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「ゼロの守護月天 4」(2007/08/04 (土) 23:21:50) の最新版変更点
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ルイズたちが教室に入ると、廊下まで聞こえていた賑やかさが消えうせ、牽制するかのような視線が向けられた。
そんな態度をとる理由、そして視線の向けられているであろう人物にルイズは検討がついていた。
十中八九間違いなく、シャオがその原因だ。
おそらく、昨日の儀式の終わった直後から噂になったのだろう。
ゼロのルイズが月の精霊を召喚したことが。
精霊と言えば水の精霊のように人間とは違う価値観でこの世に存在にして、あの恐るべきエルフたちの使う先住魔法の源。
そんなただでさえ畏怖すべき存在な上に、彼女は月という魔法にかかわりの深いものの精霊なのだ。
あとはまぁ、かわいい女の子がいたからつい見てしまった。というのもあるんだろう。
現に薔薇を持った少年がその彼女にわき腹をつつかれている姿もあった。
そんな教室に、一人の女性が入ってきた。ミス・シュヴルーズだ。
彼女は教室を見回すと-シャオの辺りで一瞬視線が止まったことは言うまでも無い-満足そうに微笑んで言った。
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。特にミス・ヴァリエールは月の精霊を召喚したとか。
このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」
そう言うと、そのまま授業に入った。
授業自体はほぼ問題なく進んでいた。錬金にルイズが指名されるまでは。
「では、この錬金をミス・ヴァリエールにやってもらいましょう」
その一言で教室の空気が緊迫したものに変わった。
「ミ、ミス・シュヴルーズ、彼女にやらせるのは止めたほうがいいと思います」
キュルケが困り顔で進言する。
「どうしてです?」
「危険だからです」
なにも知らないシュヴルーズにキッパリと言い放つ。教室のルイズとシャオ以外の生徒がそれに同意し頷く。
「危険?どうしてですか?たしかに彼女に授業を教えるのは初めてですが、彼女が努力家であることは聞いています。
さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい」
そう言いルイズに催促をした。
「あなた、危ないから机の下に隠れていたほうがいいわよ」
ルイズの後ろの席に座っていた生徒がシャオに避難をすすめる。
「? どうしてですか?」
「いいから。悪いことは言わない。ルイズが杖を振る前に隠れておきなさい」
そう言うと机の下に隠れてしまった。
「さぁ、錬金したい金属を強く思い浮かべ、杖を振るうのです」
そしてそのセリフの直後、教室に爆音が鳴り響いた。
その爆発に驚き、使い魔たちがパニックを起こして教室で暴れ始める。
「襲撃!?みんな、ご主人様をお守りして!!」
勘違いをしたシャオがそう叫ぶと支天輪を前にかざし、彼女は自身に仕える星神と呼ばれる中国星座の精霊たちを召喚する!
次々と現れる小人や鳥にペンギンもどきや鹿etc。
このとき、右手のルーンが輝いていたのだが、それに気づいた者は誰もいなかった。
なぜならパニックになる使い魔とそれを治めようとする生徒、そしてルイズを守ろうと翻弄するシャオたちのせいで、教室は阿鼻叫喚の坩堝となっていたからだ。
ルイズはそんな現実から逃避するために、シュヴルーズのように気絶した振りをするしかなかった。
「はぁ・・・」
小人達の手で修繕されていく教室の中でルイズは大きなため息をついた。
「ごめんなさい。私が早とちりをしてしまったばっかり・・・」
シャオが実に申し訳なさそうにルイズに謝った。
そんなシャオに、ルイズは慌ててフォローを入れる。
「べ、別にあなたは何にも悪くないのよ。使い魔としての役目を果たそうとしてただけなんだから」
ルイズたちには教師からこっぴどく説教を喰らった後、罰として教室の修繕を命じられていた。
もっとも、教室の修繕はシャオの呼び出した建物の建設・解体を担当する48人の小人からなる星神『羽林軍』がさっきからやっており、ほとんど終わっている。
「なんだかね、とっても情けないなぁって思っちゃっただけよ」
ルイズは少し寂しそうに呟き、心情をシャオに漏らす。
「わたしね、さっきみたいに他の連中と違って魔法が上手く使えないの。
もちろん努力は沢山したけど、いつも同じ結果だから『ゼロのルイズ』なんて呼ばれてる。
せめて人並みに魔法が使えるようになりたいんだけどね・・・」
そんな今にも泣き出しそうなオーラを出すルイズを、シャオは優しく包み込むようにそっと抱きしめる。
「私には、魔法を使えるようにしてあげることはできません。だけど、いつかそうなれるように応援することはできます。
私は諦めずに応援し続けます。だから、あなたも諦めないでください。夢を現実にすることを」
ルイズは抱きしめられる中で、彼女の雰囲気が自分の好きなほうの姉に似ていることに気づくのであった。
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