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マジシャン ザ ルイズ 2章 (8)

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マジシャン ザ ルイズ (8)空賊船

ルイズ達が空の人になり数時間がたった。
既に夜は明け、太陽は眩しいばかりの光を放っている。
「アルビオンが見えたぞー!」
鐘楼の上の見張りの言葉通り、船の行く手には巨大な陸地。
「浮遊大陸………」
ウルザの知識の中でも、伝承や御伽噺としか聞いたことが無いようなものが、その前に広がっていた。
「そう、浮遊大陸アルビオン。ああやって空中を浮遊して、主に大洋の上をさ迷っているわ」
流石に驚きを隠せないウルザに、ルイズが説明する。
一瞬呆けていたウルザであったが、ルイズの説明を受けた後はぶつぶつと独り言を呟きながら何処かへ行ってしまった。



アルビオン、浮遊大陸、月、始祖ブリミル、虚無、白と黒のマナ。
少しづつだが、確実に全体像を捉えるピースは揃ってきている。

一人、考えを纏める為に船室に戻ったウルザであるが、船の異変を察知する。
停戦するらしい動きを見せる船。
思いのほか長い時間を過ごしてしまい、その間にアルビオンに到着したのだと考えて甲板に戻る。
だが甲板では船員達が慌しく動き回っており、常ならぬ事態が起きていることが分かった。
忙しく動き回る船員達の間に、桃色の髪を見つけて呼び止める。
「ミス・ルイズ。一体何が起こった?」
「空賊よ」



ルイズ達が乗る船に横付けされた空賊船から、屈強な男達が乗り込む。
手には曲刀や斧、その数およそ数十人。
見つめるウルザとワルド、共に無言である。
ただ一人、ルイズだけがおびえた様にウルザの背中に隠れるように移動する。

「船の名前と積荷は?」
「トリステインの『マリー・ガラント』号。積荷は硫黄だ」
空賊の頭目らしい男と船長の会話。
既に船は完全に空賊に制圧され、船員達は震えながら二人の会話、自分達の命運を決定するであろうそれを聞いている。
「硫黄か…」
頭目はにやりと笑うと、船長の帽子を取り上げ、自分の頭に被せる。
「船ごと全部買った、料金はてめえらの命だ」


「船長」
空賊達が船の中を調べまわっている時、ウルザが声をかける。
同時にウルザを振り返る空賊の頭目とマリー・ガラント号の船長。
ウルザが視線を空賊の方に向いているのが分かると、船長は恨めしそうに未だ頭目の頭にある帽子を見やった。
「我々はトリステイン王家からの使いだ、アルビオン王党派に接触する為に派遣されている。どうか我々だけでも解放してもらえないだろうか」
後ろに控えるルイズ、それにワルドが目を見開く。
「ちょっ!ちょっと!何言ってるのよ!?頭でもおかしくなったの!?」
「いや、ミス・ヴァリエール。私は正常だ。任務は何があっても達成されなくてはならない」
頭目が胡散臭げにルイズ、ワルド、それにウルザを交互に見やる。
「おやおや、お貴族様まで積んでたとはなぁ。
 おい、てめぇら!こいつらも運びな、身代金がたんまりと貰えるだろうぜ」



空賊に拘束されたルイズ達は船倉に監禁されていた。
「何であんなこと言っちゃったのよ!?」
そこでの話題の中心は、もっぱら先ほどのウルザの発言についてである。
「この任務は隠密なのよ!?誰にも知られちゃいけないの!」
食って掛かるルイズ、無言のウルザ、何か思うところがあるのか、ワルドも沈黙を通している。
「そそそ、それを、よりにもよって空賊なんて下賤の輩に!」

そんな賑やかな一行に、野太い声がかけられる。
「おい、お前ら。頭がお呼びだ」


三人がその空賊に案内されて連れてこられ先は、小奇麗ながらも品のよい立派な部屋だった。
豪華なディナーテーブルが置かれており、上座には先ほどの派手な格好の空賊が腰掛けている。
周囲には多数の空賊達が武器を手に控えている。
ここまで連れてきた空賊の男が後ろからルイズをつつく。
「おい、お前たち、頭の前だ。挨拶しろ」
しかし、ルイズは頭を睨みつけるだけで応えようとはしない。
「くくくっ、気の強い女は好きだぜ、子供でもな。それじゃあ名前を名乗りな」
ルイズの中で一瞬の葛藤、このままシラを切りとおすべきか、ウルザの言ってしまったことを認めるべきか。
もう一度、目の前の男を見た。
貴族として、こんな男に対して嘘をつくことが、許せないことであるように感じた。
「大使としての扱いを要求するわ。そうじゃなかったら、一言だってあんた達なんかと口をきくもんですか」
見つめるルイズの目を真っ向から見据えながら頭が言う。
「王党派にようとか言ってたな。あんな明日にも消えちまうような連中に、何のようがあるってんだ?」
「あんたに言うことなんて何も無いわ」
頭は、心底楽しそうな声えルイズに告げる。
「貴族派につく気はないか?あいつらはメイジを欲しがってる。たんまり礼金も弾んでくれるぜ」
「死んでも、イヤ」
侵略者に対して、懸命に抗う姿、そんな少女を見ながら頭が目を細めて問いかける。
「もう一度言う。貴族派につく気はないかね?」
「答えは同じ、ノーよ」

突然に笑い始める頭目、それも小さく笑うというものではない、爆笑の類だ。
つられて周囲に控えた空賊達も大笑いを始める。
「なな、何で笑うのよ!?」
「はっはっはっは!トリステインの貴族は、本当に気ばかりが強くていけないな。
 何処かの国の恥知らずどもに比べれば何百倍もマシだがね」
そう言いながら頭が立ち上がる、それと同時に空賊達の笑い声が一斉に止む。
「失礼した。貴族に名乗らせるなら、まずこちらが名乗りをあげなくてはね」
頭目が頭の黒髪―カツラ―を剥ぎ取る、続いて眼帯、付け髭も。
そうして現れたのは凛々しい金髪の青年であった。
「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官…いや、通りのよい名前で名乗ろう。
 アルビオン王国皇太子、ウェールズ・チューダーだ」
貴族の嗜みも忘れて口をあんぐりと開けるルイズ、興味深そうに見つめるワルド。
ただ一人、ウルザのみが無反応。
「その顔は、どうして皇太子が空賊なんてやっているんだって顔だね。
 いや、金持ちの反乱軍には次々と補給物資が送り込まれる。それを絶つのが目的でね。
 流石に堂々と王軍の旗を掲げたのでは、あっという間に袋叩きにされてしまう。
 そこで、これさ」
そういいながら、先ほどまでつけていたカツラを掲げ、イタズラっぽくウインクした。
「そこの眼鏡のメイジの方には最初からお見通しだったみたいだけどね」
「ええ!?どういうことよミスタ・ウルザ!」
「それは僕も聞きたいところだな、なぜばれたのかな?」
ルイズとウェールズ、二人に問いかけられて、ウルザも重い口を開いた。

「まず、最初の一点は、統率が取れすぎていること。
 船を制圧した際の空賊の手際が良すぎたのと、注意深く見れば歩き方が訓練された兵士のそれと分かったのだよ。
 兵士が賊を身をやつすとすれば、敗残兵達が賊と化すことが考えられるが、それにしては統率が取れすぎていた。
 次に、君達の武器だ。
 斧に曲刀、君達は良かれと思って持っていたのだろうが、敗残兵は普通、本来自分達が支給されていた武器を持っているはずだ。
 訓練された兵士の動きをする空賊達が揃えたように『空賊姿』なのは不自然なのだ。
 第三に、君達が船の乗員を誰も殺さなかったことも判断材料だった。
 これらから、君達が正規の軍隊であると推理した。
 そして、先ごろ聞いた戦況を考慮すると、どちらの正規軍かは予測がつく」
「ははは、全くとんだ名探偵がいたものだね、いや、全く。
 次があるなら是非とも参考にさせてもらうよ」
「流石に皇太子殿下本人がお乗りとは思いませんでしたがな」

縄を解かれて立ち上がったルイズ達に、深々と礼をとるウェールズ皇太子。
「アルビオン王国へようこそ。大使殿。さて、御用の向きをお聞かせ願おうか」
ルイズは未だ、ショックで上手く口がきけないらしく、代わってワルドが優雅に頭を下げた。
「アンリエッタ姫殿下より、密書を言付かって参りました」
「ふむ、姫殿下とな…君は?」
「トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵に御座います」
それからワルドはルイズたちをウェールズに紹介する。
「そして、こちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかりましたラ・ヴァリエール嬢と、その使い魔のメイジ殿で御座います」
「ほう!使い魔にメイジとは珍しい!して、その密書とやらは?」
ルイズが慌てて、懐からアンリエッタの手紙を取り出し、恭しくウェールズに近づいた。
しかし、その歩が途中で止まる。
「ん?どうしたのかな?」
「あ、あの……失礼ですが、その、本当に皇太子さま、ですか?」
流石にこれにはウェールズ、その周辺の兵士達も笑いを堪えずにはいられなかった。
再び爆笑の渦、一人顔を焼け石のように真っ赤にするルイズ。

「いやいや、無理も無い。でも僕はウェールズさ、正真正銘の皇太子。何なら証拠をお見せしよう」
ウェールズがルイズの指に光る水のルビーを見つめていった。
自分の薬指に光る指輪を外すと、ルイズの手をとり、水のルビーに近づけた。
するとどうであろうか、二つの宝石が共鳴しあい、周囲に虹色の光を振りまいた。
「この指輪はアルビオン王家に伝わる風のルビー。君が嵌めているアンリエッタの水のルビーとは共鳴作用があるんだ。
 水と風は、虹を作る、王家に、」

王子がそう言いかけたその時、何かが弾けたような大きな音が部屋に響き渡った。
敵襲を警戒し、瞬時に臨戦態勢に切り替わる訓練された兵士達。
ルイズを抱くようにして伏せさせるウェールズ皇太子。
ワルドも素早く部屋に立てかけてあった武器に飛びつく。
しかし、待てども襲撃は無く、同じ音が続けてあがることも無かった。
全員が緊張を保ちながら音の原因を探ろうとしたとき、蹲ったままの者が一人いる。
ウルザである。
ウルザは手で両目を押さえながら何かを堪えるように歯を食いしばっていた。


                         空賊を見つけたときに大急ぎで逃げ出しても遅い
                         彼らは既に君達を見つけていたのだから


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