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#navi(疾走する魔術師のパラベラム)
プロローグ
0
Si vis amari,ama.
――愛されることを望むなら、愛せよ。
Si vis pacem parabellum.
――シィ・ウィス・パケム・パラベラム。汝、平和を望むなら戦争に備えよ。
1
トリステイン魔法学院に在籍するルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールには一つのコンプレックスがある。
そのコンプレックスは『彼女が魔法学院の中で唯一、魔法が使えない』ということ。
父はトリステイン王国でも比べる対象を探すほどの有力貴族。
母は若き頃はその卓越した魔法で勇名をはせ、伝説とまで呼ばれた優れたメイジである。
姉であるエレオノールは、アカデミーと呼ばれる研究所の一員であるエリートだ。
もう一人の姉のカトレアは、病弱で屋敷から出ることが困難なほどだが、その心は誰よりも優しく、メイジとしての技術も決して低いものではない。
婚約者であるワルド子爵は、王国内でも指折りのエリート部隊『グリフォン隊』の隊長になったと風の噂で聞いた。
そして優秀な家族の中で、ルイズはただ一人、『魔法』が使えない。
しかし、彼女はある時を境に《パラベラム》となる。
2
トリステイン魔法学院にあるヴェストリの広場で、少女と少年が向かい合っている。少女たちが立っているのは、学園の西側の広場の中央の辺り。本来、人気のない場所だがこの時は、この学院の生徒である貴族で人垣ができていた。ざわめきは広場を包んでいるが、向かい合う二人は意にも介さない。
二人とも杖を取り出し、構えていた。
緊張感が高まり、見物人が我慢を切らしそうになった時。
「本当に降参はしないのか」
金髪の少年が口を開いた。
「ええ」
少女が頷く。
「君はゼロだ。今ならこちらも矛を収めよう」
「くどいわ。私はゼロじゃない。早く始めましょう」
「・・・・・・いいだろう、ゼロのルイズ」
少年は、薔薇を模した造花の杖を振る。杖から花弁が一枚、はらりと地面に落ちた。すると花弁は、ゴーレムへと変化を遂げる。細かい装飾を施された美しい鎧を身に纏った女騎士の青銅像。両手には何も持っていない。周囲の静かな驚嘆の声が漏れた。
「これが、僕の『ワルキューレ』。 ゼロのルイズ、君にはこの一体で十分だろう。魔法の使えない君に勝ち目は、無い」
ルイズには確かに魔法は使えない。しかし、彼女はこの時すでに《パラベラム》だった。
――そもそも《パラベラム》とは?
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