あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの使い魔・ブルー編-08

トリステインの城下町をルイズと共に歩きながら、
彼は一つのことを考えていた。

狭い。
それほど広くない路に、露店を出してる商人や、大道芸人がいたりする。
そこを、更に多くの人々が行き交うのだから、当然狭い。

このまま『ダークシフト』でも使い、所々に明かりをともせば
あっという間にクーロンそっくりになりそうである。

(そう言えば、クーロンは本当に何でも手に入ったな……)

リージョンシップ航路の要であるクーロンは、そりゃもう凄い所だった。
ここもそれなりに期待できるかも知れない。

「で、武器屋は何処に?」
「確か……秘薬屋の近くだったから、こっちよ」

ルイズに連れられ、彼は狭い路を行った。
暫く行くと、所々にゴミが散らばる路地裏にたどり着く。
ルイズが悪臭に顔をしかめるながら、辺りを見回す。

「あった」

剣の形をした銅の看板を掲げた、
明らかに武器屋ですと言わんばかりの店があった。

店の中に入ると、店主らしき男が彼女たちを少し見やり、
五芒星の紋章に気付いてから、言う。

「旦那、貴族の旦那。ここは真っ当な商売をしております。
 やましいことなんか、何一つありやしませんわ」

それはやましい事がある奴のセリフだ。
が、ルイズはそれをどうとも思わなかったのか、短く返す。

「客よ」

「そいつぁ珍しい!貴族が剣を?」
「何よ、文句でもあるの?」
「いや、貴族様に文句などあろう筈もありやしません。
 ただ、貴族は杖を振る、兵隊は槍を振る、
 貴族は杖を振るとそうばはきまっておりまさぁな」
「使うのは私じゃなくて、使い魔よ」
「そうですか、そいつも珍しい」

そう言うと、ルイズの隣に立っていた青年に目を向ける。

「この方が剣をお使いになられるので?」
「そうよ。……私は剣の事なんて知らないから、適当に選んで頂戴」

そう言うと、店主は奥の方にある倉庫へと消える。
そして、聞こえないように呟く。

「へへっ、もの知らずの貴族たぁ、ずいぶんといい鴨じゃねえか。
 精々ふんだくってやるとするぜ」

そう言いながら、倉庫から一本の装飾の施された突剣を持ちだしてくる。

「最近では宮廷の方でも、しもべに剣を持たせるのが流行っておりましてねぇ。
 そう言う方々が選んでいくのが、こういうレイピアの類でさぁ」

その武器屋の言葉に、ルイズが反応する。

「貴族の間で、僕に剣を持たせるのが流行ってる?」
「ほら、『土くれのフーケ』とか言う盗賊が最近出てるでしょう。
 皆様方警備のためか護身のためか知りゃしませんが、買っていく方が多いんですよ。
 此方としちゃ商売繁盛で助かってますけどねぇ」

ルイズはその話を聞きつつも、武器屋の出した剣を見つめる。

「それは幾らなの?」
「エキュー金貨で400、って所でさぁ」(原価は80位だけどな)
「それ一本で?高いわね……」
「これ以上は下げられやしませんぜ?」(まぁ、120で売って適正って所か)
「ちょっと聞きたいんだけど」

誘導的な会話に加わらずに、その辺の剣を物色していた青年が、
何の装飾もない、刃もそれほど長くない両刃の剣を持って、聞いた。

「これは幾らかな?」
「……そいつぁ、10って所です。ですが、
 それは戦場で使い潰すのが当然のような剣ですぜ?
 貴族のお供が持つような剣じゃありやしません」
「では、これは?」

こんどは0.6m程の刃渡りを持つ、それなりに鋭そうな片刃の剣を手に取り、言う。

「そいつは60って所ですね」

次に、高いところに目に付くようにおいてある、紅い刀身の美しい装飾のされた剣を手に取る。

「これは幾らなのかな?」
「それは……あんまり売りたくはねえですが、
 そうですね、値段を付けるなら5000って所でしょう」

そう言われると、今度は両手で持つような大きさの片刃の剣を指さす。

「じゃあこれは?」

その剣を見て、武器屋は少し笑いながら言う。

「そいつは100です」

するとどこからか、声が聞こえてくる。

「ちょっとまてこの野郎!そんなひょろっちいなまくらが400で俺が100ってのはどういうこった!」
「うるせぇデル公!黙ってろ」
「大体、そんな弱そうな奴に剣が振れるわけねえじゃねーか!」
「客に失礼なこと言ってるんじゃねぇ!」
「剣も振れそうに無い奴が武器屋で客だってぇ?」

その騒ぎを聞いて、ルイズは当惑する。

「それって、インテリジェンスソード?」
「そうでさぁ、何処のどいつが作ったんだか、
 うるさいだけのなまくらですよ。口は悪い、客にケンカは売る。
 こんな物仕入れるんじゃありませんでしたよ」

その剣がしゃべり出したのに驚いては居たものの、
最初に武器屋が持ってきたレイピアを指差し、ブルーは言った。

「まぁ、この剣は今はどうでも良い。
 だが、その剣本当は120が良い所だろう」

いきなり雰囲気と態度が変わったブルーに驚いた二人の反応は一つだった。

「ちょ、いきなり何言い出してるのよブルー?」
「ちょ、何でわかっ……と、ととと」

とっさに取り繕う武器屋だが、それを見逃すほどルイズは迂闊でも残念でもなかった。

「……ちょっと、どういう事?」
「い、いや……そいつはですね……」
「貴族を騙そうとしたのかしら?」
「そ、そうなるんですかね……ははは」
「へーえ……で、その詫びはどうしてくれるのかしら?」

そう言うと、武器屋は震えだしてしまった。
その様子をルイズは見ると、わざとらしい口調でブルーに話しかける。

「ところでブルー、あなたはどの剣が欲しい?」
「あれだな」

と、先ほどの紅い剣を指さす。
それを満足げな表情で見てから、ルイズは武器屋にほほえみかけながら言う。


「じゃああれ、もらっていくわね」
「ちょ、ちょっと待ってくだせえ!いくら何でも、あれは無理です」
「じゃあどうしてくれるのかしら?」
「う……解りました、4000で……」
「それだけ?」
「……2000」
「ふーん」
「…………1000」
(よし、もう一歩……!)

ルイズの財布の中身は大体600エキューほどである。
この調子でいけば、次は十分買える範囲内になる。

「もうちょっと安くならないかしら?」
「も、もうこれ以上は無理です!あれは3000で仕入れたんですよ!?」

その必死な様子を見て、ルイズはどうも無理そうだと思わざるをえなかった。
それと同時に一つの疑問が思いつく。

「けど、3000も払えるって、この店そんなに繁盛してるの……?」

話の流れが変わったのを感じて、店主はほっとしながらも答える。

「最近だけで、3000は稼げてます。さっき言ったとおり、
 最近は貴族様がたが――いや!騙してなんかいやしませんよ!
 普段は普通にやってまさぁ!」

だからそれは普段からやってる奴のセリフだっての。
が、結構人を疑うことを知らないルイズは、その言葉を信じた。
信じはしたものの、騙されかけたことと話は全く別らしい。

「と・こ・ろ・で?」
「ひぃっ!?」

それを見かねたのかどうかは解らないが、
さっきからずっと黙っていたブルーが口を挟む形で言う。


「これで良い」

と、さっきのインテリジェンス・ソードに近寄る。

「おい!俺はてめーなんかに――」

何かを言いかけるが、ブルーがその手にかけた時、口を止め、黙り込んだ。
そして暫くたってから、再び口を開いた。

「おでれーた。てめ、『使い手』か」
「……『使い手』?」
「なんだ、しらねえのか?まあいい、俺を買え」
「ブルー、そんなので良いの?」
「いや、意志がある剣というのは良い物だ」
「……そう?……じゃあ、この剣は貰っていくけど」

ブルーから渡された剣を、律儀にも包みながら、
店主はルイズの言葉に耳を傾けていた。

「ま、まだ何か?」
「私でも使えるような武器はあるかしら?」
「へ?そりゃまた一体どういう?」
「良いから。せっかくだし」
「は、はあ。では、適当に見繕って来ますわ」

そう言うと、倉庫の方に退いていく。
店主がごそごそと何かを探す音を聞きながら、ルイズはブルーに問う。

「ブルー、何で解ったの?」
「クーロンにいればある程度は解るようになる」
「……クーロンってどういうところなの?」
「『危険な町だが、それだけチャンスもある』とか言われていた気がするな」
「危なそうな町ね」
「事実危ない」


そんな会話をしていると、店の奥から店主が一つの細身の剣を持ちだしてくる。
先ほどのレイピアよりも更に細く、とても実用に耐えそうにはない。

「いや、確かに私でも扱えそうだけど……これ折れないの?」
「これはどうやら魔法がかかってるらしくて、見た目より丈夫なんです」
「へー。じゃあそれで良いわ」
「……お代は」
「何のこと?」
「解ってます、解っています……」

しかし、代金の払われてない品物を布で包む当たり、
根はいい人なのかも知れない。
ルイズは武器屋を出る間際、最後に告げた。

「剣が折れたらまた来るわね」
「もう来ないでくれぇぇぇー!」

武器屋から出てきたルイズとブルーが去るのを見届けてから、
キュルケとタバサは店に入った。

「ひぃっ!?」

何故か、店主はもの凄く怯えていた。
キュルケ達を怯える目でじっと見て、貴族と気付くと、叫び声を上げる。

「また貴族かい!?勘弁してくれ!」
「何があったのか知らないけど、ちょっと教えてくれないかしら?」
「な、何をです?」
「さっき来た二人、何を買って行ったの?」
「剣でさぁ……でもあれを買ったと言われると微妙なんだが……」
「どういう事?」
「かなり無理矢理値切られたんです」

店主はかなり追い詰められていたらしい。
そんな店主の様子に少々当惑しつつも、キュルケは言う。

「そ、そう……で、私にも剣を売ってくれないかしら?」
「構いませんが……どれをお望みで?」
「そうね……あれなんてどうかしら?」

紅い剣を指さす。


「あれは5000です」
「……ちょっと高くない?」
「じゃあ4000。これ以上は下げられません」
「困ったわね……2000までなら払えるんだけど」

そこで黙っていたタバサが、口を挟む。

「これも付ける」

と、懐から一本のナイフを取り出す。

「……2000の価値があるとは思えませんが」
「良いから、見てみて」

と、押し付けるような形で店主にそのナイフを渡す。
すると、ろくにそのナイフを見てもい無いうちに答える。

「……2000でいいですぜ」
「……あら、良いの?」
「構いませんよ」

そう言い、高いところにおいてあった紅い剣を下ろし、雑に布でくるみ、
キュルケに投げ渡した。キュルケは財布から金貨を取り出すと、店主に渡した。

「ありがとさん」

店主はなにやら笑っていたような気がする。
キュルケは、外に出た後、タバサに話しかけた。

「タバサ、あのナイフ……何だったの?」
「秘密」

去っていったキュルケ達とまた入れ違いで、
緑色の髪をした少女が、金属同志の擦れる音のする大きな袋をもって、
武器屋に入り、怒鳴る。

「おじさん!」
「畜生、何で2000で売っちまったんだ?わけわからねぇ」

聞こえてないようだったので、彼女はもう一度呼びかけた。

「おじさん!お金が用意できたんだけど―」

それでようやく入ってきた者に気付いたのか、
そちらを見やり、顔を確かめると、言った。

「あぁ、あんたか……『幻魔』なら今さっき売れちまったよ」


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