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「トリステインの電王」(2009/05/25 (月) 21:42:08) の最新版変更点
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「ねぇ 先輩。」
「なんだ 亀公。」
「何か、何処かから『呼ばれてる』って気がしない?」
「奇遇だな。俺も さっきから・・・」
グォオオオオオオー
『な、何だぁ!』
その時 デンライナーは、召喚の鏡に突入した。
《トリステインの電王》
ああ、始祖ブリミル様。これは 何の罰なのですか?私がナニをしたと言うのでしょうか。
失敗すれば落第の 使い魔召喚の儀式。生まれて初めて成功した 魔法。なのに…
(どうして こんなヘンなのばっかり 4匹も召喚しちゃったんだろう。)
初めに現れたのは、平屋の建物程の胴体を持つ 大蛇。(「列車」というモノらしい)
その中から降りてきた、赤・青・黄色に紫の 4匹の鬼。(「イマジン」だそうだ)
私の知っている鬼(オーガ)みたいな筋肉オバケじゃないけど、角もあるし やっぱり怖い!
そんな 可哀そうなオンナノコの気持ちを全く無視して(13回も失敗して 時間を浪費した私も悪いと思うけど)、コルベール先生は至って事務的に言う。
「さあ 早く『契約の儀式』を済ませてください。」
すると、
「「「契約~ぅ?」」」
何故か 鬼達の方が驚いていた。顔を寄せ合って 何かヒソヒソと話し合っている。
U「ねぇ先輩、ボク達の契約って、」
M「ああ 良太郎の件で もう終わってるはずだよな?」
R「ね~ね~、ボクは?」
K「お前もカイの奴との最後の決戦で 頑張っとったから OKってことなんじゃろうな。」
M「まあ こうして呼び出されちまったワケだし、二度目の契約をしちゃぁイケナイなんてのは 聞いたこともねぇしなぁ。」
K「よっしゃ。」
U「それじゃ」
R「せ~の!」
「「「「お前の望みを言え!」」」」
ルイズ「へっ?!」
びっくりした。召喚した使い魔から 唐突にこんな事を言われるなんて、考えたことも無かった。
だから つい 答えてしまった。
「私 強くなりたい!
強くて 立派で すごいメイジになって、もう誰からもバカにされない様になりたい!!」
M「よ~し判った!」
U「任せて。『メイジ』ってのは何だか知らないけど、『強くする』ってのは得意だから。」
K「おうっ。『良太郎』も オレらが鍛えたお陰で すっかり逞しくなったからのう。」
R「わ~い♪」
この瞬間 彼らの言う「契約」が成立してしまったらしい。
なぜか 自分の将来が すっごく不安になった。
(当然 この後 ちゃんとした契約も済ませたわよ!)
こうして 彼らとの日々が始まった。
列車は、「オーナー」とかいう人が乗って 何処かへ帰っていった。
ただ 彼らの専用車両4台は置いていった。校庭の端に停めてあって そこで寝泊りしているらしい。
(だって 私の部屋に5人も寝られないもん!)
みんな 見かけは怖いけど、基本的には『いい鬼』だった。
喧嘩っ早くて乱暴者 だけど何故か憎めない「モモタロス」
女ったらしで嘘つきで だけど(女の子には)とっても優しい「ウラタロス」
涙もろくて力持ち 加減知らずがタマにキズな「キンタロス」
身体は大きいのに中身はお子チャマ やんちゃ坊主の「リュウタロス」
ついつい怒ってしまうこともあるけれど、毎日が すごく楽しくなった。
ああ、始祖ブリミル様。ありがとうございます。この4人と出会わせて頂いて。
いつの間にか、初めて会った時と まるっきり逆のことを思うようになっていた。
あの日までは…
私の使い魔とギーシュ・グラモンが決闘!? と聞いて 慌てて広場へ向かった。
なんでも 自称プレイボーイのエロガキが、香水の壜を落としたことからフタマタがばれて、その腹いせに平民のメイド シエスタをイジめていたらしい。
その後の展開は 大体想像がつく。涙にキンタロスが過剰反応し、ウラタロスがシエスタを慰め、リュウタロスがギーシュに文句をいい、モモタロスがギーシュをブン殴ったんだろう。
まぁ あいつら強そうだし 4人もいるんだから、ギーシュごときに遅れをとるとは思わないけど、勝手に決闘なんか受けちゃって ご主人様を何だと思ってるのよ~!
始まる前にヒトコト文句言ってやらなくちゃ。
そう思って急いだので なんとか開始前に間に合った。
「ちょっと あんたたち、なに勝手な事やってるのよ!」
主人の威厳を見せようと、キツめの声で怒鳴ってみたんだけど
「おぅ ルイズ。ちょうどいい。今 亀公に呼びに行かせるとこだったんだぜ。」
全然 効いてない。
「ご主人様、さっ こちらへど~ぞ。」
真面目にそう呼んでくれるのは ウラタロスくらいだ。
なぜか 最前列でギーシュと向かい合っているモモタロスの隣まで 引っ張っていかれた。
「じゃ コレ持って。」
銀色の箱のようなものを手渡された。それをウラタロスが私の腰の辺りに押し付ける。すると 箱から金属の帯が伸びて 腰を一周した。大きな飾りバックルの付いたベルトだった。
「次はパスね。落としたり 無くしたりしちゃダメだよ。」
今度は 長方形のブ厚いカードを渡された。
「それじゃ 頑張ってね、ご主人様。」
えっ 頑張れって、それ一体どういう意味よ!
「フフフッ
お前達 逃げずに来た事は褒めてやろう。」
ギーシュだ。私が広場に着いたことで 決闘を開始する気になったらしい。が、
「チョイ待ち」モモタロスが流れを止める。
「そこの小僧、周りの連中も よーっく聞け!。
てめえがどんな力を持ってるのか知らねえが、こんなチンケな喧嘩、俺達にしてみりゃあ『勝って当然』ってなもんだ。
そんなんじゃ つまんねぇだろ。
そこでだ、今回は この『ご主人様』が、直々にクゾガキの性根を叩き直してくれるそうだ!
まぁ 俺達は使い魔だから 色々と手助けはさせてもらうがな。
周りのヒマ人共も、それでイイかぁ!」
「うおぉぉぉお~」
「よく言ったルイズ!」
「安心しろ。骨は拾ってやる。」
「ドーンといけ!そして ドーンと散って来い!」
「ギーシュ、ここまで言われたんだ。手加減なんざイラネッ、ぶっ殺せ~」
ギャラリーは一気にヒートアップした。ギーシュも 目がマジだ。
(馬鹿タロス!何を言い出すのよ!! 私じゃ勝てるわけ無いじゃない。でも もう『やめる』なんて とても言い出せる状態じゃないし…)
「なあルイズ。お前さん、契約の時に『強くなりたい』って言ってたよな。
いい機会だ。お前を強くしてやるよ。
強いってのが どんなもんか、体験させてやるよ。
まずは パスをベルトに翳すんだ!」
「僕はこれでも紳士だからね。直接女性を殴るなんて事は したくない。
だが 女性同士なら 構わないだろう。
行け!僕の『戦乙女』!!」
ギーシュ得意の 青銅ゴーレム ワルキューレが一体 拳を振り上げながら私に向かってくる。
外観が女性像だからって、素手よりよっぽど酷いじゃないのぉ!
こうなったら 馬鹿モモの言った、「強くしてやる」ってのを信じるしかない。
パスをベルトの前に持っていった その瞬間、私の身体は 銀色の鎧に包まれていた!
なにこれ? あのベルトとカード マジックアイテムだったの!
ゴーレムの攻撃。ダメッ 避けられない!きゃぁ ガツーン。
痛い! あれ? 思ったほどじゃない。青銅のカタマリに殴られたのに…?
「いいかルイズ、それが『電王 プラットフォーム』だ。
腕っ節は生身のお前さんと大差ねえが、防御力は上がってる。女ゴーレムの拳なんざ 屁でもねぇ!」
「それじゃ 負けないかもしれないけど、勝てもしないじゃないの。どうすんのよ?」
「任せとけって。お楽しみは これからだ!」
そう言って モモタロスの姿が消えた。幽霊みたいになったモモタロスの気配が、私の中に飛び込んで来た。
同時に、赤い色の追加装甲が空中に現れ 胸を覆っていく。赤い仮面が 頭を這うようにして装着される。
ギャラリーにざわめきが広がる。銀色の鎧は、錬金の一種かと思って見ていたんだろうけど、今度の姿には そんなモンじゃないナニかを感じたんだと思う。
そして私は、奇妙なポーズをとって こう叫んでいた。
『あたし 参上!』
〔くぅ~! 久しぶりだが、やっぱイイぜ 変身は!!〕
(なによ なによ、なんでアンタが私の中にいるのよ?)
〔大声出すな、俺とお前は一心同体なんだからよ。
今の俺達は 『電王 ソードフォーム』だ。このフォームなら お前が俺の力を使って戦えるんだ。
お前のやりたいように動いてみろ。サポートは俺がしてやる。〕
そう言いながら モモタロスは私の身体を操って ベルトから箱のような物を取り外して 剣のような物を組み立てた。
『行くぜ行くぜ行くぜぇー』
(なんだか判んないけど、やってやるわよ!)
私は めちゃくちゃに剣を振り回した。
ズバッ。
わっ、斬れた 斬っちゃった! 青銅のワルキューレが、上半身と下半身に 真っ二つ!!
なんて気持ちイイの?!
『ギーシュ こんなもんでオシマイってことは、まさか無いわよね?』
あまりの事に あっけにとられていたギーシュも、我に返って バラの杖を構える。
「もちろんだ。
君にこれほどの力があると判れば、全力で行かせてもらうよ!」
杖が舞い 花びらが散る。
今度は6体のワルキューレが それぞれ剣や槍などの武器を持って現れた。
〔よーし こいつらまとめて『新・俺の必殺技 パート1』で!〕
〔残念でした。次は僕の番だから 先輩はここまで。〕
〔おわっ チョット待て 亀ぇ~〕
ウラタロスが入ってきて、モモタロスが押し出されちゃった!
同時に 追加アーマーと仮面も、青いものに変わった。
『私に 釣られてみる?』
まだ ワルキューレ達は動かない。また変身した私を警戒しているのかしら。
(ウラタロス、私に あのガングロ色ボケ女みたいなセリフ 言わせないで!)
〔まあまあ とりあえず説明すると、今の僕達は『電王 ロッドフォーム』〕
見ると 持っていた剣が 長い棒のような物になっていた。
(ロッドって 魔法の杖のこと?)
〔うーん これは、杖っていうより サオかな。〕
そう言ってロッドを振る。相手に届くような距離じゃないのに。
すると 先端の部分がワルキューレに向かって飛んでいく。ロッドとの間は 光る糸のようなもので繋がっている。
飛んでいった先っぽが、一体のワルキューレに当たった。
〔ご主人様 大物が掛かりましたよ〕
(そうか、これ 釣竿ね!)
下に向けていたロッドを 思いっきり高く跳ね上げる。釣れた釣れた ゴーレムが釣れた!
ついでに ゴーレムを下ろす時 隣のゴーレムにぶつけて 二丁上がり。
堪らないわ~!
〔それじゃ キンちゃん 後はドーゾ〕
〔おう 待ちかねたで!〕
キンタロスのアーマーは 黄色っていうか金色。
モモやウラのマスクは、桃や亀っていうのが なんとなく判ったけど、キンタロスのこれは 判らない。何だろう?
『あたしの強さに お前が泣いた。涙はコレで 拭いておけぃ。』
チリ紙の束をギーシュに向かって放り投げる。いつに間に用意したのよ!
「くそっ!」
すかさずゴーレムが襲い掛かってくる。でも そんなのモノともしない すごいチカラ!
ロッドから手斧に変形した武器を 無造作に横振りするだけで 当たったゴーレムが吹っ飛んでいく。
壁にぶつかって 動かなくなる。
槍を持ったゴーレムが迫ってきた。
〔お嬢 ジャンプや!〕
(はい!)
キンタロスの力が使えるお陰で ワルキューレ達の頭の遥か上まで飛び上がれた。
〔思いっきり振りかぶるんや〕
落下する。真下のワルキューレに手斧を振り下ろす。
〔どや、これが「ダイナミックチョップ」や!〕
今度は 縦に真っ二つ!
う~ん 快感!
〔残りはリュウタ お前の分じゃ。〕
リュウタロスのアーマーは やっぱり紫。胸のプレートが跳ね上がっていて 一番カッコイイかも。
〔ルイズちゃん、一気に片付けるよ〕
(いっちゃえ~!)
武器は銃に変わっていた。
『あんた達 ぶっ壊すけど イイわよね?
答えは 聞いてない!』
残り2体のゴーレムに向けて 弾丸を叩き込む。連発式の上に すごい威力!
青銅なんかじゃ防ぎきれなくて 穴だらけ。
撃ち終わったら バラバラになっちゃった。
もう 最高!!
〔じゃあ 最後 決めちゃって!〕
変身が解除された。銀色の鎧も消えていた。
ギーシュは 腰を抜かしてヘタり込んでいた。もう 抵抗するすべは無い。
私は その正面に立って 杖をギーシュの鼻っ先に突き付けて 言った。
「まだ、やるの?」
「……参った……」
やった 勝った 勝っちゃった!
ゼロと呼ばれ、落ちこぼれと馬鹿にされ続けた この私が、勝ったんだ!!
「この勝負、ルイズの勝ちだな。どうだ!」『異議な~し』
モモタロスの勝利宣言に その場の誰もが応えた。
「じゃぁ 『トリステイン魔法学院バトル 初代チャンピオン』は、ルイズちゃんに決~定!」
リュウタロス 何を言い出すのよ!?
「文句のあるモンは、かかってこんかい! ウチの嬢ちゃんは だれの挑戦でも受けるで!」
キンタロス 止めて~。なんだか 皆の雰囲気が変わってきたじゃないの。
「はいはい 受付は こちら。
もちろん 女の子の挑戦者も 大歓迎だよ。」
ウラタロス あんたまで。
「ならば、僕はたった今 再戦を申し込む!リベンジマッチだ。」
「ひっこめギーシュ、負けたヤツは後回しに決まってんだろ!」
「フフフ・・・ルイズに勝てば、俺がチャンピオン!」
「ウォォオ!学院の王者は この俺様だぁ!!」
えぇぇぇ ウチの学校の男子って、実はこんなにワイルドな連中だったのぉ!?
ちょっとキュルケ、なんでアンタまで拳を握り締めてんのよ?
タバサ、貴女の目の奥で 怪しく光ってるモノはなんなのぉ?
嫌ぁぁぁ、シエスタまで、準備運動とか始めないでぇぇぇ~
「どうしましょう、オールド・オスマン。」
遠見の鏡で 一部始終を見ていたコルベールは、学院長に問いかけた。
「うーん いいんじゃないの。
皆 楽しそうだよ。校内に活気も出るし。」
「しかし 貴族同士の決闘というのは…」
「その辺は大丈夫。『Kファイト』とでも名づけて学校公認にして、実行委員会でも決めてやれば、そのうち自然にルールとかも出来てくるから。」
「そ そのネタは、危険人物を召喚してしまう可能性があるので、先日 禁じ手にされたハズでは?」
「そうだったかのう。
ところで、キミの方の用件は 何だったかな。」
「はぁ、ミス・ヴァリエールの使い魔のルーンの件なのですが。
あれは 伝説のガンダー……いや もういいです。今日 それを貴方と検討する気力は無いです。
またにします。」
「うむ そうしてくれ。どうやら、これから忙しくなりそうじゃからのう。」
ああ、始祖ブリミル様。これは 何の罰なのですか?私がナニをしたと言うのでしょうか。
「ルイズ、強くなるには 場数を踏むのが一番だぜ!」
「幸い この学校には、血の気の多い人が多いみたいだし。」
「おう よりどりみどりやな!」
「目指せ ルイズちゃん 世界一!ってね。」
使い魔達は 私の事を思って 一生懸命にやってくれてます。
『強くて 立派で すごいメイジになって、もう誰からもバカにされない様になりたい』
なんて 高望みをしたのが いけなかったのでしょうか?
私は 平凡な女の子です。普通に魔法が使えるようになれば それで充分です。
だから お願いです。
『平和な日々を 返してください!!』
終
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