「小ネタ-伝承法」(2007/08/09 (木) 09:47:38) の最新版変更点
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ハルケギニアはトリスティン魔法学院。
抜けるような青空、絶好の召喚日和に恵まれていた広場はしかし……
辺りに響き渡る爆音と爆発によって惨々たる有様と化していたのだった!
その原因たる少女は広場の中心で煤にまみれたまま咳き込んでいた。
その周囲にはその爆発に巻き込まれてパニックに陥っている彼女の同級生たち。
頭部が禿上がった男性が必死になって納めようとしているが大した効果を得られてはいない。
「ゼロのルイズ、もう止めてくれっ!」
「あぁっ、今の爆発で僕の使い魔がっ!?」
「サモン・サーヴァントを極める事により、爆発の範囲は120%、威力は60%アップする!
サモン・サーヴァントを極めたルイズは無敵となる!!」
そんな混乱した声と悲鳴が響く中、彼女はもう一度詠唱を開始し……そして再び爆発と悲鳴と怒号が沸き起こる。
「これで四十……二回目?」
私は爆発の届かない所に召喚した使い魔、それに結構な付き合いになる友人と一緒に避難してそれを見ていた。
「四十三回目」
と律儀に突っ込んでくれる友人は最初は読書に集中していたのだが、そろそろ気になりだしたらしい。
「ありがと、タバサ」
そう言って再び広場の中心にいる彼女に目を向ける……あ、涙目だ。
まぁここまで失敗して涙目にならない方がおかしい。むしろ普通は泣いてる。
正直に言えば、私……キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー……はルイズを気に入っている。
からかうと素直に反応する気性も含めて、あの子は良い娘だと思う。
あの子がどれだけ勉強しているかも知っているし、どれだけ努力しているのかも知っている。
陰口を叩かれ続けても、決して折れずに頑張っている。
なので、ちょっと……ほんのちょっとだけ……あの子がどうか成功するよう、始祖ブリミルに祈った。
一際大きな爆発と共に何かが折れる音が聞こえた。 祈った事を後悔した。
爆煙が晴れた時見えたのは膝をついたルイズと、その手にある折れた杖。
……杖が折れては魔法が使えない、すなわちもうサモン・サーヴァントは出来ないという事。
それに気付いたのか周囲の連中が何時もの調子……要するにルイズを嘲る……に戻る。
正直聞くに堪えないが、それさえも茫然自失と言った感じのルイズには聞こえないようだ。
無理もない。杖が直ってもそれはまた失敗の連続かもしれないのだから。
今回ばかりは流石に折れてもしょうがない……などと思っていたら、ぐいっと横から引っ張られた。
見れば、タバサが真剣な顔で空を睨んでいる。
「成功」
「成功……? って、あ!」
空に光る銀色の鏡が浮かんでいた。使い魔を呼び出す為の門だ。それはルイズの真上に……真上!?
「ルイズッ、逃げなさい!」
そう叫んでルイズに向かって走り出す。
何が出て来るのかわからないが、あのままではルイズの上に落ちかねない。
だがルイズはうなだれたまま動かず、召喚を監督していたコルベール師も気付いたばかり。
何とかしてルイズを動かそうにも、爆発の影響を受けない所に居たせいか遠すぎる。
「ルイズーッ!!」
私の叫びも虚しく……甲高い音と共に眩い光の柱がルイズへと降り注ぎ、吸い込まれていった。
広場がさっきまでとは真逆の静寂に包まれる中、私はルイズに近づいていく。
ぱっと見は(煤だらけで服もボロボロだが)無事だ。
だがさっきの光が何なのかわからない以上、油断は出来ない。
「……ルイズ?」
その時、彼女が顔を上げた。目には何時もの彼女が浮かべる不屈の色。
そのまま立ち上がるとルイズはしゃきんとか言った音が聞こえてきそうなポーズを決め
「やるぞ!」
そう、広場に響き渡るような声で叫んだのだった。
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彼女に関してこれ以上語るべき事はない。
数多の術と技を伝承する光を受けたルイズは幾多の戦功を上げ、“虚無(ゼロ)の”ルイズとして、歴史に名を刻むであろう。
ロマンシング・ゼロ……始まんない。
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ハルケギニアはトリステイン魔法学院。
抜けるような青空、絶好の召喚日和に恵まれていた広場はしかし……
辺りに響き渡る爆音と爆発によって惨々たる有様と化していたのだった!
その原因たる少女は広場の中心で煤にまみれたまま咳き込んでいた。
その周囲にはその爆発に巻き込まれてパニックに陥っている彼女の同級生たち。
頭部が禿上がった男性が必死になって納めようとしているが大した効果を得られてはいない。
「ゼロのルイズ、もう止めてくれっ!」
「あぁっ、今の爆発で僕の使い魔がっ!?」
「サモン・サーヴァントを極める事により、爆発の範囲は120%、威力は60%アップする!
サモン・サーヴァントを極めたルイズは無敵となる!!」
そんな混乱した声と悲鳴が響く中、彼女はもう一度詠唱を開始し……そして再び爆発と悲鳴と怒号が沸き起こる。
「これで四十……二回目?」
私は爆発の届かない所に召喚した使い魔、それに結構な付き合いになる友人と一緒に避難してそれを見ていた。
「四十三回目」
と律儀に突っ込んでくれる友人は最初は読書に集中していたのだが、そろそろ気になりだしたらしい。
「ありがと、タバサ」
そう言って再び広場の中心にいる彼女に目を向ける……あ、涙目だ。
まぁここまで失敗して涙目にならない方がおかしい。むしろ普通は泣いてる。
正直に言えば、私……キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー……はルイズを気に入っている。
からかうと素直に反応する気性も含めて、あの子は良い娘だと思う。
あの子がどれだけ勉強しているかも知っているし、どれだけ努力しているのかも知っている。
陰口を叩かれ続けても、決して折れずに頑張っている。
なので、ちょっと……ほんのちょっとだけ……あの子がどうか成功するよう、始祖ブリミルに祈った。
一際大きな爆発と共に何かが折れる音が聞こえた。 祈った事を後悔した。
爆煙が晴れた時見えたのは膝をついたルイズと、その手にある折れた杖。
……杖が折れては魔法が使えない、すなわちもうサモン・サーヴァントは出来ないという事。
それに気付いたのか周囲の連中が何時もの調子……要するにルイズを嘲る……に戻る。
正直聞くに堪えないが、それさえも茫然自失と言った感じのルイズには聞こえないようだ。
無理もない。杖が直ってもそれはまた失敗の連続かもしれないのだから。
今回ばかりは流石に折れてもしょうがない……などと思っていたら、ぐいっと横から引っ張られた。
見れば、タバサが真剣な顔で空を睨んでいる。
「成功」
「成功……? って、あ!」
空に光る銀色の鏡が浮かんでいた。使い魔を呼び出す為の門だ。それはルイズの真上に……真上!?
「ルイズッ、逃げなさい!」
そう叫んでルイズに向かって走り出す。
何が出て来るのかわからないが、あのままではルイズの上に落ちかねない。
だがルイズはうなだれたまま動かず、召喚を監督していたコルベール師も気付いたばかり。
何とかしてルイズを動かそうにも、爆発の影響を受けない所に居たせいか遠すぎる。
「ルイズーッ!!」
私の叫びも虚しく……甲高い音と共に眩い光の柱がルイズへと降り注ぎ、吸い込まれていった。
広場がさっきまでとは真逆の静寂に包まれる中、私はルイズに近づいていく。
ぱっと見は(煤だらけで服もボロボロだが)無事だ。
だがさっきの光が何なのかわからない以上、油断は出来ない。
「……ルイズ?」
その時、彼女が顔を上げた。目には何時もの彼女が浮かべる不屈の色。
そのまま立ち上がるとルイズはしゃきんとか言った音が聞こえてきそうなポーズを決め
「やるぞ!」
そう、広場に響き渡るような声で叫んだのだった。
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彼女に関してこれ以上語るべき事はない。
数多の術と技を伝承する光を受けたルイズは幾多の戦功を上げ、“虚無(ゼロ)の”ルイズとして、歴史に名を刻むであろう。
ロマンシング・ゼロ……始まんない。
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