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「サイン・オブ・ゼロ」(2009/05/12 (火) 14:39:01) の最新版変更点
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ルイズが召喚したのは、やたらと小さい、ぷにゅぷにゅとした白いネズミだった。
大見得を切った挙句、何十回という失敗の末、やっと出てきた使い魔がコレとは……
しかしこの魔法魔術学校の学長であるオールド・オスマンも、ネズミを使い魔にしているのだ。
みんな内心しょぼいと思いながらも、口に出して言うことはなかった。
さて暴れるネズミのコントラクト・サーヴァントを済ませたところで、はたとルイズは気がついた。
てゆーか、ネズミって空飛ばないわよね?
だがこの白いネズミは、背中にある指先ほどの大きさの羽を使って、器用に飛んでみせるのだ。
そして気づいたときには、教科書をがりがり齧っていた。
「ってコラ何やってんのよこのバカネズミーッ!?」
「ガガガーッ!?」
何とか引っつかんでそのまま窓の外へと放り投げる。そしてはたと気づいた。
てゆーか、ネズミってガガガって鳴くっけ?
とか思っている間に、そのネズミが高速マッハで部屋に飛び込んできた。まるで風魔法の弾丸のような勢いだった。
「ガガ、ガガガ! ガガー!」
よく見ればグローブをつけてる手をぶんぶん振りながら、ネズミは抗議した。ようだった。
「ガガガじゃわからないわよ! ご主人様の教科書に齧りついたアンタが悪いのよこの駄ネズミ!!」
「ガガガガガーッ!!」
「だからガガガじゃわからないってば!!」
結局のところ、その白ネズミの真価が発揮されたのは、土くれのフーケから「白きトーチ」と呼ばれる宝物を奪い返したときだった。
頭に浮かんだその呪文を唱えると、トーチの中に白ネズミが吸い込まれ、そして。
吹き抜ける風と共に現れたのは、真っ白な身体に立派な翼を持った、巨大な風韻竜だったのだ。
実のところ、この世界の基準で考えれば、大当たりの使い魔だったのかもしれない。
「おい……お前、俺のことさんざん馬鹿にしただろ」
――多少、性格がヤンキーなところに、目を瞑れば。
何処とも知らない暗闇で、彼は笑った。シロン、と白き風韻竜の名を呼んで。
「そうか、お前もこの世界に来ていたのだな……シロン。んふふふふ……」
暗闇の中に、怪しげな狂気を孕んだ笑い声が響いた。
「…………しかし、来たところで…………どうすれば、いいんでしょうかねえ。これから」
彼はため息をついた。
実際のところ、彼らは風韻竜ではない。地球ではレジェンズと呼ばれていた。
地球が文明に傷つけられたとき、それを滅ぼしてバランスをとる……のが、彼らの役目だった。
だがしかし。ここは地球じゃないし、文明の黄昏時というには文明レベルが低い。
風も水も土も炎も何もかも綺麗だ。ぶっちゃけ戦う理由は全然まったくちっともなかった。
「…………とりあえず、誰か私をリボーンしてくれませんかねぇ……」
そう言って、白ネズミそっくりな黒ネズミ……ランシーンは、ため息をついた。
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