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ウルトラマンゼロの使い魔
第百三十六話「三冊目『ウルトラマン物語』(その3)」
宇宙の帝王ジュダ
ジュダの怪獣軍団
暴君怪獣タイラント 登場
『古き本』の攻略もいよいよ半分の三冊目に突入。三冊目はウルトラマンタロウの成長物語
であり、ゼロは本の中のタロウを一人前のウルトラ戦士にするべく熱心に鍛え抜く。その甲斐あり、
タロウは見事地球を攻撃する再生エレキングとメフィラス星人を撃破した。しかしウルトラの父が、
宇宙の悪魔ジュダの復活の時が近いことを告げる。ウルトラの父はタロウを、ジュダを倒せる
超ウルトラ戦士にするべく最後の特訓を施す。だがそれを妨害しようと、ジュダは先手を打ってきた。
地球を襲う凶悪怪獣軍団! ゼロはタロウに代わって地球を守護するべく、ウルトラ五兄弟とともに
ジュダの軍勢に立ち向かっていくのであった。
「ギイイイイイイイイ!」
ジュダが繰り出した怪獣軍団の一体であるエンマーゴは、口から大量の黒煙を吐いて辺りの
木々を立ち枯れさせていく。エンマーゴの吐く煙は、如何なる生物もたちまち死滅してしまう
恐るべき悪魔の武器なのだ。このままでは、周囲一帯が草木一本も生えない死の大地になってしまう。
そこに駆けつけたのがウルトラマンゼロ! エンマーゴの凶行を阻止すべく、颯爽と戦いを挑む。
『そこまでだ! 食らえッ!』
ゼロは先手必勝とばかりにワイドゼロショットを放ったが、エンマーゴは左手の盾を構えて
光線を遮断した。
『フハハハハッ! そんなものがこの俺様に通じるかッ!』
ワイドゼロショットを防御したエンマーゴが得意げに高笑いした。
『何ッ! 傷一つつかねぇだと!』
『っていうかしゃべった!?』
驚く才人。エンマーゴは確かに怪獣と言うよりは、名前の由来の閻魔大王そのままの姿で
あるが、口を利く能力は持っていなかったはずだ。
「ギイイイイイイイイ!」
エンマーゴはそんなことお構いなしに右手の剣を突きつけながらゼロににじり寄ってくる。
同時に黒煙も吐き出すため、ゼロも迂闊に飛び込むことは出来ない。
『くッ、こいつを食らうのは危険だぜ……!』
黒煙の殺傷力はゼロにとっても無視できないほど強力だ。ゼロはじりじりと後退するが、
少しずつ距離を狭められ追いつめられていく。
やがてゼロのかかとが突き出た岩にぶつかった時、好機と見たエンマーゴが一気に飛び込んできた。
『その首級もらったぁッ!』
エンマーゴの殺人剣がゼロの首を狙う! 危うし!
『はッ!』
だがゼロは瞬間、ブレスレットからウルトラゼロランスを出し、その柄で剣を受け止めた。
『何ぃッ!』
『武器での勝負なら負けねぇぜ!』
『小癪な! 俺様の恐ろしさをとくと教えてくれるわぁッ!』
ゼロランスでエンマーゴと激しく切り結ぶゼロ。武器の腕ならばゼロに軍配が上がるのだが、
エンマーゴには黒煙もある。剣とともに繰り出される黒煙のために、なかなか攻勢に出ることが
出来ない。
『だったらッ!』
そこでゼロは額のビームランプからエメリウムスラッシュを発射する構えを見せた。だが
光線攻撃を察したエンマーゴがすかさず盾を構えて防御態勢を取る。
しかしそれはゼロのフェイントだった。
「セェイッ!」
ゼロはエンマーゴの構えた盾を、下から思い切り蹴り上げる! 予想外の方向からの衝撃に、
盾はエンマーゴの手を離れて放り飛ばされていった。
『何だとぉッ!?』
動揺するエンマーゴ。その隙を逃すゼロではない。
「テェアッ!」
後ろに跳びながらゼロランスを投擲し、まっすぐ飛ぶランスがエンマーゴの身体の中心を
貫通した。
「ギイイイイイイイイ!!」
「セアッ!」
苦しむエンマーゴに改めてエメリウムスラッシュが撃ち込まれ、エンマーゴは一瞬にして
爆散。その脅威は取り払われたのだった。
だがこれで終わりではなかった。むしろここからが戦いの本番であった。
『よくもやってくれたものだな、青きウルトラ戦士よ! このわしの邪魔をしようとは、
身の程知らずな奴よ!』
突然空が夜になったかのように暗くなり、角を生やした魔人の虚像がいっぱいに映し出された。
それを見上げたゼロが指を突きつける。
『お前がジュダだな!』
『左様! 愚かな貴様に、わしの偉大な力を見せてくれるわッ!』
ジュダが宣言するとともに、暗転した空に妖しい光の瞬きが複数出現した。星の光ではない。
あの不気味な光は……怪獣の悪霊の魂だ!
『宇宙に散らばる悪魔の魂よ、集まれぇぇぇぇッ!』
ジュダの命令により、怪獣たちの魂が地上に落下してきてゼロの前で一つに合体していく。
そして一体の大怪獣の姿へと変貌した。
「キイイイイィィィィッ!」
それは複数の怪獣のパーツが組み合わさって一個の怪獣の形となっている、ゼロも才人も
見覚えのある怪獣であった。暴君怪獣タイラントだ!
タイラントは既に倒したことがあるが、油断はならない。一冊目のゼットンの例がある。
あの時のようにイレギュラーな事態が発生するかもしれないし、暗黒宇宙の帝王ジュダが
その手で作り上げた怪獣が簡単に行くとは思えない。
果たして、ジュダは生み出したタイラントに向けて告げた。
『合体獣タイラントよ、お前にわしの力を授けよう!』
ジュダの両目から暗黒のエネルギー光線が放たれ、タイラントに吸収された。
その途端、タイラントに異変が発生する!
「キイイイイィィィィッ!」
『うおッ!?』
その全身が激しくスパークしたかと思うと、メリメリ音を立てて膨れ上がり、また変形を起こす。
そうして瞬く間に、体高がゼロの二倍近くにまで巨大化した。
「キイイイイィィィィッ!!」
ただ巨大化しただけではなく、肉体にゴモラの後ろ足とジェロニモンの羽根飾りが追加され、
ケンタウロスを思わせるような体型に変化を果たしていた。この姿を目の当たりにしたゼロが
舌打ちする。
『くッ……EXタイラントか!』
『ゆけぇッ、タイラントよ! ウルトラ戦士を叩き潰し、地球を滅茶苦茶に破壊してやるのだぁぁぁッ!』
「キイイイイィィィィッ!!」
ジュダのエネルギーを得てはるかにパワーアップしたEXタイラントが左腕を振り回す。
すると鎖が伸びて鉄球自体が飛んできて、ゼロを横殴りした。
『うあぁぁッ!』
鉄球だけでもすさまじい質量。攻撃を食らったゼロが大きく吹っ飛ばされて、山肌に叩き
つけられた。
『つぅ……! 半端じゃねぇパワーだ!』
「キイイイイィィィィッ!!」
うめいたゼロにタイラントは四本の足で地響きを起こしながら突進してくる。自分の倍以上の
巨体が突っ込んでくるのはものすごい迫力だが、ゼロはひるまなかった。
ウルトラの星では、タロウがジュダを倒すための特訓を今もなお続けている。彼がやり遂げる
ことを信じて、今は自分がEXタイラントの暴威を食い止めるのだ。
『おおおぉぉッ!』
ゼロは鬨の声を上げて、タイラントに自分から向かっていった。
ゼロが必死に戦っている頃、別の場所に現れた怪獣たちは、ウルトラ五兄弟が相手をしていた。
「ギャアアアアアアアア――――――!」
「ヘッ!」
コスモリキッドの相手をしているのはゾフィーだ。ゾフィーはコスモリキッドにチョップ、
キックを繰り出すが、肉体が液体に変化する能力を持つコスモリキッドには打撃が全てすり抜けて
しまい、全く効果がない。逆に殴打を食らって地面を転がる。
「ギャアアアアアアアア――――――!」
通常攻撃を全て無効化する恐ろしい怪獣。普通なら勝ち目などないと絶望してしまうだろうが、
ウルトラ兄弟長兄にして宇宙警備隊隊長のゾフィーは、持ち前の冷静な頭脳によって既にコスモリキッドを
倒す作戦を思いついていた。
「ウルトラフロスト!」
伸ばした両腕の指先から、猛烈な冷却ガスを噴出。それをコスモリキッドに浴びせる。
「ギャアアアア……!」
ガスを浴びたコスモリキッドはたちまち凍りつき、一歩も身動きが取れなくなった。液体の
怪獣なので、全身が凍りついてしまえば全く動くことが出来なくなってしまうのだ。
そしてゾフィーはとどめとして稲妻状の光線、Z光線を撃ち込む。これによってコスモリキッドは
瞬時にバラバラに砕かれた。全身を凍らされた上で粉微塵にされては、コスモリキッドもどうする
ことが出来なかったのだった。
「アハハハハハハ! アーハハハハハハハハ!」
「ヘアァッ!」
他方ではウルトラマンエースがライブキングを激しく殴り合っていた。エースは相手のボディに
重いパンチを何発も見舞うが、タフネスに優れるライブキングは全く以て平気な顔であった。
エースはライブキングに突き飛ばされる。
「アハハハハハハハハ!」
「ダァッ!」
立ち上がったエースは額のランプに両手を添えて、パンチレーザーを発射。レーザーは
ライブキングの口内をピンポイントで撃つ。
口の中を攻撃されてはライブキングもひとたまりもない……そう思うかもしれないが、
それでもライブキングはまるでへっちゃらだった。
「アーハハハハハハハハハッ!」
ライブキングは再生怪獣。心臓さえ無事なら、そこからでも完全復活が出来るほど生命力が
強い肉体は、攻撃を受ける端から回復してしまうので、まともに攻撃していても焼け石に水なのだ。
エースも手がないかと思われたが……それは違う。エースはライブキングに肉薄すると、
その巨体を頭上に抱え上げる。強力な投げ技、エースリフターだ。
「イヨォッ! テヤァッ!」
投げ飛ばして地面に叩きつけたライブキングは、さすがに一瞬動きが止まって隙が生じる。
エースはそれが狙いだった。
「ヘアッ!」
合わせた手の平から液体を噴出し、ライブキングに浴びせかける。そうするとライブキングの
肉がドロドロと溶けていく。
エースが放っているのはただの液体ではない。怪獣の身体もこのように溶かしてしまうほどの、
非常に溶解性の強いものだ。普通の攻撃が通用しないような相手のために開発した技、ウルトラ
シャワーである。
ライブキングも肉体を跡形もなく溶かされては、再生することはかなわない。やがて完全に
溶解されて消滅したのであった。
「ゲエエオオオオオオ!」
「シェアッ!」
ウルトラマンはムルロアを相手に取っていた。が、宇宙大怪獣であるムルロア相手にかなりの
苦戦を強いられていた。
「ゲエエオオオオオオ!」
「ウアァッ!」
ムルロアは身体中に生えた管から大量の黒い煙を噴射しながらウルトラマンに体当たりして
突き飛ばす。更に口から鋼鉄もあっという間に溶かす強力な溶解液を飛ばしてきて、ウルトラマンは
危ないところでかわした。
ムルロアが噴出する煙は光を完全に閉ざしてしまい、現実世界では地球全体がムルロアの
煙に覆われて太陽光を遮断されてしまったこともあった。光の種族たるウルトラ戦士にとっても
この特性は非常に危険であるため、ウルトラマンはまだ煙の量が少ない今の内にどうにかしなければ
ならないと判断する。
「ゲエエオオオオオオ!」
「ヘッ! ダァッ!」
そしてムルロアの一瞬の隙を突いて、ウルトラアタック光線を照射。これが命中したムルロアは
身体が硬直する。
この間にウルトラマンはムルロアに駆け寄って、巨体をあらん限りの力で抱え上げた。
「ヘアァッ!」
持ち上げたムルロアを天高く放り投げ、ウルトラ念力を集中して爆破させた。ムルロアは
危ないところで、ウルトラマンの作戦によって撃破されたのだった。
「キイイィィィィィ!」
「ダァーッ!」
ムカデンダーと戦っているのはウルトラセブンだ。セブンはムカデンダーの振り回す右手の指が
変化したムチをかわし、アイスラッガーを投擲してムカデンダーの首を綺麗に切り落とした。
簡単に決着がついたかと思われたが、切断されたムカデンダーの首は何と独立して動き、
セブンの肩に噛みついてきた!
「グワァーッ!」
これがムカデンダーの最大の特徴と言ってもいい特殊能力。首が胴体と別々に行動することが
可能で、その変則的な動きに敵は惑わされるのだ。
だがセブンは歴戦の戦士。このような小細工で狼狽えたりはしなかった。
「デュッ! ジュワァッ!」
「キイイィィィィィ!」
素早くムカデンダーの首を捕らえて肩から引き離し、頭部に何度も拳骨を浴びせる。すると
首が物理的に離れていても感覚はつながり続けている胴体が苦しんでドタバタもがいた。
大きくひるんだムカデンダーの首をセブンは空高く投げ飛ばし、エメリウム光線を発射!
「ジュワッ!」
首は空中で爆発。残った胴体も、L字に曲げた右腕の手刀から発したハンディショットで粉砕した。
ウルトラマンジャックはドロボンと一対一の決闘を繰り広げていた。
『うおおおおお―――――!』
「アァッ!」
しかしジャックはドロボンの金棒によって滅多打ちにされる。意外かもしれないが、ドロボンは
ZATに「エネルギー量ならこれまでの怪獣の中で一番」と評されたほどのパワーを有しているのだ。
その圧倒的攻撃力にはジャックも大いにてこずらされていた。
「ウアァッ!」
金棒の突きでジャックは大きく吹っ飛ばされ、大地の上を転がった。ジャックはこのまま
やられてしまうのか?
いや、ジャックにも強力な武器があるのだ。立ち上がった彼は左手首に嵌まっているそれを
手に取った。セブンから授けられた、あらゆる宇宙怪獣と互角に戦えるウルトラの国のスーパー
兵器、ウルトラブレスレットである!
「ジェアッ!」
ジャックはブレスレットをウルトラスパークに変形させて掲げると、まぶしい閃光が焚かれ、
それを浴びたドロボンの動きが一瞬停止した。
その隙に投擲されたウルトラスパークが宙を飛び、悪を断つ刃となってドロボンの右腕、
左腕、そして首を瞬く間に斬り落とした。崩れ落ちたドロボンの肉体はエネルギーが暴走して
爆破炎上する。
「シェアッ!」
ドロボンを討ち取ったジャックは空に飛び上がり、EXタイラントに苦戦しているゼロの元へと
急行していった。他の兄弟たちもまた、同じようにゼロの元を目指して飛行していた。
『だぁぁぁッ!』
「キイイイイィィィィッ!!」
ゼロは果敢にEXタイラントにぶつかっていくが、如何せん体格差が違いすぎる。ゼロは
ひと蹴りで弾き飛ばされてしまった。
『ぐぅッ……だが負けねぇぜ……! タロウが必ずここに来てくれる!』
そのことを信じてめげずに戦い続けるゼロ。そんな彼に応援が駆けつけてくれた。
「シェアッ!」
『あッ! ウルトラ兄弟だ!』
才人が叫んだ通り、ゾフィーからエースまでのウルトラ五兄弟が到着したのだ。彼らは
EXタイラントに向けて、M78光線、スペシウム光線、ワイドショット、シネラマショット、
メタリウム光線の必殺光線一斉発射攻撃を加えた。
「キイイイイィィィィッ!!」
だがタイラントは五人分の光線を、ベムスターの腹で吸い込んでしまい、ダメージを
受けなかった。これにはウルトラ兄弟も動揺を覚える。
『フハハハハ! このジュダ様の力、思い知ったか! 貴様らウルトラ戦士を、地球ごと
粉砕してくれるわぁッ!』
勝ち誇って豪語するジュダ。偉大なウルトラ兄弟の力が加わっても、EXタイラントを倒す
ことは出来ないのか?
だがその時、この戦場に彼方から赤い火が迫り来る! それを見上げたゼロが歓喜に震えた。
『来た! 遂に来たか! タロウッ!』
その言葉の通り、赤い球の中から現れたのはウルトラマンタロウだ! 彼はゼロや兄弟たちに
一番に告げる。
「お待たせしました! 特訓を終え、ジュダを倒せる力を習得してきました!」
『よくやったぜ! そんじゃあ……!』
タロウが駆けつけたことで気合いを入れ直したゼロが、EXタイラントに振り返る。
『俺も師匠としてひと踏ん張りしねぇとな! はぁぁぁぁぁッ!』
気勢とともに空高くに跳躍し、全力のウルトラゼロキックを繰り出す! 流星のような
飛び蹴りがタイラントの脳天に命中した。
「キイイイイィィィィッ!!」
さすがのタイラントも、頭蓋に強い衝撃をもらったことで動きが弱った。
『よし、今だ!』
「はい! 兄さんたち、お願いしますッ!」
この間にタロウは、兄たちのエネルギーをウルトラホーンに集めた! 五人のウルトラ戦士の
身体が消え、タロウと一つに合体する。
「むんッ!」
タロウは、兄たちのエネルギーを全てウルトラホーンに吸収し、スーパーウルトラマンとして
立ち上がったのだ!
『タイラントよ、タロウを倒せぇッ!』
「キイイイイィィィィッ!!」
ジュダはEXタイラントをタロウにけしかける。しかしウルトラ六兄弟の力を一つにした
タロウは計り知れないパワーを全身にみなぎらせて、それを迎え撃つ。
「たぁぁッ!」
タロウのジャンピングキックがタイラントに炸裂。すると体格ではるかに上回っているはずの
タイラントが押し返されたのだ!
『すげぇ!』
ゼロたちはその光景に驚愕した。六兄弟の力が合わさると、純粋なパワーでもあれほどの
大怪獣を凌駕するほどになるのか。
「キイイイイィィィィッ!!」
タイラントは鉄球を飛ばして反撃してくるが、タロウは手の平で鉄球を打ち払った。そして
両腕をT字に組み、ストリウム光線を発射。
「とあぁーッ!」
タイラントの顔面に直撃したストリウム光線は、炸裂を引き起こしてタイラントに大ダメージを
与えた。
タロウは圧倒的なパワーでタイラントを追い詰めていく。だがジュダがそれに黙っていなかった。
『このままでは済まさんぞぉ! 最後の手段だッ! タイラントよ!!』
「キイイイイィィィィッ!!」
命令を受けたタイラントが鉄球を飛ばす。だが矛先はタロウでもゼロでもなく、はるか天空だ。
「何をする気だ!?」
伸びていく鎖は途中で止まり、引き戻される動きとなる。そうして雲の向こうから戻ってくる
鉄球は……何と巨大な隕石に突き刺さって、地表に向けて引きずり落としていた!
「!! あれを地球に落とすつもりかッ!」
『地球もろとも、宇宙の藻屑となれぇぇぇぇッ!』
巨大隕石が地球に落下したら、どれだけの犠牲者が出るか分かったものではない。とんでもない
ジュダのあがきだ。
しかしゼロはそれをみすみす許したりはしなかった。ゼロスラッガーを胸部に接続しながら
タロウに呼びかける。
『タロウ、隕石は俺が破壊する! お前はタイラントとジュダを倒すんだ!』
「はいッ!」
ゼロは上空から落下してくる隕石に向かって、ゼロツインシュートを発射!
『でぇあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――――ッ!』
気合い一閃、超絶破壊光線が鉄球ごと隕石を粉砕し、地上に影響が出ることはなかった。
そしてタロウは右腕の先から脇腹に掛けての広い範囲から、M78星雲史上最強の必殺光線を、
満を持して放った!
「コスモミラクル光線!!」
光線はEXタイラントに叩き込まれ――一瞬にして爆発四散せしめた!
『ぐわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああッ!!』
暗黒宇宙で、タイラントの撃破と同時に己の闇のエネルギーも強い光のエネルギーでかき消された
ジュダが、断末魔を発しながら消滅したのだった。
EXタイラントとジュダに勝利したタロウが合体を解き、ウルトラ兄弟がタロウの前に現れる。
「兄さんたち、ありがとう!」
ウルトラ兄弟はおもむろにうなずき、タロウの健闘を称えた。
次いでタロウは、ゼロに向き直って彼にも礼を告げる。
「ゼロさんも、今まで本当にありがとうございました。私たちの勝利は、あなたがいたからこそです」
『なぁに、どうってことないさ。ウルトラ戦士は助け合いだからな』
気さくに返したゼロが踵を返す。
『ここはもう大丈夫だ。俺は旅の続きに戻るぜ』
「もう行かれるのですか? せめて、ウルトラの星で改めてお礼を……」
『それには及ばねぇっての。俺は風来坊さ。一つの戦いが終われば、またどこかで俺の助けを
求めてる人がいるところにひとっ飛びするのが俺の生きる道なんだ』
ゼロは去り際に、タロウに首を向けてサムズアップした。
『じゃあなタロウ。平和になったお前たちの世界、ずっと見守ってるぜ』
本の外からな、とゼロは心の中でつけ加えた。
「はい! 私もゼロさんのご健闘を、ずっとお祈りしてます!」
『へへッ……そんじゃあ、達者でな!』
タロウたちウルトラ六兄弟に見送られながら、ゼロは地球を――この本の世界を後にしたのであった。
――『ウルトラマン物語』も完結させた才人が、今回もまた無事に現実世界に帰ってきた。
「これで半分だ……。そろそろルイズに変化が起きてもいいんじゃないか?」
そんな才人の独白に応じるかのように、ルイズの方からかすかに声が聞こえた。
「ん……」
「ルイズ!?」
顔を向けると、それまでずっと眠り続けていたルイズがゆっくりと上体を起こしたのだった。
これに才人たち一同は驚き、安堵した。
「ルイズ、よかった……。やっと目を覚ましたんだな!」
「ミス・ヴァリエール……おはようございます。ご無事にお目覚めになられて、わたし安心しました……」
「ほんとよかったのねー! 一時はどうなることかと思ったのね」
「パムパム!」
才人たちは感激してルイズに呼びかけたが、ルイズはぼんやりと彼らの顔を見つめ返していた。
「ルイズ? 起き抜けで頭がはっきりしてないのか?」
訝しんだ才人が近寄ろうとするのを、タバサが制した。
「待って。様子が変」
タバサのひと言の直後に、ルイズは才人たちに対して、このように尋ねかけた。
「あなたたちは……誰ですか?」
「え……?」
それに才人たちは思わず固まってしまった。シエスタが戸惑いながら聞き返す。
「ど、どうしたんですかミス・ヴァリエール? 長く眠り過ぎて、ぼけちゃいましたか?」
「ミス・ヴァリエール……? それが、わたしの名前ですか……?」
「もう、何言ってるのね? こんな時に冗談はよすのね!」
シルフィードが大きな声を出すと、ルイズはビクッ! と身体を震わせて縮こまった。
「ご、ごめんなさい! わたし、何か悪いことしましたか……?」
「え、え……?」
普段のルイズからは想像もつかないほど怯え切った様子に、シルフィードも唖然とする。
タバサはルイズを脅かしたシルフィードをポカリと杖で叩いて、言った。
「ルイズは記憶を失ってる。……まだ戻ってない、と言った方がいいかもしれない」
「そ、そんな……」
呆然と立ち尽くす才人。一方でルイズは、周りのもの全てに怯えているかのように震えた。
「わたし、分からないんです……。自分の名前も……どんな人だったのかも……」
どうやら、『古き本』の攻略はまだ続けなければいけないようだ。
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