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マジシャン ザ ルイズ 3章 (1)

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マジシャン ザ ルイズ (1)死者再生

神聖アルビオン共和国神聖皇帝オリヴァー・クロムウェルは、その胸を貫く剣により絶命した。


アルビオン貴族連合『レコン・キスタ』の長の命を刈り取った死神は薄く微笑んだ。
「さあ、お目覚めの時間だクロムウェル皇帝陛下」
子供のような無邪気さで詠うと、クロムウェルの亡骸に手を差し伸べ、呪文を呟く。
するとどうだろうか、先ほど確かに黄泉へと旅立ったクロムウェルの瞳が開いたのだ。
「おはよう、クロムウェル」
おぞましくも蘇ったクロムウェルは、殺人者/蘇生者である男に親しげに微笑む。
「おはよう、ワルド子爵」
果たして、クロムウェルを殺害し、それを今蘇生させたこの男こそ、ルイズの放った光の柱で消滅したと言われていたジャン・ジャック・ド・ワルドその人であった。


「ではまず。邪魔者を片付けるところから始めようか」

アルビオンの新たなる支配者ワルド、その目的を知るものはまだ誰もいない。



あのアルビオンでの脱出劇から、すでに2ヶ月が経過していた。
トリステイン王国王女アンリエッタと帝政ゲルマニア皇帝、アルブレヒト三世との婚姻が発表され、両国の軍事同盟が締結された。
当初、式は同盟締結後一ヵ月後に行われる予定であったものの、王女の健康上の問題から三ヵ月後と変更された。
アルビオン王国改め、神聖アルビオン共和国の新政府は、軍事同盟締結の翌日にトリステインとゲルマニアに特使を派遣し一年の期限付き不可侵条約の締結を打診してきた。
これを両国は協議の結果、受け入れる形で合意した。
トリステインとゲルマニア、両国の空軍力を合わせてもアルビオンの戦力に及ばないことを考慮しての戦略的判断である。
期限期間に軍備を整え、アルビオンに対抗しようと考える両国は、平時でありながら戦時さながらの緊張状態に入ったのであった。


トリステイン国内では、いたるところで来る戦争への準備が着々と進められていた。
それはここ、トリステイン魔法学院においても同じである。
普段通りの授業も行われているが、授業科目の中に軍事演習が設けられた。
有事の際には志願兵を徴募する旨の発表が王宮から出され、食料の常備蓄の量が増え、王宮から貴族子弟の護衛の為少数の兵が派遣された。
その他、戦争に関わるこまごまとしたものが変化した。
その中で、最も異様なものとしては、学院の塀を越えた隣の空き地では今まさにフネの建造が急ピッチで進められている。



最近、ウルザとコルベールによって占拠された炎の塔(勿論オスマンの許可を得ている)にあって、コルベールは苦悩していた。
自身が進めている研究、実験、そして計画、それら全てがやがて争いに使われることになるだろう。
自分の作ったモノが人殺しの道具に過ぎないことを、誰よりもコルベールが認識している。
しかし、ウルザによってもたらされる知識や技術は何より官能的で、コルベールのそうした葛藤すら時に忘れさせてしまう。

追い出され本塔や他の塔に研究室を移された教師達から、今や冗談交じりに「コルベールの塔」と呼ばれている炎の塔では、ウルザのもたらした技術によってスラン鋼なるものが精製されていた。
学院外から運び込まれる鉱物を、地下に用意された魔力炉を用いて精製されるスラン鋼、これを建造中のフネの材料として供給しているのだ。
また、ウルザとの共同開発で様々なアーティファクトや機械を開発した。
それらもまた、恐ろしい戦争の道具となる。
そんなことを考えるだけで、あの作戦の夜を思い出し、体中に震えが走るのだ。

「まだ苦しいかね、ミスタ・コルベール」
いつの間にか研究室の扉の前に立っていたウルザから声をかけられる。
「ええ、やはり自分の作ったもので誰かが死ぬかもしれないと考えると、たまらなく怖くなります」
疲れた顔で振り返りながらコルベールが答えた。
「何の為に作っているかが分かっていても、恐ろしいものは恐ろしいのです」
「しかし、やらねばらぬ」
研究室の窓、そこから見える建造中のフネを見つめながらウルザが呟く。
「わかっています……だからこうして、続けられます」
確かに憔悴しているコルベール、しかしその瞳は決して力を失ってはいない。
そのことを確認して、ウルザはゆっくりと頷いた。

「それにしても、よく王宮があのような予算をつけてくれたものですな」
「オールド・オスマンが決戦用兵器の研究開発という方便で取り付けてくれたようだ」
「ははあ、まああながち間違ってはいませんが」
ウルザが見つめるフネをコルベールも見下ろした。
「ところで、確認はしておりませんでしたが…あのフネ、名前はもうお決まりなのですかな?」
「ああ、それは既に決まっている………

                  ウェザーライトⅡだ」


                        死者が黙して語らないのは間違いだ
                        だからちゃんと語れるようにしてあげないとね
                                   ―――ワルド


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