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#navi(Maximusな使い魔)
#setpagename(Maximusな使い魔 第03話)
朝日が昇るのとほぼ同時にマキシマは目を覚ます。
脳内アラーム機能の設定時間を変更していなかったが、どうやら問題なさそうだ。
朝になったら起こせと言われているが、この少女が目を覚ますにはまだ早すぎる時間だろう。
とりあえず頼まれた洗濯を済ますために、昨日のうちに丁重に畳んでおいた少女の
下着と、ベッドの下に脱ぎ散らかされた洋服を、机の上においてあった適当なバスケットの中に放り込み部屋を出る。
どうやらこの世界は、中世ヨーロッパ程度の技術力しかないらしく、洗濯機なんて便利なものも
当然ない。恐らく洗濯物も手洗いなのだろう。
そうなると洗濯場は外だ。
そう考えたマキシマは、昨日来た道を逆戻りして外へ出る。
辺りを適当に歩いていると、程なくして井戸を見つけた。
しかしそこにあると予想していた洗濯用品が見当たらない。
さて、どうしたものか…。
とりあえず、倉庫か何かを探しに行くか と考えていたマキシマの背中に、「トンッ」と何かがぶつかった。
振り向くと、大量の洗濯物をひっくり返して尻餅をついている使用人らしき少女がいた。
「おい、大丈夫か?」
マキシマがその野球グラブのような大きな手を差し出す。
その手を取らずに、少女は慌てて立ち上がり体をビシッと伸ばすと、カックン!カックン!とものすごい勢いで頭を下げ始めた
「申し訳ございません!!申し訳ございません!!私の不注意でした!!」
行き場を失ったマキシマの手が、辺りに散らばった洗濯物を、少女の持っていたカゴの中に入れていく。
その様子をオロオロと見ていた少女が、マキシマからカゴを受け取ると、今度は
「ありがとうございます!!ありがとうございます!!」
と、またカックン!カックン!とお辞儀をし始める。
「貴族様の手を煩わせてしまいました!!申し訳ございません!!」
「俺は平民だぞ?」
その言葉に、使用人の少女は「ふぇ?」と可笑しな声を出す。
「昨日『使い魔』として呼び出されたんだが…」
少女はその場にへなへなと腰を下ろしてしまう。
「…本当に大丈夫か?」
そういってもう一度手を差し出す。
今度はしっかりと手を取って立ち上がる少女。
「ご、ごめんなさい。てっきり貴族の方だと…」
「それより洗濯がしたいんだが。すまないが道具を貸してもらえないか?」
「ええ。かまいませんよ」
少女がニッコリと微笑んで快く承諾してくれた。
「あなたのことだったんですね。ミス・ヴァリエールが召喚された平民の使い魔って」
二人並んで、桶で洗濯をしていると、少女が話しかけてくる。
「そうだが…。その口振りだと、噂になってるみたいだな…」
「えぇ!それはもう。ミス・ヴァリエールがとても大きな平民の使い魔を召喚した!って」
有名人ですね! と笑いかけてくる少女に、マキシマは苦笑する。
ここでは噂話が広がるのが相当早いらしい。
「それにしても、洗濯がお上手ですね。ここに来る前にもこういう事を?」
手を休めずに少女が問いかけてくる。
マキシマも、テキパキと衣類を洗いながら返す。
「いや。こうやって手で洗濯をするのは初めてだな。こう見えて手先は器用なほうでね」
その言葉に少女は感心する。
「すいません。手伝ってもらっちゃって。いつもはもう一人居るんですが、熱を出してしまいまして」
「かまわんさ。道具を貸してもらった礼だ」
そう言葉を交わすと、少女は洗い終わった衣類の入ったカゴを持ち上げようとする。
しかし水を吸った衣類はかなり重いらしく、フラフラとしている。
あの様子では前も見えていないだろう。
ふっ と彼女の手から重さがなくなる。
「危なっかしいお嬢さんだ。これはどこに持っていったらいいんだ?」
上から声が聞こえたので見上げると、片手で洗濯物を持った使い魔の彼がいた。
「わ…わるいですよ!本来私の仕事なのに…」
「道具を貸してくれた礼だと言ったろう?」
でも…。と申し訳なさそうな少女に、マキシマは彼女でも片手で持てるくらいのバスケットを渡す。
「うちの御主人サマの洗濯物だ。代わりにそっちを持ってくれないか?」
そういってマキシマが笑う。その顔を見て、少女が「はい!」と、にこやかに返事をする。
紳士的な彼を、少女は好意的に感じた。
――――――――――――――――――――――――――――――――
「ありがとうございました!私、この学院で働いてるシエスタっていいます!気軽に『シエスタ』って
呼んでください!」
「俺はマキシマだ。知っての通り使い魔になっちまった」
洗濯物を干し終えて、元気良く自己紹介をするシエスタに、肩をすくめながら返すマキシマ。
「なにかお困りな事があったら言ってください!力になれるならすぐにお伺いしますね」
そういうとペコッと頭を下げ、ぱたぱたと走っていった。
(そろそろお姫様を起こしにいくかな…)
そう思い足元に置いてあったバスケットを掴み空を見上げ、日差しが強くなってきた事を確認した。
マキシマが、また同じ道のりでルイズの部屋に戻る。
いろいろと見て回りたかったが、流石に女子寮をうろうろしていたら、生徒が彼のゴツい顔を見て
悲鳴を上げかねない。
ただでさえ威圧感のある見た目なのだ。
それはまた別の機会にしようと考えドアを開けると、ルイズはまだ気持ちよさそうに寝ていた。
(寝ている分には、カワイイもんなんだがなぁ…)
起きている時のルイズは、K’とクーラを足して、素直さを引いた感じだが、寝ているときの顔は
クーラとかわらない、あどけなさの残る少女のものだった。
未だにすぅすぅと可愛らしい寝息を立てているルイズの肩を優しく揺する。
「起きなお姫様。朝だぜ」
目を擦りながらルイズが起き上がる。
ぼ~っとした目が、しばらくキョロキョロと辺りを見回す。
そしてマキシマと目が合ってから数秒経つと、急にハッとした顔をする。
「…きゃあ!あ、あんた誰よ!!」
「自分で召喚しておいて、誰?てのはないだろ?」
どうやらまだ寝ぼけているらしいルイズに、冷静なツッコミをいれる。
少しの沈黙があり、またハッとした顔をした。
「し、知ってるわよ!冗談に決まってるじゃない。冗談!」
ルイズが慌てて取り繕うが、マキシマには丸分かりだ。
「服」
まだ少し眠いらしいルイズが、目を擦りながら言う。
タンスを開け、昨日着ていた服と同じようなものを取り出す。
振り返ると、ベッドの上に立ったルイズが両手を横に伸ばしていた。
「…何してるんだ?」
「着せて」
その言葉に、マキシマは耳を疑った。
「俺は嬢ちゃんの母親じゃないんだぞ!?」
「そんな事分かってるわよ。いい?召使がいる時は、召使に着替えさせるのが当然なの」
当然よ!っと無い胸を張るルイズに、マキシマが問いかける。
「おい!俺は使い魔じゃなかったのか!?いつから召使になった!」
「似たようなものでしょ?さ、早くしなさい」
マキシマは「やれやれ…」と呟くと、ルイズに服を着せる。
指が太すぎてボタンが掴めない…何てことも無く、普通に着せる。
「あら?ずいぶん聞き分けがいいわね?」
ベッドの上に居るのに、まだ背の追いつかないルイズ。
改めて自分の使い魔の背の高さを認識する。
「手のかかる子供の世話は慣れてるんでね」
マキシマが自嘲気味に答える。
その言葉にルイズが反応する。
「誰が手のかかる子供よ!ていうか…え?子供が居るの?」
「そんなわけないだろう!俺が子供のいる年齢に見えるか!?」
「見えるわね。どこからどう見てもオッサンね」
「俺はまだ二十代だ!」
ルイズの辛らつな言葉に。
ガックリとうな垂れるマキシマ。
いつもと違う、そんな、朝のひと時。
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