「ルイズとペンギン(みたい)な使い魔」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「ルイズとペンギン(みたい)な使い魔」(2009/08/30 (日) 15:43:36) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
その日、トリステイン魔法学院新2年生のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはペンギンみたいな、でもどこかぬいぐるみのように作り物じみた生き物を召喚した。
それもけっこうたくさん。
彼らはどうやら『プリニー』と呼ばれる種族らしい。
曰く、元は人間である。
曰く、罪を犯して死んだ魂が中に入っている
曰く、罪を償うために働いてお金を貯めないといけない
曰く、投げると爆発する
曰く、曰く、曰く……
色々と話を聞いたものの、どうにもルイズにはピンとこない。
というかそもそも、そんな与太話としか思えないような話を信じられるわけが無かった。
「とりあえずそんなことはどうでもいいから使い魔として働きなさい!」
「お給料くれるんならイイっスよー」
なんとものんきな返事であった。
*
かくして、ルイズとプリニーたちの新しい生活が始まった。
「服。着替えさせて。そこの一番下の引き出し」
「あ、これッスね。どうぞッス」カシャ
「下着の色は白とピンクとベージュ。どれがイイっスか」カシャ
「そうね、今日はちょっと気分を変えて水色にしましょう」
「ルイズさまー。このブラウスほつれてるッスー。替えはどこッスかー?」カシャ
「あら?そっちのクローゼットに入ってない?」
「あ、コレっスねー」カシャ
「……ねぇ、さっきからなんか変な音しない?」
「「「なんのことッスかー?」」」
後日、男子生徒の間で着替え途中のルイズを鮮明に描いた絵姿が出回り、主犯である水棲鳥類っぽいものたちと、絵姿を購入した男連中がまとめて爆砕されるという事件がおきるもそれはともかく。
この頃からルイズの日常はだんだんと波乱万丈なものへと変わっていった。
二股を掛けた男子生徒をプリニーどもが総掛かりで袋叩きにしてみたり。
学院を襲撃した怪盗『土くれのフーケ』が作り出した30メイルにも及ぶゴーレムにプリニーをぶん投げて爆砕してみたり。
反乱軍レコン・キスタに壊滅させられそうな王党軍へと大使として派遣されたアルビオンにて、こっそりトリステイン王国を裏切っていたワルド子爵とウェールズ皇太子が壮絶な相討ちを繰り広げたり。
タルブ村周辺に進軍してきたレコン・キスタ軍(このころになると神聖アルビオン帝国と名乗っていた)と戦うため、タルブ村にあった竜の羽衣(プリニーの1匹、グラフィアカーネは「何でこんな所にネーベルヴィントがあるッスか!?」と騒いでいた)に乗り込み、上空で始祖の祈祷書から会得した虚無の系統魔法『エクスプロージョン』を放って戦艦の群れを薙ぎ払ってみたり……
たまには辛いことが起こったり、戦争に巻き込まれたりしつつもルイズとプリニーたちはのんびりかつちょっぴりスリリングな毎日を送っていた。
しかし……。
*
それは、ルイズの幼馴染にしてトリステインの女王、アンリエッタが何者かによって王宮より誘拐された事件において。
邪悪な水の先住魔法によって操られるアンリエッタのかつての恋人、ウェールズの遺体を新たな虚無魔法『ディスペル』によって取り戻し、赤い月が昇るラグドリアン湖畔に水葬しようとしたときのこと。
「……ああ、もうそんな時期ッスかー……」
「……サウレ?どうしたの?」
「ルイズさま、今までお世話になりましたッス。どうやらお迎えが来たようッス」
「……え?」
ふと気づけば湖面に立つ怪しい人影。
『彼』をプリニーたちは『死神』と呼んだ。贖罪を終えたプリニーたちを新しい『始まり』へと連れてゆく、水先案内人だと。
「や、ちょ、待って!待ってよ!?どうして!?どうして行っちゃうの!?いいじゃない、いいじゃないのよ!ここにいれば!いなさいよ!アンタ、私の使い魔でしょう、勝手にどっかに行って良いわけ無いでしょう!?こら、光るな!浮かぶな!降りてきなさい!いいいいいい加減にしないとふふっふふ、ふ、ふっ飛ばすわよ!」
杖を振り上げ、呪文を詠唱するルイズをそっと抑える残りのプリニー。
「や、コラ!離せ!離しなさいよ!」
「やー、そんな熱心に引きとめてくれるのは嬉しいんッスけどねー」
「でもね、ルイズさまー。コレばっかりはどうしようもないんスよー」
やんわりと、しかし、はっきりとした態度で。プリニーたちは言う。
もう、サウレはここに留まってはいられないのだと。
普段はいい加減で、てきとーで、怠け者な彼ら。その彼らが初めて真面目な表情で。でもどこかうつろな瞳で。
だから、ルイズも理解した。理解せざるをえなかった。
「……ねえ、どうしても?どうしても、行かなくちゃいけないの?」
「ごめんなさいッス、ルイズさまー。みんなー、あと任せてイイっスかー?」
「しょーがないッスねー」
「メンドくさいッスけどー」
「こら、ご主人様のことをしょーがないとかメンドくさいとか言うんじゃないわよ……バカぁ……」
「や、すんませんッス。……ね、ルイズさま。オレにはこんなモンしか残してあげられないッスけど……。
がんばって、くださいッス」
そうして、サウレの体を包んでいたうすぼんやりとした光が天に輝く赤い月へと昇っていったあとには
まるで中身を抜かれたぬいぐるみのようぺしゃんこになった、プリニーの皮だけが残されていた。
*
それから。
事件が起こるたびに1匹、また1匹と櫛の歯が抜け落ちるようにプリニーたちは天に召されていった。
最後まで残っていた1匹、エポナも戦争で七万もの大軍を足止めするために殿としてアルビオン大陸に残り……。
トリステイン軍の撤退が完了した直後に赤い月が昇ったから、召されていったのだろう。
そうして、ルイズの傍にあれだけたくさんいたプリニーたちは1匹もいなくなってしまった。
サウレが残した皮を加工し、仕立て上げたフード付きマントを羽織ったルイズは「これでうるさいのがいなくなってせいせいしたわ!」と普段と変わりないように振舞っていたが、やはりどこか寂しげだった。
そんなルイズの感傷などお構いなしに世の中は動いていく。
ルイズと同じ虚無の担い手であり、ハルケギニア随一の大国を支配する王、ジョゼフ。
かの王の命により、北花壇騎士タバサがルイズを攫いに襲いかかってきたのだ。
*
「まてぃっ!」
トライアングルメイジたる雪風のタバサとジョゼフ王の使い魔、ミョズニトニルンのシェフィールド。
そしてシェフィールドが操るスキルニル部隊。
彼女たちによって追い詰められたルイズは苦し紛れに再びサモン・サーヴァントを唱えていた。
進級試験の時と同じように現れた、光り輝くゲート。
そこから飛び出してきたのは……。
「……プリニー?でも、色が違う……」
姿かたちは間違いなくプリニー。
しかし、ルイズが知っているプリニーは皆青かった。だが新たに現れた2匹は片方は薄い緑色、片方は黄土色をしていた。
その片割れが声を張り上げる
「かつての恩を返すため!」
「いやー、僕はそうでもないんだが」
「この身を異形の姿に変えて!」
「全力で不本意だけどね?」
「ミス・ヴァリエールの危機にはせ参じる!」
「なあ、何でそんなに熱血してるんだ?」
「プリニーウェールズ!」
「あ、プリニーワルドだ」
「ふたりはプリニー!!」
「なあ、やっぱこれ恥ずかしいって。ほら、みんな唖然としてるじゃないか」
どうやら、ルイズの知っている二人のようだった。
*
「ええぃっ、かかれスキルニル!」
「おっと、流石に数が多いな。ひい、ふう、みい…ざっと7・8体といったところか?」
「一応、失敗魔法で3体は仕留めたんですけどね」
「ほほぅ、それはそれは。やるようになったじゃないか、ルイズ。
……うん、そうなると僕も成長した所を見せないとね」
土を蹴り上げて襲ってくるスキルニル部隊。
数を減らしたとはいえ、またタバサをプリニーウェールズが抑えているとはいえいまだ数の差は圧倒的と言える。
だがしかし、プリニーワルドはうろたえた様子も無く、まるでこの程度の数は何の障害もならないと言いたげであった。
「さてルイズ。このプリニーという種族の体は特殊な入れ物に人間の魂を詰めた……いわば動くガラス瓶のようなものでね?」
「あの、ワルド様?ちょっとのんびりしすぎじゃ……」
「まあまあ慌てない。最後まで聞きたまえ。ええと、どこまで話したっけ……そうそう、プリニーの体というものは人間に比べてはるかに構造が単純なんだ」
だから、こういうこともできる。
そう締めくくると、プリニーワルドは目にも止まらぬ速さで呪文を詠唱する。まさしく『閃光』のごとく。
そして完成するのは……
「ユビキタス・デル・ウインデ!」
かつて、ルイズたちをさんざんに翻弄した風のスクウェア・スペル。
それはこの場においても非常に強力な魔法だった。
主に、数的な意味で
「……あのー……」
「ん、なんだいルイズ」
「この数は、流石にやりすぎじゃないでしょうか……?」
「はっはっは、そうかい?」
「やりすぎですよ!なんですか40体って!?」
「いやー、この体偏在が作り易くて」
かくして、40体の偏在プリニーワルドによってスキルニル部隊は袋叩きにされ。
残ったタバサとシェフィールドもプリニーウェールズとプリニーワルドが放ったプリニー族の固有能力『プリニー踊り』によって眠らされるか麻痺させられて捕縛(シェフィールドは毒も喰らっていた)され、ルイズはかろうじて窮地を脱したのであった。
*
そうしてラ・ヴァリエール嬢誘拐未遂事件もひと段落つき、ルイズは疑問を2人(というか2匹)に投げかけた。
どうしてそのような姿をしているのか。どうして自分のところにやってきてくれたのか。
前者の答えは簡潔で『罪を犯したから、その贖罪のため』であり、後者の答えは……
「ま、彼の粋な計らい、というやつさ」
「彼……?」
そう言ってウェールズが指し示す方を見るルイズ。そこには
「……あ、あんた……」
いつかの、ラグドリアン湖畔で初めて出会い、その後も度々顔を会わせた『彼』。
すなわち、『死神』が音も無く佇んでいた。
*
かくして、ルイズとプリニーたちの新しい生活が始まった
----
その日、トリステイン魔法学院新2年生のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールはペンギンみたいな、でもどこかぬいぐるみのように作り物じみた生き物を召喚した。
それもけっこうたくさん。
彼らはどうやら『プリニー』と呼ばれる種族らしい。
曰く、元は人間である。
曰く、罪を犯して死んだ魂が中に入っている
曰く、罪を償うために働いてお金を貯めないといけない
曰く、投げると爆発する
曰く、曰く、曰く……
色々と話を聞いたものの、どうにもルイズにはピンとこない。
というかそもそも、そんな与太話としか思えないような話を信じられるわけが無かった。
「とりあえずそんなことはどうでもいいから使い魔として働きなさい!」
「お給料くれるんならイイっスよー」
なんとものんきな返事であった。
*
かくして、ルイズとプリニーたちの新しい生活が始まった。
「服。着替えさせて。そこの一番下の引き出し」
「あ、これッスね。どうぞッス」カシャ
「下着の色は白とピンクとベージュ。どれがイイっスか」カシャ
「そうね、今日はちょっと気分を変えて水色にしましょう」
「ルイズさまー。このブラウスほつれてるッスー。替えはどこッスかー?」カシャ
「あら?そっちのクローゼットに入ってない?」
「あ、コレっスねー」カシャ
「……ねぇ、さっきからなんか変な音しない?」
「「「なんのことッスかー?」」」
後日、男子生徒の間で着替え途中のルイズを鮮明に描いた絵姿が出回り、主犯である水棲鳥類っぽいものたちと、絵姿を購入した男連中がまとめて爆砕されるという事件がおきるもそれはともかく。
この頃からルイズの日常はだんだんと波乱万丈なものへと変わっていった。
二股を掛けた男子生徒をプリニーどもが総掛かりで袋叩きにしてみたり。
学院を襲撃した怪盗『土くれのフーケ』が作り出した30メイルにも及ぶゴーレムにプリニーをぶん投げて爆砕してみたり。
反乱軍レコン・キスタに壊滅させられそうな王党軍へと大使として派遣されたアルビオンにて、こっそりトリステイン王国を裏切っていたワルド子爵とウェールズ皇太子が壮絶な相討ちを繰り広げたり。
タルブ村周辺に進軍してきたレコン・キスタ軍(このころになると神聖アルビオン帝国と名乗っていた)と戦うため、タルブ村にあった竜の羽衣(プリニーの1匹、グラフィアカーネは「何でこんな所にネーベルヴィントがあるッスか!?」と騒いでいた)に乗り込み、上空で始祖の祈祷書から会得した虚無の系統魔法『エクスプロージョン』を放って戦艦の群れを薙ぎ払ってみたり……
たまには辛いことが起こったり、戦争に巻き込まれたりしつつもルイズとプリニーたちはのんびりかつちょっぴりスリリングな毎日を送っていた。
しかし……。
*
それは、ルイズの幼馴染にしてトリステインの女王、アンリエッタが何者かによって王宮より誘拐された事件において。
邪悪な水の先住魔法によって操られるアンリエッタのかつての恋人、ウェールズの遺体を新たな虚無魔法『ディスペル』によって取り戻し、赤い月が昇るラグドリアン湖畔に水葬しようとしたときのこと。
「……ああ、もうそんな時期ッスかー……」
「……サウレ?どうしたの?」
「ルイズさま、今までお世話になりましたッス。どうやらお迎えが来たようッス」
「……え?」
ふと気づけば湖面に立つ怪しい人影。
『彼』をプリニーたちは『死神』と呼んだ。贖罪を終えたプリニーたちを新しい『始まり』へと連れてゆく、水先案内人だと。
「や、ちょ、待って!待ってよ!?どうして!?どうして行っちゃうの!?いいじゃない、いいじゃないのよ!ここにいれば!いなさいよ!アンタ、私の使い魔でしょう、勝手にどっかに行って良いわけ無いでしょう!?こら、光るな!浮かぶな!降りてきなさい!いいいいいい加減にしないとふふっふふ、ふ、ふっ飛ばすわよ!」
杖を振り上げ、呪文を詠唱するルイズをそっと抑える残りのプリニー。
「や、コラ!離せ!離しなさいよ!」
「やー、そんな熱心に引きとめてくれるのは嬉しいんッスけどねー」
「でもね、ルイズさまー。コレばっかりはどうしようもないんスよー」
やんわりと、しかし、はっきりとした態度で。プリニーたちは言う。
もう、サウレはここに留まってはいられないのだと。
普段はいい加減で、てきとーで、怠け者な彼ら。その彼らが初めて真面目な表情で。でもどこかうつろな瞳で。
だから、ルイズも理解した。理解せざるをえなかった。
「……ねえ、どうしても?どうしても、行かなくちゃいけないの?」
「ごめんなさいッス、ルイズさまー。みんなー、あと任せてイイっスかー?」
「しょーがないッスねー」
「メンドくさいッスけどー」
「こら、ご主人様のことをしょーがないとかメンドくさいとか言うんじゃないわよ……バカぁ……」
「や、すんませんッス。……ね、ルイズさま。オレにはこんなモンしか残してあげられないッスけど……。
がんばって、くださいッス」
そうして、サウレの体を包んでいたうすぼんやりとした光が天に輝く赤い月へと昇っていったあとには
まるで中身を抜かれたぬいぐるみのようぺしゃんこになった、プリニーの皮だけが残されていた。
*
それから。
事件が起こるたびに1匹、また1匹と櫛の歯が抜け落ちるようにプリニーたちは天に召されていった。
最後まで残っていた1匹、エポナも戦争で七万もの大軍を足止めするために殿としてアルビオン大陸に残り……。
トリステイン軍の撤退が完了した直後に赤い月が昇ったから、召されていったのだろう。
そうして、ルイズの傍にあれだけたくさんいたプリニーたちは1匹もいなくなってしまった。
サウレが残した皮を加工し、仕立て上げたフード付きマントを羽織ったルイズは「これでうるさいのがいなくなってせいせいしたわ!」と普段と変わりないように振舞っていたが、やはりどこか寂しげだった。
そんなルイズの感傷などお構いなしに世の中は動いていく。
ルイズと同じ虚無の担い手であり、ハルケギニア随一の大国を支配する王、ジョゼフ。
かの王の命により、北花壇騎士タバサがルイズを攫いに襲いかかってきたのだ。
*
「まてぃっ!」
トライアングルメイジたる雪風のタバサとジョゼフ王の使い魔、ミョズニトニルンのシェフィールド。
そしてシェフィールドが操るスキルニル部隊。
彼女たちによって追い詰められたルイズは苦し紛れに再びサモン・サーヴァントを唱えていた。
進級試験の時と同じように現れた、光り輝くゲート。
そこから飛び出してきたのは……。
「……プリニー?でも、色が違う……」
姿かたちは間違いなくプリニー。
しかし、ルイズが知っているプリニーは皆青かった。だが新たに現れた2匹は片方は薄い緑色、片方は黄土色をしていた。
その片割れが声を張り上げる
「かつての恩を返すため!」
「いやー、僕はそうでもないんだが」
「この身を異形の姿に変えて!」
「全力で不本意だけどね?」
「ミス・ヴァリエールの危機にはせ参じる!」
「なあ、何でそんなに熱血してるんだ?」
「プリニーウェールズ!」
「あ、プリニーワルドだ」
「ふたりはプリニー!!」
「なあ、やっぱこれ恥ずかしいって。ほら、みんな唖然としてるじゃないか」
どうやら、ルイズの知っている二人のようだった。
*
「ええぃっ、かかれスキルニル!」
「おっと、流石に数が多いな。ひい、ふう、みい…ざっと7・8体といったところか?」
「一応、失敗魔法で3体は仕留めたんですけどね」
「ほほぅ、それはそれは。やるようになったじゃないか、ルイズ。
……うん、そうなると僕も成長した所を見せないとね」
土を蹴り上げて襲ってくるスキルニル部隊。
数を減らしたとはいえ、またタバサをプリニーウェールズが抑えているとはいえいまだ数の差は圧倒的と言える。
だがしかし、プリニーワルドはうろたえた様子も無く、まるでこの程度の数は何の障害もならないと言いたげであった。
「さてルイズ。このプリニーという種族の体は特殊な入れ物に人間の魂を詰めた……いわば動くガラス瓶のようなものでね?」
「あの、ワルド様?ちょっとのんびりしすぎじゃ……」
「まあまあ慌てない。最後まで聞きたまえ。ええと、どこまで話したっけ……そうそう、プリニーの体というものは人間に比べてはるかに構造が単純なんだ」
だから、こういうこともできる。
そう締めくくると、プリニーワルドは目にも止まらぬ速さで呪文を詠唱する。まさしく『閃光』のごとく。
そして完成するのは……
「ユビキタス・デル・ウインデ!」
かつて、ルイズたちをさんざんに翻弄した風のスクウェア・スペル。
それはこの場においても非常に強力な魔法だった。
主に、数的な意味で
「……あのー……」
「ん、なんだいルイズ」
「この数は、流石にやりすぎじゃないでしょうか……?」
「はっはっは、そうかい?」
「やりすぎですよ!なんですか40体って!?」
「いやー、この体偏在が作り易くて」
かくして、40体の偏在プリニーワルドによってスキルニル部隊は袋叩きにされ。
残ったタバサとシェフィールドもプリニーウェールズとプリニーワルドが放ったプリニー族の固有能力『プリニー踊り』によって眠らされるか麻痺させられて捕縛(シェフィールドは毒も喰らっていた)され、ルイズはかろうじて窮地を脱したのであった。
*
そうしてラ・ヴァリエール嬢誘拐未遂事件もひと段落つき、ルイズは疑問を2人(というか2匹)に投げかけた。
どうしてそのような姿をしているのか。どうして自分のところにやってきてくれたのか。
前者の答えは簡潔で『罪を犯したから、その贖罪のため』であり、後者の答えは……
「ま、彼の粋な計らい、というやつさ」
「彼……?」
そう言ってウェールズが指し示す方を見るルイズ。そこには
「……あ、あんた……」
いつかの、ラグドリアン湖畔で初めて出会い、その後も度々顔を会わせた『彼』。
すなわち、『死神』が音も無く佇んでいた。
*
かくして、ルイズとプリニーたちの新しい生活が始まった
「魔界戦記ディスガイア」からプリニーを召喚
----
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: