作り出すために必要な道具だ」
「リージョン?」

ブルーは考え込んだ。
なんと言えばいいのだろうか?
取り敢えず思いついた言葉で置き換える。

「……そうだったな、別の世界と思ってくれ」
「ほう、では君は他の世界から来たのか?」

ブルーは考え込んだ。
言ってしまって良い物か、と。
だがここまで言ってしまった以上、もはや余り変わらないだろう。


「そうだ」
「そうか……帰りたいのかね?」
「帰らなくてはならない」
「……解った。君には恩がある。
 その『リージョン移動』とやら、調べてみよう」
「……感謝しよう」
「でも……」
「何だ?」
「何も解らなくても、恨まんでくれ。なあに、こっちの世界も住めば都じゃ。
 嫁さんだって探してやる」

ブルーは彼には珍しく、ため息をついた。
いや、もしかしたらもう一人の方かも知れないが。
突如、外から声が聞こえてきた。

「ミス・ヴァリエール!なんですか!?」
「ちょっと学院長に聞きたいことがあるんです!」

ブルーとオスマンは顔を見合わせる。
オスマンは、二人に入ってくるようにと言った。
入ってくると、ルイズはオスマンに尋ねた。

「失礼を承知で聞きます、学院長は透明になれる『盗賊の指輪』を何に使ってたんですか?」

オスマンが止まる。そして、ぎこちなく返す。

「ハハハ、何を言っていルのかねミス・ヴァリエール。宝物庫ニあるモノをどうやってつかうというのかネ?」
「鍵持ってるじゃないですか学院長」

コルベールがルイズの言葉を継いで言う。
オスマン、動揺しまくりである。

「いや、それはだな……」

その様子を見て、コルベールが禿げた頭に手を当て、
呆れながら言う。

「……大体解りました」

後は何も言うまい。『盗賊の指輪』はオスマンの手には置けないので、
その後の話し合いで、宝物庫の鍵ごとコルベールが預かることとなった。


さてさて。
ギーシュはこの舞踏会にてある人物に会いたいと思っていた。
『土くれのフーケ』を捕まえるのを協力したと言う、剣士である。
この『フリッグの舞踏会』に招待されたらしい。
なぜギーシュがそのことを知っているかというと、生徒の殆どが知っているからである。
一応秘密にされていても、あの夜の轟音は殆どの生徒が聞いていたし、
それで目が覚めた生徒達の一部が、ゴーレムを目撃している。
更に教師の一人が急用で居なくなり、
宝物庫の壁に大穴が開いていれば馬鹿でも予想は付くという物である。
だいたい、教師より生徒の方が圧倒的に数が多いのだ。
教師の耳に入らなくても、生徒の耳にはいることの方が圧倒的に多い。
そして、こういう時の子供達の結束は素晴らしいである。
バラバラに聞き集めた断片を、ものの見事に一つの物にしてしまった。

最もオスマンはこのことに気付いていて、
本当に隠したい――先ほどのブルーとの話などは、
すぐ外にいたコルベールさえも聞けてないのだが。

とにかく、ギーシュはその人物に会いたいと思っていた。
舞踏会の直前に聞いた話だと、鋼のゴーレムを剣で真っ二つにしてしまったとか。
剣を使うと言うことは平民なのだろうが、
ギーシュはブルーとの決闘以降平民に対する認識を改めている。
それが誰なのか知っているであろうブルーが、
バルコニーにいるのを見つけ出すと、彼は問うた。
ブルーは無言で指さした。ギーシュがそちらの方を向くと、
なにやら凄い人集りが出来ている。黄色い声も聞こえてくる。
近寄ってみると、彼の耳にも黄色い声の具体的な内容が聞こえてきた。

「アセルス様!私と―」
「いえ、私と踊ってくださいまし!」

ダンスの申し込みをしているらしい。
ギーシュはゴーレムを剣で切ったと聞いてから、
豪傑みたいな感じかとかと思っていたが、
とんでもないイケメンだったりするのだろうか、とも思い始めた。
まぁ、とにかく見てみれば解ることではある。


「すまないが、少しどいてはくれないかね?」

その言葉に、黄色い声を上げていた女子生徒達が、一斉にギーシュの方を向く。
思いっきり敵意のこもった目で。いや、殺意の方が近いかも知れない。

「あなたはギーシュ・ド・グラモン!」
「アセルス様にも手を出そうというのかしら!?」
「いや、僕は男色の気はない……ってケティ?」
「アセルス様が男ですって?」
「え?そう聞いてるけど……違うの?」
「……なら、教えてあげるわ」
「魅惑の君」「薔薇の守護者」「美しき方」
「私達のアセルス様よ!」

と素晴らしい連携力で言い、
再びその連携力で今まで群がっていた生徒達が
モーゼに分かたれた海の如く真っ二つに分かれる。
つーか、ここはいつから針の城になりましたか?
半妖様と女子生徒自重しろ。薔薇を用意するな。通り道に撒くな。
転がしているその赤い絨毯はどこから引っ張り出してきた?
ともかく、その先には半妖様……もとい、アセルスが立っていた。
ギーシュはその姿を見て呆然とする。

「えーと……君、何の用?」
「い、いや、ちょっと一目見て置きたかったから来ただけなんだけど……」

ギーシュは戸惑いながらも言葉を紡ぎ出す。
そして、いつもの調子に戻って次のセリフを言う。

「それにしても、こんなに美しいレディとは思わなかったな。
 どうでしょうか、この僕と一曲――」
「アセルス様に手を出すんじゃないッ!」

ギーシュは、近くにいたケティから
二股したときの数十倍の威力のビンタを食らい、
きりもみ回転しながら吹っ飛んだ。まぁ、なんだ。自重しろ。


ルイズが扉から入ると、控えていた衛士が彼女の到着を告げる声を上げる。
それは特に気にせず、ルイズは自らの使い魔の姿を探す。
途中、結構な数の男子にダンスを申し込まれたが、それも気にしない。
そのうち、バルコニーに佇んでいる彼の姿を見つける。
ずっと考えていた自らの疑問を確かめるために、彼の名前を呼ぶ。

「ルージュ」
「ルイズ?」

ルージュは振り返って答えた。
ビックリするかとも思ったが、それほど大きな反応は見せなかった。
が、暫くたつと止まる。そして聞き返してきた。

「どこでその名前を?」
「夢を見たの」
「夢?」

それには返さなかった。代わりにはならないが、問いかける。

「どういう事なの?」
「…………」

黙り込んでしまう。なので、続けた。

「なら聞かないわ」
「ありがとう」

手すりに寄りかかっているルージュの隣まで歩き、
自らも背を手すりに預ける。
ルイズは、ルージュに再び問いかける。

「あなたはどこから来たの?」
「前に言ったけど……」

沈黙。
お前らやっぱり双子だな。

「そ、そうだったわね。キングダムだっけ」
「そうだよ」
「夢を見たのよ。月が一つしかなかった」

返事はない。


「ねぇルージュ。あなたの居たところはどんな所なの?」
「一言では語りきれないよ」
「……それもそうね」

そう言ってから、バルコニーから背を離し、
自らの使い魔の正面に立つと、手を差し出した。

「踊ってあげても、よろしくてよ」

使い魔は、主人の言葉に笑いながら返す。

「身に余る光栄ですね。
 一曲、踊っていただけますか?」

そう良い、手を取る。

「おでれーた!」

特に話すことも思いつかないので黙っていたデルフが叫ぶ。

「主人のダンスの相手を務める使い魔なんて、初めて見たぜ!」

二つの月が、夜を照らしていた。


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