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ゼロの皇帝11

トリステイン魔法学院。今更言うまでもなく、貴族の子息子女が魔法や貴族として相応しい立ち振舞いを
学ぶ施設である。が、最近その学院内で一人の貴族ととある使い魔の行動がちょっとした話題になっている。

その理由は主に三つ。まず一つは、その貴族は当然魔法が使えるにもかかわらず、その使い魔といるときは殆ど
魔法を使っていないこと。もう一つは「貴族」が「使い魔」を指導しているのではなく、「使い魔」が「貴族」を
指導していること。最後の一つはその貴族と使い魔の間には何の契約も成立していない、つまりお互いの
自由意志に基づく物だということ。

要はここ最近ギーシュがジェラールにビッシビシにシゴかれているだけだ、とも言えなくもない。

勿論、お互いにメリットがあるからこそこの奇妙な師弟関係が成り立っている。ギーシュの側から見てみると、
自分の特技であり二つ名の由来となっているワルキューレの使い方の指導、特に複数を操り戦う場合の用兵術などは
革命的とも言えるほどの内容であり、学べば学ぶほど自分が強くなっていることが実感できているからだ。お世辞にも
魔法の才に長けているとは言いがたいギーシュからすれば尚の事、ありがたい。ただ、ギーシュ自身が剣を取り
稽古に励むというのはやはり貴族、メイジとしてのプライドからあまり歓迎したくはなかったが、錬金した剣を
ジェラールが片手でバキバキとへし折っていく姿を見てしまってはそんなことを言えるわけも無い。

ジェラールの側からすれば、己の中の幾星霜を掛けて培われてきた技術を朽ち果てさせること無く、一部とはいえ
それを受け継がせることはやはり嬉しいものである。それが多少出来の悪い弟子でも。しかし、その点についての
問題はかなり解決されていく。詳しくは後に述べるが、天賦の才を持った人物が新しく弟子に加わり、ついには
アバロン歴代最強の男をもってしても完成できなかったある技を蘇らせることに成功していくからだ。もう一つは
今のところジェラールの正体に一番近づいているのがギーシュであり、彼を監視する上でも手元においておくのが
上策であるためである。もっともギーシュからしたら、たまたまリヴァイヴァの中の人から余計なことを
聞いてしまったためであり、あの生き返る-と言うよりは二回死ぬ-体験は全く持って遠慮したいので、自分から
喋ることは無いのだろうが。
では、その指導内容を少し覗いてみよう。



その一:学科
「さて、前回の復習から行こうか。ギーシュ、お前は一度に最高七体のワルキューレを呼び出せる。ではその
割り振りはどのようにするべきだ?」
「はい!一度に呼び出すのは六体であり、そのうち一体は僕の護衛につけ、残り五体で戦うのがいいと思います!」
「その理由は?」

ちなみにジェラール、学科のときはギーシュに調達させたメガネ(無論伊達)をかけている。この皇帝、実に
ノリノリである。

「はい!七体全てを使わないのは戦闘中に予想外の事が起こってもいいように、余力を残しておくためです!
ただ、五体で戦うと言うのは、その…」
「はっはっは、そこは素直に「先生のやり方が五体一組だからです!」と言ってもかまわないぞ」
「はい…あの…すいません」
「まあいい。さて本日の内容は、その五体の配列-つまり陣形についてだ」
「はい!」

ギーシュの表情がお前は小学生かと言いたくなるぐらいに一気に明るくなる。この立ち直りの速さこそ、懲りずに
二股を繰り返す原動力なのかと感心してしまうジェラール。

「今日は基本を二つ。最初は五体全員を横一列に並べる物。これの利点は全員が平等であることだ。攻撃を
する順番も、攻撃を受ける確率も平等になる。しかし、これの欠点は言ってしまえば偶然に任せてしまう事であり、
それでは戦術も何もかも成り立たない。そこで次の陣形は五体を十字架のように配列する物だ。これの利点は
先頭に配置した者が最も攻撃を多く受けるので、他の者には被害が少ないと言うこと。ただ、これはそのまま
欠点とも言える。なぜだと思う?」
「はい!それは……先頭の耐久力が低いとすぐに陣形が成り立たなくなってしまうことです!」
「その通り。では、この事態を防ぐにはどうすればいいと思う?」
「え、えーと、その……わかりません」
「答えは簡単だ。耐久力の高いワルキューレを造れるようになれ。これはこれから陣形を学んでいく時重要に
なる。つまり、能力が同じワルキューレを造るのではなく、耐久力に優れた物、機動力に優れた物、攻撃力に
優れた物…それらをうまく組み合わせてこそ、陣形は最大限の効果を発揮する。これはお前の能力次第だから
精進するように………」



その二:実技1
「さて、今日は実技だが…前回やってみて分かったことがある。ギーシュ、もう少し体力つけろ。少し剣を
振り回したぐらいで息切れするようでは話にならん」
「いえ、普通メイジは剣なんか使わな…なんでもありません!」
「解ればよろしい。そこでだ、今日からは俺の代わりに新しく入った生徒と実技をしてもらう。…さ、こっちに」
「は、はい…」

そこに現れたのは……シエスタ。状況がよく飲み込めていない生徒二人にジェラールが今更説明する。

「実はシエスタに護身術の一つでも教えてあげる程度の考えだったんだが、この前の宴会の時、酔っ払った
若いコック相手に実に見事な体さばきを見せていたので、いっそのこと本格的に教えてみようと思ったわけだ。
さて、実技を始めるか。何か質問は?」
「あの…山ほどありますが、とりあえず一つだけ。女性に対して剣を振るうのは僕のポリシーに反するので、できません」
「そ、それにジェラールさん、私が貴族の方のお相手なんて…そんな恐れ多いことはちょっと…」

だがそんなことは想定の範囲内だと言わんばかりに説明していくジェラール。だったら最初に言っておけよ。

「まずギーシュ。安心しろ、お前のレベルではかすりもしないからおもいっきりやれ。次にシエスタ。大丈夫、
ギーシュは魔法を一切使わないから。それに何も攻撃しろとはこっちも言っていないので、不慮の事故も起こらない」
「しかしそれd」
「あ、何だそうなんですか、安心しました!」

当然このシエスタの発言はギーシュのプライドをいたく刺激したようで。

「君…それはどういうことかな。そんなに僕が弱いとでも言いたいのか?平民の癖に、ずいぶんと強気だね」
「……!い、いえ、そうではなくて、も、申し訳」
「おい、ギーシュ!!お前こそ何様のつもりだ!二人とも俺の弟子である以上対等の関係だ!平民だろうが
貴族だろうが、上士だろうが郷士だろうが白刃の下では平等、一番最初に言ったはずだぞ!それに俺は事実を
言ったまでだ。文句を言うなら一撃でも当ててからにしろ」

「…わかりました。シエスタ君、いくら刃引きしてあるとはいえ、本気で行かせてもらうよ」
「は、はい…あまり無理なさらないでくださいね」

この-シエスタからしてみれば親切のつもりだったのだが-発言がギーシュの心をさらに熱くする。

「バ、バカにするなぁ!そこへなおれ、手打ちにしてくれるわー!」

…勿論結果は一撃たりとも加えられずにヘロヘロになったギーシュがシエスタの目の前で倒れるという
貴族と平民の間としては画期的な絵と化している。

「な、なんでだ…なんで当たらないんだ…」
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「いやー、シエスタは優しいなぁ。それにひきかえ…解ったか、ギーシュ。いくらワルキューレを強化しても
肝心のお前に武芸の心得が無ければどうにも成らん。おまえのイメージが貧困で、現実離れしていては折角の
能力も半減だ。わかったなら、今後さらに精進するように。しかしシエスタ、その見覚えのある動きは一体誰に?」
「あ、これは死んだお爺ちゃんが、奉公に出て行くならせめて身を護る手段ぐらい覚えていけと………」



その三:実技2
「今日はおさらいだ。ギーシュ、ワルキューレを出せ」
「はい!」

本日はこれまでの復習と言うことで、ワルキューレ×5VSジェラールの試合となっている。ギーシュの勝利
条件は時間制限内に自分を護っている六体目が破壊されなければ勝ち。ハンデとして、ジェラールは
剣を使い、技、術を一切使わない。…アレ?こいつガンダールヴだよな?武器持ってハンデ?まあいいや。

「さあ、いくぞ!」
「はい!」

そうして模擬戦が始まった。さすがにインペリアルクロスでこられてはなかなか手強い。ジェラールは自分の
教えがしっかりと根付いていることに多少の感慨を覚えつつ、攻撃のスピードを上げていく。

「よし、なかなかいいぞ。しかしこれからさらに速くなるが付いて来れるか?さあ袈裟切りを受け止めろ!
片手突きを弾け!逆胴をいなせ!もっと速く!さあ!パリィ!パリィパリィ!パリィパリィパリィ!!」
「なっ、はやっ、くそっ…!」

いくらハンデをつけようとも、陣形の恩恵があろうとも、剣レベルにして50近くの差があれば限界は
あっという間にやってくる。先頭のワルキューレは奮闘したものの、最後は見事な唐竹割りで一刀両断にされた。
ギーシュの緊張の糸もそこで途切れてしまったのか、それからはたいした抵抗もすることなく、六体目まで
流れるように斬られ、剣の錆と化した。

「まあこんなものか。最初にしては良くやったほうだが、もう少し集中力を磨くべきだな。もし俺が先頭を
無視して両サイドから攻撃したらどうするんだ?今回は律儀に攻めていったが、その辺の応用も考えておくように。
あと、なぜ反撃しない?俺に攻撃させたくなければ俺に防御させればいい。つまりロナウジーニョの攻撃力を
押さえるにはロナウジーニョに守備をさせればいい。守備に回ったロナウジーニョはロナウジーニョではない。
そういうことだ、わかったか?」

顔が青くなり、肩で息をし、ヒザがガクガクと震えている状態でもギーシュはこの質問をしなければならない。

「は、はい…ありがとうございました…ただ、一つ質問が…」
「なんだ?」
「ロナウジーニョって、誰ですか?」
「知らん。今とっさに思いついただけだ。他には?」
「い、いえ…」
「よし、今日はこれまで。ゆっくり休めよ」



こうしてジェラールによる課外授業は終了する。順序としては学科→実技1→学科→実技2→学科として
進めていく。だがギーシュにとってこれがあまりにハードである為に、本来の授業中で爆睡してしまい危うく
留年しかけてしまうことになってしまったりするのだが、
それはまた、別の、お話。






「ねえキュルケ、一つ質問があるの」
「なに、ルイズ。…なんとなく想像はつくけど」
「あの男を召喚したのって、ギーシュじゃなくて私よね?」
「ええ、そのはずよ」
「じゃあなんで今回私の出番はここだけで、あのヘタレはあんなに目立っているのカナ?カナ?」
「…今はギーシュ萌えが流行り」
「ギーシュ萌え!?そんなもんあってたまるかぁ!そもそも今回のどこに萌えろっていうの!?」
「……蓼食う虫も好き好き」
「ま、まあルイズ、明日は虚無の曜日だし彼とショッピングにでも行って来れば?何か意外な一面が
見られるかもしれないわよ」
「そ、それもそうね。欲しい物を買い与えればアイツも誰が主人か思い出すでしょう。見てなさいよー、
ジェラール。目ん玉飛び出す物買ってやるわよー!」
「…なにかずれてるわよね」
「ずれてる。でも本人がいいのならそれでいい」

次回、デルフ登場。伝説の使い手と伝説の魔剣が邂逅する。

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