「ルイズのニワトリ・夢を見るコケコッコー」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「ルイズのニワトリ・夢を見るコケコッコー」(2010/11/26 (金) 19:30:55) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
「こ、これがわたしの使い魔……?」
幾度かの爆発を経て、ルイズの目の前に姿を現したのはまっ白い体と赤いとさかを持つ鳥であった。
いや、それはグリフォンとか風竜とか、すごいのが欲しいなとは期待したけど、むしろ、そのへんの農家の納屋ででも飼われていそうな、そんな鳥。
それがコケコッコーと鳴いたとき、ルイズは脱力したようにつぶやいた。
「ニワトリ」
それは、ルイズの望んだ、神聖で気高いというシンボルからは程遠いというか、ちょっとな代物。
「ニワトリね」
「ニワトリだな」
「ゼロのルイズはニワトリを召喚したか」
周りの生徒の反応も一様に等しく、あざけりもないが感嘆もない。まあ生徒の中にはカエルを召喚したりしたのもいるので、ニワトリなら可もなく不可もなくといったところだろうか。
自失していると、コッパゲの教師が「はやくコントラクト・サーヴァントを」とせかして来るので、反射的に「はい」と答えた。
ルイズも、期待はずれにはがっかりしたけど、とりあえずはサモン・サーヴァント成功ということでコントラクト・サーヴァントにも一応は成功した。
「でも、あなたがこれからはわたしの相棒になるのよね」
その夜、用意していた使い魔用のわら束の上でちょこんと座るニワトリの前で、ルイズは気を取り直した。
期待とは大きく違ってたけど、成功は成功だ。これで、自分はゼロではないということが証明できただけでも大成功と思わなくては。
そう思うと、なんの変哲もないニワトリも妙にいとおしく思えてくる。
「あなたの名前は……コッコちゃんね。よし、コッコちゃんに決めた!」
それから、ルイズは相変わらずほかの魔法は爆発しか起こせないけど、小さな希望を得て毎日をがんばった。
早朝キュルケにからかわれても、食堂でパンくずをもらってきて、喜んでついばんでいるコッコちゃんを見ると怒りも収まった。
たとえ授業で何の成果も出せなくても、コッコちゃんの生んでくれる一日一個のタマゴが彼女のはげましになった。
ちなみに、その後なぜかルイズの頭に一ヶ月一万スゥ生活という言葉が頭に浮かんでくるようになり、妙に海で泳ぎたくなることがあったが本編と関係ないので割愛する。
でも、そんなある日のことだった。
その日、コッコが一羽で学院の中庭を散歩していたら、その前を数人の生徒が通りがかった。
「おい、ありゃゼロのルイズの使い魔じゃないか?」
それは、学院でも指折りの不良学生のド・ロレーヌとその悪友たちであった。
彼らはコッコを見つけると、そのとき偶然機嫌が悪かったのも手伝って、邪悪な笑みをかわしあった。
そうして周りを見渡し、目撃者がいないことを確かめると、いきなりコッコを足で蹴り上げたのである。
「オラァ!」
突然蹴り飛ばされて、コッコは「コケーッ」と鳴いて転がりまわった。
彼らは悲鳴をあげるコッコを見て嘲り笑い、さらに走りよって蹴りまわし始める。
「ちょうどむしゃくしゃしてたところだ。ゼロのルイズの使い魔ならちょうどいいや、うさばらしに使わせてもらうぜ」
理不尽で残酷な理由で、ド・ロレーヌたちは無抵抗な一匹のニワトリをいたぶり続けた。
逃げようとするコッコにむかって、はしゃぎながらボールのように小さな体を蹴りまわし、しまいには杖を取り出して魔法をぶつけるまでやってのけた。
そうしているうちに、コッコの白い翼は泥で汚れ、体からは血がにじむ無残な様相へと変わっていった。
しかし、ド・ロレーヌたちはそんな残忍な行為を、自らの身であがなわされる時がくるとは夢にも思っていなかった。
突然、傷だらけのコッコが空に向かって「コケーッ!!」と一声鳴いた瞬間、周囲が急に暗くなった。
「ん? なんだ」
ド・ロレーヌたちは、突然夜になったような暗さに、思わず上を見上げた。
そして、彼らは自らの目を疑うことになる。そこで太陽をさえぎっていたのは雲などではなかった。無数の、そうとてつもなく無数のある”もの”。
それこそは……
「「「「「コケーッ!!!!」」」」」
手を覆い尽くすようなニワトリの群れが、ド・ロレーヌたちに向かって降下してくる。
「うわぁーっ!!」
ド・ロレーヌたちはありとあらゆる方向から襲い掛かってきたニワトリに、つつかれ、ひっかかれて絶叫をあげた。
ニワトリたちは、コッコの恨みを晴らそうとするかのように情け容赦なく彼らを攻撃してくる。
しかも、ド・ロレーヌたちがニワトリを追い払おうと魔法をぶつけても。
「き、効かない!?」
なんと、そのニワトリたちはどんな魔法をぶつけられても、まるで鉄でできているかのように『ガキン』という音を立てるだけでまるで受け付けなかった。
なすすべもなく、ド・ロレーヌとその悪友たちが、ぼろ雑巾のようになって発見されたのは翌日になってからのことである。
その数百年後、トリステインには奇妙な伝説が語り継がれるようになった。
いわく、アルビオンを陥落させ、トリステインに迫るレコン・キスタ軍がついに首都トリスタニアに迫ったときのこと。どこからともなくやってきたニワトリの集団がレコン・キスタ軍を壊滅させた。
いわく、ガリア軍がロマリアに侵攻したとき、ガリア軍の巨大なゴーレムを大量のニワトリが担ぎ上げて谷に落とした。
いわく、聖戦が発動される直前になって、エルフの首都アディールで大量のニワトリが発生して大混乱になり、大損害を受けたエルフ軍ととりあえず話し合いが持たれるようになったこと。など……
そのため、現在ではニワトリは伝説の不死鳥フェニックスの化身と呼ばれ、トリステインの農家で大切に飼われている。
そして、その影にラ・ヴァリエール公の三女がいつもいたことも……
”そのもの、つねに優しく、つねに穏やかな我らの友
日々の糧を我らに与え、太陽とともにいつもある
けれども、決してそのものを怒らせてはいけない
卑劣なる暴力には、神の鳥の鉄槌がくだるであろう”
ゼルダの伝説シリーズより、ニワトリを召喚
「こ、これがわたしの使い魔……?」
幾度かの爆発を経て、ルイズの目の前に姿を現したのはまっ白い体と赤いとさかを持つ鳥であった。
いや、それはグリフォンとか風竜とか、すごいのが欲しいなとは期待したけど、むしろ、そのへんの農家の納屋ででも飼われていそうな、そんな鳥。
それがコケコッコーと鳴いたとき、ルイズは脱力したようにつぶやいた。
「ニワトリ」
それは、ルイズの望んだ、神聖で気高いというシンボルからは程遠いというか、ちょっとな代物。
「ニワトリね」
「ニワトリだな」
「ゼロのルイズはニワトリを召喚したか」
周りの生徒の反応も一様に等しく、あざけりもないが感嘆もない。まあ生徒の中にはカエルを召喚したりしたのもいるので、ニワトリなら可もなく不可もなくといったところだろうか。
自失していると、コッパゲの教師が「はやくコントラクト・サーヴァントを」とせかして来るので、反射的に「はい」と答えた。
ルイズも、期待はずれにはがっかりしたけど、とりあえずはサモン・サーヴァント成功ということでコントラクト・サーヴァントにも一応は成功した。
「でも、あなたがこれからはわたしの相棒になるのよね」
その夜、用意していた使い魔用のわら束の上でちょこんと座るニワトリの前で、ルイズは気を取り直した。
期待とは大きく違ってたけど、成功は成功だ。これで、自分はゼロではないということが証明できただけでも大成功と思わなくては。
そう思うと、なんの変哲もないニワトリも妙にいとおしく思えてくる。
「あなたの名前は……コッコちゃんね。よし、コッコちゃんに決めた!」
それから、ルイズは相変わらずほかの魔法は爆発しか起こせないけど、小さな希望を得て毎日をがんばった。
早朝キュルケにからかわれても、食堂でパンくずをもらってきて、喜んでついばんでいるコッコちゃんを見ると怒りも収まった。
たとえ授業で何の成果も出せなくても、コッコちゃんの生んでくれる一日一個のタマゴが彼女のはげましになった。
ちなみに、その後なぜかルイズの頭に一ヶ月一万スゥ生活という言葉が頭に浮かんでくるようになり、妙に海で泳ぎたくなることがあったが本編と関係ないので割愛する。
でも、そんなある日のことだった。
その日、コッコが一羽で学院の中庭を散歩していたら、その前を数人の生徒が通りがかった。
「おい、ありゃゼロのルイズの使い魔じゃないか?」
それは、学院でも指折りの不良学生のド・ロレーヌとその悪友たちであった。
彼らはコッコを見つけると、そのとき偶然機嫌が悪かったのも手伝って、邪悪な笑みをかわしあった。
そうして周りを見渡し、目撃者がいないことを確かめると、いきなりコッコを足で蹴り上げたのである。
「オラァ!」
突然蹴り飛ばされて、コッコは「コケーッ」と鳴いて転がりまわった。
彼らは悲鳴をあげるコッコを見て嘲り笑い、さらに走りよって蹴りまわし始める。
「ちょうどむしゃくしゃしてたところだ。ゼロのルイズの使い魔ならちょうどいいや、うさばらしに使わせてもらうぜ」
理不尽で残酷な理由で、ド・ロレーヌたちは無抵抗な一匹のニワトリをいたぶり続けた。
逃げようとするコッコにむかって、はしゃぎながらボールのように小さな体を蹴りまわし、しまいには杖を取り出して魔法をぶつけるまでやってのけた。
そうしているうちに、コッコの白い翼は泥で汚れ、体からは血がにじむ無残な様相へと変わっていった。
しかし、ド・ロレーヌたちはそんな残忍な行為を、自らの身であがなわされる時がくるとは夢にも思っていなかった。
突然、傷だらけのコッコが空に向かって「コケーッ!!」と一声鳴いた瞬間、周囲が急に暗くなった。
「ん? なんだ」
ド・ロレーヌたちは、突然夜になったような暗さに、思わず上を見上げた。
そして、彼らは自らの目を疑うことになる。そこで太陽をさえぎっていたのは雲などではなかった。無数の、そうとてつもなく無数のある”もの”。
それこそは……
「「「「「コケーッ!!!!」」」」」
手を覆い尽くすようなニワトリの群れが、ド・ロレーヌたちに向かって降下してくる。
「うわぁーっ!!」
ド・ロレーヌたちはありとあらゆる方向から襲い掛かってきたニワトリに、つつかれ、ひっかかれて絶叫をあげた。
ニワトリたちは、コッコの恨みを晴らそうとするかのように情け容赦なく彼らを攻撃してくる。
しかも、ド・ロレーヌたちがニワトリを追い払おうと魔法をぶつけても。
「き、効かない!?」
なんと、そのニワトリたちはどんな魔法をぶつけられても、まるで鉄でできているかのように『ガキン』という音を立てるだけでまるで受け付けなかった。
なすすべもなく、ド・ロレーヌとその悪友たちが、ぼろ雑巾のようになって発見されたのは翌日になってからのことである。
その数百年後、トリステインには奇妙な伝説が語り継がれるようになった。
いわく、アルビオンを陥落させ、トリステインに迫るレコン・キスタ軍がついに首都トリスタニアに迫ったときのこと。どこからともなくやってきたニワトリの集団がレコン・キスタ軍を壊滅させた。
いわく、ガリア軍がロマリアに侵攻したとき、ガリア軍の巨大なゴーレムを大量のニワトリが担ぎ上げて谷に落とした。
いわく、聖戦が発動される直前になって、エルフの首都アディールで大量のニワトリが発生して大混乱になり、大損害を受けたエルフ軍ととりあえず話し合いが持たれるようになったこと。など……
そのため、現在ではニワトリは伝説の不死鳥フェニックスの化身と呼ばれ、トリステインの農家で大切に飼われている。
そして、その影にラ・ヴァリエール公の三女がいつもいたことも……
”そのもの、つねに優しく、つねに穏やかな我らの友
日々の糧を我らに与え、太陽とともにいつもある
けれども、決してそのものを怒らせてはいけない
卑劣なる暴力には、神の鳥の鉄槌がくだるであろう”
ゼルダの伝説シリーズより、ニワトリを召喚
----
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: