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ウルトラマンゼロの使い魔
第六十九話「あっ!ドラゴンもグリフォンも氷になった!!」
ミニ宇宙人ポール星人
隕石小珍獣ミーニン
凍結怪獣ガンダー
冷凍怪獣マーゴドン 登場
才人がふと目を開けると……自分が燃え盛る炎の中にいるのが分かった。
『な、何だこれ!? 俺は一体どうしたんだ……!』
仰天するものの、炎に囲まれているにも関わらず全く熱さを感じず、火傷もないことを
すぐに把握した。しかも、自分の姿はグネグネと揺れ動いている。
『これは何事なんだ……?』
『地球人、ヒラガサイト! 聞こえているかね?』
戸惑う才人の目の前に、謎の三人の宇宙人のシルエットが現れる。手の平の上に乗ってしまいそうなほどに
異様に小さな体躯で、三角形状の頭部に直接手足が生えているような、見るからの異形だ。
才人はすぐに問う。
『お前たちは誰だ!』
『我々はポール星人! 過去に二度ばかり地球を氷詰めにしてやったことがある』
ポール星人。それはかつてウルトラ警備隊が冷凍怪獣ガンダーによって絶体絶命の危機に陥った際に、
隊員の一人が幻覚の中で目にしたという、ガンダーの黒幕の宇宙人だ。地球の氷河期は、このポール星人が
引き起こしたものだと彼らは語った。しかしその隊員が幻覚でしか目撃しておらず、実在の証拠が一つも
ないので、その存在は大半の人間から疑われている。才人も噂でしか名前を聞いたことがなかった。
『お前たちも侵略が目的か!』
才人が問い詰めると、ポール星人は高笑いを発した。
『ハッハッハッ! そんな低俗なことに興味はない。我々の目的は、人間への挑戦! 我々はこの
ハルケギニアに氷河時代を迎えさせる!』
『何だって!?』
『ハルケギニア上の生きとし生けるものが、全て氷の中に閉じ込められてしまうのだ!
もちろん、お前さんも一緒だ! 寒い思いをするがいい!』
『そんなこと、ウルティメイトフォースゼロが許すものか!』
と告げる才人だが、ポール星人はまるで意に介さなかった。
『そんな奴らは、我々の敵ではない。言っただろう、我々は人間に挑戦するのだと!』
『どういうことだ!?』
『我々はかつて地球に三度目の氷河期をもたらそうとした。作戦は完璧だった! しかし我々は負けた。
ウルトラ戦士にではない。地球人の忍耐! 人間の持つ使命感に負けたのだ! だから、今度は人間に
リベンジする! そう、地球人のヒラガサイト、君にだ!』
『な、何だって……!?』
唖然とする才人。自分が地球人の代表として、宇宙人と戦うのか。そんなことが出来るのか。
『我々の作戦は最早止めることは出来ない。ハルケギニアを氷の星にしたくなければ、我々の仕掛ける
勝負に勝ってみせることだな、ハッハッハッハッ……!』
そう言い残したポール星人の声がだんだんと遠ざかっていく。
『ま、待て! そんな勝手なことは……!』
許さない、と言いかけた才人だったが、それを言い放つだけの自信が今の彼にはなかった。
やがて炎の光景が薄れていき……。
「おいサイト! 起きやがれ! 朝だぜぇッ!」
グレンの大音量の呼び声によって、才人は目を開いた。
辺りを見回して状況を把握する。昨晩と同じ部屋の景色、同じベッド。どうやら先ほどまでのことは、
夢の中の出来事だったみたいだ。
「さぁ、シャキッとしな! 今日からお前の特訓を始めるぜ! すぐに支度するんだな!
朝食を忘れるなよ! 腹ペコのままじゃ力が出ねぇぞ!」
と言われて、才人は昨日決定したことを思い出した。今日から、グレンに鍛錬をつけてもらうことに
なったのだった。とはいえ……。
「まだ外暗いじゃんかよ……」
「なーに言ってやがる! 特訓ってのは早起きしてやるもんだ!」
才人の反論はばっさりと切って捨て、グレンは彼を引っ張り出すように外へ連れていった。
「よぉし、まずは身体を動かすぜ。最初は腕立て百回からだ!」
グレンが何のためらいもなくそう言うので、才人は思わず目を見張った。
「いきなり百回!? そんな、俺始めたばっかりなんだから、もうちょっとお手柔らかに……」
「寝ぼけたこと言ってんじゃねぇっての! 苦しくなきゃ訓練じゃねぇよ!」
しかし才人の言い分が超熱血のグレンに通るはずもなく、否応なくやらされる羽目になった。
腕立て百回の後は腹筋や背筋、グレンに延々叱咤されての走り込みなど……。とにかく基礎訓練を
みっちりとやらされた。朝早くから始めたにも関わらず、終わる頃には日が頭の天辺まで昇っていた。
さすがにへばる才人だが、グレンの熱血っぷりはそれで留まらなかった。
「サイト! へたれてる暇はねぇぞ! こんなのは準備運動だ! ここからが本番よ!」
「えぇ!?」
「本番は実戦形式の手合わせだぜ! さぁ、どこからでも掛かってこいや!」
自分に殴りかかってくるよう手招きするグレン。さすがに待ったをかける才人。
「ち、ちょっと! 素振りとか、技の稽古とかないの!? まだ戦い方を全然習ってないんだけど……!
それに俺はこれでも剣士だから、素手の戦いを習っても……」
するとグレンはこう返答する。
「実戦で使える技ってぇのはな、戦いの中で身につくもんだ! それに戦いの基本は格闘だぜ!
剣も格闘が出来るようになってから様になるってもんよ!」
「ほんとかよ……」
「ほんとだっつぅの! 俺たちいつも殴り合いで訓練してるからな! 分かったらとっとと来な!」
とにもかくにも、手合わせをしなくてはいけないみたいだ。とんでもない人を先生にしてしまったと、
才人は若干後悔した。
それでもグレンに遮二無二殴りかかっていくが……拳を突き出す前に殴り返されて転倒した。
「そっちから手を出してくるのかよ!」
「あったり前だろぉ!? 殴られるのを待ってる奴なんかいるかよ! さぁ、一発やられただけで
寝転んでんじゃねぇぜ! これがホントの戦いだったらお前は死んでるぞ! とっとと立ち上がって
もう一度掛かってこいやぁ!」
「くっそぉぉぉ……こうなりゃとことんやってやるぜッ!」
才人は半ば自棄になり、グレンに挑んでいってはあしらわれるを繰り返す羽目になった。
ぶつかり稽古の中で、グレンから様々な指摘をされる。
「駄目だ駄目だ、そんなへっぴり腰じゃ! 男はもっとどっしりと構えるもんだ! 腰から拳に力を乗せろッ!」
「俺の腕の動きだけを見るんじゃねぇ! 相手の全身を見るんだ! そうすりゃ敵の動きも見えてくる!」
「動きが見えたら、それに合わせて自分も動くようにするんだ! 一つの戦い方だけじゃ
到底やってけねぇぜ! やり方? そういうのは教わるんじゃなくて自分で感じ取るもんだぜぇッ!」
グレンのしごきは本当に辛く苦しいもので、才人はどんどんとフラフラになっていく。
「はぁ、はぁ……薄々分かってたけど、本当に無茶させるな……」
「こんなのゼロのしごきに比べりゃ遊びみたいなもんだぜ? あいつ人と手首をつないだ状態で
崖登りさせたりとかするからな!」
「えっマジ!?」
ゼロの意外な一面を知ったりしながらも、才人は殴り合いの中で次第に戦い方というものを
その身に吸収していった。
また、グレンは稽古の最中に、戦いに重要なことも教えてくれた。
「いいか、戦いで大事なのはいくつかあるが、一番は勢いだぜ! どんな奴が敵だろうと、
勢いのある方が戦いで勝つッ!」
「ほ、本当なのか……?」
「マジだぜ! 戦いには流れってもんが確かにあるのよ。その流れを掴んで勢いを出せれば、
多少強引にでも相手をねじ伏せられる! 逆にどんな力を持ってようと、勢いがない奴は
相手に押されちまう! どんな時も勢いを止めないことを忘れるなッ!」
手合わせという名の殴り合いは、小休止を挟みながらも夜遅くまで続いた。日が完全に
暮れた頃になって初めて才人は解放された。
「よぉし、今日はここまでにしようか。夜はしっかりと休んで体力を戻すんだぜ。明日も
朝早くから始めるからな!」
「あ、ありがとうございましたぁ……」
すっかりグロッキーの才人だが、礼を言うことだけはどうにか出来た。
汗だくの才人に、タオルが差し出された。
「使って」
タオルを持っているのはティファニアだった。上半身裸の才人を見るのが恥ずかしいのか、
頬を染めて横を向いている。
「ありがとう」
タオルを受け取って身体を拭く才人に、ティファニアが話しかける。
「特訓をしてるところ、何度か見学したけど……あの人、ほんとに厳しいのね。ああいうのを、
鬼教官って言うのかしら」
「そうだね。でも、お陰で自分がすごい早さで強くなってるような気がするよ。そこは感謝しなきゃな」
と語る才人の顔をまじまじと見つめるティファニア。
「どうしたの?」
「サイト……どうしてそんなに頑張れるの? あの人の課す特訓、いくら何でも無茶苦茶だわ。
一日中殴り合いさせるなんて……。わたしにはとても無理。いいえ、大の男の人でも根を上げる
くらいだと思う。それなのに、あなたのどこからそんな力が湧いてくるの?」
その質問に、才人はしばし考えた後、次のように答えた。
「尊敬する仲間の頑張るところを、ずっと近くで見てたからかな……」
「仲間?」
「ああ。今は……側にはいないんだけどな、俺にはとても頼れる仲間がいるんだ。その人は、
どんな絶望的な逆境に置かれても、絶対に諦めることはなかった。そして懸命に戦い続けることで、
何度も奇跡の逆転を掴み取ってた。その後ろ姿を見てて、あの人みたいになりたいと心の底から
思ってるから……俺も、頑張らなきゃって思いが湧いて出てくるんだよ」
そう語る才人を、ティファニアは感銘を覚えたように見つめる。
「あなたって、偉いのね」
「こんなの、偉くなんてねえよ。単なる憧れさ」
「その思いでどんなに苦しくても頑張れてるじゃない。偉いわ。わたしね……」
ティファニアは、言葉を選ぶように、ゆっくりと言った。
「わたし、何かを一生懸命に頑張ったことってなかった。やりたいことはいっぱいあるはずなのに、
ただぼんやりと災いのない場所で暮らしてただけ」
「いいんじゃないの。大変だったんだから」
「ううん。それはなんか、逃げてるって気がする」
ティファニアは才人の手を握った。
「ありがとうサイト。わたし、もっといろんなものが見てみたくなった。昔住んでたお屋敷と……、
この村のことしか知らないから、まずは世界を見てみたい。世界って、いやなことばかりじゃない。
楽しいことも、素敵なこともきっとあるんじゃないかって……。あなたを見てたら、そう思うようになったわ」
才人は顔を赤らめた。
「ねえ、お友だちになってくれる? わたしのはじめての……、お友だち」
「いいよ」
「あなたが村を出るときには、記憶を消そうと思っていたけど……、消さない。お友だちにはずっと
覚えておいて欲しいもの」
「そっか」
二人は友情の誓いを結び合い、夕食を取ることにした。しかしその寸前、ふと才人は頭をひねる。
「そういえば……何かを忘れてるような気が……」
グレンの非常に厳しい訓練の中で、才人の頭からは今朝見た夢の内容がすっかりと飛んでしまっていた。
才人の特訓は三日間、ひたすら殴り合う形で続いた。才人にとっては地獄の責め苦が生ぬるく
思えるような過酷な時間であったが、グレンがつきっきりで指導し続けてくれたことで、
たった三日の中でめきめきと力をつけていった。
そして特訓の中で、グレンは才人にこんなことを聞いていた。
「なぁサイト、お前俺の旅についてきたいって言ったけど、ルイズの嬢ちゃんのところに
戻るつもりはほんとにないのか?」
「え?」
聞かれた才人は、ややうつむきながら肯定する。
「ああ……。俺はもうあいつの使い魔じゃないし、ゼロに変身も出来ないしな……。たとえどんなに
鍛えたところで、巨大怪獣や宇宙人はもちろん、ただの人間じゃメイジにもてんで敵わないだろ」
才人はそう思っていた。ギーシュ並みの素人ならともかく、ワルドのような本職の戦士のメイジには、
魔法という大きな武器が相手にある以上は、ルイズを守りながら戦うなんて無理だ。
「ルイズに敵が多い以上、あいつの足を引っ張る訳にはいかないんだよ……」
と言うと、グレンは真顔でこう告げてきた。
「そいつは違うだろ」
「え……?」
「力がどうとか、そういうことじゃねぇ。要はお前がどうしたいかっていう気持ちの問題だろうが。
お前、ほんとにこのまんまルイズに会わず終いでいいのか? きっと後悔すると思うぜ」
「そんな、気持ちがあったところで……」
「いいや、物事の一番大事なもんは、他ならぬ気持ちだぜ。どんな力があろうと、何の気持ちも
ない奴には何にも始められねぇし、何にも成し遂げられねぇ。力がないから出来ねぇっていうのは、
どんなに言い繕うと甘えの言い訳だって俺は思うな」
「……」
「強い気持ちがありゃあ、何だってやれるはずだぜ」
そう説得された才人は、自分の本当にしたいことを考え直した。
しかし、その時には答えは出てこなかった。
そして四日目の朝……事件は起こった。
「は……はっくしょんッ! うぅ、寒ッ!」
今日も今日とて朝早くから特訓に励もうとした才人とグレンだったが、今日ばかりはそれは出来なかった。
何故なら、家の外に猛吹雪が吹き荒れているからだ。
「テファお姉ちゃん……寒い……」
「キュウ……」
「みんな、しっかり……!」
部屋にはウエストウッド村中の子供たちが集まっていた。ミーニンを中心におしくらまんじゅうのように
固まり、ありったけの毛布にくるまって暖を取ろうとしている。しかしそこまでやっても、子供には
耐えがたいほどの寒波が襲っているのだ。
「くっそぅ、どれだけ薪をくべても全然足りねぇぜ!」
グレンが暖炉に薪を放り続けて火力を強めているが、それでも寒さを追いやることは出来ない。
それどころか、家自体が吹雪の前に吹き飛んでしまいそうであった。天井がミシミシ音を立てる毎に、
子供たちが怯える。
「おかしいわ……いくら冬だからって、この時期にこんな大きな吹雪が発生するなんて……」
「そうか。異常気象って奴だな……」
ティファニアのひと言に、才人が深刻な顔でつぶやいた。雪山でも吹雪に遭遇したが、
今外で起きているこれは、それを上回るほどの異常な規模であった。
グレンも才人の意見に同意する。
「こいつはただごとじゃねぇぜ……昨日までは荒天の気配なんて全然なかったのに、こんなことに
なるなんざ。何か原因があると思うな」
「でも原因ったって、外は真っ暗で何も見えないし……。デルフ、何か見えないか?」
「無茶言うなよ。伝説の剣たって、透視が出来る訳じゃねえんだ」
グレン、才人、デルフリンガーは窓から外を眺めるが、太陽の光は完全に閉ざされているので、
全く遠くが見通せない。しかし、
「……いや待った。今何か、変な音が聞こえなかったか?」
「確かに、風の音に紛れて何かが聞こえた気がするな。何かの動物のうなり声みてぇな……」
デルフリンガーの問いかけに、グレンが重々しい表情でうなずいた。
すると彼らの会話に合わせたかのように、吹雪が弱まって視界が開けていく。……いや、
この急激な天候の変化は不自然だ。まるで、「意図的に視界を開けている」ような……。
「プップロオオオオオオ!」
そして明らかに風と雪の音ではない音が、才人やティファニアたちの耳にもはっきりと届いた。
鳥とも、獣ともつかない異様な鳴き声だ。
「わああああッ!」
「お姉ちゃん、怖いッ!」
子供たちはますます怖がり、ティファニアが懸命に慰めている。
一方で窓の外の景色を覗く才人たちの目に、アルビオンの大地を覆い尽くした雪原の上に、
巨大生物がそそり立っている光景が飛び込んできた。
「プップロオオオオオオ!」
「あ、あいつは!!」
驚愕する才人。雪原の大怪獣……カタツムリのように突き出た目玉、たらこのような唇、
逆三角形状の翼、ドリル状の指を持ったその容姿は、凍結怪獣ガンダーのものであった。
ガンダーには吹雪を起こす能力がある。この異常気象の原因は、奴に相違ないだろう。
そしてガンダーといえば、あのポール星人と同時に現れ、ポール星人が操っていたという怪獣。
ということは、あの夢はただの夢ではなかったのだ!
これはポール星人による、才人への挑戦なのだ!
「プップロオオオオオオ!」
荒れ狂う吹雪の中に仁王立ちするガンダーの姿を、各国の竜騎士、魔法騎士で構成された
混成部隊も確認していた。折しも今は戦争後の調停を執り行う諸国会議の最中。しかし突然
アルビオン全土を覆う規模の異常な猛吹雪が発生したので、急遽原因を究明する調査団が
結成されたのだった。
「やはり怪獣の仕業だったか……。ハルケギニア諸国の王が一堂に会されたこの時期に、
これ以上の狼藉は許さんぞ!」
トリステインの部隊の隊長が早速、部下たちに攻撃の合図を出した。自分たちだけの力で
怪獣を倒すことで、会議でも有利になろうという魂胆も含まれた決断だった。幸い、万一の時に
備えて対怪獣用兵器を用意してきている。
「如何にも火に弱そうじゃないか。この特製火石をお見舞いしてやる!」
グリフォンに跨った騎士二名が、改造ベムスターにも使用した巨大火石を運んできた。
それをガンダーの頭部に落として炸裂させ、一気に仕留める算段だ。
しかしその時、騎士たちに向けて一層強烈な冷気が襲いかかってきた! 騎士たちがみるみる内に
凍りついていく。
「ぐわぁぁぁぁッ!? な、何事だ!?」
ガンダーの反撃か。いや、それは違う。ガンダーはそっぽを向いているではないか。それに冷気は
別方向から飛んできている。
慌てて振り返った騎士たちは、冷気を放出している犯人の姿を目撃した。
「ガオオオオオオオオ!」
真っ白い毛で全身を覆った、翼の生えたマンモスのような怪獣。それは恐るべき大怪獣マーゴドンであった!
冷凍怪獣の中では最大級の能力の高さを誇り、いくつもの惑星を氷に閉ざして生物を死滅させた、まさしく
悪魔の如き怪獣なのだ!
「ほ、他にも怪獣がいたのか!」
マーゴドンは全身から冷気を噴出している。その冷気が騎士たちを纏めて窮地に追いやる!
「ぐわああああぁぁぁぁぁッ! こ、このままでは全滅だ! 奴に火石を食らわせろぉ!」
隊長が苦しみながらも指示を出したが、それは叶わなかった。
「だ、駄目です! 火石まで凍りついて、起爆できませんッ!」
「そ、そんな馬鹿な!? わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
猛烈な冷凍ガスを前にして、騎士たちは抗うことすら出来ずに凍結していく。騎士だけではない。
ドラゴンも、グリフォンもたちまちの内に凍りつき、雪に覆われた大地に向けて真っ逆さまに転落していった。
ハルケギニア各国の精鋭部隊が、たった一瞬の内に全滅してしまったのだった。
恐るべきポール星人の挑戦! ガンダーの、マーゴドンの冷たき脅威! アルビオンは、
いやハルケギニアそのものが、氷河期の危機に見舞われたのだ!
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ウルトラマンゼロの使い魔
第六十九話「あっ!ドラゴンもグリフォンも氷になった!!」
ミニ宇宙人ポール星人
隕石小珍獣ミーニン
凍結怪獣ガンダー
冷凍怪獣マーゴドン 登場
才人がふと目を開けると……自分が燃え盛る炎の中にいるのが分かった。
『な、何だこれ!? 俺は一体どうしたんだ……!』
仰天するものの、炎に囲まれているにも関わらず全く熱さを感じず、火傷もないことを
すぐに把握した。しかも、自分の姿はグネグネと揺れ動いている。
『これは何事なんだ……?』
『地球人、ヒラガサイト! 聞こえているかね?』
戸惑う才人の目の前に、謎の三人の宇宙人のシルエットが現れる。手の平の上に乗ってしまいそうなほどに
異様に小さな体躯で、三角形状の頭部に直接手足が生えているような、見るからの異形だ。
才人はすぐに問う。
『お前たちは誰だ!』
『我々はポール星人! 過去に二度ばかり地球を氷詰めにしてやったことがある』
ポール星人。それはかつてウルトラ警備隊が冷凍怪獣ガンダーによって絶体絶命の危機に陥った際に、
隊員の一人が幻覚の中で目にしたという、ガンダーの黒幕の宇宙人だ。地球の氷河期は、このポール星人が
引き起こしたものだと彼らは語った。しかしその隊員が幻覚でしか目撃しておらず、実在の証拠が一つも
ないので、その存在は大半の人間から疑われている。才人も噂でしか名前を聞いたことがなかった。
『お前たちも侵略が目的か!』
才人が問い詰めると、ポール星人は高笑いを発した。
『ハッハッハッ! そんな低俗なことに興味はない。我々の目的は、人間への挑戦! 我々はこの
ハルケギニアに氷河時代を迎えさせる!』
『何だって!?』
『ハルケギニア上の生きとし生けるものが、全て氷の中に閉じ込められてしまうのだ!
もちろん、お前さんも一緒だ! 寒い思いをするがいい!』
『そんなこと、ウルティメイトフォースゼロが許すものか!』
と告げる才人だが、ポール星人はまるで意に介さなかった。
『そんな奴らは、我々の敵ではない。言っただろう、我々は人間に挑戦するのだと!』
『どういうことだ!?』
『我々はかつて地球に三度目の氷河期をもたらそうとした。作戦は完璧だった! しかし我々は負けた。
ウルトラ戦士にではない。地球人の忍耐! 人間の持つ使命感に負けたのだ! だから、今度は人間に
リベンジする! そう、地球人のヒラガサイト、君にだ!』
『な、何だって……!?』
唖然とする才人。自分が地球人の代表として、宇宙人と戦うのか。そんなことが出来るのか。
『我々の作戦は最早止めることは出来ない。ハルケギニアを氷の星にしたくなければ、我々の仕掛ける
勝負に勝ってみせることだな、ハッハッハッハッ……!』
そう言い残したポール星人の声がだんだんと遠ざかっていく。
『ま、待て! そんな勝手なことは……!』
許さない、と言いかけた才人だったが、それを言い放つだけの自信が今の彼にはなかった。
やがて炎の光景が薄れていき……。
「おいサイト! 起きやがれ! 朝だぜぇッ!」
グレンの大音量の呼び声によって、才人は目を開いた。
辺りを見回して状況を把握する。昨晩と同じ部屋の景色、同じベッド。どうやら先ほどまでのことは、
夢の中の出来事だったみたいだ。
「さぁ、シャキッとしな! 今日からお前の特訓を始めるぜ! すぐに支度するんだな!
朝食を忘れるなよ! 腹ペコのままじゃ力が出ねぇぞ!」
と言われて、才人は昨日決定したことを思い出した。今日から、グレンに鍛錬をつけてもらうことに
なったのだった。とはいえ……。
「まだ外暗いじゃんかよ……」
「なーに言ってやがる! 特訓ってのは早起きしてやるもんだ!」
才人の反論はばっさりと切って捨て、グレンは彼を引っ張り出すように外へ連れていった。
「よぉし、まずは身体を動かすぜ。最初は腕立て百回からだ!」
グレンが何のためらいもなくそう言うので、才人は思わず目を見張った。
「いきなり百回!? そんな、俺始めたばっかりなんだから、もうちょっとお手柔らかに……」
「寝ぼけたこと言ってんじゃねぇっての! 苦しくなきゃ訓練じゃねぇよ!」
しかし才人の言い分が超熱血のグレンに通るはずもなく、否応なくやらされる羽目になった。
腕立て百回の後は腹筋や背筋、グレンに延々叱咤されての走り込みなど……。とにかく基礎訓練を
みっちりとやらされた。朝早くから始めたにも関わらず、終わる頃には日が頭の天辺まで昇っていた。
さすがにへばる才人だが、グレンの熱血っぷりはそれで留まらなかった。
「サイト! へたれてる暇はねぇぞ! こんなのは準備運動だ! ここからが本番よ!」
「えぇ!?」
「本番は実戦形式の手合わせだぜ! さぁ、どこからでも掛かってこいや!」
自分に殴りかかってくるよう手招きするグレン。さすがに待ったをかける才人。
「ち、ちょっと! 素振りとか、技の稽古とかないの!? まだ戦い方を全然習ってないんだけど……!
それに俺はこれでも剣士だから、素手の戦いを習っても……」
するとグレンはこう返答する。
「実戦で使える技ってぇのはな、戦いの中で身につくもんだ! それに戦いの基本は格闘だぜ!
剣も格闘が出来るようになってから様になるってもんよ!」
「ほんとかよ……」
「ほんとだっつぅの! 俺たちいつも殴り合いで訓練してるからな! 分かったらとっとと来な!」
とにもかくにも、手合わせをしなくてはいけないみたいだ。とんでもない人を先生にしてしまったと、
才人は若干後悔した。
それでもグレンに遮二無二殴りかかっていくが……拳を突き出す前に殴り返されて転倒した。
「そっちから手を出してくるのかよ!」
「あったり前だろぉ!? 殴られるのを待ってる奴なんかいるかよ! さぁ、一発やられただけで
寝転んでんじゃねぇぜ! これがホントの戦いだったらお前は死んでるぞ! とっとと立ち上がって
もう一度掛かってこいやぁ!」
「くっそぉぉぉ……こうなりゃとことんやってやるぜッ!」
才人は半ば自棄になり、グレンに挑んでいってはあしらわれるを繰り返す羽目になった。
ぶつかり稽古の中で、グレンから様々な指摘をされる。
「駄目だ駄目だ、そんなへっぴり腰じゃ! 男はもっとどっしりと構えるもんだ! 腰から拳に力を乗せろッ!」
「俺の腕の動きだけを見るんじゃねぇ! 相手の全身を見るんだ! そうすりゃ敵の動きも見えてくる!」
「動きが見えたら、それに合わせて自分も動くようにするんだ! 一つの戦い方だけじゃ
到底やってけねぇぜ! やり方? そういうのは教わるんじゃなくて自分で感じ取るもんだぜぇッ!」
グレンのしごきは本当に辛く苦しいもので、才人はどんどんとフラフラになっていく。
「はぁ、はぁ……薄々分かってたけど、本当に無茶させるな……」
「こんなのゼロのしごきに比べりゃ遊びみたいなもんだぜ? あいつ人と手首をつないだ状態で
崖登りさせたりとかするからな!」
「えっマジ!?」
ゼロの意外な一面を知ったりしながらも、才人は殴り合いの中で次第に戦い方というものを
その身に吸収していった。
また、グレンは稽古の最中に、戦いに重要なことも教えてくれた。
「いいか、戦いで大事なのはいくつかあるが、一番は勢いだぜ! どんな奴が敵だろうと、
勢いのある方が戦いで勝つッ!」
「ほ、本当なのか……?」
「マジだぜ! 戦いには流れってもんが確かにあるのよ。その流れを掴んで勢いを出せれば、
多少強引にでも相手をねじ伏せられる! 逆にどんな力を持ってようと、勢いがない奴は
相手に押されちまう! どんな時も勢いを止めないことを忘れるなッ!」
手合わせという名の殴り合いは、小休止を挟みながらも夜遅くまで続いた。日が完全に
暮れた頃になって初めて才人は解放された。
「よぉし、今日はここまでにしようか。夜はしっかりと休んで体力を戻すんだぜ。明日も
朝早くから始めるからな!」
「あ、ありがとうございましたぁ……」
すっかりグロッキーの才人だが、礼を言うことだけはどうにか出来た。
汗だくの才人に、タオルが差し出された。
「使って」
タオルを持っているのはティファニアだった。上半身裸の才人を見るのが恥ずかしいのか、
頬を染めて横を向いている。
「ありがとう」
タオルを受け取って身体を拭く才人に、ティファニアが話しかける。
「特訓をしてるところ、何度か見学したけど……あの人、ほんとに厳しいのね。ああいうのを、
鬼教官って言うのかしら」
「そうだね。でも、お陰で自分がすごい早さで強くなってるような気がするよ。そこは感謝しなきゃな」
と語る才人の顔をまじまじと見つめるティファニア。
「どうしたの?」
「サイト……どうしてそんなに頑張れるの? あの人の課す特訓、いくら何でも無茶苦茶だわ。
一日中殴り合いさせるなんて……。わたしにはとても無理。いいえ、大の男の人でも根を上げる
くらいだと思う。それなのに、あなたのどこからそんな力が湧いてくるの?」
その質問に、才人はしばし考えた後、次のように答えた。
「尊敬する仲間の頑張るところを、ずっと近くで見てたからかな……」
「仲間?」
「ああ。今は……側にはいないんだけどな、俺にはとても頼れる仲間がいるんだ。その人は、
どんな絶望的な逆境に置かれても、絶対に諦めることはなかった。そして懸命に戦い続けることで、
何度も奇跡の逆転を掴み取ってた。その後ろ姿を見てて、あの人みたいになりたいと心の底から
思ってるから……俺も、頑張らなきゃって思いが湧いて出てくるんだよ」
そう語る才人を、ティファニアは感銘を覚えたように見つめる。
「あなたって、偉いのね」
「こんなの、偉くなんてねえよ。単なる憧れさ」
「その思いでどんなに苦しくても頑張れてるじゃない。偉いわ。わたしね……」
ティファニアは、言葉を選ぶように、ゆっくりと言った。
「わたし、何かを一生懸命に頑張ったことってなかった。やりたいことはいっぱいあるはずなのに、
ただぼんやりと災いのない場所で暮らしてただけ」
「いいんじゃないの。大変だったんだから」
「ううん。それはなんか、逃げてるって気がする」
ティファニアは才人の手を握った。
「ありがとうサイト。わたし、もっといろんなものが見てみたくなった。昔住んでたお屋敷と……、
この村のことしか知らないから、まずは世界を見てみたい。世界って、いやなことばかりじゃない。
楽しいことも、素敵なこともきっとあるんじゃないかって……。あなたを見てたら、そう思うようになったわ」
才人は顔を赤らめた。
「ねえ、お友だちになってくれる? わたしのはじめての……、お友だち」
「いいよ」
「あなたが村を出るときには、記憶を消そうと思っていたけど……、消さない。お友だちにはずっと
覚えておいて欲しいもの」
「そっか」
二人は友情の誓いを結び合い、夕食を取ることにした。しかしその寸前、ふと才人は頭をひねる。
「そういえば……何かを忘れてるような気が……」
グレンの非常に厳しい訓練の中で、才人の頭からは今朝見た夢の内容がすっかりと飛んでしまっていた。
才人の特訓は三日間、ひたすら殴り合う形で続いた。才人にとっては地獄の責め苦が生ぬるく
思えるような過酷な時間であったが、グレンがつきっきりで指導し続けてくれたことで、
たった三日の中でめきめきと力をつけていった。
そして特訓の中で、グレンは才人にこんなことを聞いていた。
「なぁサイト、お前俺の旅についてきたいって言ったけど、ルイズの嬢ちゃんのところに
戻るつもりはほんとにないのか?」
「え?」
聞かれた才人は、ややうつむきながら肯定する。
「ああ……。俺はもうあいつの使い魔じゃないし、ゼロに変身も出来ないしな……。たとえどんなに
鍛えたところで、巨大怪獣や宇宙人はもちろん、ただの人間じゃメイジにもてんで敵わないだろ」
才人はそう思っていた。ギーシュ並みの素人ならともかく、ワルドのような本職の戦士のメイジには、
魔法という大きな武器が相手にある以上は、ルイズを守りながら戦うなんて無理だ。
「ルイズに敵が多い以上、あいつの足を引っ張る訳にはいかないんだよ……」
と言うと、グレンは真顔でこう告げてきた。
「そいつは違うだろ」
「え……?」
「力がどうとか、そういうことじゃねぇ。要はお前がどうしたいかっていう気持ちの問題だろうが。
お前、ほんとにこのまんまルイズに会わず終いでいいのか? きっと後悔すると思うぜ」
「そんな、気持ちがあったところで……」
「いいや、物事の一番大事なもんは、他ならぬ気持ちだぜ。どんな力があろうと、何の気持ちも
ない奴には何にも始められねぇし、何にも成し遂げられねぇ。力がないから出来ねぇっていうのは、
どんなに言い繕っても甘えの言い訳だって俺は思うな」
「……」
「強い気持ちがありゃあ、何だってやれるはずだぜ」
そう説得された才人は、自分の本当にしたいことを考え直した。
しかし、その時には答えは出てこなかった。
そして四日目の朝……事件は起こった。
「は……はっくしょんッ! うぅ、寒ッ!」
今日も今日とて朝早くから特訓に励もうとした才人とグレンだったが、今日ばかりはそれは出来なかった。
何故なら、家の外に猛吹雪が吹き荒れているからだ。
「テファお姉ちゃん……寒い……」
「キュウ……」
「みんな、しっかり……!」
部屋にはウエストウッド村中の子供たちが集まっていた。ミーニンを中心におしくらまんじゅうのように
固まり、ありったけの毛布にくるまって暖を取ろうとしている。しかしそこまでやっても、子供には
耐えがたいほどの寒波が襲っているのだ。
「くっそぅ、どれだけ薪をくべても全然足りねぇぜ!」
グレンが暖炉に薪を放り続けて火力を強めているが、それでも寒さを追いやることは出来ない。
それどころか、家自体が吹雪の前に吹き飛んでしまいそうであった。天井がミシミシ音を立てる毎に、
子供たちが怯える。
「おかしいわ……いくら冬だからって、この時期にこんな大きな吹雪が発生するなんて……」
「そうか。異常気象って奴だな……」
ティファニアのひと言に、才人が深刻な顔でつぶやいた。雪山でも吹雪に遭遇したが、
今外で起きているこれは、それを上回るほどの異常な規模であった。
グレンも才人の意見に同意する。
「こいつはただごとじゃねぇぜ……昨日までは荒天の気配なんて全然なかったのに、こんなことに
なるなんざ。何か原因があると思うな」
「でも原因ったって、外は真っ暗で何も見えないし……。デルフ、何か見えないか?」
「無茶言うなよ。伝説の剣たって、透視が出来る訳じゃねえんだ」
グレン、才人、デルフリンガーは窓から外を眺めるが、太陽の光は完全に閉ざされているので、
全く遠くが見通せない。しかし、
「……いや待った。今何か、変な音が聞こえなかったか?」
「確かに、風の音に紛れて何かが聞こえた気がするな。何かの動物のうなり声みてぇな……」
デルフリンガーの問いかけに、グレンが重々しい表情でうなずいた。
すると彼らの会話に合わせたかのように、吹雪が弱まって視界が開けていく。……いや、
この急激な天候の変化は不自然だ。まるで、「意図的に視界を開けている」ような……。
「プップロオオオオオオ!」
そして明らかに風と雪の音ではない音が、才人やティファニアたちの耳にもはっきりと届いた。
鳥とも、獣ともつかない異様な鳴き声だ。
「わああああッ!」
「お姉ちゃん、怖いッ!」
子供たちはますます怖がり、ティファニアが懸命に慰めている。
一方で窓の外の景色を覗く才人たちの目に、アルビオンの大地を覆い尽くした雪原の上に、
巨大生物がそそり立っている光景が飛び込んできた。
「プップロオオオオオオ!」
「あ、あいつは!!」
驚愕する才人。雪原の大怪獣……カタツムリのように突き出た目玉、たらこのような唇、
逆三角形状の翼、ドリル状の指を持ったその容姿は、凍結怪獣ガンダーのものであった。
ガンダーには吹雪を起こす能力がある。この異常気象の原因は、奴に相違ないだろう。
そしてガンダーといえば、あのポール星人と同時に現れ、ポール星人が操っていたという怪獣。
ということは、あの夢はただの夢ではなかったのだ!
これはポール星人による、才人への挑戦なのだ!
「プップロオオオオオオ!」
荒れ狂う吹雪の中に仁王立ちするガンダーの姿を、各国の竜騎士、魔法騎士で構成された
混成部隊も確認していた。折しも今は戦争後の調停を執り行う諸国会議の最中。しかし突然
アルビオン全土を覆う規模の異常な猛吹雪が発生したので、急遽原因を究明する調査団が
結成されたのだった。
「やはり怪獣の仕業だったか……。ハルケギニア諸国の王が一堂に会されたこの時期に、
これ以上の狼藉は許さんぞ!」
トリステインの部隊の隊長が早速、部下たちに攻撃の合図を出した。自分たちだけの力で
怪獣を倒すことで、会議でも有利になろうという魂胆も含まれた決断だった。幸い、万一の時に
備えて対怪獣用兵器を用意してきている。
「如何にも火に弱そうじゃないか。この特製火石をお見舞いしてやる!」
グリフォンに跨った騎士二名が、改造ベムスターにも使用した巨大火石を運んできた。
それをガンダーの頭部に落として炸裂させ、一気に仕留める算段だ。
しかしその時、騎士たちに向けて一層強烈な冷気が襲いかかってきた! 騎士たちがみるみる内に
凍りついていく。
「ぐわぁぁぁぁッ!? な、何事だ!?」
ガンダーの反撃か。いや、それは違う。ガンダーはそっぽを向いているではないか。それに冷気は
別方向から飛んできている。
慌てて振り返った騎士たちは、冷気を放出している犯人の姿を目撃した。
「ガオオオオオオオオ!」
真っ白い毛で全身を覆った、翼の生えたマンモスのような怪獣。それは恐るべき大怪獣マーゴドンであった!
冷凍怪獣の中では最大級の能力の高さを誇り、いくつもの惑星を氷に閉ざして生物を死滅させた、まさしく
悪魔の如き怪獣なのだ!
「ほ、他にも怪獣がいたのか!」
マーゴドンは全身から冷気を噴出している。その冷気が騎士たちを纏めて窮地に追いやる!
「ぐわああああぁぁぁぁぁッ! こ、このままでは全滅だ! 奴に火石を食らわせろぉ!」
隊長が苦しみながらも指示を出したが、それは叶わなかった。
「だ、駄目です! 火石まで凍りついて、起爆できませんッ!」
「そ、そんな馬鹿な!? わあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
猛烈な冷凍ガスを前にして、騎士たちは抗うことすら出来ずに凍結していく。騎士だけではない。
ドラゴンも、グリフォンもたちまちの内に凍りつき、雪に覆われた大地に向けて真っ逆さまに転落していった。
ハルケギニア各国の精鋭部隊が、たった一瞬の内に全滅してしまったのだった。
恐るべきポール星人の挑戦! ガンダーの、マーゴドンの冷たき脅威! アルビオンは、
いやハルケギニアそのものが、氷河期の危機に見舞われたのだ!
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#navi(ウルトラマンゼロの使い魔)
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