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#navi(ルイズとヤンの人情紙吹雪)
アルヴィーズの食堂での一件はすぐさまオスマンの耳に届いた。
耳に届いてすぐさま行動に移したが遅かった。
ルイズの使い魔がどの程度の実力を有しているのか。
覗き鏡まで用意して、観る気満々だったのにがっかりした。
「……伝説のガンダールブの実力………」
どよーんとした表情でオールド・オスマンは呟く。
「全然…観れませんでしたね……」
同じく沈んだ表情をしているコルベール。
「……し、しかし幸いなことに食堂での騒動は、多くの生徒達に目撃されておりました! これがアンケート結果です! 聞きますか!?」
コルベールが元気良く提案する。
「おぉ! 本当かね! 良くやったぞコルベール君! で、ガンダールブ(仮)の戦いぶりはどうだったと言っているのじゃ!?」
コルベールの気の利いた行動にオスマンは顔をパァッと輝かせる。
ベールに包まれていたガンダールブかもしれない男の片鱗を垣間見ることが出来るかもしれない。
オスマンの心は期待に満ちて、コルベールがアンケート結果を読み上げるのを待ち構えた。
「ごほん では読みます。 え~まず国内某所出身、風ッ引きさん。 『とにかくギーシュがボコボコにされていた。 殺されそうな感じだった。
チンピラにいじめられているようにしか見えなかった。いじめはかっこ悪いなと思った。超こわい。』 ………だそうです」
チラ
コルベールはオスマンを見る。
オスマンは俯いていた。
「…えーーー では気を取り直して次。 国外某所出身、情熱タイフーンさん。 『とても強くてワイルドでノリが良くて素敵。 あんな男性に迫られたら
断りきれない。 彼の顔を見るだけ私の心は燃え上がり、胸の奥がざわめくの。 どうしたら彼が私に微笑みかけてくれるのかしら。
彼のことが知りたい。 何が好きなのか。 どんな食べ物を好むのか。 どんな本を読むのか。 どんな顔をして眠るのか。 ああ 彼が頭から
いいえ 心から離れない。 これが本当の恋。 こんなのは初めてなの。』 ……………………ははは ダメだこれ」
チラ
コルベールはオスマンを見る。
オスマンは無表情でコルベールを見つめていた。
「………次次! 次いきましょう。 んん ごほん 国内出身の腋の下の素晴らしきカホリさん。 『浮気をした罰だと思う。 いい気味だなと思った。
だいたいあんな女のどこがいいのか理解できない。 もっといい女が目の前にいると言うのに信じられない。 天罰ってあるんだな。
彼は私の願いを叶えてくれたからいい人だと思う。 見た目は少しアレだが、人を見た目で判断してはならないという教えだ。』
……いやーまいったまいった。 どんな戦い方をしたのかって名目でアンケートとったんですがねー」
チラ
コルベールはオスマンを見る。
オスマンはコルベールの頭をみて舌打ちをして、その後ゆっくり視線を上にずらしていった。
「………まだあるんですよ! ははは 行きますよ! 国外出身の戦闘妖精さんからです。 『戦闘の分析結果をむざむざ他人に教える愚挙はしない。
情報とは戦場にあって何よりも尊いものであって、それを完全な信頼関係に無い第三者に求めるとは滑稽である。』
………だそうです。 いやぁ いいこと言いますね この子」
チラ
コルベールはオスマンを見る。
オスマンは手近にあった紙で折り紙をしていた。
少し涙目だ。
「あの……オールド・オスマン? えーと まだ……あるんですが アンケート………もう…いいですよね これ はは」
コルベールは朗らかに笑う。
自分もアンケート用紙で折り紙を始める。
学院長室で老人と剥げた中年は楽しそうだった。
今日も二人は平和だった。
みゅーん、みゅーん、みゅーん。
ルイズは泣いていた。
独り部屋に篭り、大きな瞳を潤ませベッドの中で枕をしとどに濡らしていた。
「うぅ ぐずっ う、うう えぐ えぐ ぐず あ、あのばがい゛ぬ゛ぅぅぅぅ! ぐす 他の女と…… う、うぅぅううう」
ルイズはシエスタにKO負けを喫した後、フラフラの足取りで何とか自室まで戻っていた。
自分にあんな濃厚なキスを三回もしておいて、他所に女を作っていた。
召喚してまだちょっとしか経ってないのに。 しかも平民。
おっぱいが少しばかり大きい可愛い平民。
自分は! ナニは小さくとも立派な貴族だ。
家柄で言えば、ここトリステインでも一、二を争う大貴族なのだ。
アイツの御主人様なのだ。
アイツは私のもので然るべきであって、浮気だなんて………!
浮気だなんてッ!!
ん? ん~~~~。
まて。 まてまてまてまて。 ちょっとおかしい。
浮気?
(う、ううううう浮気って…! 何を言ってるの私! ヤ、ヤンとはこ、ここここここ恋人とか…! そういうんじゃないし! ち、違うんだから!
あ……だったらあの平民と付き合っていても……ってダメよ! 絶対ダメ!! え、え~と…そうよ! ヴァリエール家の三女であるこの私の使い魔が!
平民風情の女なんかとそーゆー関係になられたら、ヴァリエールの家名にも傷がつくのよ!! ええそうよ! 絶対そうなのよ!
……………でも………………こ、恋人かぁ……恋人になるってことはいずれ、け、けけけ結婚とか当然するのよね……………ヤンと……結婚かぁ………
アイツが結婚って……ちょっと想像しがたいわね……家で大人しくできそうな奴じゃないし…………………も、もももももしもよ!? もしもの話………
赤ちゃんができたら…喜ぶかしら? ………うーーーん……あんまり喜びそうも無いわね……子どもなんか知ったこっちゃネェーーッとか言い出しそう……
でもそんなの許さないわ! しっかり父親としての自覚を持ってもらわなくちゃ! とりあえず無茶しないようにさせて……教養を身に付けさせないと……
貴族のマナーも一から教え込まないといけないわね! 道のりは遠いわ……………でも案外、子煩悩なパパになったりして………………えへへ………
って違う! 違~~~~うッ!!! なに言ってるのよ私! しっかりしなさい私! アイツはちょっと強いだけの平民の使い魔! ありえないのッ!!)
枕に顔を埋めたままなので表情は隠れているものの、耳まで真っ赤にしながら足をバタつかして悶える。
(………はぁーー……………あの馬鹿犬……………本当に恋人なのかな……)
再びシュンっとなった。
「クククククク 忙しいヤツだなぁ? さっきから見てて飽きネーぜ ナァニやってんだ?」
バッ
聞きなれた声にベッドから飛び起きるルイズ。
「ヤ、ヤヤヤヤヤヤン!? ど、どこにいるのよ!!? って、ぎゃーーーーーーーーーーーーー!!」
真横にいた。
「ち、近ッ! 近すぎるわよ! ていうかいつの間に部屋に入ってきたのよ! イツから居たのよ! なんで居るのよ!」
一気に後ずさる。
とっさに片手でシーツで体を隠すように覆う。
「耳元でウルセー! 俺の方がビックリしたわ! ……なんでいるって……ココは俺の部屋でもあるから…じゃね?
んでタイミングとしてはオメェより先に部屋にいたんだけど」
「ハァ!? う、嘘!? ずっと居た!? え、ええ!!? 見てたの!? ずっと見てたの!!!?」
ルイズは顔を朱に染めて慌てふためいている。
「あーー見てたって……そりゃー視界に入るべ 普通。 オメェがぐずぐず泣きながら、他の女とぉ~~って言ってたり、馬鹿犬ぅ~~って言ってたり?」
ヤンは眉根を寄せ目を見開き口を嫌な感じに突き出し歯をむき出しながら喋る。
ようは人をバカにしている顔である。
「ア、ア、ア、アンタねぇーーー!! どこに居たのよ! そして居たんなら声ぐらいかけなさいよッ!!! 黙ってみてるなんて趣味悪いわよ!!!」
「バカかテメー 声かけたっつの オメェの椅子に座りながら机に足伸ばして おかえりルイズちゃーん♪ ってしっかり言ったっつーの。
またぎゃいのぎゃいのマナーが悪いとか何とか言うかと思ったのに、逆にコッチがシカトされたかと思って寂しかったぜぇ?」
ヤンは相変わらず人を小バカにしたような大袈裟な仕草。
実際バカにしているのだが「寂しい」の一言にルイズは反応した。
「え? さ、寂しい? その……………私に無視されたかと思って……寂しかったって…こと……?」
ルイズは頬を染め、少し嬉しそうにも見える。
「は? あ、ああ まぁ…そういうこと、か?」
部屋に入って来た時もそうだったが、またもやヤンの予想とは違う反応が返ってきた。
コッチの言葉にいちいち丁寧にガーガー喚いて反応するのが楽しかったのに。
つまらない。なんだか調子が狂ってしまう。
「へ、へぇー ……ふぅーん ……そ、そうなんだ………そうなんだー」
ルイズの顔はやはり嬉しそうだ。
今では少しニヤついている。
なんだか自己完結したようだ。
だがそこでまた表情が変わる。
「あ! そういえばアンタ、どうやって部屋に入ったのよ!? 鍵は渡してないのに!」
ルイズにはヤンに鍵を渡した記憶はこれっぽっちも無かった。
「あー? 持ってるぜ? ほれ」
ヤンはもぞもぞと上ジャージのポケットから鍵を取り出す。
それは紛れも無くルイズの部屋の鍵だった。
「あーーーー! なんで!? なんでヤンが私の部屋の鍵を持ってるのよ! どこで手に入れたの!?」
「シエスタから貰った」
「な、なんですって!? あのメイド……! 貴族様の鍵を勝手に………!!」
部屋の鍵は、いずれ自分の手でヤンに渡そうと思っていたのに…!
ルイズには、あの平民のメイドが自分の前に立ちふさがり続ける大敵に思えてきた。
敵はツェルプストーではなくあのメイドだったのだ。
冷静に考えれば他人の部屋の鍵を勝手に譲渡するのは大分やばい気がするが。
(あのメイド! 勝手に他人様の鍵を、使い魔と主人という関係とはいえ渡すなんて良識を疑うわ! ……でもウカウカしてられない! このままじゃヤンが
あのメイドを頼りきりにしてしまう……! これ以上ヤンとシエスタの距離を縮めさせないわ!)
「ヤンッッ!!!」
ルイズは鬼のような形相で叫ぶ。
「うお!? どうした ブッサイクな面して?」
ヤンの悪口にも眉一つ動かさずルイズは宣言する。
「明日はちょうど虚無の日よ アンタの今までの功績に免じてご褒美をあげるわ! 街に行くからついてくるのよ いいわね! 私お風呂入ってくるから!」
まさに有無も言わさず、といった感じで言い放ちルイズはさっさと部屋を出て行ってしまった。
「な、なんだぁ? 虚無の日ってなんだ? アイツにご褒美貰うような功績って…………何かあったっけ? つーかまだ昼だぞ 学校いいのかアイツ?」
ヤンはルイズのベッドにボフッと倒れこんだ。
「あーつまんねー」
そう呟いてヤンは昼寝の体勢に入ったのだった。
夜、ヤンは寮の屋根に寝転んでいた。
昼間に堂々と主人のベッドで寝ていたヤンは、案の定ルイズに爆破され部屋から叩き出された。
しばらく外で頭を冷やして来いと怒鳴られた。
(あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
血ぃ吸いたい 喰いてぇ 女欲しい。 どれもご無沙汰だーーーーー あーにーきー 誰にもばれなきゃ喰っちゃってイイ? 犯っちゃってイイ?)
ヤンは左手をぺしぺし叩きながら頭の中で聞いてみる。
……。
………。
返事が無い。ただの屍のようだ。
って屍じゃ困るんだよ。
俺の左手だし。
「おーーい 兄ちゃん 聞こえてますか? アローアロー? もしもーし」
ぷらぷらぷらー。
今度はシェイクする。
「もーしもーし あんちゃーーん 聞こえねーのかよ おい 生キテルー?」
「…………うるさいぞ 聞こえている」
ルークの声が左手から響いた!
「お!? おぉーーー! スゲーーーー 本当に兄ちゃんだーーー しかも今回は直接、頭に響いてねー。 普通に会話できんのか?」
ヤンは寝っ転がりながら左手を空に掲げて、兄と会話をする。
「当然だ。 私の空間にオマエを引きずり込むことも出来るし、リアルタイムで声を出さずに会話も出来る。 今のように話すことも可能だ」
「ほーーーー へぇーーーーー スゲースゲー! しかも喋る度にちょっとルーンが光ってカッコイイじゃん? へへへ 兄貴やるぅーー」
ヤンは屈託無く笑う。
死んだとばかり思っていた兄が、こうして自分の左手として生きていた?ことを実感し少し喜びを感じる。
傍若無人、冷酷無比、残虐非道。
こういった言葉がとても良く似合い、必要とあらばお互いがお互いを切り捨てられる、殺せる。
そういう兄弟だが、やはり嬉しいものなのだ。
弟の賞賛にいくらか気を良くしたルークは、表情が見えるとしたらニンマリといった感じだ。
「……ふふん 私はガンダールブの精なのだ 只のインスタントとは違う。 ところで先程のオマエの提案だが……」
「おー そうだよ兄ちゃん! オレ腹減って死にそうだぜェ! 普通の食べモンしか食ってねーんだぜ? 兄貴ならこの辛さ分かるだろォ?」
ヤンの願いは切実だ。
もともとヤンは我慢とか忍耐といった言葉が大嫌いなのだ。
「……まぁ吸血鬼にとっては確かに辛いな。 私もオマエの性質(タチ)は分からないでもない。 あまり断食されて、
いざと言う時ルイズ様をお護り出来なくても困りモノだ。 ………まぁあまりルイズ様に近しい者でなければな………。
健康な生活は良く『遊び』良く『喰べ』良く眠ることから始まる……といった所か… 食料には良く目星を付けることだ……」
ルークの声は淡々としている。
ルイズ以外は食料か玩具である、と言わんばかりの冷淡さだ。
「クックックッ…… そぉだよなァァァァ ソコ気を付ければオッケーだよなァァァ! 持つべきは兄弟ってか? ヒャハハハアハハヒャハハ!!」
ヤンは嗤う。
兄弟の会話を楽しむ。
「フッ あまりはしゃいでボロを出すなよ? ルイズ様にばれる様なことがあっても許さんぞ…………ん? ちょっと待て」
「あ? どうした兄貴? ダイジョーブだよぉーー ありえねぇーありえねぇー ルイズになんかバレるわきゃネーだろ?」
「声を落とせ 何かが近づいてくる。 ……正体がばれぬ様くれぐれも気を付けろよ……」
…。
……。
それきりルークの声は聞こえなくなり、ルーンの光も消えた。
そしてルークの言った通りしばらくすると、屋根の端っこからよじよじと一匹の獣が登ってきた。
尻尾に炎を宿した巨大なヒトカゲ、サラマンダーのフレイムだ。
屋根の上をのそのそとヤンに近づいてくる。
「おーー? フレイムじゃねーか こんなとこまで良く登れたなァー わざわざオレに会いに来たのか? オメーには嫌われてると思ってたけどなぁ。
いや、怖がられてる…の間違いか? ヒャハハハ!」
フレイムとて出来ればヤンには近づきたくなかった。
好き好んで虎の前に出る兎は居ない。
だがヤンを探し出し、連れて行くことは主人の…すなわちキュルケの命令なのだ。
使い魔として果たさなければならなかった。
クイックイッ
フレイムはヤンのジャージの裾を咥えて引っ張る。
それだけなのにフレイムはガチガチに緊張していた。
「ん? なんだ? ついて来いってか?」
コクッコクッ
フレイムは必死に頷く。
汗だくだ。
まるで札付きの不良の先輩を、先生に言われて呼びに行く善良な後輩である。
見てるだけで涙ぐましい。というか痛ましい。
絶対やりたくない。
「………わーったよ どこに行くんだ? キュルケの部屋か?」
コクッコクッ!
フレイムは本当に必死だ。
だって機嫌を損ねたら本当に殺してきそうな人だから。ヤンという人は。
「………クククク そんなにビビんなよ? オメーもオメーの御主人様も……別にとって喰いやしねぇからよ?」
お勤めゴクローさん。
そう言ってヤンはフレイムの頭を軽くポンポンっと叩いて屋根から飛び降りていった。
なんだかフレイムはドッと疲れたのだった。
「で、ここだよな キュルケの部屋は? ルイズの隣だもんな」
ヤンは独り呟くと扉をノックする。
ドンドンドン
「キュルケー ヤンだよー オマエの愛しい人のヤンだよーー 今帰ったよーーー」
ガチャ
「お 独りでに開いた 自動ドアか スゲーな」
ヤンは部屋に入る。
部屋は真っ暗だった。
が、吸血鬼であるヤンは夜目がとても良く利く。
なのでベビードールの際どい衣装で目を潤ませ、ベッドの上で待つキュルケがすぐさま確認できた。
ヒュ~♪
ヤンは思わず口笛を吹いた。
美女が自分を求めている。
一目でわかるこの状況。
それだけで、とりあえずごちそうさまって感じだった。
ヤンはずかずかキュルケに向かって歩く。歩く。
それに合わせてサイドで蝋燭の火が灯っていくが気にしない。
ヤンの目にはキュルケしか写っていなかった。
すでにキュルケは目の前だった。
キュルケの瞳にもまた、ヤンしか写っていなかった。
「……ごめんなさい……いきなり呼んで……私のこと………はしたない女だと…思う……?」
キュルケは頬を染めてヤンに尋ねる。
「いいや まったく思わネェなァ…… 自分に正直なのはイイことだ やっぱり俺と気が合いそうだなァあ? キュルケ ……オメェはいい女だ……」
飾り気の無いストレートな生の賞賛。
ヤンの言葉にキュルケの心は今まで感じたことの無い高ぶりと喜びを覚えた。
それに比べれば、自分が今まで言っていた恋だの愛だのはメルヘンな子供だましだと感じた。
(クッ、クックッククククク、ヒャッハッハッハハハ! こいつぁタマランぜ! これで喰えればマジ最高なんだけどよォ!! チックショォォォォがぁぁぁぁぁ……
キュルケはちぃっとばかしルイズに近すぎるぜ……! 喰いてぇーー! だが今日はとりあえずコレで良しってことにするか……)
ドンッ
ヤンはキュルケをそのまま押し倒す。
「キャッ! あ…ヤン…その……や、優しくお願いね……?」
「クッククク……ああ…任せな……優しく可愛がってやるよ? ……たっぷり…なァ……!」
そう言って下卑た笑みを浮かべ、舌舐め擦りをする。
ヤンのギラついた、欲望を欠片も隠そうともしない獣の瞳がキュルケを貫く。
(あ……この目……このワイルドさが……素敵……)
そして夜は更けてゆくのだった。
その頃ルイズは…。
ベッドで爆睡していた。
この馬鹿犬ぅ~~…むにゃむにゃ…。
同時刻フレイム。
キュルケの「元」男達の掃討に勤しんでいた。
フレイムはもう泣きたかった。
今ぐらい泣いてもバチはあたらないだろう。
そうだよね! 火竜山脈のかーちゃん!
今日も学園は平和だった。
死人が一人もでなかったという点では。
明日も平和かどうかは誰にも分からなかった。
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