あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

絶望の使い魔IF-3


夢を見た
何も見えない暗い空間にルイズは浮いていた。
自分の身体を動かすこともできずただ眺めているだけ。
少しすると見えないはずであるのに何かが目の前に集まっているのが感じられた。
かすかに呟いているのが聞こえる。

 ・・・契約・・・・力・・・くれてやる・・・


目がぱっちりと開く。
まだ夜遅い時間のようだ。
二度寝しようとするが、身体が勝手に動いてベッドから抜け出す。
デルフリンガーを手に持ち外に向かう。
着替えもせず出かけるとはどうなっているのだろう。
自分で動けないことからこれも夢の続きだと悟る。
何かに導かれているように学院外、今年ルイズたちが使い魔を召喚した場所に来る。
デルフを鞘に入れたまま地面に魔法陣を描き出す。
これまでたくさん勉強してきたルイズも知らない魔法陣であった。
描き終わった上に座ると魔法陣が発光する。
身体に痛みが走るが逃げようにも動けない。
何度目かの痛みの後、唐突に立ち上がる。
ようやく終わったかと思ったら、突如ルイズは空を飛び出した。
大きめの山を越え森に降りていく。その森の中には開けた土地があり、小屋と遺跡があった。
小屋に近づき扉をノックする。訝しげな顔をして出てきた兵士の首を掴んで折る。
そのまま中に入り何が起こったのか理解していないもう一人も同じように逝かせてやる。
遺跡からオークが3匹ほど出てくる。遺跡はモンスターの巣となっているようだ。
オークの内一匹の体躯は他のオークに比べて二周りほど大きい。
オークは小屋まで走ってきたが、ルイズが小屋から出ると、跪き頭を垂れる。
一匹が遺跡に入っていき仲間を集めてくる。
遺跡から出てきたモンスターはオークを筆頭に全部で50匹ほど。ルイズはそれを従え、近くにあった村に向かう
行進を続けている内に遺跡の魔物だけでなく他にもモンスターが集まってくる。
村が見えたところでルイズは虚空からマントを出し、寝巻きの上から羽織る。
ルイズが腕を上げ、振り下ろすと後ろに控えていた魔物たちは声を出さずに静かに突進していく。
村人は眠っているところを蹂躙された。


突然村が襲われた。
村が襲われたさいは、堅固な村長の家に避難することになっている。
しかし我が家は村長の家から距離があり、避難が遅れてしまった。
村長の家はすでにモンスターに取り囲まれて、避難どころではない。
その村でも剣の扱いに長けていたジョーンズは、化け物から家族を守る。
自分と隣の家の夫婦は若い頃に冒険者としてパーティを組んでいたこともあり、モンスターにもある程度対応できる。
当時は4人でパーティを組んでいたが一人が死んでしまったのを期にこの村に定住したのだ。
いっしょに妻子を守りながら村から脱出することにする。
ジョーンズ夫婦と隣の夫婦、そしてそれぞれの息子一人ずつ、合計6人で厩に向かう。
脱出先は馬で1時間ほどにあるトリステイン城下。なんとか辿り着き、助けを請わなければならない。
幸い、モンスターは人が一番集まっている村長の家に気を取られているようで、こちらにはほとんど来ない。
厩に向かうとオークが一匹待ち伏せしていた。
オークの棍棒が唸りを上げるが、隣の夫―ペイジの受けた盾に逸らされる。
ペイジは体勢を崩してしまったが、ジョーンズはすでに攻撃に入っていた。
淡々と攻撃してくるオークに不気味なものを感じたながらも、オークの懐に入り、武器を持っている腕の腋に剣を突き入れる。
隣の妻―プラントはオークの注意がこちらに向いてる間に膝裏の腱を断ち切る。
体勢を立て直したペイジが、為すすべなく倒れるオークの喉に剣を刺し込み絶命させる。
久々に決まった3人での連携に思わず笑みが浮かぶ。4人いれば必殺技が使えたが仕方が無い。

それにしてもこの辺りで襲ってくるような魔物は、国に管理されている魔の遺跡にしかいないはず。
あの遺跡には無限に出てくるような錯覚さえ覚えるほどモンスターがいる。
昔からあそこは魔界や冥界につながっていると言われて、何千年も朽ちることなく存在する。
始祖が来たよりも昔から存在していたらしく、王城が建てられて2千年ほどしてから発見された遺跡であった。
物々しい封印が為されていたそうだが中に入るために解いてしまったらしい。
これまで代々トリステインの王が討伐隊を結成し、攻略を行ってきたにも関わらず、最深部までは至っていない。
すでにこれは在位中一度はしなければならない行事となっていた。
遺跡の入り口を封印し直そうとした王もいたが、その技術はなく、
壊そうとしても、とてつもなく堅固な固定化の魔法がかかっているらしく、どうしても壊せなかったらしい。
土を盛り、入り口を埋めてもその日の夜には元に戻ってしまう。
入り口を埋めた物質が沈み込むようになくなったと証言もある。
そのような不気味な遺跡ではあるが、貴重なマジックアイテムがあり、
遺跡はトリステインのものであるとして管理されていた。
管理と言っても魔物は外に出ようとはしないし、盗掘をしようにもモンスターが溢れているのでできず、
実際は兵士を監視として二人置くだけであった。
その監視自体適当になってしまっており、冒険者だったジョーンズたち四人は盗掘に励んだものだった。
入り口は一個だが下への階段は無数にあり広大に広がっている。
15階までは王室で完全に把握したらしいが、それ以降は時折壁が動いて形を変えることから把握することはできない。
そこでジョーンズたちの冒険者の出番であった。15階以降は王室でも探しつくせてない宝があるわけで何度も潜り、
アイテムを見つけ一財産稼いだのだ。四人の内ゲルマニアの平民の出身でありながら、
回復に優れた水のメイジである最後の仲間ボームナムがいたことから、
四人はまるでピクニックに行くように潜っていた。

このパーティがこの遺跡の恐ろしさを知るのはそれに出会ったときである。
それはオークであった。ただ身長が普通のオークの1,5倍ほどはあった。
大きいが鈍重ではなく、むしろ普通のオークよりも素早く、洗練された武器の扱いは4人を簡単にあしらった。
なぜトリステインの他の冒険者が潜らないのかがよくわかる。
4人は連携に優れていたが、逃げながら連携などできる筈はなく、
殿を務めていたボームナムが飛んできたオークに飛び越され、四人はオークにより分断されることになった。
ボームナムは他の階段から上がると言ってこちらに逃げるように促し、
巨大なオークもメイジであるボームナムを標的に選んでしまう。
残った3人は命からがら地上に抜け出せたが、いくら待ってもボームナムは帰ってこなかった。
もし遺跡から魔物が出るようになればとんでもないことになる。

回想から抜けながら他に敵が来ていない事を確かめた後、
子供たちはをジョーンズとペイジが受け持ち、4頭の馬に乗った。
馬を走らせて村の入り口から村長の家を振り返ったとき、ジョーンズはあの巨大なオークを見つける。
やはりあの魔物は遺跡の物であったか。
こちらに気付いていたようだがどうやら今回も同じように見逃されたのだ。
前回はボームナム、今回は村の多数の住人。それを犠牲にしてまた逃げるのか?
馬を止め、オークに馬の鼻を向けたところで後ろに乗っている子供の声を聞いてしまった。
いまの自分には妻子がいる。ここで命を散らすのは彼女らを危険に晒してしまう。
彼女らを安全な場所に送り、討伐に従軍しよう。アイテムを売り払ったのがまだまだあるので、お金の心配はない。
なんとしてもあのオークを討ち取るとジョーンズは心に誓う。

6人は無事に脱出し、できるだけ早く城に着くよう馬を走らせる。
村が小さくなってきた頃、馬がみな止まってしまった。
ジョーンズが前に進もうとしない馬から下りた時、雲の切れ間から射した月明かりに照らされて、
前方に人影がいることに気付いた。
警告しようとその人影に近づくと、マントを羽織ったメイジであることが確認できた。
王都までの距離ならばフライの魔法のほうが馬より早くモンスターの出現を伝えられると考え、
メイジらしき人影に助けを求める。

「貴族様、村がモンスターに襲われています!すぐに城の方に報告してください!
 魔の遺跡の魔物が・・・」

「ヒャダルコ」


楽しい夢であった。
覚醒してから自分のベッドに寝ている事を確かめると安堵する。
夢は自分の願望が出るという。まさに自分が行いたいことであったが、いまはまだだめだ。
夢で見た遺跡は魔の遺跡と呼ばれる場所だということは見当がついた。
有名であるし、一度は見学に行った事もある。自分がモンスターを従えていたのには驚いたが。
しかし、いままで使い魔のことにせよ、自分のことにせよ、過去にあったことを
夢に見てきたと言うのにどういうことだろう。
ルイズは考えても埒が明かないと判断し、むしろ今回のような願望を見ることが普通の夢であると考え直した。

今日は虚無の曜日、使い魔の夢でみた光を放つ玉と、
今日の夢で見た魔法陣について調べることにする。
忘れないうちに紙に魔法陣を描き、ついでに夢の中で唱えていた呪文も書いておいて図書室に行く。
ここの図書室には禁書と呼ばれるものからよいこの御伽噺まで、
多種多様に取り揃えているらしい。まずは魔法陣からだ。
『魔法ー魔法陣』の本棚に向かう。見つかればいいのだけれど・・・


オスマンは困っていた。
ルイズの使い魔がガンダールヴだと目されていたが一向に起きる気配が無い。
聞いたところによるとフーケとの戦闘でルイズは例の黒い靄を色濃く出したらしい。
そのときには剣を振り回しながらゴーレムの攻撃を避けていたとか。
そしてフーケを捕まえてきた状態はあまりにも悲惨なものであった。
手足をグシャグシャにされた盗賊を学院長室まで笑顔で引きずってきたのだ。
その様子に呆然としたことを思い出し眉を寄せる。
ルイズは着々と実力を付けている。使い魔が伝説ならルイズは虚無の魔法が使えることになる。
魔法が使えないというが、あの黒い靄が虚無の魔法なのではないか。
虚無の魔法など知識としても残っていない。
性格が少々凶悪になってはいるが、フーケの討伐に募った時、教師連中がしり込みする中、
貴族としての矜持を見せ付けてくれたのは痛快だった。

遠見の鏡でルイズを見ると図書館でなにかを調べているようだ。
手元の紙に書いた魔法陣を資料から見つけようとしているのだろう。
オスマン自身ルイズが自分で描いたと思われる魔法陣には心当たりがなかった。
魔法陣をすべて知っているのかと問われれば首を振るしかないが、
使われている構成が根本的に違うのだ。系統魔法には沿っていないようだ。
なぜルイズがそんなものを知っているのか。簡単だ、使い魔からだろう。
しかし、いまだ使い魔は眠ったままである。
結論としては、ガンダールヴが主人を育てようとしているのではないかということだ。
主人が仕えるに価するまで力と知識を貸す。
そしてルイズは虚無の力にいまこそ目覚めようとしているのではないか
鏡を使い魔に戻して観察する。
始祖ブリミルの使い魔であるガンダールヴが邪悪な存在であるなど、オスマンは考えることはできなかった。


図書室にいたタバサにも魔法陣を確認してもらったが見たことがないらしい。
タバサはフーケ戦の黒い靄に興味津々であったが、適当に言葉を濁して誤魔化した。
一旦諦めて昼食を取りに行く。
昼食時に不穏な噂を二つ聞いた。

一つはメイジを含めたゴロツキ集団が皆殺しになっていたらしい。
これは知っている。行ったのはまさに自分なのだから。
周りは怪物が出たと言って恐れているのを聞くと、唇の端が上がってしまうことに耐えられない。

二つ目、これを聞いたルイズは目を剥くことになる。
なんでも昨日の夜、モンスターの大群が近くの村を滅ぼしたらしい。
最初に報告したのは、巡回の名目で風竜に乗って夜の散歩していた竜騎士。
家屋が燃えているのを見てよく見えるように低空まで下がったら、
村は死体とモンスターで溢れていたという。
モンスターや幻獣は種族など多種多様に分かれている。
彼らは種類の違うモンスターで群れるなんてことは普通はしない。
しかし村はオークを中心としたモンスター群に占領された。
王都に近かったこともあり、討伐隊が即座に編成され送られたが、一致団結され手強かったらしい。
また、魔の遺跡の兵士が殺されていたことに加え、遺跡に外への大量の足跡が残されていたことで
遺跡から出てきた魔物ということがわかった。
これまでになかった恐ろしい事態に遺跡の周りの森を伐採し、軍を常に駐屯させることになったそうだ。

ルイズの耳にこんなに早く噂が入ったのは、朝方に終わった討伐の帰りに学院に警戒を呼びかけにきた兵士と、
この事件に関して王都で行われた会議の結果を報告にきた兵士によるものである。

そんな噂を全く興味なさそうにハシバミ草サラダを突きながらタバサはルイズの力について考える。
フーケのゴーレムの足を切り飛ばした時、その身体能力は常人のそれではなかった。
あの黒い靄がルイズを助けているのだろう。あれは何の魔法なのだろうか。
ルイズ本人に聞いても適当に誤魔化された。知られないようにする必要がある魔法。
ルイズは使い魔を召喚してから少し変わったとキュルケが言っていたが、使い魔にヒントがあるのだろう。
そういえば、自分の使い魔がルイズに近寄らないように警告してきた。
学園の使い魔は皆、ルイズに近寄るとわけの分からない焦燥感に囚われるらしい。
しかし、もしルイズの使い魔が自分たちの知らない魔法を使えるなら、
心を壊された母を助ける方法を知っているかもしれない。
どんなに少なくとも可能性があるなら、それに投資しなくてはならない。
ルイズにはできるだけ恩を売っておかなければ。


ルイズは昼食が終わると即座に学院を出て、使い魔召喚を行った草原に行く。
まさかと思いたかったが物的証拠が示されることになる。
そこには自分が夢の中で見た魔法陣が描かれていた。
 ・・・デルフリンガーだ、あいつなら知っているはず。
背中に背負った大剣を引き抜く。
最初は渋っていたデルフリンガーは問い詰められ話してしまうことにした。

「ありのままに語るぜ。

『鞘から抜かれたと思ったら、嬢ちゃんがモンスターを指揮して村を襲わせていた』

 なに言ってるのかわからねぇと思うが俺もなにが起きたのかわからなかった。
 頭がどうにかなりそうだった。寝相が悪いだとか、夢遊病だとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ。
 もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ」

ルイズは自分の身に起こったことを分析する。
モンスターを指揮できること、これはいい。むしろすばらしい力だ。
夢の中で魔法を使っていたこと、これもいい。あとで今も使えるか確認は必要だが。
この剣が真相を知っていること、四六時中肌身離さず持っていれば解決。
だが問題は自分の身体が勝手に行動することだ。
これを続けていれば、いずれルイズに辿り着かれてしまうだろう。
自分の身体の使い方を教えてくれるのはいいが、ここまで大事だと困る。
朝にも考えたが、いまは雌伏の時なのだ。派手な行動は起こさず力を付けて行きたい。

地面の魔法陣を踏んで消していく。
一度部屋に帰り、自分が唱えていた魔法を書いた紙を取る。
杖を持っていなかったことから先住魔法だと思うとデルフリンガーは言う。
ルイズは近くにある森の奥で魔法を試してみることにした。


その夜、ベッドの上でルイズは興奮していた。
魔法の呪文を唱えようとすると頭の中でなにかが組み上がっていく感覚がし、言葉の発声と同時に発動した。
呪文を唱えても発動しないものもあったが、今はいい。ついに自分は魔法が使えるようになったのだ。
特に空を飛ぶ魔法だ。自分で飛ぶというのはメイジとして絶対にしたいことである。
これまでと違い、直接外に精神力を噴出するという魔法であったが、
夢のつもりでいた時の感覚から直接噴出するのはすぐにできるようになる。
しかし、飛ぼうとするとなかなか難しく、何度も地面とキスをするハメになってしまう。
その甲斐あって飛べるようなったわけだが、
これまでのルイズではどれだけ練習しようと成功に近づくことすらできなかった。
そのルイズが魔法の練習で上達しているという実感を得たのだ。
麻薬にも迫るものがあり、森での喜びようは狂気と言っても差し支えない。
この魔法には精神力の消費が激しく多様はできないと言う欠点もあるが、
飛びながら魔法が使えるというすばらしい魅力がある。フライやレビテーション中に魔法を重ねて使えないという常識を
無視したこの魔法は、使い時を誤らなければ強力な切り札になる。
モンスターを従属させる方法は学園にいる使い魔たちが逃げるのでよくわからず、
そして魔法陣に関しても結局見つけられなかった。
しかし、何にせよこれで手札が揃ってきた。緩い睡魔に身を任せながら手応えを感じていた。


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