あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ルイズ!-2

 ここ常春の国、マリネラは……

「パタリローーーーー!!!!!」
「マライヒさん!落ち着いてくださうぎゃあああああ!!!」
「ああ!82号が殿下の盾にされた!」
「早く黒タマネギ部隊、いやプラズマXを呼ぶんだ!」
「カリメロ君、じゃなくてパタリロ君、素直に謝ろう!このままでは全滅だ!」
「死ねぇ!」

 ごきゃあ!!

「ぬわあああ!?」
「殿下、ヒューイットさんにブリーカーを仕掛けてどうするんですか」
「ロリコン幻人であるという理由だけで十分だ」

 今、未曾有の危機に襲われていた!



「科学班!麻酔弾の用意はまだなのか!?」
「おーい、持ってきたぞ」
「よくやった……って、ん?」

 その麻酔弾?はどう見ても手術用の注射器で、しかも持ってきたタマネギはどう見ても手術中の医者の格好である。

「さっきまで何をしていたんだ?」
「93号の盲腸の再手術だけど」

 つまり、麻酔が必要だから持ってきた=93号は手術途中で放置されたということである。
 ついでに言うなら93号は以前も盲腸の手術途中で放置されたことがある。

「返してこい」

 へーい、と言って“歩いて”帰っていく医者タマネギ。哀れな93号の退院の見通しはまだまだ当分先の事だろう。



 事の発端は数週間前に遡る。ある事件をきっかけに活動を休止していたテロ組織・タランテラの活動再開の情報が確認され、タランテラと因縁の深いマリネラ・イギリス・アメリカ・ロシアで共同戦線を張ることになったのだ。
 で、いつも通りパタリロが敵味方関係なく掻き回して、マライヒがパタリロを殺して、ミハイルがなんとかカバーして、ヒューイットが肝心なところでミスって、バンコランが美味しいところを持っていって、復活したパタリロにミハイルを除いた3人が粛清を加えてさあ帰ろう……としたところでバンコランが消えたのだ。
 最初は、というか当然誰もがパタリロの仕業だと思って詰問を始めたのだが、今回ばかりは濡れ衣なのでパタリロも「何も知らない」と言うかと思いきや、

「どうせバンコランの奴は今頃どこかの美少年と元気によろしくやってるんじゃないか」

と要らん爆弾発言をしたためマライヒが暴走。嫉妬と言う名の無限を超えた絶対勝利の力が炸裂し、かくして冒頭の誰も挑みたくない惨劇が繰り広げられる事となったのだ。
 結局、麻酔弾を撃つ予定のヒューイットが昏倒してしまったので、スーパーロボット・プラズマXが現場に到着してマライヒを取り押さえるまで被害は治まらなかった。この時の修繕費を補填しようと「ぼったくり大使館」の再現を行ってまた吊るし上げられるのはまた別のお話。ちなみに治療費は各自負担である、ケチ。



 縄で縛り上げられて吊るされたマライヒとそれを呆れ顔で見上げるミハイルを背景に、事態の検証を始めたのだが。

「それより殿下、本当に知らないんですか」

 部下の第一声が主君を疑ったものというのが、パタリロの日頃の行いを示しているというものだ。

「失礼な、僕を疑うのか!」
「何故やったんですか!」
「太陽が眩しかったからなんだー!」

 パタリロの犯行を否定→自白の不可解自爆コンボが炸裂する。

「者ども出あえ出あえー!曲者じゃー!」
「ええい、放せ!武士の情けじゃあ!」
「なりませぬ!殿中にござる!殿中にござる!」

 タマネギ達はタマネギ達でいつの間にか江戸時代スタイルに着替えて取り押さえにかかっている。



「冗談はさておき」

 忠臣蔵を始めた主君から離れた位置にいたタマネギ達が冷静に議論を続ける。

「あの様子じゃ殿下の仕業じゃないみたいだな」

 アホでケチでつぶれ饅頭でへちゃむくれで顔面殺虫剤ではあるが自分達の君主がどういう人物かタマネギ達は分かっている自信……はまったく無いが、少なくとも今回はそうだと判断した。パタリロは悪戯を隠すような真似はしない、むしろ周りを巻き込んで更に事を大きく悪化させるはずだからだ。はた迷惑な話である。
 ちなみにその君主は松の廊下事件の後に赤穂浪士の討ち入りによる池田屋事件を経てラスプーチン及びロシアをバックにつけた朝廷と、暗殺を逃れてアメリカに亡命した蘇我入鹿の率いるペリー艦隊による睨み合いをしている。黒幕は邪鬼王でアンドロメダ流国と昆虫人類の代理戦争らしい。どういう会話をすればそういう流れになるのか。

「でもそうだとするとおかしいな」
「おかしきゃ笑え」

 はっはっはっはっはっはっはっ。

「笑うな!」
「突っ込むな!」

 訂正、こいつらも全然冷静じゃなかった。いや冷静だからこそ手に負えないのかもしれない。まさにあの君主にしてこの部下あり、と言うべきか。



 ノリノリでボケとツッコミの永久機関を続けるアホ主従を見てミハイルは引き攣った笑いを浮かべた。出番の少ない彼にとってマリネラの頭まで常春のやりとりは馴染めないものなのだろう。馴染めたらそれはそれでまずいが。

「まあ、とにかく……問題はそこなんだ」
「どこだ」

 あらぬ方向に視線を向けるパタリロ。無視するのがベストなんだがパタリロとの付き合い方の経験が少ないミハイルはそんな事も露知らず、律儀に最初から説明し直す。

「だから問題は―――」
「だからどこだ」

 何とか話を元に戻そうとするミハイルと、何となく話を脱線させようとするパタリロ。幾度かの繰り返しのあげく、

「まったく君はどういう耳をしているんだ!」
「こういう耳」
「ぬがーーーーー!!」

と常套のボケをかまされ、さしもの「氷のミハイル」も烈火のごとく怒り(体温のことだけど)、毒塗りのダートが雨あられとパタリロの脳天に突き刺さる。が、致命傷にも関わらずパタリロはニヤニヤと不敵な表情を崩さない。

「な、何!?」
「ふっふっふっ、残像だ」

 背後から聞こえる声に振り向くが姿は見えない。視線を今しがた残像と言われた方向へ向けるとそこにはダートの突き刺さった丸太……でなく身代わりにされたタマネギが倒れて痙攣していた。ひでぇ。
 パタリロの走る時のカサコソという音で周囲にいるのは分かるが姿が見えない、まさにゴキブリ走法!だがミハイルとてKGBのエリート、レギュラー降板したとは言え負け続けるわけにはいかない。

「バンコラン少佐に聞いた方法だけど、本当に効くのかな」

 そう言って懐から1円玉を取り出し、それを床に落とす。忠臣蔵騒動の喧騒の中ではチャリーンという子気味良い小さな音が響くはずもない。ていうかまだ続いてたのか。
 が、カサコソという音が一瞬止まったかと思うと、ミハイルの前を一陣の風が吹き、ワンテンポ遅れてビュン!と風を切って走る音が耳に届く。早すぎて音が追いついて無いのだ。

「これは僕のものだー!誰にもやらないぞー!」

 超人的な身体能力と超人的なドケチぶりを披露して床の一円玉にへばり付く一国の王めがけて、毒塗りのダートがあやまたず突き刺さった。



「これはもう使えないな」
「痔が、痔が治ったばかりの体にこれは……!」

 パタリロに突き刺さったダート……正確には突き刺さった場所を見てミハイルが呟く。どこに刺さったかは苦悶の台詞からお察し下さい。

「で、どういう事か説明してもらうよ」

 やっと冷静さを取り戻したマライヒがナイフを片手にのた打ちまわるパタリロに詰め寄る。無論、マライヒとてナイフが効かないことは百も承知。なにせ頭を銃弾で貫かれても正露丸で直ってしまうのだから。痛めつける事が目的かというとそうでもない。一時期はかなりどMな言動をしていたこともあったのだ、むしろ刺したら喜ぶかもしれない。では何が目的かというと、単なる憂さ晴らしである。

「では説明しましょう」

 ころっと立ち直って手持ちの変装の1つ、シバイタロカ博士に変装するパタリロ。思わぬ切り替えの早さにマライヒとミハイルだけでなく、何故か明鏡止水の境地でアクシズを押し返そうとしていた赤穂浪士ことタマネギ達もずっこける。引っ張って突き落とす、パタリロの持つ「高度な放置プレイ」の本領発揮である。

シバイタロカ博士のよくわかる解説
「マリネラの位置はバミューダ・トライアングルのど真ん中にあります。そのせいか時間と空間が歪んでいましてな、大西洋上にも関わらず時差計算は日本と同経度になりますし、常春の気候になると言われております。バンコラン君の消失もそれが原因でしょう。私の計算によりますと、さきほど彼がドアを開けようとした瞬間、偶然そこに時空の歪みが出来たようで、それに吸い込まれてしまったのでしょう」

「で、彼は無事なのだろうか」

 本題に戻るまでに物凄く精神的・肉体的に疲労したミハイルが諦観を抑えて質問する。

「検討もつかないな。以前僕が平行世界に跳ばされた時は物理法則そのものが違っていた。バンコランが跳んだ先が生物が生存できる環境である保障はない」

 パタリロも元に戻って珍しくシリアスに説明する。

「じゃあ、バンコランは……!」
「落ち着けマライヒ、絶望的であるとも限らない。少なくともこの世界からあまりにもかけ離れた世界に跳ぶとは思えない。恐らくいくつかの共通点を残した世界にいるのだろう」

 ただ、と付け加える。

「帰ってこれるかどうかと言うと、無理だろうな」

 いくら平行世界が可能性の分岐といえども、平行世界を超える技術を持った世界がある確率は限りなく低いだろう。ましてバンコランは現実主義者。自分が異世界にいるなどと思うわけがない。思わなければ帰ることもない。

「助けに行かないと!」
「しかし、どうやって……」

 血色を変えるマライヒに疑問を挟むヒューイット。今頃目覚めたのか。

「ふっふっふっ、僕を誰だと思ってる」

 と自信満々に胸をそらすパタリロ。パタリロは生身で異世界への転移はおろか時間移動さえ出来るのだが、タマネギを率いて悪事、でなく活動する必要が度々あったために誰でも移動可能な装置を開発していたのだ。先ほど言った「限りなく低い確率」に自分のおかげで当選していたんだぞ?と言いたいのが見え見えのパタリロに対し、マライヒ達は顔を見合わせると。

 「つぶれ饅頭」とマライヒ。
 「へちゃむくれ」とヒューイット。
 「顔面殺虫剤」とミハイル。
 「ケチで吝くてしみったれの吝嗇家」とタマネギ達。(全部同じ意味)

 容赦なくこき下ろした。

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