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三三〇
どの武器を使う?
短剣・四四六へ
手斧(ちょうな)・五五三へ
チャクラム・三九六へ
デルフリンガー・四五三へ
上記のいずれでもないなら、武器を手に黒エルフと闘え(四九三へ)。
四五三
鞘から抜き放たれたデルフリンガーは、
「おお、やっと俺の出番かね。待ちくたびれたぜ」と嬉しそうな声を上げる。
君は魔剣の柄を逆手に握り、肩の高さまで持ち上げる。
「相棒? 何するつもり……」
デルフリンガーに最後まで言わせず、渾身の力で黒エルフめがけて投げつける。
運だめしをせよ。
吉と出たら四四へ。
凶と出たら四六七へ。
四四
君の手を離れたデルフリンガーは、狙いあやまたず黒エルフの胸板に命中する。
体を貫かれた黒エルフはもんどりうって倒れる――即死だ。
残ったふたりの黒エルフの片方が、攻撃の矛先をカリンから君へと転じる。
術を使う暇はなく、デルフリンガー以外の武器を使って闘うしかない。
黒エルフ
技術点・八
体力点・六
勝ったなら三九三へ。
三九三
君は最初に倒した黒エルフの死体から、デルフリンガーを引き抜き、カリンのほうに目をやる。
黒エルフが矢継ぎ早に繰り出す短剣をたくみにかわすカリンだが、形勢はよくない。
彼女が手にしている武器は、細身の剣に似ているがあくまで刃をもたぬ杖であり、当たっても相手の革鎧にはじかれてしまうのだ。
加勢に向かおうとしたその時、黒エルフが短い悲鳴を上げて顔を押さえる――カリンの杖に眼を突かれたのだ。
その隙をのがさず、君は背後からの一太刀で黒エルフを斬り伏せる。
闘いが終わったのを見て、ルイズとキュルケが駆け寄ってくる。
「かあさま……じゃなくてカリン殿、大丈夫ですか!?」
「心配いりません、ルイズ」
そう答えるカリンの視線は、地に横たわる黒エルフたちに向けられている。
「なぜ、わたくしたちの魔法は発動しなかったのでしょう? この亜人たちには、何かそういった能力が備わっているのですか?」
問いかけられた君は、そんな事はないはずだと答える。
キュルケが試しに軽く杖を振るが、やはり何も起こりはしない。
「それじゃあ、何か魔法を妨害するようなマジック・アイテムでも持ってるのかしら?」
ルイズの言葉を聞いた君は、黒エルフたちの死体のかたわらにしゃがみ込み、彼らの懐を調べるが、すぐにその手を止めることになる
――地鳴りめいたただならぬ音と揺れを感じたのだ。
振り返った君の眼に映ったのは、こちらに向かって押し寄せてくる大群衆だ。
人々はロサイスの市民や港で働く荷役夫、連合軍の兵士たちであり、いずれも恐怖に目を見開き、先を争って町から逃げ出そうとしている。
たちまち周囲は人であふれ返り、君はルイズたちの姿を見失ってしまう。
君は殺到する人の波にもみくしゃにされ、群集に押されるままに北門をくぐり、町の外へと出る。
周囲を見回してルイズたちの姿を探すが、町から逃げ出した人々はあまりに多く、その数はどんどん増えていく。
「ジョン! ジョンはいないのか!」
「母さん、どこにいるの?」
「中隊長! 誰か、ルフェーヴル中隊長を見なかったか?」
はぐれた家族や仲間を探す者たちが、めいめい声を張り上げる。
君も負けじとルイズたちの名を叫ぶが、応える者はいない。
そうしている間にも、門からは続々と人があふれ出す。
その中にオークどもがまぎれていないのは、幸いと言ってよいだろう。
とにかく、ルイズたちを――最悪の場合はルイズだけでも――探し出して合流しなければならない。
手当たりしだいに探して回るか(四〇八へ)、それとも術を使うか?
SUN・六四五へ
KID・七〇〇へ
ZAP・七二九へ
FAR・七六八へ
PIN・六七四へ
六四五
体力点一を失う。
太陽石を持っているか?
なければ術は使えず、ルイズを探して歩き回ることになる(四〇八へ)。
太陽石を持っているなら、術をかけて頭上高く掲げよ。
朝とはいえ薄暗い空の下、君の作り出すまばゆい輝きは大いに人目を引く。
しばらく待つうちに、君の名を呼ぶ声を聞きつける。
ルイズの無事な姿を目にした君は、ほっと胸を撫で下ろす。
キュルケも一緒だ――彼女は人波のなか、ルイズの手をしっかりつかんで放さずにいたらしい。
しかし、カリンはどこに居るのだろうか? 三六二へ。
三六二
「母さまはどこ?」
ルイズが尋ねるが、君は、わからないと答える。
キュルケが、不安げな表情で門のほうに視線を向ける。
ロサイスの北門からあふれ出す人の流れはほとんど途絶え、今は、十数人の兵士たちが武器を手にして見張りに立ち、敵の追撃を警戒しているところだ。
「まさか、まだ中に残って……?」
キュルケのつぶやきを聞いたルイズは、はじかれたように門に駆け寄るが、兵士たちの指揮をとっていた将校が、それを見咎める。
「おい、近づくんじゃない! いつ奴らが来るか、わからんのだぞ!」
ルイズは門の内側に向かって
「母さま!」と叫び、
さらには、兵士たちの間をくぐり抜けて町の中に戻ろうとする。
「やめろ、正気か!?」
将校が腕をつかんでルイズを引き止め、君とキュルケもそれに加わる。
ルイズの瞳に涙が浮かぶ。
「放して、お願い! 中にまだ、母さまが! 母さまが!」
「無理よルイズ! 死んじゃうわ!」
「母さまー!」
悲痛な声が響きわたる。五五五へ。
五五五
涙ぐむルイズに励ましの言葉をかけながら、君は十分ほど待つ。
だが、門からは人間もオークも誰ひとり現れない。
城壁の向こうからは、太鼓と角笛の荒々しい響きが聞こえてくる。
城壁に沿って西門に向かいカリンを探してみるか(五二〇へ)、もう少し待ってみるか(四四四へ)、それともあきらめて先へ進むか(四三一へ)?
五二〇
三十分ほど壁に沿って歩き西門のそばまで来るが、そこも北門同様、町から逃げ出した人々でごった返している。
君たちは大声でカリンの名を叫び、人々に尋ねてまわるが、無駄に終わる。
得られたものといえば、無関係ないくつかの噂話だけだ。
「ふたり連れの若い女が町を離れ、シティオブサウスゴータへと向かう街道を北上していった」
「逃げ遅れた者たちは堅固な赤煉瓦(あかれんが)造りの司令部に立てこもり、包囲されながらも敵を撃退し続けているらしい」
「船着き場は敵の襲撃を受け、多くの船が焼き払われた。船で逃げようとした者の多くは、死ぬか捕らえられるかしたようだ」
最後の噂は君たちにとって不吉なものだ。
「お姫様は大丈夫かしら。『ロリアン』号の出港が、間に合っていればいいんだけど」
キュルケが眉根を寄せる。
「姫さまはきっと無事よ……母さまも。ふたりとも、こんな所で死んじゃうはずがないわ。そんなのありえない。絶対に」
ルイズは言う――自分自身を納得させるかのように。
「だから、もう行かなきゃ。トリスタニアが攻撃を受けるまで、あと五日しかないわ。それまでにわたしたちが≪門≫を破壊しないと、
ここまで来たのが無駄になっちゃう」
ルイズは潤んだ目を袖でぬぐう。
「ルイズ……本当にいいの?」
「ええ。わたしはもう平気よ。さあ、いつまでもぼやぼやしていられないわ」
ルイズは街道に立ち、北へ向かって足を踏み出す。四八五へ。
四八五
「ルイズ、ちょっと待って!」
「な、なによ。調子狂うわね」
憮然とした表情のルイズに、キュルケは言う。
「ロンディニウム塔まで三百リーグもあるのよ。まさか、歩いて行くつもり?」と。
君は三百リーグがどれほどの距離かを、ざっと計算する――このハルケギニアの地で使われているリーグという単位は、
君の故郷のそれとは別物なのだ。
ハルケギニアにおける三百リーグは二百マイル以上に相当し、徒歩だと六日前後はかかる距離だ。
「本当は、ロサイスで馬を調達する予定だったのよね」
キュルケが肩をすくめる。
「馬を連れてロサイスから逃げ出した人なんて……」
ぱっと振り返り、城壁の周りに集まった人々をざっと眺めて、
「……都合よく居るわけもない、か」と続ける。
「とにかく、進むしかないわ」
ルイズは意を決したように告げる。
「途中で馬に乗った人たちに会ったら、譲ってもらいましょう。わたしたちは勅命で動いているんだから、なんとかなるはずよ」
「そう都合よくいくかしらね? ここじゃ王室の権威も通じないと思うけど」
キュルケの言葉に、君もうなずく。五三二へ。
五三二
道を北へと歩き続けていた君たちは、街道の向こうに動きを認めてはたと立ち止まる。
距離が縮まると、相手がそれぞれ馬にまたがった、三人の男たちだとわかる。
彼らは飾りのついた帽子や兜をかぶり、派手な胴着を身にまとっている。
「レディの頼みを断れない立派な騎士様には見えないわね。傭兵みたい」
キュルケが意味ありげに囁く。
「とにかく、馬を貸してもらわないと」
ルイズが緊張した面持ちで、大きく息を吸う。
「手段は問わず、かしら?」
キュルケが胸元に差し込んだ杖に手をやると、ルイズは慌てて
「だめよ! 味方を傷つけるわけにはいかないわ!」と制止する。
「貴族のお嬢さんがたが、こんな所で何をしているんだ?」
騎馬の男たちの隊長格が尋ねてくる。
ルイズは、シティオブサウスゴータに向かうので馬を譲ってほしい、相応の礼はすると持ちかけるが、彼らはその言葉を鼻で笑う。
「二日前に奇襲を受けて司令官のド・ポワチエ将軍が行方不明になって以来、シティオブサウスゴータは大混乱のさなかにある。そんな所へ出向こうとは、
あんたらも見た目によらずとんだ命知らずだな」
男の目が細められる。
「あの町だけじゃない。このアルビオンにいる諸国連合軍の部隊は、どこもひどいありさまだ。士気も軍規もありゃしない。
部下を置き去りにして逃げ出す将校、追い剥ぎや山賊に鞍替えする兵隊、それに、払われることのない給料のかわりとして、
上官の持ち物を頂いていく不届き者だっている」
君は、男の言葉に込められた皮肉に気づく――彼らの乗る馬もその馬具もかなり上等であり、乗り手とは不釣合いなものだ。
盗人に身を落とした傭兵たちだが、君たちを襲うつもりはなさそうだ。
魔法を操る貴族を正面から相手取るのは、危険が大きいと考えているのだろう。
「そんな物騒な状況だから、馬を手放すわけにはいかねえんだ。悪いが他をあたってくれ」
男は話を終えて立ち去ろうとしている。
その場を動かず、黙って連中を見送るか(四六一へ)?
それとも武器を取るか(二九四へ)?
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三三〇
どの武器を使う?
短剣・四四六へ
手斧(ちょうな)・五五三へ
チャクラム・三九六へ
デルフリンガー・四五三へ
上記のいずれでもないなら、武器を手に黒エルフと闘え(四九三へ)。
四五三
鞘から抜き放たれたデルフリンガーは、
「おお、やっと俺の出番かね。待ちくたびれたぜ」と嬉しそうな声を上げる。
君は魔剣の柄を逆手に握り、肩の高さまで持ち上げる。
「相棒? 何するつもり……」
デルフリンガーに最後まで言わせず、渾身の力で黒エルフめがけて投げつける。
運だめしをせよ。
吉と出たら四四へ。
凶と出たら四六七へ。
四四
君の手を離れたデルフリンガーは、狙いあやまたず黒エルフの胸板に命中する。
体を貫かれた黒エルフはもんどりうって倒れる――即死だ。
残ったふたりの黒エルフの片方が、攻撃の矛先をカリンから君へと転じる。
術を使う暇はなく、デルフリンガー以外の武器を使って闘うしかない。
黒エルフ
技術点・八
体力点・六
勝ったなら三九三へ。
三九三
君は最初に倒した黒エルフの死体から、デルフリンガーを引き抜き、カリンのほうに目をやる。
黒エルフが矢継ぎ早に繰り出す短剣をたくみにかわすカリンだが、形勢はよくない。
彼女が手にしている武器は、細身の剣に似ているがあくまで刃をもたぬ杖であり、当たっても相手の革鎧にはじかれてしまうのだ。
加勢に向かおうとしたその時、黒エルフが短い悲鳴を上げて顔を押さえる――カリンの杖に眼を突かれたのだ。
その隙をのがさず、君は背後からの一太刀で黒エルフを斬り伏せる。
闘いが終わったのを見て、ルイズとキュルケが駆け寄ってくる。
「かあさま……じゃなくてカリン殿、大丈夫ですか!?」
「心配いりません、ルイズ」
そう答えるカリンの視線は、地に横たわる黒エルフたちに向けられている。
「なぜ、わたくしたちの魔法は発動しなかったのでしょう? この亜人たちには、何かそういった能力が備わっているのですか?」
問いかけられた君は、そんな事はないはずだと答える。
キュルケが試しに軽く杖を振るが、やはり何も起こりはしない。
「それじゃあ、何か魔法を妨害するようなマジック・アイテムでも持ってるのかしら?」
ルイズの言葉を聞いた君は、黒エルフたちの死体のかたわらにしゃがみ込み、彼らの懐を調べるが、すぐにその手を止めることになる
――地鳴りめいたただならぬ音と揺れを感じたのだ。
振り返った君の眼に映ったのは、こちらに向かって押し寄せてくる大群衆だ。
人々はロサイスの市民や港で働く荷役夫、連合軍の兵士たちであり、いずれも恐怖に目を見開き、先を争って町から逃げ出そうとしている。
たちまち周囲は人であふれ返り、君はルイズたちの姿を見失ってしまう。
君は殺到する人の波にもみくしゃにされ、群集に押されるままに北門をくぐり、町の外へと出る。
周囲を見回してルイズたちの姿を探すが、町から逃げ出した人々はあまりに多く、その数はどんどん増えていく。
「ジョン! ジョンはいないのか!」
「母さん、どこにいるの?」
「中隊長! 誰か、ルフェーヴル中隊長を見なかったか?」
はぐれた家族や仲間を探す者たちが、めいめい声を張り上げる。
君も負けじとルイズたちの名を叫ぶが、応える者はいない。
そうしている間にも、門からは続々と人があふれ出す。
その中にオークどもがまぎれていないのは、幸いと言ってよいだろう。
とにかく、ルイズたちを――最悪の場合はルイズだけでも――探し出して合流しなければならない。
手当たりしだいに探して回るか(四〇八へ)、それとも術を使うか?
SUN・六四五へ
KID・七〇〇へ
ZAP・七二九へ
FAR・七六八へ
PIN・六七四へ
六四五
体力点一を失う。
太陽石を持っているか?
なければ術は使えず、ルイズを探して歩き回ることになる(四〇八へ)。
太陽石を持っているなら、術をかけて頭上高く掲げよ。
朝とはいえ薄暗い空の下、君の作り出すまばゆい輝きは大いに人目を引く。
しばらく待つうちに、君の名を呼ぶ声を聞きつける。
ルイズの無事な姿を目にした君は、ほっと胸を撫で下ろす。
キュルケも一緒だ――彼女は人波のなか、ルイズの手をしっかりつかんで放さずにいたらしい。
しかし、カリンはどこに居るのだろうか? 三六二へ。
三六二
「母さまはどこ?」
ルイズが尋ねるが、君は、わからないと答える。
キュルケが、不安げな表情で門のほうに視線を向ける。
ロサイスの北門からあふれ出す人の流れはほとんど途絶え、今は、十数人の兵士たちが武器を手にして見張りに立ち、敵の追撃を警戒しているところだ。
「まさか、まだ中に残って……?」
キュルケのつぶやきを聞いたルイズは、はじかれたように門に駆け寄るが、兵士たちの指揮をとっていた将校が、それを見咎める。
「おい、近づくんじゃない! いつ奴らが来るか、わからんのだぞ!」
ルイズは門の内側に向かって
「母さま!」と叫び、
さらには、兵士たちの間をくぐり抜けて町の中に戻ろうとする。
「やめろ、正気か!?」
将校が腕をつかんでルイズを引き止め、君とキュルケもそれに加わる。
ルイズの瞳に涙が浮かぶ。
「放して、お願い! 中にまだ、母さまが! 母さまが!」
「無理よルイズ! 死んじゃうわ!」
「母さまー!」
悲痛な声が響きわたる。五五五へ。
五五五
涙ぐむルイズに励ましの言葉をかけながら、君は十分ほど待つ。
だが、門からは人間もオークも誰ひとり現れない。
城壁の向こうからは、太鼓と角笛の荒々しい響きが聞こえてくる。
城壁に沿って西門に向かいカリンを探してみるか(五二〇へ)、もう少し待ってみるか(四四四へ)、それともあきらめて先へ進むか(四三一へ)?
五二〇
三十分ほど壁に沿って歩き西門のそばまで来るが、そこも北門同様、町から逃げ出した人々でごった返している。
君たちは大声でカリンの名を叫び、人々に尋ねてまわるが、無駄に終わる。
得られたものといえば、無関係ないくつかの噂話だけだ。
「ふたり連れの若い女が町を離れ、シティオブサウスゴータへと向かう街道を北上していった」
「逃げ遅れた者たちは堅固な赤煉瓦(あかれんが)造りの司令部に立てこもり、包囲されながらも敵を撃退し続けているらしい」
「船着き場は敵の襲撃を受け、多くの船が焼き払われた。船で逃げようとした者の多くは、死ぬか捕らえられるかしたようだ」
最後の噂は君たちにとって不吉なものだ。
「お姫様は大丈夫かしら。『ロリアン』号の出港が、間に合っていればいいんだけど」
キュルケが眉根を寄せる。
「姫さまはきっと無事よ……母さまも。ふたりとも、こんな所で死んじゃうはずがないわ。そんなのありえない。絶対に」
ルイズは言う――自分自身を納得させるかのように。
「だから、もう行かなきゃ。トリスタニアが攻撃を受けるまで、あと五日しかないわ。それまでにわたしたちが≪門≫を破壊しないと、
ここまで来たのが無駄になっちゃう」
ルイズは潤んだ目を袖でぬぐう。
「ルイズ……本当にいいの?」
「ええ。わたしはもう平気よ。さあ、いつまでもぼやぼやしていられないわ」
ルイズは街道に立ち、北へ向かって足を踏み出す。四八五へ。
四八五
「ルイズ、ちょっと待って!」
「な、なによ。調子狂うわね」
憮然とした表情のルイズに、キュルケは言う。
「ロンディニウム塔まで三百リーグもあるのよ。まさか、歩いて行くつもり?」と。
君は三百リーグがどれほどの距離かを、ざっと計算する――このハルケギニアの地で使われているリーグという単位は、
君の故郷のそれとは別物なのだ。
ハルケギニアにおける三百リーグは二百マイル以上に相当し、徒歩だと六日前後はかかる距離だ。
「本当は、ロサイスで馬を調達する予定だったのよね」
キュルケが肩をすくめる。
「馬を連れてロサイスから逃げ出した人なんて……」
ぱっと振り返り、城壁の周りに集まった人々をざっと眺めて、
「……都合よく居るわけもない、か」と続ける。
「とにかく、進むしかないわ」
ルイズは意を決したように告げる。
「途中で馬に乗った人たちに会ったら、譲ってもらいましょう。わたしたちは勅命で動いているんだから、なんとかなるはずよ」
「そう都合よくいくかしらね? ここじゃ王室の権威も通じないと思うけど」
キュルケの言葉に、君もうなずく。五三二へ。
五三二
道を北へと歩き続けていた君たちは、街道の向こうに動きを認めてはたと立ち止まる。
距離が縮まると、相手がそれぞれ馬にまたがった、三人の男たちだとわかる。
彼らは飾りのついた帽子や兜をかぶり、派手な胴着を身にまとっている。
「レディの頼みを断れない立派な騎士様には見えないわね。傭兵みたい」
キュルケが意味ありげに囁く。
「とにかく、馬を貸してもらわないと」
ルイズが緊張した面持ちで、大きく息を吸う。
「手段は問わず、かしら?」
キュルケが胸元に差し込んだ杖に手をやると、ルイズは慌てて
「だめよ! 味方を傷つけるわけにはいかないわ!」と制止する。
「貴族のお嬢さんがたが、こんな所で何をしているんだ?」
騎馬の男たちの隊長格が尋ねてくる。
ルイズは、シティオブサウスゴータに向かうので馬を譲ってほしい、相応の礼はすると持ちかけるが、彼らはその言葉を鼻で笑う。
「二日前に奇襲を受けて司令官のド・ポワチエ将軍が行方不明になって以来、シティオブサウスゴータは大混乱のさなかにある。そんな所へ出向こうとは、
あんたらも見た目によらずとんだ命知らずだな」
男の目が細められる。
「あの町だけじゃない。このアルビオンにいる諸国連合軍の部隊は、どこもひどいありさまだ。士気も軍規もありゃしない。
部下を置き去りにして逃げ出す将校、追い剥ぎや山賊に鞍替えする兵隊、それに、払われることのない給料のかわりとして、
上官の持ち物を頂いていく不届き者だっている」
君は、男の言葉に込められた皮肉に気づく――彼らの乗る馬もその馬具もかなり上等であり、乗り手とは不釣合いなものだ。
盗人に身を落とした傭兵たちだが、君たちを襲うつもりはなさそうだ。
魔法を操る貴族を正面から相手取るのは、危険が大きいと考えているのだろう。
「そんな物騒な状況だから、馬を手放すわけにはいかねえんだ。悪いが他をあたってくれ」
男は話を終えて立ち去ろうとしている。
その場を動かず、黙って連中を見送るか(四六一へ)?
それとも武器を取るか(二九四へ)?
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