あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ルイズと剣狼伝説第二部-11

翌朝、ルイズは部屋のベッドの中で目を覚ました。
ちゃんと眠れなかったのか頭が痛くて、視点が定まらない。
そして昨日の宴の事を思い出して憂鬱な気持ちになった。
今日、この城から死ぬ人達が出るのだ。
何故彼らは戦に出るのか、何故自ら死んでいくのか、そんな事を夜中ずっと考えて自分に問うが当然答えは出なかった。
コンコン、とノックの音が聞こえる。
ルイズがふやけた声で入室を許可するとワルドが入ってきた。
「おはよう、ルイズ」
旅を始めてから聞くようになった爽やかな声でワルドは言った。
ルイズも小さな声で返す。
「おはよう・・・・、ワルド」
ワルドがルイズに近づいて行く。
「元気が無いね、大丈夫かい?」
「大丈夫よ。昨日からの疲れがまだ抜けてないみたいだから。それに、昨日は色々考えながら寝たから」
ワルドはにこりと笑い、ルイズの両肩を叩いた。
「ちょうどいい。朗報があるんだ」
「朗報?なによそれ」
「僕と君は今日、ここで結婚式をするんだ」
ワルドの言葉を聞いて、ルイズの頭の中は驚きを越えて真っ白になった。


第11話 ガンダールヴ・炎


キュルケ、タバサ、ギーシュを乗せた風流はアルビオン大陸の真下を飛行していた。
「やれやれ、アルビオンに着いたのはいいけど、目的地がわからないようじゃね」
キュルケが呆れたように言うと、後ろにいるギーシュを横目で見た。
「うう・・・・・、しょうがないじゃないか。ニューカッスルがある場所なんてわからないし・・・・・」
ギーシュがツンツンと人差し指同士をつつきながら女々しい声で呟いた。
「で、でも僕は姫様のご期待に答えたいんだ!その気持ちさえあれば・・・・」
続くと思われたギーシュの言葉が止まった。
「ねえ、ギーシュどうしたの?」
キュルケが怪訝そうな顔のギーシュに尋ねる。
「今銀色のトンガリが見えたような・・・・・・」
「何を言っているのよアンタ。ねえタバサ、あなた今何か見えた?」
タバサがポツリと呟いた。
「前方注意」
えっ、とキュルケとギーシュが声を出すと、突然上方の大陸から大きな土の塊が落ちてきた。
「うわあああああああ!」
ギーシュが前に手を掲げながら悲鳴をあげるが、風竜はなめらかに旋回することによって難なく回避した。
「・・・・ああ、驚いた。何でいきなりあんなのが」
ギーシュが胸をほっと撫で下ろしながら雲の中へ落ちていく塊を見下ろした。
「ねえ、タバサ。またあんなのが落ちてきたらたまらないわ。どこか避難しましょ」
キュルケの提案にタバサがコクりと頷く。
「では、ここは僕の出番だね」
胸をはってギーシュは一晩中ずっと抱きついていた茶色い物体にぽんぽんと優しく。
「ああ、僕の可愛いヴェルダンデ!僕達の為に避難用の穴を掘ってくれ!」
巨大モグラはモグモグモグと鳴き声をあげた。



何故このギーシュの使い魔、巨大モグラのヴェルダンデが風竜の上に。
実はこのモグラ、宝石が大好きな故に、水のルビーを追い掛けてトリステイン学院から遠く離れたラ・ロシェールまで来ていたのであった。
感動したギーシュは、このまま同行させようと提案して半ば強制的にここまで連れてきたのであった。
「言っただろ?モグラにも役に立つ所があるって!」
「はいはい、じゃあモグラさん、宜しくね」
風竜が上昇して大陸の真下に近づくと、モグラはキュルケとギーシュは支えられながら、穴を掘り始めた。
モグラが穴を掘り始めてすこし時間が経つ。
そろそろ頃合いかとキュルケとギーシュは穴に入っていった。
タバサも「ここで待ってて」と風竜に耳打ちしてから穴に入っていった。
残されたのは、一匹の風竜。
風竜はつまらなさそうに
「あ~あ、お姉さま達、シルフィ残してどっか行っちゃった!お喋り出来ないのってストレスが凄く溜まるのね!きゅいきゅい!」
何も脈絡も無く人語を発した。
「待っている間は暇なのね!暫くどうしようかしら、そうだわ!歌を唄おうのね!
る~るる~」
風竜はと気分上々に歌い始めると、ぐるぐると穴の回りを気持ち良く飛んでいた。
「ろんりぃうぇ~いな~のね~、ん、何あれ?・・・・ん~銀色のトンガリ?あ!ひっこんじゃった!」


太陽が天に昇ってしばらく経つというのに城の地下室は夜の様に薄暗い。
そこで誰にも気付かれること無く、両手両手を朽ちる事無き鎖で縛られたロムだけが居た。
壁に張り付けられたその姿は、死刑執行を待つ囚人のそれと似ていた。
そして、今、重い瞼を開いた。

(なんだ・・・・これは、・・・・ぬう!!)
電撃を直に受けた背中は黒く焦げていた。
激痛が全身を走り、声を荒げたが、不思議な事に悲鳴は響く事は無かった。
(何故、音が聞こえない・・・・・・。ひょっとして魔法か?それにしても、何故俺は縛り付けられている!?)
力を振り絞り鎖を思いっきり引きちぎろうとするが『固定化』がかかった鎖では無駄な行為であった。
手が使えなければ剣狼を使う事も出来ない、デルフリンガーは目の前で生き物の様に震えていた。
ロムは焦りを感じていた。
(あの男の狙いはルイズだ・・・。ルイズが危ない・・・・!なのに俺は・・・・俺は・・・・!)

使い魔でありながら主のピンチに駆けつける事ができない。
そんな自分に怒りを覚え、ギリギリと歯軋りする。
ただ、ただ、焦りが増すばかりであった。



始祖ブリミルの像の置かれた礼拝堂で、ウェールズ皇太子は新郎と新婦の登場を待っていた。
周りに他の人間は居ない。皆、戦争の準備で忙しいのだ。ウェールズもすぐに式を終わらせ戦の準備に駆けつけるつもりであった。
ウェールズは皇太子の礼装に身を包んでいた。
明るい紫のマントは王族の象徴、かぶった帽子にはアルビオン王家の象徴である七色の羽がついている。
扉が開き、ルイズとワルドが現れた。ルイズは呆然と立っていたがワルドに促され、ウェールズの前に歩み寄った。
ルイズは戸惑っていたが、自暴自棄の気持ちが心を支配していたので深く考えず、ここまで来た。
ロムは参加しないのか聞いたが、水入らずで結婚して欲しいとの事で、疎開する人々と共にイーグル号に乗り込んだと、ワルドは答えた。
正直、ショックだった。信じられなかった。
あの、やたらと世話好きな使い魔が帰ってしまった?
自分を守ると宣言した使い魔が自分を置いて帰ってしまった?
どこからともなくやって来る切ない気持ちが支配する。
同時にそれは激しくルイズを落ち込ませていた。

ワルドはアルビオン王家から借り受けた新婦の冠をルイズの頭に乗せる。そしてルイズの黒いマントを外し、アルビオン王家から借り受けた純白のマントをまとわせた。
着飾ってもルイズの無反応。ワルドは肯定の意思表示と受け取った。
始祖ブリミルの像の前に立ったウェールズの前でワルドはルイズと並び、一礼した。
「では、式を始める」
ルイズの耳に届く。心もとない、虚無感しか起こらない響きであった。


ロムはまとわりついた鎖を解き放とうと、力一杯鎖を引っ張ったが効果は表れなかった。
はぁはぁと息切れを起こし、激痛と共に合わさることで疲れが溜まるばかりであった。
だが、一刻も早く、主のいる場へ向かわなければいけない。主を守るために、戦わなければいけない。

響かない叫びが部屋を震わせる、ような気がした。

・・・・確かに震えた感じがし。

・・・・・・・・壁が震えている?

・・・・・・・・・・・・この部屋は・・・・・・・・本当に震えている!
体が揺れ、壁や床とぶつかり合って振動を感じる。本当にこの部屋は震えている!
外で攻撃が始まった?違う、外からではない。これは下から震えている。・・・・・・・・下から何か来るのか?
震えは更に強くなり、振動が体の芯を震わせる。
一体が起こっているのか?

そして砂ぼこりをあげて、突然床が崩れ始めた。何かが突然床の下から飛び出してきた。
砂ぼこりが収まると、そこには白銀の、螺旋状の、突起物がそこにあった。



「・・・・今、少し震えたな」
「震えましたな」
新郎の詔を読み上げたウェールズと誓いを立てたワルドは顔を見合わせてた。
「嫌な予感がしますな。早く結婚式を済ませましょう」
「う、うむ。では新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・・・・・・・・」
ウェールズが詔を読み上げている。
ルイズは結婚式の中でずっと考えていた。キリキリと痛む小さな胸を押さえて。
ワルドの事は嫌いじゃない、おそらく、好いてもいるのだろう。
でも、どうしてこんなにも切なくなるのだろう。思い出すと、これは初めてじゃない、前にも確かにあった。
確か・・・・、そう、『桟橋』の時、ロムを待っていた時だ。
あの時あんな気持ちになったのはただロムが心配だったからだとおもっていたからだ。でもなんで今になってまた、こんな気持ちになったのだろう。ロムに・・・・、そばにいて欲しかったから?
そんな事を考えたらルイズは顔を赤らめた。悲しみに耐えきれず、昨晩彼の胸に飛び込んだ理由に気が付いたからだ。

「新婦?」
ウェールズに声をかけられルイズは慌てて顔を上げた。式は自分の知らない内に続いていたのだ。
「緊張しているのかい?仕方がない。初めてのときは、ことがなんであれ、緊張するものだからね」
ウェールズはにっこり笑って式を続けた。
「では繰り返そう。汝らは始祖ブリミルの名において、このものを敬い、愛し、そして夫と・・・・・・」
ルイズは気付いた。これは確かめる価値はあるはずだ。そう心に刻み、深呼吸して顔を振った。
「新婦?」
「ルイズ?」
二人が怪訝な顔でルイズの顔を覗く。
ルイズは哀しげな表情を浮かべて、言った。
「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」
「ごめんなさい、ワルド、私、あなたとは結婚できない」
その場の空気が固まる。ウェールズは、少し考えて首を傾げた。
「新婦は、この結婚を望まぬのか?」
「そのとおりでございます。お二人方には大変失礼を致しますが、わたくしはこの結婚を望みません」
ワルドの顔に赤みがさし、ウェールズは困ったようにまた首を傾げた。



「子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式を続けるわけにはいかぬ」
「・・・・緊張しているんだ。そうだろルイズ。僕との結婚を・・・・」
ワルドの声は震えていた。そしてルイズの肩を掴みつり上がった目で怒鳴った。
「世界だルイズ!世界を手に入れるには君が必要なんだ!」
豹変したワルドにルイズは怯えながら首を振った。
「・・・・私、世界なんて要らないもの」
「ルイズ!君には『力』がある!世界を手に入れる『鍵』を持っている!!君には能力が眠ってあるんだ!いや、既に目覚めかけている!!!」
ルイズに対するワルドの剣幕を見かねたウェールズが、間に入ってとりなおそうとした。
「子爵、君はフラれたのだ、いさぎよく・・・・」
「黙っていろ!」
ワルドが強くルイズの手を握る。ルイズは苦痛に顔を歪めながらも言った。
「そんな結婚、死んでもいやよ。あなた、さっきから私をちっとも愛していないじゃない。あなたが愛しているのは『力』だの『鍵』だの在りもしない魔法の才能じゃない。
酷いわ。そんな理由で結婚するだなんて!こんな侮辱はないわ!」
ルイズが暴れると、ウェールズは二人の間に手を伸ばし、引き離そうとする。しかし今度はワルドに突き飛ばされた。ウェールズが怒りの表情を浮かべる。
「うぬ、なんたる無礼!子爵、今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ!さもなくば、我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」
ワルドはそこでやっとルイズから手を離した。
そして、笑いながら後ろに下がると、天を仰いだ。
「・・・・やれやれ、こうなってはしかたない。目的の一つは諦めよう」
「目的?」
ルイズが首を傾げると、ワルドは不気味に微笑んだ。
「この旅における目的は四つあった。その三つを達成できただけでも、よしとしなければ」
「達成?三つ?どういうこと?」
ルイズは不安をおののきながら尋ねた。目の前のワルドは右手を掲げて人差し指を立ててみせた。
「まずは君だルイズ。君を手に入れることだ。しかし、もうできないようだ」
「当たり前じゃないの!」
次に中指を立てた。
「二つ目は、ルイズ、君が持っているアンリエッタの手紙だ」
ルイズははっとした。嫌な予感が膨れ上がっていく。
「ワルド、あなた・・・・」
「そして三つ目」
『アンリエッタの手紙』で全てを察したウェールズが、杖を構えて呪文を唱えた。
しかし、ワルドが閃光の様に杖を抜くと、身を翻し、ウェールズの胸を青白く光るその杖で貫いた。

「き、貴様・・・・。『レコン・キスタ』・・・・・・・・」



ウェールズの口からどっと鮮血が溢れる。ルイズは悲鳴をあげた。ワルドはウェールズの胸を光る杖で抉りながら呟いた。
「三つ目、貴様の命だウェールズ」
ウェールズが大きな音を立てて崩れ落ちた。
「貴族派!ワルドあなた!アルビオンの貴族派だったのね!」
ルイズは震えながら怒鳴った。そう、ワルドはアルビオンの貴族派組織『レコン・キスタ』の一員だったのだ。
「トリステインの貴族であるあなたがどうして!?」
「『レコン・キスタ』はハルケギニアの将来を憂い、国境を越えて繋がった貴族の連盟さ。ハルケギニアは我々の手で一つになり、『聖地』を取り戻すのだ。」
「だからって!なんで沢山の人を巻き込むような事をしたの!」
「革命に犠牲は付き物だ」
「昔のあなたはそんな風じゃなかったわ!何があなたを変えたの!」
ワルドは冷たい笑みを浮かべ答えた。
「月日と奇妙なめぐりあわせだ。それが君の知る僕を変えたのだろう」
ルイズは杖を取りだし握ると、ワルド目掛けて振ろうとした。
しかしワルドに難なく弾き飛ばされ、床に転がる。
「言うことを聞かぬ小鳥は、首を捻るしか無いだろう。なぁ、ルイズ」
ルイズは蒼白な顔になって後じ去った。
「助けて・・・・・・・」
立って逃げようと思っても腰が抜けて立てなかった。
「だから共に世界を手に入れようと言ったのだ!そうすればこうして苦しむ必要も無かっただろうに!」
ワルドが叫ぶと風の魔法が飛ぶ。ルイズは紙切れの様に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「僕のルイズ。こう呼ぶのもこれで最後だ。あの世に行く前に教えてあげるよ」
床に転がりうめきをあげるルイズ、しかしワルドは続けて言った。
「四つ目の目的、それは君の使い魔。いや、正確に言うと彼の持つ『鍵』だ」
「・・・・鍵?・・・・ろむ?ろむ・・・・・・・・助けて・・・・・・・・」
呪文の様にルイズは使い魔の名前を繰り返した。
「さあ、お喋りはこれで最後だよ。さようなら」
楽しそうにワルドは呪文を唱えた。


「待てぃ!!!」


「!、何!?」
ワルドは突然響き渡った声に驚く。ルイズは涙で濡れた顔ををあげ、当たりをキョロキョロと見回した。
「・・・・・・・・・・・・ロム?」
「なんだと!?奴は確かに・・・・・・・・」
礼拝堂の壁が轟音と共に崩れさり、銀色に輝く突起物がルイズとワルドの間に飛び出してきた。
動力音はグオングオンと礼拝堂に鳴り響き、崩れた壁の向こう側から人影が見えてきた。

「神を信じて生きている人々を欺き、真実を虚偽に塗り替える悪魔よ!

たとえ神が現れずとも、いつか必ず心ある者が、神に代わって悪を裁く・・・・!
人、それを『天誅』という!」

「く・・・・、何者だ!」
ワルドは人影向けてライトニング・クラウドを放った。
人影は鳥の様に飛び上がると、ルイズの前に立ち声高く答えた・・・・。

「貴様に名乗る名前は無い!」

新着情報

取得中です。