ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの人生とは、
這い寄る闇からの逃走劇も同然だった。
這い寄る闇からの逃走劇も同然だった。
魔法が使えないこと、身体が幼いこと、他人に認められないこと――。
それら闇から逃れるため、ありとあらゆる努力を重ね、研磨し、足掻いた。
それら闇から逃れるため、ありとあらゆる努力を重ね、研磨し、足掻いた。
――それでも、何も変わらなかった。
いくら呪文を知っていても、魔法は使えない。
いくら健康になっても、身体は育たない。
いくら貴族として立ち振る舞っても、誰も認めない。
いくら健康になっても、身体は育たない。
いくら貴族として立ち振る舞っても、誰も認めない。
逃げても逃げても追ってくる闇――だが、幸か不幸か、今までそれに捕らわれる事は無かった。
魔法が使えなくても、学園が自分を放り出すことは無かったし、
身体が幼くても、どうしても気を引きたい相手などはいないし、
他人が認めなくても、自分はれっきとした貴族だって分かっている。
身体が幼くても、どうしても気を引きたい相手などはいないし、
他人が認めなくても、自分はれっきとした貴族だって分かっている。
けれど、もうここまでだ。
この学園では、2年生への進級するための儀式として、『使い魔の召喚』がある。
今までに一度たりとも魔法を成功させたことの無い自分に、できるはずもない。
今までに一度たりとも魔法を成功させたことの無い自分に、できるはずもない。
案の定、呪文を唱える度に、地面を爆発させた。
他の生徒たちの嘲笑が聞こえる。文句が聞こえる。罵倒が聞こえる。
他の生徒たちの嘲笑が聞こえる。文句が聞こえる。罵倒が聞こえる。
――本当は、分かっていたのだ。
魔法が使えなくては、進級できない。
身体が幼くては、婚約者は去るかもしれない。
他人が認めなくては、貴族にはなれない。
身体が幼くては、婚約者は去るかもしれない。
他人が認めなくては、貴族にはなれない。
それでも、足掻きたかった。
ちっぽけな希望を抱き、この闇を打ち破り、この広い世界に歩みだしたかった。
ちっぽけな希望を抱き、この闇を打ち破り、この広い世界に歩みだしたかった。
闇はすぐ後ろにいる。
未来までも黒で覆い、光を奪おうとしている。
お前は、何者にもなれないと、絶望を突きつけようと――
――そうして、その使い魔は現れた。
ルイズは、その使い魔を召喚したときのことを、一生忘れないだろう。
その姿を目にした瞬間、自らを覆おうとしていた闇は、一瞬で消し飛んだ。
灰色の世界に光が射し込み、自分を、世界を、輝かせる。
灰色の世界に光が射し込み、自分を、世界を、輝かせる。
――もう、何も怖くない!
魔法が使えなくても、この使い魔がいれば何でも出来る!
身体が幼くても、この使い魔がいれば何も言わせない!
他人に認められなくても、この使い魔がいれば何も要らない!
身体が幼くても、この使い魔がいれば何も言わせない!
他人に認められなくても、この使い魔がいれば何も要らない!
ショボイ魔法などどうでもよくなり、
チンケなコンプレックスは消え去り、
周囲の視線は、畏怖と羨望の視線となった!
チンケなコンプレックスは消え去り、
周囲の視線は、畏怖と羨望の視線となった!
吊り上っていた眼は、絶対なる意志を持ち、
追い立てられるような歩きは、王者の余裕を持ち、
張り詰めていた雰囲気は、覇王のようなカリスマあるものへと変わった!
追い立てられるような歩きは、王者の余裕を持ち、
張り詰めていた雰囲気は、覇王のようなカリスマあるものへと変わった!
使い魔が自らと在る限り、
自分に出来ないことなど無いのだと、
自分は何処へでも行けると、ルイズは確信した!
自分に出来ないことなど無いのだと、
自分は何処へでも行けると、ルイズは確信した!
――そう、ルイズは、果てしなく続く戦いの道(ロード)へ歩み始めたのだ!!
喧嘩売って来た色ボケメイジを、ぶっ飛ばしてやった。
悪名高い盗賊を、その僕の巨大なゴーレムごと吹き飛ばしてやった。
国と自分を裏切った婚約者を、そのお仲間諸共消し飛ばしてやった!
ルイズは止まらない。
何者にもルイズは止められない!
何者にもルイズは止められない!
――そして今!
眼下には、卑劣にも条約を破り、攻め込んできたアルビオン軍が展開している。
眼下には、卑劣にも条約を破り、攻め込んできたアルビオン軍が展開している。
「こないだ、アルビオンで躾けてやったというのに……まだ足りないらしいわね」
虫けらを見るような目で――事実、そう思っているのだろう――白の国のゴミクズどもを眺める。
「ならば教えてやるわ……この、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールのいる、
そして、我が最強のしもべのいる、このトリステイン王国に攻め込んできた、その愚かさを――!!」
そして、我が最強のしもべのいる、このトリステイン王国に攻め込んできた、その愚かさを――!!」
ルイズは緩やかに右手を上げる。
それは、ルイズがしもべに敵の殲滅を指示する、号令なのだ――!
それは、ルイズがしもべに敵の殲滅を指示する、号令なのだ――!
ルイズは高らかに謳い上げる――破壊を告げる言葉を!
「滅 び の ッ !
バ ァ ァ ァ ス ト ス ト リ ィ ィ ィ ィ ィ ム ッ ッ ! !」
バ ァ ァ ァ ス ト ス ト リ ィ ィ ィ ィ ィ ム ッ ッ ! !」
その瞬間――。
青き眼の、白き最強龍は、口内から光を放つ――!
それは、あらゆるものを滅ぼす、破壊の光――!!
青き眼の、白き最強龍は、口内から光を放つ――!
それは、あらゆるものを滅ぼす、破壊の光――!!
「強 靭 ッ ! 無 敵 ッ ! 最 強 ォ ―― !!」
光は全てを飲み込んでいく!
戦艦を蹴散らし、ブチ壊し、滅茶苦茶にしていく!
竜騎兵など蝿も同然!
地べたを這いずるメイジや兵士どもなど、塵芥に等しい!
戦艦を蹴散らし、ブチ壊し、滅茶苦茶にしていく!
竜騎兵など蝿も同然!
地べたを這いずるメイジや兵士どもなど、塵芥に等しい!
「粉 砕 ッ ! 玉 砕 ッ ! 大 ・ 喝 ・ 采 ―― !!」
何が来ようと、何も恐れることは無い。
我がしもべ、『青眼の白龍』の前には、全てが平伏すのだ――!
我がしもべ、『青眼の白龍』の前には、全てが平伏すのだ――!
「ワハハハハハハハハハハ―――――!!」
その後、ルイズは『滅び』の二つ名と、
ありとあらゆる名誉を手にいれ、トリステイン最強の力として、君臨した。
ありとあらゆる名誉を手にいれ、トリステイン最強の力として、君臨した。
ルイズは最期まで魔法を使えなかった。
ルイズは最期まで体系はお子様だった。
ルイズは最期までメイジとは認められなかった。
ルイズは最期まで体系はお子様だった。
ルイズは最期までメイジとは認められなかった。
だが――
ルイズは『力』を使えた。
ルイズはあらゆる名家の男たちから誘いがあった。
ルイズは至上最強の竜騎兵として認められた。
ルイズはあらゆる名家の男たちから誘いがあった。
ルイズは至上最強の竜騎兵として認められた。
そして、友も得た。
ルイズは未来を切り裂き、幸せを手に入れた。
そして、これからも、ルイズは止まらない!
ルイズの踏み出した道――それが未来となるのだから――!
ルイズの踏み出した道――それが未来となるのだから――!
「ずっと私のターン!!」
『滅びのルイズ』…… 完
-「遊戯王」より青眼の白龍を召喚