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#navi(ゼロのチェリーな使い魔)
ルイズの身支度が終わると、二人は『アルヴィーズの食堂』へ向かった。
食堂に到着すると、三列の食卓には豪華な飾りつけと食事が所狭しと並べられていた。
豪華絢爛なテーブルを目の当たりにして目を輝かすフリオニール。
その様子を横目で見ていたルイズは
「あんたはあっち」
勝ち誇ったように指をさす。
フリオニールがその方向へ目線を移すと、床の上に具のないスープと硬そうなパンが置いてあった。
(いいじゃないか!ただ、だし)
フリオニールは自分にそう言い聞かせるが顔で笑って心で泣いた。
「使い魔がご主人様と同じものを食べられるとでも思ったの? 本当なら使い魔は外で
食事をするところをこのわたしが『特別に』中で食べさせてあげるんだから感謝しなさい」
傷心のフリオニールにルイズは恩着せがましく言った。フリオニールの表情を見るに
使い魔教育第一弾は大成功のようだ、とルイズは満足した。
フリオニールはとぼとぼと歩き出し食事の置いてある床に座るのであった。
朝食後、ルイズとフリオニールは教室へ向かった。
大学の講堂のような広い教室の中に入ると、生徒達が様々な使い魔を引き連れていた。
どうやら人間の使い魔を連れているのはルイズだけらしく、それをネタにルイズは他の
生徒達にからかわれていた。
顔を赤くして反論するルイズ。ルイズへの嘲笑はフリオニールにも向けられているのだが、
フリオニールは心ここにあらずの心境で思考を巡らせていた。
(一緒に授業に参加すれば元の世界へ帰られるヒントを得られるかも)
「さぁ、授業を始めるわよ」
女性教師が教室へ入ってくると、喧々諤々と騒いでいた生徒達は各々席へとついた。
「絶対に許さないんだから。ツェルプストーの奴・・・」
初対面の時と同じくらいに不機嫌になって独り言を呟くルイズにフリオニールはダメ元で
「あの~、俺の席はないですよね?」
「当たり前でしょ!」
ルイズの一喝にフリオニールはビクンと反応すると諦めて床に座った。
「皆さん、春の使い魔召還は大成功のようですね。このシュヴルーズ、みなさんの使い魔を
見るのを毎年楽しみにしているのですよ」
シェヴルーズは生徒達の労をねぎらうと、教室を見渡しフリオニールに眼をとめた。
「ミス・ヴァリエール、また変わった使い魔を召喚したようですね」
シュヴルーズの発言に教室中から笑い声がおこった。
顔を真っ赤にして俯くルイズ。
その様子を気の毒そうに見上げるフリオニールを尻目に授業は始まった。
『系統魔法』と呼ばれるこの世界の魔法は土・水・火・風の四系統に加え、伝説の
系統として『虚無』が伝えられている。メイジは最低でもどれか1つの系統の
魔法が使え、メイジが魔法の杖を振るい、ルーン(魔法語)を唱え、精神力を消費
する事で魔法は発動する。
(あ~、魔法の説明か。魔法は専門じゃないしつまんないな)
さらに講義は続き
メイジの能力は「(同系統の重複も含め)各系統を幾つ足せるか」で示される。
また、メイジには『ドット』『ライン』『トライアングル』『スクウェア』の4階級
があり、ランクが1つ上がるごとに魔法の消費精神力は約半分になり、魔法の
ランクが1つ上がるごとに精神力の消耗は約2倍になる。
(熟練度が上がれば使うエネルギーも増す、か。俺の住む世界とあまり変わらないみたいだな)
メイジにはそれぞれ、その特性を顕す二つ名がついている。
(うちの「ご主人様」の二つ名は確か・・・)
フリオニールは思い出そうとしたが、答えが出てこないので小声でルイズに問いかけた。
「ルイズさんの二つ名ってなんでしたっけ?」
「えっ!?」
ルイズは使い魔の質問に思わず素っ頓狂な声を出した。
「ミス・ヴァリエール。ではあなたにこの『錬金』をやってもらいましょう」
ルイズの声を挙手と勘違いしたシェヴルーズは魔法の実践をするのに彼女を指名した。
ざわめく教室。
「先生。それは止めておいた方がいいと思います」
「そうです!無茶ですよ。『ゼロ』に魔法を使わせるなんて・・・」
「また教室が滅茶苦茶にされる!」
シェヴルーズはコホンと咳払いをひとつして
「失敗を恐れていては進歩はありません。さぁ、ミス・ヴァリエール。こちらへ」
「はい」
ルイズは意を決して教壇へ向かう。すると、他の生徒と使い魔達は机の下に潜り込んだり
教室からそそくさと出て行った。
嫌な予感がしたフリオニールは、背中にかけていたアイスシールド(オーガチーフから
入手したおたから)を素早くはずして左手に持つと防御の体勢をとった。
(何が起こるんだ!?)
ルイズは教壇に立つと杖を掲げてルーンを詠唱した。
すると次の瞬間、ルイズの目の前にあった石が爆発を起こした。
ちりとほこりが教室中に蔓延する。
フリオニールは防御していたこともあり被害はほとんどなかったが、至近距離にいた
シェヴルーズは爆風をまともに受けて倒れていた。詠唱者であるルイズは無傷で
あったが呆然と立ちすくしている。
(大変だ!)
フリオニールは急いでシェヴルーズの元へ駆け寄り、『ケアル』の魔法を唱えた。
すると、意識を取り戻したシェヴルーズはゆらゆらと立ち上がり、ルイズに後片付けを
命じるとダメージが残っているのか重い足取りで保健室へと向かっていった。
懸命に教室の掃除をするフリオニール。作業をしながら気落ちしているルイズを励まそうと声をかける。
「先生が無事でなによりでしたね。ところで、ルイズさんの魔法すごい破壊力ですね」
「は?」
「俺の住む世界にはあんな魔法ないですよ。ルイズさんは立派な魔法使いなんですね」
「・・・それ、嫌味で言ってるわけ?」
「とんでもない!あの魔法を駆使すればモンスターの大群もイチコロですよ」
「魔法も使えない平民に同情される筋合いなんてないわ!」
「少しは使えるんですけど・・・」
「杖も持っていないくせに!貴族を愚弄するなんて言語道断だわ!」
気まずいムードになる二人の前に赤い髪をなびかせた一人の女性が近づいてきた。
「派手にやってくれたじゃない。ミス・ヴァリエール」
「冷やかしにきたならあっちに行ってちょうだい。ミス・ツェルプストー」
「あら、私は授業が自習になったお礼を言いにきただけよ」
「お礼なんて結構よ!」
火花を散らすルイズとツェルプストー。
ツェルプストーはふとフリオニールの方へ視線を変え、
「あなたがミス・ヴァリエールの使い魔君ね」
「はじめまして。フリオニールです!」
掃除をしていた手を休め挨拶するフリオニール。
(きれいなひとだなぁ)
豊満なバストにすらっとした長身。ほのかな甘い香りを漂わす美人を前にフリオニールは
思わず鼻の下を伸ばした。
「フリオニールね。私のことはキュルケと呼んでいただいて結構よ」
「ありがとう」
「ところであなた。さっき倒れていたミス・シェヴルーズを介抱したとき、かざしていた
手が光っていたようだけど?」
「ああ、あれ。魔法はあまり得意じゃないんだけど」
「あなたメイジなの?」
「いいえ、ロッテっす」
「???シャルロッテ?」
ナイスバディのキュルケを前にして舞い上がるフリオニール。そのやり取りをジト目で
見ていたルイズは堪忍袋の緒が切れたのかキュルケに突っかかり始めた。
「人の使い魔にちょっかい出さないでいただけるかしら」
「ちょっかいとは心外だわ。あなたの使い魔、ひょっとするとすごい能力の持ち主かも
しれなくてよ?」
「使い魔のことは主人であるわたしが一番知っているのでお気遣いなく」
「その言葉、確かに聞いたわよ・・・まぁ、好青年みたいだし害はないと思うけど」
キュルケはフリオニールに向けてウインクし
「私にはもっと気軽に話していただいてよくてよ?何ならそんな人使いの荒い主人を
捨てて私のところに来てもいいんだから」
と言い残すと悠然と去っていった。
#navi(ゼロのチェリーな使い魔)
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