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#navi(アウタゾーンZERO)
皆さん、こんにちは。私の名前はミザリィ。アウターゾーンのストーカー(案内人)です。
今日ご紹介するのは、アウターゾーンの一つ、ハルケギニアで起きた出来事です。
公爵家の娘、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
彼女はメイジ、いわゆる魔法使いでありながら、魔法が使えないというコンプレックスを抱いていました。
召喚の儀式で、何度も失敗を繰り返した末、やっと召喚できたのは見知らぬ少年。
しかも、魔法が使えない『平民』。彼女は愕然としました。
一方、日本から突然召喚された高校生の少年、平賀才人は訳がわからないまま使い魔にさせられてしまいました。
ルイズに仕えろと言われても、納得できるわけがありません。
当然、主人と名乗る少女、ルイズに反発します。
そして……召喚の日の夜更けのことです……。
学院の寮。
ルイズの部屋から喚き合う声が聞こえてくる。
「あんたは使い魔なんだから、黙って言うことを聞いていればいいのよ!」
「だからって殴ることはないじゃないか! さっきからおとなしくしてれば、いいかげんにしろよ!」
「平民のくせに……貴族に逆らう気!?」
「平民も貴族も同じ人間だろ、どうして殴るんだ。まず口で言えばいいだろ」
「教えてあげましょうか……バカ犬のあんたには言っても無駄だからよ!!」
「うわっ!!」
振るわれた鞭を避けようとして、才人は後ろに転倒した。
壁に頭がぶつかった。
鈍い音がした。
崩れ落ちるように才人は倒れた。
「サイト、どうしたのよ?」
しかし、才人から返事はない。
「サイト……!?」
首を掴んでこちらを向かせると、才人の目は大きく見開かれている。
「……じょ、冗談でしょ!? ねえ、起きてよ、起きてったら!!」
ルイズは必死に才人の頬を張ったが、反応はない。
「死んでる……」
才人の首が、ガクリと下を向いた。
結局、この一件は才人に乱暴されそうになったための正当防衛だった、ということで決着した。
召喚そのものは成功しているので、進級は認められることになったが、使い魔を死なせてしまったので、新しい使い魔を召喚しなくてはならない。
召喚のやり直しをする日が決定するまで授業を休ませる、いわば謹慎処分をルイズは言い渡された。
「フン! だから平民の男ってのは軟弱で嫌いなのよ! おかげでえらい迷惑だわ」
ルイズは反省するでもなく、寮の部屋でふて腐れてワインを飲んでいた。
周囲の目は好意的ではない。
生徒や使用人たちがヒソヒソと、人殺し、使い魔殺しと聞こえよがしにささやいている。
気にしないようにはしていたが、やはり言葉が言葉だけに、耳につく。
「そりゃあ、やり過ぎはあったかも知れないけど……」
その時だった。
[ごめん下さい]
ノックの音に続いて、ドアの向こうから声がした。
「誰よ!!」
[ちょっとお話したいことがありまして]
ルイズが渋々ながらドアを開けると、そこには見知らぬ女性が立っていた。
「な、何なのよあんた」
つり目にウェーブのかかった長い髪。軍の士官服に身を包んだ、豊満なスタイル。
その妖艶な美しさは、キュルケがかわいく見えるほどだ。
[あなたがルイズさんですね?]
「そうよ、だから何!? 私のことを捕まえに来たの!? もう決着がついたはずでしょ!?」
ルイズは喚く。
[いいえ、そうではありません。私はミザリィと申します。トリステイン総合学院の教務をしている者です。あなたを当学院の生徒として招きたいのです]
「トリステイン……総合学院!?」
[あなたを非難する人も多数いますが、あなたの頭脳は素晴らしい。学業成績では常にトップとのことですね。あなたにぜひ来てほしいという学院があるのです]
「私に? 使い魔を殺したこの私に?」
[そうです、当学院は魔法より学業に重きを置いておりまして、あなたのような生徒を求めているのです。興味があればこちらへどうぞ、勉強熱心なあなたにはぴったりの学校ですわ……]
ミザリィはルイズに学院の地図を手渡すと、不気味な笑みを浮かべた。
[よろしければ明日にもどうぞ。いついらっしゃってもいいように、手はずは整えております]
ミザリィは帰っていった。
「何なのかしら……でも、魔法より学業に重きを置くって……」
そんな学院のことは聞いたこともない。新しくできた学院なのだろうか。
だが、もしかしたら、魔法が使えないことで誰にもバカにされなくなるチャンスかも知れない。
ルイズの好奇心は膨らんでいった。
翌日。
謹慎を破って寮を抜け出し、ルイズは地図に示されたトリステイン総合学院へとやってきた。
「はあ、やっと着いた……」
朝から歩き続けて、もうそろそろ昼になるところだ。
周囲は山奥で、きつい坂道を歩くのは疲れる。
「これが学院……?」
学院を囲む塀は高く、門は固く閉ざされており、監獄のようだ。
門の脇に立っていた門番に要件を告げた。
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。ご紹介を受けて参りました」
「そうですか。お待ちしておりました、どうぞ」
ゆっくりと門が開いていく。
ルイズは早足で門をくぐった。
[お察しの通り、彼女は今、アウターゾーンのゲートをくぐり抜けました……さて、彼女はアウターゾーンから無事帰ってこれるでしょうか?]
#navi(アウタゾーンZERO)
#navi(アウターゾーンZERO)
皆さん、こんにちは。私の名前はミザリィ。アウターゾーンのストーカー(案内人)です。
今日ご紹介するのは、アウターゾーンの一つ、ハルケギニアで起きた出来事です。
公爵家の娘、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
彼女はメイジ、いわゆる魔法使いでありながら、魔法が使えないというコンプレックスを抱いていました。
召喚の儀式で、何度も失敗を繰り返した末、やっと召喚できたのは見知らぬ少年。
しかも、魔法が使えない『平民』。彼女は愕然としました。
一方、日本から突然召喚された高校生の少年、平賀才人は訳がわからないまま使い魔にさせられてしまいました。
ルイズに仕えろと言われても、納得できるわけがありません。
当然、主人と名乗る少女、ルイズに反発します。
そして……召喚の日の夜更けのことです……。
学院の寮。
ルイズの部屋から喚き合う声が聞こえてくる。
「あんたは使い魔なんだから、黙って言うことを聞いていればいいのよ!」
「だからって殴ることはないじゃないか! さっきからおとなしくしてれば、いいかげんにしろよ!」
「平民のくせに……貴族に逆らう気!?」
「平民も貴族も同じ人間だろ、どうして殴るんだ。まず口で言えばいいだろ」
「教えてあげましょうか……バカ犬のあんたには言っても無駄だからよ!!」
「うわっ!!」
振るわれた鞭を避けようとして、才人は後ろに転倒した。
壁に頭がぶつかった。
鈍い音がした。
崩れ落ちるように才人は倒れた。
「サイト、どうしたのよ?」
しかし、才人から返事はない。
「サイト……!?」
首を掴んでこちらを向かせると、才人の目は大きく見開かれている。
「……じょ、冗談でしょ!? ねえ、起きてよ、起きてったら!!」
ルイズは必死に才人の頬を張ったが、反応はない。
「死んでる……」
才人の首が、ガクリと下を向いた。
結局、この一件は才人に乱暴されそうになったための正当防衛だった、ということで決着した。
召喚そのものは成功しているので、進級は認められることになったが、使い魔を死なせてしまったので、新しい使い魔を召喚しなくてはならない。
召喚のやり直しをする日が決定するまで授業を休ませる、いわば謹慎処分をルイズは言い渡された。
「フン! だから平民の男ってのは軟弱で嫌いなのよ! おかげでえらい迷惑だわ」
ルイズは反省するでもなく、寮の部屋でふて腐れてワインを飲んでいた。
周囲の目は好意的ではない。
生徒や使用人たちがヒソヒソと、人殺し、使い魔殺しと聞こえよがしにささやいている。
気にしないようにはしていたが、やはり言葉が言葉だけに、耳につく。
「そりゃあ、やり過ぎはあったかも知れないけど……」
その時だった。
[ごめん下さい]
ノックの音に続いて、ドアの向こうから声がした。
「誰よ!!」
[ちょっとお話したいことがありまして]
ルイズが渋々ながらドアを開けると、そこには見知らぬ女性が立っていた。
「な、何なのよあんた」
つり目にウェーブのかかった長い髪。軍の士官服に身を包んだ、豊満なスタイル。
その妖艶な美しさは、キュルケがかわいく見えるほどだ。
[あなたがルイズさんですね?]
「そうよ、だから何!? 私のことを捕まえに来たの!? もう決着がついたはずでしょ!?」
ルイズは喚く。
[いいえ、そうではありません。私はミザリィと申します。トリステイン総合学院の教務をしている者です。あなたを当学院の生徒として招きたいのです]
「トリステイン……総合学院!?」
[あなたを非難する人も多数いますが、あなたの頭脳は素晴らしい。学業成績では常にトップとのことですね。あなたにぜひ来てほしいという学院があるのです]
「私に? 使い魔を殺したこの私に?」
[そうです、当学院は魔法より学業に重きを置いておりまして、あなたのような生徒を求めているのです。興味があればこちらへどうぞ、勉強熱心なあなたにはぴったりの学校ですわ……]
ミザリィはルイズに学院の地図を手渡すと、不気味な笑みを浮かべた。
[よろしければ明日にもどうぞ。いついらっしゃってもいいように、手はずは整えております]
ミザリィは帰っていった。
「何なのかしら……でも、魔法より学業に重きを置くって……」
そんな学院のことは聞いたこともない。新しくできた学院なのだろうか。
だが、もしかしたら、魔法が使えないことで誰にもバカにされなくなるチャンスかも知れない。
ルイズの好奇心は膨らんでいった。
翌日。
謹慎を破って寮を抜け出し、ルイズは地図に示されたトリステイン総合学院へとやってきた。
「はあ、やっと着いた……」
朝から歩き続けて、もうそろそろ昼になるところだ。
周囲は山奥で、きつい坂道を歩くのは疲れる。
「これが学院……?」
学院を囲む塀は高く、門は固く閉ざされており、監獄のようだ。
門の脇に立っていた門番に要件を告げた。
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します。ご紹介を受けて参りました」
「そうですか。お待ちしておりました、どうぞ」
ゆっくりと門が開いていく。
ルイズは早足で門をくぐった。
[お察しの通り、彼女は今、アウターゾーンのゲートをくぐり抜けました……さて、彼女はアウターゾーンから無事帰ってこれるでしょうか?]
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