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#navi(ウルトラマンゼロの使い魔)
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#settitle(第七十話「アルビオン氷河期」)
ウルトラマンゼロの使い魔
第七十話「アルビオン氷河期」
隕石小珍獣ミーニン
冷凍怪獣マーゴドン
凍結怪獣ガンダー
宇宙海獣レイキュバス
冷凍怪獣シーグラ 登場
「……はい。こちらもひどい吹雪でございます、陛下」
ウエストウッド村からそう離れていない地点。ガンダーとマーゴドンの二大冷凍怪獣の引き起こす
猛吹雪によって大地は雪に埋まり、元がどんな地形だったのかは皆目見当がつかない。
その雪原の上に、ローブで全身を包んだ女が雪と風に煽られながらたたずんでいた。かつてアルビオンに
潜入していた謎の女、シェフィールドである。
彼女は傍目から見たら、独り言を唱えているように見える。だが実際は違う。テレパシーとも
言うべき能力によって、ある人物と連絡を取り合っているのだ。
「ガーゴイルを用いたとしても、前に進むだけでも困難な状態です。真に申し訳ありませんが、
仰せつかった“始祖の祈祷書”の回収の任、開始できそうにありません……」
本当に心底罪悪感を抱えている様子で、シェフィールドは謝罪した。
彼女はルイズの持つ“始祖の祈祷書”を強奪する目的で再びアルビオンに現れたのだ。
しかし、行動に出ようと考えていた今日この日に、折悪しく怪獣による異常気象が発生した。
そのためにルイズを見失い、任務遂行が不可能な状態に陥ったのだった。
シェフィールドの脳内に、連絡相手の声が響く。
『それは真に残念であるな。しかし、そんな巡り合わせの悪い日もある。よい、我がミューズよ。
祈祷書の奪取は打ち切り、我が元へ帰ってくるのだ』
「い、いえ。この吹雪がやんでから、改めて虚無の担い手を捜索することは出来ます。陛下がひと言
お命じ下されば、このシェフィールド、必ずや成し遂げてご覧にいれます」
『いや、余の気分が変わったのだ。単に“秘宝”と“指輪”を集めて眺めるより、“虚無”対“虚無”の
対局を指すことにした。その方が面白そうだ。故に必要はない。それに何より……そんな寒い場所に長々と
立たせて、お前が風邪を引いたりしたら心苦しい』
相手の最後の方の言葉を聞いて、シェフィールドは顔を輝かせた。容貌に似つかわしくない、
恋をする少女の顔だった。
「あ、ありがたきお言葉です! ではすぐにあなたさまの御許に馳せ参じます……ジョゼフさま!」
シェフィールドは懐から小さな人形を取り出し、それを足元に放った。
人形は一瞬にして羽を生やした大型の魔法人形ガーゴイルに変化し、シェフィールドは
その背にまたがった。シェフィールドを乗せたガーゴイルは飛び上がり、風に逆らいこの場から
飛び去っていった。
知らず知らずの内にシェフィールドに狙われていたルイズであったが、彼女は現在、行方不明の
才人を捜す旅を行っていた。自責の念から一度は自殺も考えたが、ゼロたちとの生活の中で命の
大切さを知った彼女は、自らの命を絶やすその行為が大罪であることを悟り、前を向いて生きることを
遂に発起したのだ。
そう、まだ確実に死んだとは言い切れない才人の行方を捜し出すことを決めたのだ。そのために、
自分を心配してわざわざ様子を見に来たシエスタをお供にして、馬車の旅に出た。
が、しかし、ウエストウッド村に近づいたところで、怪獣たちの猛吹雪に襲われてしまった。
馬は凍死してしまい、ルイズとシエスタは雪の真っ只中に立ち往生するという最悪の状況に
見舞われているのだった。
「うぅ、さ、寒いわ……」
ガチガチと歯を鳴らすルイズ。ありったけの防寒具を着込んでいるが、それが役に立たないほど
気温が低下しているのだ。
顔が青ざめるルイズを、シエスタが励ます。
「ミス・ヴァリエール、しっかりして下さい! 眠ってはいけません。雪の中で眠ったら
命はありません!」
「う、うん……。シエスタ、あなた体力あるのね……」
「田舎育ちですから。このぐらい、なんてことありませんわ」
と言うシエスタだが、実際にはこれは強がりであった。本当は彼女も苦しい。しかしルイズを
激励するために、平気なように振る舞っているのだった。
「この幌馬車、雪の中に埋まりかけてます。このままでは生き埋めですわ。まずは脱出しましょう」
「ええ……」
荷物を持っていく余力はない。二人は着の身着のままで馬車から外へと抜け出した。その直後に、
馬車は幌に積もった雪の重みで押し潰された。
「危ないところでしたね。でも、ここからどうすればいいか……」
さすがに困惑するシエスタ。自分たちの発った町から、もう大分距離があるところに来ているので、
そこに引き返すというのは難しすぎる。この吹雪の中では、方向が分からなくなって遭難することも
十分にあり得る。
一方でルイズは、自分たちの目の前にある森の入り口を見やった。ウエストウッドの森だ。
「確か、この森の中に村が一つあるって話を町で聞かなかったかしら?」
「え? ええ……何でも、身寄りを亡くした子供たちが寄り集まって暮らしてる小さな村があるとかないとか。
でも、人の行き来が滅多になくてほとんど忘れられたところみたいですが……」
「そういう場所にいるんだったら、今の今まで行方不明のままでもおかしくないわね。いえ、それより
今は人のいる場所へ行きましょう。このままじゃ、二人とも凍え死んでしまうわ」
「そうですね……。本当に村があることに賭けましょう!」
ルイズとシエスタは、自分たちが生き残るために森の中へと歩を進めた。
「ガオオオオオオオオ!」
「プップロオオオオオオ!」
マーゴドンとガンダー、二体の怪獣の姿が、才人たちの目にしっかりと飛び込んだ。吹雪の中で
暴風のうなりにも負けないほどの咆哮を上げる怪獣たちの様子は、まるでこちらを挑発しているかのようだった。
怪獣たちの威容を目の当たりにして、子供たちはミーニンやティファニアにしがみついて
大いに震え上がる。ティファニアは彼らを落ち着かせるのに必死だ。
「あいつらの仕業だったんだな……!」
一方で、グレンと才人はガンダーたちを強くにらみつける。この吹雪は自然の天候ではない。
奴らをどうにかしない限りは、自分たちはもちろん、ハルケギニア中の人々が助からないだろう。
しかも、ガンダーはこちらに歩み寄ってきているようであった。ウエストウッド村を踏み潰すつもりか!
「このまんまじゃやべぇぜ! 俺が怪獣を遠ざける!」
そう叫んで家から飛び出していこうとするグレンに、ティファニアが驚愕した。
「そ、そんなの危険すぎます! こんな猛吹雪の中、無謀ですよ!」
事情を知らない者から見れば、グレンの行動はそう見えるだろう。しかし彼の本当の姿は、
熱く燃えたぎる炎の戦士なのだ!
「任せてくれって! みんなはどうにか自分たちの身を守っててくれよ!」
「グレン! 俺も……!」
才人が名乗り出ようとしたが、グレンに手で制された。
「お前はここの嬢ちゃんと子供たちを守ってやってくれ」
でも、と言いかけた才人だが、続きを口に出せなかった。ウルトラマンゼロになれない
今の自分に、巨大怪獣と戦える訳がない。
戸惑っている間に、グレンは素早く玄関から飛び出ていった。
雪原に飛び出すと、グレンは早速変身を行う!
「うおおおぉぉぉぉぉッ! ファイヤァァァァァ―――――――ッ!」
燃え盛る炎の勢いで一気に巨大化し、グレンファイヤーへと変貌した! 赤き戦士が
立ちはだかったことで、ガンダーは足を止めて警戒する。
『とぁッ!』
『むんッ! ジャンファイト!』
更にはミラーナイト、ジャンボットも駆けつけ、グレンファイヤーの左右に並び立った。
『お前たちも来たのか!』
『この一大事、何もしない訳にはいきませんよ』
『今変身の出来ないサイトたちには、指一本とて手出しはさせん!』
頼れる二人の仲間の登場でグレンファイヤーの心はますます燃え上がった。
『こんな寒々しい景色、ぶっ飛ばしてやるぜ! ファイヤァァァ―――――――!』
手の平から火炎放射を飛ばすグレンファイヤー。吹雪と極低温にも負けない灼熱の炎は、
ガンダーをひるませマーゴドンをたじろがせる。
『よぉし、行くぜぇぇぇぇぇぇッ!』
敵をひるませたことで、グレンファイヤーは一気に畳みかけようと駆け出した! 雪原を踏み越え、
ガンダーに猛ラッシュを食らわせようと迫る。
だが途中で、足下の雪から赤い巨大なハサミが飛び出してきた!
『うおわぁぁぁぁッ!?』
『グレン!?』
『グレンファイヤー!』
足をはさまれて前のめりに倒れるグレンファイヤー。ミラーナイトとジャンボットは動揺する。
「グイイイイイイイイ!」
雪の中からハサミがせり出してくる。その正体は、左右で大きさの不揃いなハサミを生やした、
角ばった甲羅を持つカニとエビを足したような甲殻類型怪獣……!
かつてウルトラマンダイナをギリギリまで追い詰めた恐るべき宇宙海獣、レイキュバスだ!
『くっ、こんな奴までいやがったのか!』
グレンファイヤーは足を掴むハサミを振り払うが、起き上がったところにレイキュバスが
冷凍ガスを浴びせてくる。
『ぐわあああぁぁぁぁッ!』
その攻撃に悶え苦しむグレンファイヤー。レイキュバスの冷凍ガスはウルトラ戦士の巨体も
一瞬で凍りつかせるほどの恐ろしい威力がある。たとえ炎の戦士のグレンファイヤーといえども、
ただでは済まない!
『グレンファイヤーが危ない!』
ミラーナイトが援護攻撃をしようとしたが、そこに吹雪の間から飛び出してきた、上顎から
太い牙を剥き出しにした恐竜型怪獣が襲いかかってきた。
「ギャァァァアアア!」
『むッ! はぁッ!』
反射的に喉にチョップを叩き込んで返り討ちにするミラーナイト。だが恐竜型怪獣はミラーナイトの
周囲から更に三体も現れ、口から冷凍ガスを吐き出して攻撃してくる!
「ギャァァァアアア!」
『なッ! こんなに怪獣が……うあぁぁッ!』
三方向からの攻撃にどうにも出来ずに、ミラーナイトの身体が凍りついていく。
この怪獣たちの名はシーグラ! シーグラもまた冷凍怪獣である!
『グレンファイヤー! ミラーナイト! 今助け……!』
「プップロオオオオオオ!」
劣勢に立たされる二人を救援しようとするジャンボットにも、ガンダーが襲いかかる。
宙を滑空しながらドリル状の爪でジャンボットの肩を切り裂く!
『ぐわッ! くぅッ、思うように動けん……!』
ジャンボットたちの劣勢は、数の差だけが理由ではない。極低温の猛吹雪の中という、
相手に圧倒的有利な環境でその力を十全に発揮することが出来ないからだ。
『まずは吹雪をどうにかしなければ……!』
ジャンボットは高性能センサーを働かせて、事態打開のためのデータを収集した。
その結果、吹雪の中心がマーゴドンであることが判明。マーゴドンを叩けば、状況は好転するに違いない!
『よし! ジャンミサイル発射ッ!』
そうと分かったジャンボットの行動は早かった。ミサイルを一斉に飛ばし、マーゴドンへと炸裂させる!
その爆発と熱でマーゴドンにダメージを与えるはず……。
「ガオオオオオオオオ!」
しかしミサイルの爆発はマーゴドンの身体に吸い込まれていき、火花は瞬く間に消え去ってしまった!
『な、何だと!?』
マーゴドンの冷凍能力は数々の怪獣の中でも頂点に君臨するレベル。あらゆるエネルギーは
絶対零度の肉体に吸収され、ゼロにされてしまうのだ! マーゴドンに爆撃は効かない!
『くッ、どうすれば……ぐわぁぁぁッ!』
「プップロオオオオオオ!」
ジャンボットが逆転の一手を考えつく前に、ガンダーが冷凍ブレスを食らわせた上に張り倒した。
横転したジャンボットは回路が凍りついて、立てなくなってしまった!
ゼロのいないウルティメイトフォースゼロは、冷凍怪獣軍団の前に絶体絶命の窮地に追いやられた!
「み、みんなが危ない……!」
三人のピンチを、才人も目の当たりにしていた。焦燥を覚える才人だが、彼らを助ける方法は
何も思い浮かばない。何せ、頼みの綱のゼロは未だに覚醒していないのだ。
(くそぉッ……! どんなに訓練したって、人間の身じゃいざという時に何の役にも立たない……!
やっぱり、俺に出来ることなんて何もないのか……!?)
激しい無力感に打ちのめされ、目の前が真っ暗になりそうな才人。
だが、ふと倒れているジャンボットの姿が目に入る。
その時、才人に電流が走った!
(そ、そうだ! これが上手く行けば……!)
才人の脳内に、逆転の手段が浮かび上がったのだ!
しかしそれを実行するのには、大変な危険がある。果たして自分に、その危険を突破する
力があるのか……。ほとんど無謀な行為なのだ……。
悩んでいたら、後ろの子供たちとティファニアの声が耳に入った。
「テファお姉ちゃん……眠い……」
「ね、寝ちゃ駄目よ! 気をしっかり持って! お願いだからッ!」
子供たちの体力は限界のようだ。
それを知った時、才人は決心した!
(力があるのかとか、危険がどうとか、そんなことじゃない! あの子たちの命が消えかかってる!
それを救わなくちゃいけない! そうしなきゃ、俺は本当に駄目な人間になる!)
瞳に光を灯し、デルフリンガーを背負ってマントを勢いよく羽織った!
(俺は男だ! 人間だ! どんな敵が立ちはだかろうと――勇気を胸に、立ち向かってみせるッ!)
玄関の扉に手をかける才人に、ティファニアが慌てて呼びかけた。
「サイト、何をするの!?」
「行ってくる。今みんなを救うことが出来るのは、俺しかいないんだ」
「む、無理よ! 死にに行くようなものだわ! お願い、やめて!」
必死に制止するティファニア。だが才人の心は、もう変わらないのだ。
「無理なことなんてない! 俺は、諦めない! 不可能を可能にするッ!」
そして一気呵成に吹雪の中へ飛び出していった!
「サイトぉぉぉぉぉ―――――――――――!」
ティファニアの絶叫を背にして、才人は吹雪に逆らい駆けていく。暴風は彼を枝きれのように
吹き飛ばそうと襲い来るが、才人の身体は前へ前へと進んでいく。
(こんな逆風の中で、身体が動く……! グレンに鍛えてもらったからだ! グレン、ありがとう!)
己の肉体が逆風に負けないことを、グレンファイヤーの課した特訓の成果だと才人は考えた。
しかしそれだけが理由ではない。
今の才人の心の中に、雪と氷に負けない熱い勇気と使命感が燃えているからだ!
「くッ……けれど、さすがに目を開けてるのは難しいな……!」
足は動いても、目に雪が入ってくるのは防ぎ難い。才人が視界の確保に苦しんでいると、
背にしているデルフリンガーが呼びかけた。
「相棒、俺がジャンボットまでの方角を指示してやらあ。俺には目ン玉がないからな、雪は関係ねえのよ」
「そうか! ありがとう、デルフ!」
「こんくらいのこと、礼を言われるまでもねえぜ」
デルフリンガーのお陰で、方向を見失うことはない。才人は感謝するとともに、デルフリンガーが
一緒にいてくれることでもっと勇気をたぎらせた。
(俺は一人じゃない……! 一人じゃないなら、何だってやれる気分だ!)
だが、雪中を突き進む才人にガンダーが容赦なく襲いかかってきた!
「プップロオオオオオオ!」
「相棒危ねえ! 伏せろッ!」
デルフリンガーの指示でその場に身をかがめる才人。ガンダーがその上スレスレを通り過ぎていく。
『サイト!?』
『くそッ、あの野郎サイトを……!』
ミラーナイトとグレンファイヤーは、才人が外に出ていることに驚き、彼を狙うガンダーをにらみつけた。
しかしレイキュバス、シーグラの猛攻をしのぐのに手いっぱいで、彼を助けに行くことは出来ない。
「プップロオオオオオオ!」
着地したガンダーはなおも才人をつけ狙う。
巨大怪獣に狙われ、追われる恐怖。それは生身の人間には耐えられないほどの、大きすぎる恐怖だ。
心臓が張り裂けてもおかしくないような。
しかし才人は立ち止まらない!
「相棒、走り続けろ! ジャンボットのとこまでたどりつけりゃあ勝ちだ!」
「言われるまでもないぜ!」
才人の勇気は、巨大な恐怖を打ち払うほどに強くなっているのだ!
そして才人は走る。執拗に追ってくるガンダーが振り下ろす爪を、吐き出す冷凍ブレスをギリギリの
ところでかわし続けながら。一歩間違ったら即あの世行きの、あまりにも危ない橋。その上を駆け抜けていく。
苦しくない訳がない。無理のある回避行動を取りながら前に進むので、脚はパンパン、筋繊維は悲鳴を上げる。
心臓は物理的に破れそうだ。だがその苦しみを、腹にくくった思い一つで抑えつける。
「負けるか……! 人間はッ! お前たちなんかに負けなぁぁぁぁいッ!」
そうして気がついた時には――横たわったジャンボットの顔が目前にあった!
才人は即座にジャンボットに呼びかける。
「ジャンボット! 意識はあるか!?」
『サ、サイトか……!? よくここまで……』
「俺をお前のコックピットに入れてくれ! その力を……俺に貸してくれッ!」
才人の言葉が届き、ジャンボットになけなしの力が宿った。
『力を借りるのは、私の方だッ!』
転送光線が才人を包み、次の瞬間には才人の身体はジャンボットのコックピット内にあった。
「プップロオオオオオオ!」
ガンダーは才人を内部に収めたジャンボットへ詰め寄り、鋭い爪を振り上げる。このままでは、
ジャンボットはズタズタに引き裂かれておしまいだ!
しかしその直前、コックピットの中央に立った才人がファイティングポーズを取り、力いっぱいに叫んだ!
「ジャァァァンッ! ファァァァァァァァァイトッ!!」
ガンダーの爪が振り下ろされる!
……その顔面に、ジャンボットの鉄拳がめり込んだ!
「プップロオオオオオオ!」
仰向けに傾き、雪の上に倒れ込むガンダー。それとは反対に、鋼鉄のボディと『心』を持った武人は身を起こした!
『うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!』
システム再起動。回路は瞬時に正常に戻り、黄色い眼に光が灯る!
「行こう、ジャンボット! みんなを救いにッ!!」
冷凍怪獣にも消すことの出来ない勇気の炎を内にしたジャンボットが、雄々しき機体を立ち上がらせたのだ!
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#navi(ウルトラマンゼロの使い魔)
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#settitle(第七十話「アルビオン氷河期」)
ウルトラマンゼロの使い魔
第七十話「アルビオン氷河期」
隕石小珍獣ミーニン
冷凍怪獣マーゴドン
凍結怪獣ガンダー
宇宙海獣レイキュバス
冷凍怪獣シーグラ 登場
「……はい。こちらもひどい吹雪でございます、陛下」
ウエストウッド村からそう離れていない地点。ガンダーとマーゴドンの二大冷凍怪獣の引き起こす
猛吹雪によって大地は雪に埋まり、元がどんな地形だったのかは皆目見当がつかない。
その雪原の上に、ローブで全身を包んだ女が雪と風に煽られながらたたずんでいた。かつてアルビオンに
潜入していた謎の女、シェフィールドである。
彼女は傍目から見たら、独り言を唱えているように見える。だが実際は違う。テレパシーとも
言うべき能力によって、ある人物と連絡を取り合っているのだ。
「ガーゴイルを用いたとしても、前に進むだけでも困難な状態です。真に申し訳ありませんが、
仰せつかった“始祖の祈祷書”の回収の任、開始できそうにありません……」
本当に心底罪悪感を抱えている様子で、シェフィールドは謝罪した。
彼女はルイズの持つ“始祖の祈祷書”を強奪する目的で再びアルビオンに現れたのだ。
しかし、行動に出ようと考えていた今日この日に、折悪しく怪獣による異常気象が発生した。
そのためにルイズを見失い、任務遂行が不可能な状態に陥ったのだった。
シェフィールドの脳内に、連絡相手の声が響く。
『それは真に残念であるな。しかし、そんな巡り合わせの悪い日もある。よい、我がミューズよ。
祈祷書の奪取は打ち切り、我が元へ帰ってくるのだ』
「い、いえ。この吹雪がやんでから、改めて虚無の担い手を捜索することは出来ます。陛下がひと言
お命じ下されば、このわたくしめが、必ずや成し遂げてご覧にいれます」
『いや、余の気分が変わったのだ。単に“秘宝”と“指輪”を集めて眺めるより、“虚無”対“虚無”の
対局を指すことにした。その方が面白そうだ。故に必要はない。それに何より……そんな寒い場所に長々と
立たせて、お前が風邪を引いたりしたら心苦しい』
相手の最後の方の言葉を聞いて、シェフィールドは顔を輝かせた。容貌に似つかわしくない、
恋をする少女の顔だった。
「あ、ありがたきお言葉です! ではすぐにあなたさまの御許に馳せ参じます……ジョゼフさま!」
シェフィールドは懐から小さな人形を取り出し、それを足元に放った。
人形は一瞬にして羽を生やした大型の魔法人形ガーゴイルに変化し、シェフィールドは
その背にまたがった。シェフィールドを乗せたガーゴイルは飛び上がり、風に逆らいこの場から
飛び去っていった。
知らず知らずの内にシェフィールドに狙われていたルイズであったが、彼女は現在、行方不明の
才人を捜す旅を行っていた。自責の念から一度は自殺も考えたが、ゼロたちとの生活の中で命の
大切さを知った彼女は、自らの命を絶やすその行為が大罪であることを悟り、前を向いて生きることを
遂に発起したのだ。
そう、まだ確実に死んだとは言い切れない才人の行方を捜し出すことを決めたのだ。そのために、
自分を心配してわざわざ様子を見に来たシエスタをお供にして、馬車の旅に出た。
が、しかし、ウエストウッド村に近づいたところで、怪獣たちの猛吹雪に襲われてしまった。
馬は凍死してしまい、ルイズとシエスタは雪の真っ只中に立ち往生するという最悪の状況に
見舞われているのだった。
「うぅ、さ、寒いわ……」
ガチガチと歯を鳴らすルイズ。ありったけの防寒具を着込んでいるが、それが役に立たないほど
気温が低下しているのだ。
顔が青ざめるルイズを、シエスタが励ます。
「ミス・ヴァリエール、しっかりして下さい! 眠ってはいけません。雪の中で眠ったら
命はありません!」
「う、うん……。シエスタ、あなた体力あるのね……」
「田舎育ちですから。このぐらい、なんてことありませんわ」
と言うシエスタだが、実際にはこれは強がりであった。本当は彼女も苦しい。しかしルイズを
激励するために、平気なように振る舞っているのだった。
「この幌馬車、雪の中に埋まりかけてます。このままでは生き埋めですわ。まずは脱出しましょう」
「ええ……」
荷物を持っていく余力はない。二人は着の身着のままで馬車から外へと抜け出した。その直後に、
馬車は幌に積もった雪の重みで押し潰された。
「危ないところでしたね。でも、ここからどうすればいいか……」
さすがに困惑するシエスタ。自分たちの発った町から、もう大分距離があるところに来ているので、
そこに引き返すというのは難しすぎる。この吹雪の中では、方向が分からなくなって遭難することも
十分にあり得る。
一方でルイズは、自分たちの目の前にある森の入り口を見やった。ウエストウッドの森だ。
「確か、この森の中に村が一つあるって話を町で聞かなかったかしら?」
「え? ええ……何でも、身寄りを亡くした子供たちが寄り集まって暮らしてる小さな村があるとかないとか。
でも、人の行き来が滅多になくてほとんど忘れられたところみたいですが……」
「そういう場所にいるんだったら、今の今まで行方不明のままでもおかしくないわね。いえ、それより
今は人のいる場所へ行きましょう。このままじゃ、二人とも凍え死んでしまうわ」
「そうですね……。本当に村があることに賭けましょう!」
ルイズとシエスタは、自分たちが生き残るために森の中へと歩を進めた。
「ガオオオオオオオオ!」
「プップロオオオオオオ!」
マーゴドンとガンダー、二体の怪獣の姿が、才人たちの目にしっかりと飛び込んだ。吹雪の中で
暴風のうなりにも負けないほどの咆哮を上げる怪獣たちの様子は、まるでこちらを挑発しているかのようだった。
怪獣たちの威容を目の当たりにして、子供たちはミーニンやティファニアにしがみついて
大いに震え上がる。ティファニアは彼らを落ち着かせるのに必死だ。
「あいつらの仕業だったんだな……!」
一方で、グレンと才人はガンダーたちを強くにらみつける。この吹雪は自然の天候ではない。
奴らをどうにかしない限りは、自分たちはもちろん、ハルケギニア中の人々が助からないだろう。
しかも、ガンダーはこちらに歩み寄ってきているようであった。ウエストウッド村を踏み潰すつもりか!
「このまんまじゃやべぇぜ! 俺が怪獣を遠ざける!」
そう叫んで家から飛び出していこうとするグレンに、ティファニアが驚愕した。
「そ、そんなの危険すぎます! こんな猛吹雪の中、無謀ですよ!」
事情を知らない者から見れば、グレンの行動はそう見えるだろう。しかし彼の本当の姿は、
熱く燃えたぎる炎の戦士なのだ!
「任せてくれって! みんなはどうにか自分たちの身を守っててくれよ!」
「グレン! 俺も……!」
才人が名乗り出ようとしたが、グレンに手で制された。
「お前はここの嬢ちゃんと子供たちを守ってやってくれ」
でも、と言いかけた才人だが、続きを口に出せなかった。ウルトラマンゼロになれない
今の自分に、巨大怪獣と戦える訳がない。
戸惑っている間に、グレンは素早く玄関から飛び出ていった。
雪原に飛び出すと、グレンは早速変身を行う!
「うおおおぉぉぉぉぉッ! ファイヤァァァァァ―――――――ッ!」
燃え盛る炎の勢いで一気に巨大化し、グレンファイヤーへと変貌した! 赤き戦士が
立ちはだかったことで、ガンダーは足を止めて警戒する。
『とぁッ!』
『むんッ! ジャンファイト!』
更にはミラーナイト、ジャンボットも駆けつけ、グレンファイヤーの左右に並び立った。
『お前たちも来たのか!』
『この一大事、何もしない訳にはいきませんよ』
『今変身の出来ないサイトたちには、指一本とて手出しはさせん!』
頼れる二人の仲間の登場でグレンファイヤーの心はますます燃え上がった。
『こんな寒々しい景色、ぶっ飛ばしてやるぜ! ファイヤァァァ―――――――!』
手の平から火炎放射を飛ばすグレンファイヤー。吹雪と極低温にも負けない灼熱の炎は、
ガンダーをひるませマーゴドンをたじろがせる。
『よぉし、行くぜぇぇぇぇぇぇッ!』
敵をひるませたことで、グレンファイヤーは一気に畳みかけようと駆け出した! 雪原を踏み越え、
ガンダーに猛ラッシュを食らわせようと迫る。
だが途中で、足下の雪から赤い巨大なハサミが飛び出してきた!
『うおわぁぁぁぁッ!?』
『グレン!?』
『グレンファイヤー!』
足をはさまれて前のめりに倒れるグレンファイヤー。ミラーナイトとジャンボットは動揺する。
「グイイイイイイイイ!」
雪の中からハサミがせり出してくる。その正体は、左右で大きさの不揃いなハサミを生やした、
角ばった甲羅を持つカニとエビを足したような甲殻類型怪獣……!
かつてウルトラマンダイナをギリギリまで追い詰めた恐るべき宇宙海獣、レイキュバスだ!
『くっ、こんな奴までいやがったのか!』
グレンファイヤーは足を掴むハサミを振り払うが、起き上がったところにレイキュバスが
冷凍ガスを浴びせてくる。
『ぐわあああぁぁぁぁッ!』
その攻撃に悶え苦しむグレンファイヤー。レイキュバスの冷凍ガスはウルトラ戦士の巨体も
一瞬で凍りつかせるほどの恐ろしい威力がある。たとえ炎の戦士のグレンファイヤーといえども、
ただでは済まない!
『グレンファイヤーが危ない!』
ミラーナイトが援護攻撃をしようとしたが、そこに吹雪の間から飛び出してきた、上顎から
太い牙を剥き出しにした恐竜型怪獣が襲いかかってきた。
「ギャァァァアアア!」
『むッ! はぁッ!』
反射的に喉にチョップを叩き込んで返り討ちにするミラーナイト。だが恐竜型怪獣はミラーナイトの
周囲から更に三体も現れ、口から冷凍ガスを吐き出して攻撃してくる!
「ギャァァァアアア!」
『なッ! こんなに怪獣が……うあぁぁッ!』
三方向からの攻撃にどうにも出来ずに、ミラーナイトの身体が凍りついていく。
この怪獣たちの名はシーグラ! シーグラもまた冷凍怪獣である!
『グレンファイヤー! ミラーナイト! 今助け……!』
「プップロオオオオオオ!」
劣勢に立たされる二人を救援しようとするジャンボットにも、ガンダーが襲いかかる。
宙を滑空しながらドリル状の爪でジャンボットの肩を切り裂く!
『ぐわッ! くぅッ、思うように動けん……!』
ジャンボットたちの劣勢は、数の差だけが理由ではない。極低温の猛吹雪の中という、
相手に圧倒的有利な環境でその力を十全に発揮することが出来ないからだ。
『まずは吹雪をどうにかしなければ……!』
ジャンボットは高性能センサーを働かせて、事態打開のためのデータを収集した。
その結果、吹雪の中心がマーゴドンであることが判明。マーゴドンを叩けば、状況は好転するに違いない!
『よし! ジャンミサイル発射ッ!』
そうと分かったジャンボットの行動は早かった。ミサイルを一斉に飛ばし、マーゴドンへと炸裂させる!
その爆発と熱でマーゴドンにダメージを与えるはず……。
「ガオオオオオオオオ!」
しかしミサイルの爆発はマーゴドンの身体に吸い込まれていき、火花は瞬く間に消え去ってしまった!
『な、何だと!?』
マーゴドンの冷凍能力は数々の怪獣の中でも頂点に君臨するレベル。あらゆるエネルギーは
絶対零度の肉体に吸収され、ゼロにされてしまうのだ! マーゴドンに爆撃は効かない!
『くッ、どうすれば……ぐわぁぁぁッ!』
「プップロオオオオオオ!」
ジャンボットが逆転の一手を考えつく前に、ガンダーが冷凍ブレスを食らわせた上に張り倒した。
横転したジャンボットは回路が凍りついて、立てなくなってしまった!
ゼロのいないウルティメイトフォースゼロは、冷凍怪獣軍団の前に絶体絶命の窮地に追いやられた!
「み、みんなが危ない……!」
三人のピンチを、才人も目の当たりにしていた。焦燥を覚える才人だが、彼らを助ける方法は
何も思い浮かばない。何せ、頼みの綱のゼロは未だに覚醒していないのだ。
(くそぉッ……! どんなに訓練したって、人間の身じゃいざという時に何の役にも立たない……!
やっぱり、俺に出来ることなんて何もないのか……!?)
激しい無力感に打ちのめされ、目の前が真っ暗になりそうな才人。
だが、ふと倒れているジャンボットの姿が目に入る。
その時、才人に電流が走った!
(そ、そうだ! これが上手く行けば……!)
才人の脳内に、逆転の手段が浮かび上がったのだ!
しかしそれを実行するのには、大変な危険がある。果たして自分に、その危険を突破する
力があるのか……。ほとんど無謀な行為なのだ……。
悩んでいたら、後ろの子供たちとティファニアの声が耳に入った。
「テファお姉ちゃん……眠い……」
「ね、寝ちゃ駄目よ! 気をしっかり持って! お願いだからッ!」
子供たちの体力は限界のようだ。
それを知った時、才人は決心した!
(力があるのかとか、危険がどうとか、そんなことじゃない! あの子たちの命が消えかかってる!
それを救わなくちゃいけない! そうしなきゃ、俺は本当に駄目な人間になる!)
瞳に光を灯し、デルフリンガーを背負ってマントを勢いよく羽織った!
(俺は男だ! 人間だ! どんな敵が立ちはだかろうと――勇気を胸に、立ち向かってみせるッ!)
玄関の扉に手をかける才人に、ティファニアが慌てて呼びかけた。
「サイト、何をするの!?」
「行ってくる。今みんなを救うことが出来るのは、俺しかいないんだ」
「む、無理よ! 死にに行くようなものだわ! お願い、やめて!」
必死に制止するティファニア。だが才人の心は、もう変わらないのだ。
「無理なことなんてない! 俺は、諦めない! 不可能を可能にするッ!」
そして一気呵成に吹雪の中へ飛び出していった!
「サイトぉぉぉぉぉ―――――――――――!」
ティファニアの絶叫を背にして、才人は吹雪に逆らい駆けていく。暴風は彼を枝きれのように
吹き飛ばそうと襲い来るが、才人の身体は前へ前へと進んでいく。
(こんな逆風の中で、身体が動く……! グレンに鍛えてもらったからだ! グレン、ありがとう!)
己の肉体が逆風に負けないことを、グレンファイヤーの課した特訓の成果だと才人は考えた。
しかしそれだけが理由ではない。
今の才人の心の中に、雪と氷に負けない熱い勇気と使命感が燃えているからだ!
「くッ……けれど、さすがに目を開けてるのは難しいな……!」
足は動いても、目に雪が入ってくるのは防ぎ難い。才人が視界の確保に苦しんでいると、
背にしているデルフリンガーが呼びかけた。
「相棒、俺がジャンボットまでの方角を指示してやらあ。俺には目ン玉がないからな、雪は関係ねえのよ」
「そうか! ありがとう、デルフ!」
「こんくらいのこと、礼を言われるまでもねえぜ」
デルフリンガーのお陰で、方向を見失うことはない。才人は感謝するとともに、デルフリンガーが
一緒にいてくれることでもっと勇気をたぎらせた。
(俺は一人じゃない……! 一人じゃないなら、何だってやれる気分だ!)
だが、雪中を突き進む才人にガンダーが容赦なく襲いかかってきた!
「プップロオオオオオオ!」
「相棒危ねえ! 伏せろッ!」
デルフリンガーの指示でその場に身をかがめる才人。ガンダーがその上スレスレを通り過ぎていく。
『サイト!?』
『くそッ、あの野郎サイトを……!』
ミラーナイトとグレンファイヤーは、才人が外に出ていることに驚き、彼を狙うガンダーをにらみつけた。
しかしレイキュバス、シーグラの猛攻をしのぐのに手いっぱいで、彼を助けに行くことは出来ない。
「プップロオオオオオオ!」
着地したガンダーはなおも才人をつけ狙う。
巨大怪獣に狙われ、追われる恐怖。それは生身の人間には耐えられないほどの、大きすぎる恐怖だ。
心臓が張り裂けてもおかしくないような。
しかし才人は立ち止まらない!
「相棒、走り続けろ! ジャンボットのとこまでたどりつけりゃあ勝ちだ!」
「言われるまでもないぜ!」
才人の勇気は、巨大な恐怖を打ち払うほどに強くなっているのだ!
そして才人は走る。執拗に追ってくるガンダーが振り下ろす爪を、吐き出す冷凍ブレスをギリギリの
ところでかわし続けながら。一歩間違ったら即あの世行きの、あまりにも危ない橋。その上を駆け抜けていく。
苦しくない訳がない。無理のある回避行動を取りながら前に進むので、脚はパンパン、筋繊維は悲鳴を上げる。
心臓は物理的に破れそうだ。だがその苦しみを、腹にくくった思い一つで抑えつける。
「負けるか……! 人間はッ! お前たちなんかに負けなぁぁぁぁいッ!」
そうして気がついた時には――横たわったジャンボットの顔が目前にあった!
才人は即座にジャンボットに呼びかける。
「ジャンボット! 意識はあるか!?」
『サ、サイトか……!? よくここまで……』
「俺をお前のコックピットに入れてくれ! その力を……俺に貸してくれッ!」
才人の言葉が届き、ジャンボットになけなしの力が宿った。
『力を借りるのは、私の方だッ!』
転送光線が才人を包み、次の瞬間には才人の身体はジャンボットのコックピット内にあった。
「プップロオオオオオオ!」
ガンダーは才人を内部に収めたジャンボットへ詰め寄り、鋭い爪を振り上げる。このままでは、
ジャンボットはズタズタに引き裂かれておしまいだ!
しかしその直前、コックピットの中央に立った才人がファイティングポーズを取り、力いっぱいに叫んだ!
「ジャァァァンッ! ファァァァァァァァァイトッ!!」
ガンダーの爪が振り下ろされる!
……その顔面に、ジャンボットの鉄拳がめり込んだ!
「プップロオオオオオオ!」
仰向けに傾き、雪の上に倒れ込むガンダー。それとは反対に、鋼鉄のボディと『心』を持った武人は身を起こした!
『うおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!』
システム再起動。回路は瞬時に正常に戻り、黄色い眼に光が灯る!
「行こう、ジャンボット! みんなを救いにッ!!」
冷凍怪獣にも消すことの出来ない勇気の炎を内にしたジャンボットが、雄々しき機体を立ち上がらせたのだ!
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#navi(ウルトラマンゼロの使い魔)
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