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#setpagename(ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 後編)
出航してから太陽が地平から顔を見せようかという時間、
ルイズたちの乗船した船は空賊に襲われ、乗船していた者たちは全員つかまってしまった。
「何が、任せろよ!あんた何の役にも立ってないじゃない!このバカンジ!」
ルイズは大声を上げて自分の使い魔をののしった。そこは魔法使いたちとその使い魔たち、
つまりワルド、ルイズ、キュルケ、タバサ、陽介、完二が押し込まれている部屋である。
もともとは荷物置き場の用向きで使う部屋のようだ。ちなみにクマは珍獣だと思われ眠らされ、どこかに隔離されているらしい。
「バ、バカンジはやめろよな!」
完二は呼び方には文句を言ったが何の役にも立っていないことは否定しなかった。
実際、空賊に襲われたとき、完二は陽介、クマと仲良く寝息を立てており、目が覚めたら捕まっていたのだ。
守ってやるなどとルイズに言ったのだ。なのに結果がこれでは完二としては立つ瀬がない。
ワルドが首を振った。
「いや、彼らがいてもあちらの船は大砲をこちらに向けていたのだ。どうしようもなかったさ」
タバサやキュルケがいても空賊を防げなかったのはそれが理由だった。
たとえ空賊の船を撃退できても船がやられてしまえば共倒れになってしまう。
「んじゃあここをぶっ壊して脱出してやるか」
「それからどうするつもりだ?ここは空だぞ」
勢い良く立ち上がった完二に、冷水を浴びせるようにワルドは言った。
無言で完二は上げた尻を再びドスンと音を立てながら落とした。
しばらく誰も話さなかった。
廊下側から扉が開かれた。開けたのは一人の太った男だった。
「俺たちの仕事は王党派に味方する連中を捕まえることなのさ。あんたら貴族派かい?もしそうだとしたら港まで送ってやるよ」
陽介、キュルケはほっとしたようだった。貴族派だと答えれば助かる。そう思ったのだろう。
しかし、誰よりも早く答えたのはルイズだ。
「誰が薄汚いアルビオンの反乱軍なものですか。バカ言っちゃいけないわ。わたしは王党派への使いよ!」
それは陽介やキュルケが予想したものとは違ったのであろう。陽介は慌てふためいた。
「おいおいおいおい!」
「なによ?」
「なによ?じゃねーよ!お前なに言ってんだよ!そこは貴族派です、って答えるところだろ!」
「こんなやつらに嘘吐いて頭を下げるなんてごめんよ!」
キュルケが溜め息をついた。
「本当にトリステインの貴族は頭でっかちなんだから……」
「頭に報告してくる。その間じっくり考えるんだな」
空賊は去っていった。
それから陽介は呆れたようにルイズに言った。
「お前ホントどうするつもりだよ……?」
「言っておくけど死ぬつもりなんかないわよ、最後の最後まであきらめるものですか」
ルイズの態度は堂々たるものであった。
その傲岸不遜さにか完二は笑った。
「へへっ、ルイズも言うじゃねえか。ホレ直したぜ!」
それからワルドがルイズに近寄り、肩を叩いた。
「いいぞルイズ。さすがは僕の花嫁だ」
その様子を見て陽介とキュルケは、はあと溜め息を吐いた。タバサは黙りこくっており、何を考えいているかわからない。
一つの部屋の中で温度差が出来始めてしばらく後に再び扉が開いた。さきほどの男だ。
「頭がお呼びだ」
それからルイズたち一行は空賊のリーダーがいる部屋に連れて行かれた。
ごてごてしい格好をし、ヒゲで顔が覆われている。その手には大きな水晶の付いた杖があることからメイジであるとわかる。
完二は周りを見る。頭と呼ばれる男の脇に二人、自分たちの後ろに二人、他に4人いた。合計9人だ。
センパイとオレなら倒せんだろーが……。
自分たちだけなら問題ないだろうが、この場にはルイズ、キュルケ、タバサ、ワルドがいる。
彼女らを守りながらとなると相手の数が多すぎる。無理をするには早過ぎるというわけでしばらくおとなしくしておくことにする。
「大使としての扱いを要求するわ」
ルイズは毅然とした態度をくずさずに頭とよばれる男に言い放った。
「貴族派につかないか。あいつらメイジを欲しがってるから、礼金もたんまりだろうよ」
かしらが言った。その声は予想していたより若々しい。ひげがなければずいぶんと若く見える顔をしてるのかもしれない。
「死んでもいやよ」
完二はルイズの体が震えていることに気付いた。怖くてたまらないのだろう。それでも空賊の申し出を拒絶しているのだ。
たいした肝っ玉だ。と完二は思った。
「もう一度言う。貴族派に付かないか」
「つかねえっつってるだろ!」
完二がルイズより早く答えた。ルイズは驚いたように隣に立つ完二を見てくる。
空賊のかしらはじろりと横槍を入れてきた大男を見る。
「お前は?」
「コイツの使い魔だ」
「使い魔?」
疑問符を浮かべるかしらにルイズはさらに言った。
「そうよ。誇り高いトリステイン貴族の使い魔はぜったいに!敵に尻尾を振ったりしないんだから!」
ルイズは完二にちらりと笑みを向ける。完二もにやりとする。
どうやら震えは止まったようだ。
かしらは大声で笑った。ルイズの気丈さを笑ったのかと思ったら、なにやら様子がおかしい。
「トリステインの貴族は気ばかり強くって、どうしようもないな。まあ、どこぞの国の恥知らずより何百倍もマシだがね」
そう言うと彼はなんと黒髪をはいだ。どうやらそれはカツラだったようだ。
驚く完二たちを前に、さらに眼帯を外し、ヒゲもはいだ。ヒゲも作り物だ。
カツラを取りつけヒゲも取るとかしらと呼ばれた男は凛々しい金髪の若者となっていた。
「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官……そしてアルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。さて用件を窺おうか大使殿?」
ルイズ、完二、キュルケ、陽介はポカンとして、ワルドは興味深げに、
タバサはこの状況でもいつもどおりのポーカーフェイスで皇太子を名乗る若者を見つめている。
半ば呆然としたまま、ルイズは尋ねた。
「し、失礼ですが本当に……?」
ウェールズは快活に笑う。先ほどまでのガラの悪い空賊とはまるで別人としかいい用がない。
「無理もないことだ。証拠をお見せしよう」
そう言うと彼は自分の指につけた指輪を外して、ルイズの手をとり、水のルビーに近づけた。
すると二つの宝石は反応しあい、虹色の光を振りまいた。
「この指輪はアルビオン王家に伝わる風のルビーだ。
そして水と風は虹を作る。きみがはめているアンリエッタの水のルビーとね」
「大変、失礼をばしました。アンリエッタ姫より密書を言付かってまいりました」
ルイズは非礼を詫びてから胸ポケットから手紙を取り出し、ウェールズに手渡した。
ウェールズは大切にそれを扱い、読み終わってから言った。
「了解した。大切な姫からの願いだ。しかし今手元に手紙はない。ニューカッスル城まで足労願いたい」
アルビオン王国本国艦隊に存在する唯一の船であるという『イーグル』号は、『マリー・ガラント』号を引きつれ、
アルビオン大陸の下を雲の中でほとんど視界の利かない中を飛んでいた。
空中に浮かぶ大陸アルビオン。その姿を見た陽介と完二、そして合流したクマは言葉を失った。
話には聞いていたが、聞くと見るとでは大きく違うということを改めて認識させられた。
やがて頭上、つまりアルビオンの大地に直系三百メイルほどの穴が現れた。
ウェールズはきびきびした指示を出し、それに熟練の船乗りたちがきびきびした動作で応える。
穴の中をイーグル号が浮かんでいくとニューカッスル城の秘密の港に到着した。
港の中は巨大な鍾乳洞で出来ていて、光でみちていた。真っ白い発光性のコケがあるかららしい。
イーグル号が岸に近づくと一斉にもやいの縄が飛んできた。その縄をイーグル号に結び付ける。
艦が岸壁に引き寄せられ車輪のついた木のタラップが船に付けられた
船を下りると背の高い老メイジが近寄ってきて、ウェールズの労をねぎらった。
老メイジはイーグル号に続いて現れたマリー・ガラント号を見て、顔をほころばせた。
「ほほ、これはまた、たいした戦果ですな、殿下」
「ああそうだ。喜べ、バリー。硫黄だ、硫黄!」
集まった兵たちが歓声を上げる。
「おお!硫黄ですと!これで我々の名誉も守られるというものですな!」
おいおいと老メイジは泣き始めた。感極まったという様子である。
「先の陛下よりお仕えして六十年……。こんな嬉しい日はありませんぞ。
反乱が起こってからは苦渋をなめっぱなしでありましたが、これだけの硫黄があれば……」
にっこりとウェールズは笑った。
「王家の誇りと名誉を、叛徒どもに示しつつ敗北できるだろう」
陽介、完二、クマはウェールズの発言に面喰らった。
「か、勝てんじゃねーの?」
陽介が思わず口を挟んでしまう。
ウェールズが首を振る。そして表情をにこやかなにしたまま、絶望的な現実を告げる。
「反乱軍は5万。一方こちらは300。万が一にも勝利はないよ」
陽介たちは呆然とした。
いくら陽介たちが戦争にかんして何も知らないとはいえ、敗北が必死であることは理解できた。
理解できないのは目の前の人達であった。彼らは死ぬと分かっているのに朗らかに笑っている。
「栄光ある王家の誇りと名誉を、叛徒どもに示しつつ敗北することが出来るだろう」
「栄光ある敗北ですな!武者震いがいたしますぞ。
叛徒どもは明日の正午に攻城を開始すると伝えて参りました。まったく、殿下が間に合って、よかったですわい」
「してみると間一髪とはまさにこのこと!戦に間に合わぬは、これ武人の恥だからな!」
ウェールズたちは心底楽しそうに笑いあっているが、陽介、完二、クマたちはその笑いに共感することができなかった。
完二たちが到着した夜、祝宴が開かれることとなっていたらしい。
完二、キュルケ、クマ、タバサ、陽介たちはそれへの参加を城にいる貴族たちに熱望されて参加することとなった。
祝宴が開かれる直前になったが、ルイズとワルドはウェールズの手紙を受け取りに行ってから未だに戻ってきていない。
広間には人が多く集まっていて騒がしかった。城中の人間が集まったのかもしれなかった。
パーティーの始まりとしてアルビオン国王ジェームズ一世が玉座から立ち上がり、始まりの、そして最後の演説を始めた。
「諸君。忠勇なる臣下の諸君に告げる。いよいよ明日、反乱軍『レコン・キスタ』の総攻撃が行われる。
明日の戦いはおそらく、一方的な虐殺となるであろう。朕は忠勇なる諸君らが、傷つき、斃れるのを見るに忍びない」
王はかなりの老体であった。ごほごほと咳をしてから言葉を続けた。
「したがって、朕は諸君らに暇を与える。長年、よくぞこの無能な王に付き従ってくれた。厚く礼を述べる。
明朝、巡洋艦『イーグル』号が女子供を乗せてここを離れる。諸君らも、この艦に乗り、この忌まわしき大地を離れるがよい」
一人の貴族が大声を上げた。
「陛下!我らはただ一つの命令をお待ちしております!『全軍前へ!全軍前へ!全軍前へ!』
今宵、うまい酒の所為で、いささか耳が遠くなっております!はて、それ以外の命令が、耳に届きませぬ!」
その勇ましい言葉にその場の全員が同調した。
「おやおや!今の陛下の言葉は、なにやら異国の呟きに聞こえたぞ!」
「耄碌するには早いですぞ!陛下!」
老王は目頭を拭い、ばかものどもめ……、と短く呟くと、杖を掲げた。
「よかろう!しからば、この王に続くがよい!さて、諸君!今日は良き日である!
重なりし月は、始祖からの祝福の調べである!よく飲み、食べ、踊り、楽しもうではないか!」
祝宴に参加していた貴族は腹から出した大声で応えた。
それからこの時期に訪れた者たちがめずらしいらしく変わる変わる完二たちを訪れた。
その様子に悲観なところは一切なく、楽しげに冗談を言い、酒を、料理を勧めてきた。
一息ついたところで陽介はクマを半ば無理矢理連れて出て行った。
陽介は話しかけられれば愛想笑いを浮かべていたが、それ以外のときは物憂げな表情を浮かべていた。
死ぬとわかっているのに明るく振舞う人たちを見て憂鬱な気分になったようだった。
完二はその体格に似つかわしい大食漢なので、しばらくは、体格に似つかわしくなく良く食べるタベサと共に祝宴に出た料理を食べていたが、
腹が膨れると陽介同様その場の雰囲気が居づらく感じられ、パーティーが広げられている大広間から廊下へと出た。
完二がしばらく暗い廊下をブラブラ歩いていると、ルイズの背が見えた。
厚い壁が四角く切り取られ窓ガラスを入れるようになっている所に膝を抱え横に座っている。
ルイズは近づいてくる完二に気がつきチラリと目線を向けたが、すぐにそっぽを向いた。
「手紙もらったか?」
完二は当たり障りの無いことを聞いた。ルイズはコクリと頷いた。
何を話せばいいかわからず、互いに何も喋らない。ルイズの背中は月光に照らされている。
コイツってこんなにちっちゃかったのか。
ルイズの後ろ姿を見ながら完二はそう思った。
ルイズが自身よりも二回り以上小さいことは知っている。
だがいつも彼女は肩肘張って自分を大きくしようと見せているのに必死だったように思える。
今の彼女の背中に強がりはない、ただただ彼女の背中が小さく見える。
少し経ってルイズが口火を切った。
「わたし結婚するわ、明日」
「えっ、っと、そりゃおめっとさん……って明日?」
完二は突然のルイズが結婚するという言葉に驚き、それからその予定が急なことに驚いた。
「ワルドがウェールズ皇太子に婚姻の媒酌を頼みたいんだって」
完二は呆れた顔をした。
「なに考えてんだ、あのオッサン……」
「わたしの婚約者にそんなこと言わないで」
いつものルイズに比して鋭い語調とは言いがたかったが、完二は慌てた。
「っとワリい……。にしてもルイズ、いいのか?トシのこたあ言わねえが、相当長いことあってなかったんだろ?」
「わかんない……」
ルイズは気の抜けたような返事をした。
「わかんないっておまえ……」
「ワルドには結婚するっていっちゃったけど、まだ結婚なんてできないわよ。
立派なメイジになれてないし……あんたの帰る方法だって見つけてないし……」
「お前、ちゃんと考えてくれてたのか……」
完二は目を開いて彼の主を見る。
最初に話したっきりその話題になっていないのでてっきり忘れているものかと思っていた。
「何よ、ご主人さまをそんな無責任だと思ってたわけ?」
ルイズは完二に背を向けたままだ。その声にはトゲがあった。
「いや。むしろオマエは責任感あるやつだと思うぜ、オレは」
ウェールズたちが自分たちを欺いたことを思い出す。ルイズは王党派と言えば命が危ないような状況で胸を張って王党派だと答えた。
恐怖で震えているにも関わらず彼女はウソをつくことをよしとしなかったのだ。
融通が利かないというべきなのかもしれないが、あの状況下で真実を口にすることにそれ以上の強さを完二は認めた。
完二の言葉に気をよくしたのかルイズはふふんと薄い胸をそらす。
「当然じゃない」
その無闇に自信満々の態度に呆れながらも完二は悪い気分にはならない。
「ま、オレも帰るまではお前のこと守ってやっからよ」
「昨日もそう言ったけど今日だって何の役にも立たなかったじゃない」
「こ、今回のはノーカンだ!ノーカン!次はちゃんとだ!」
ルイズは完二の必死な弁明に笑い声で答えた。
最近、どうもバツの悪いことばかりだと完二は心の中でごちる。
笑い声を抑え、ルイズは語りかけてきた。声の調子が変わっている。
「ウェールズ皇太子に亡命を勧めたけど、断られたわ」
「そっか……」
「姫さまも望んでいるのに……。どうしてなのかしら……。祝宴も見たわ。どうして、あの人たち、死を選ぶの?わけわかんない」
完二は何も言わずにルイズの隣に座る。完二は窓に背を向けており、その肩にルイズの背中が向けられている。
黙りこくる完二にルイズはさらに胸中のものを吐き出す。
「愛する人より、大事なものがこの世にあるっていうの?生きてこそ、じゃない。死んだら何にもなんないわ。生きてやりたいことをやればいいじゃない……」
「そうだな……」
ルイズは完二の肩を背もたれのようにした。完二は文句を言わない。
彼らがなぜ死のうとするのか完二にも理解できない。たとえ理解できたとしても死ぬことが正しいとは思わない。
いいやつも、悪いやつも、やりたいことをするのも、誰かのためになるのも、罪を償うのも、まずは生きてこそだ。
しかし自分に何ができるというのだ。彼らは彼らにとって最も大切な人であろう年老いた王に言われても城を去ろうとは知らなかった。
自分が言ったところでなんの意味もないだろう。
実際、彼ら全員が逃げる手段もない。明日、非戦闘員を避難させるための船がでるらしいがこの城にいる全員を乗せることはとても出来ないらしい。
どうしようもない問題にぶつかり完二は仲間たちのことを思い出した。この世界に共に来た者たちだけでない。
大人ぶっていながら危なっかしい少女の白鐘直斗、わがままばかり言って騒がしかった久慈川りせ、
活発だけどちょっと打たれ弱かった里中千枝、美人なのにどこかズレた天城雪子、
そしてつまらない面子にこだわって自分を見失っていた彼を変えてくれた大切な先輩。
数ヶ月前、いやほんの一ヶ月前までは事件の渦中にいたというのに全て懐かしいことのように思い出される。
「ねえ、カンジ」
仲間たちに思いをはせようとしていた完二はビクリと肩を震わした。
「な、なんだよ?」
完二にもたれかかっていたルイズは姿勢を変えた。使い魔と横並びになるように座る。
「ねえ、あんたの話して」
「はあ?んな、どーしてだよ?」
「わたしが聞きたいからよ」
ルイズは分かりきったことを聞くなという風だ。その高慢ちきぷりに呆れるが、完二は拒絶せずに話すことにする。ちょうどそのことを思い出していたところだ。
「ま、いいぜ。まずはオレにはすっげえセンパイがいてな……」
完二はルイズに語った。
彼にとって大切な仲間の話をした。自分を変えてくれた大切な先輩や、思い出してみれば少しルイズに似ているような気のする少女や仲間たちのこと、
彼自身も巻き込まれた誘拐事件の話もしたし、取るに足らないバカをやった話もした。
ルイズは時には笑い、驚き、共感もしてくれた。完二はルイズの反応も嬉しかったが、彼のもうすぐ17年になる人生の中で最も濃密だった1年のことを思い出すのも楽しかった。
思えば、話しても誰も信じてくれないような荒唐無稽な話であったため誰にも話したことがないのであった。
その夜、完二は彼の世界の話をし、ルイズは使い魔の話に耳を傾け続けた。
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