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「ルイズと剣狼伝説第二部-5」(2007/07/31 (火) 09:07:29) の最新版変更点
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魔法学院を出てから半日、ワルドのグリフォンは疲れを見せずにはしりつづけていた
乗り手のようにタフな幻獣である
「もう少しペースを落とさないの?」
前に跨がるルイズがそう言うとワルドも後ろを向いた
グリフォンの後ろでは馬が二頭、それぞれロムとギーシュが乗っていた
ロムはまだ余裕の表情を見せていたがギーシュは馬にしがみつくようにへばっていた
「やれやれ、ラ・ロシェールの港町まで止まらず行きたいのだが・・・・」
「普通は馬で二日かかる距離なのよ」
「駄目なら置いてけばいいじゃないか」
「そういうわけにはいかないわよ」
「どうして?」
ワルドの問い掛けにルイズは困ったように言った
「だって・・・・二人とも仲間じゃない」
「やけに二人の肩を持つね。どちらが恋人かい?」
「こ、恋人なんかじゃないわ」
またルイズは後ろを向いてロムの顔を見る
ロムの目は常に真っ直ぐ、前を見てた
力強く手綱を握りただひたすら馬を走らせていた
あのフーケとの戦いで助けられた時、あの腕に抱きしめられた
その時鎧越しに感じられた暖かさ
今回も、彼は自分がピンチになったら助けてくれるだろうか?
ルイズはそんな事を思ってぼーっとしていた
「ルイズ?大丈夫かい?」
心配したワルドの一言でルイズは我にかえった
「だ、大丈夫よ」
ワルドは微笑みながら頷いた
「もう半日以上走りっぱなしだ。どうなっているんだ。魔法衛士隊は化け物か・・・・」
「ギーシュ頑張るんだ。強い志を持って前に進んで行けば必ず目的地着くぞ」
「そうだった、君も化け物だったな」
余裕を持って励ましてくるロムにギーシュは疲れた声で返す
歳はそれほど変わらないはずなのに一体あの気力はどこから出てくるのか
ギーシュはロムの顔を見てみた
相変わらず朝の時の小難しい事を考えいるような顔だ
目線の先は前、グリフォンに跨がる二人であったのでひょっとしたら・・・・と思いからかってみることにした
「なあ君・・・・」
「どうした?」
「ひょっとして君・・・・、やきもち焼いているのかい?」
「どうしてだ?」
「だって君、ずっとあの二人の事を見ていただろ?」
ロムは少し驚いた表情を見せた
「それはだな・・・・、色々、考えていただけさ」
「ふ~~~ん」
ギーシュが悪戯を思いついたような子供のような顔になる
からかってやるって事だ
「あ、二人がキスしている!」
「何!」
少し慌てた感じの表情となったロムを見てギーシュは笑った
「へえ、君もそういう顔になるんだ」
「な・・・・、そうそうからかうものじゃないぞ」
馬にしがみつきながらもケラケラと笑うギーシュ、ロムは調子を崩されて複雑な顔をしながらもその中には笑みが含まれていた
何度も馬を替えて飛ばしてきたので一行はその日の夜中にラ・ロシェールの入り口についた
ロムは怪訝そうな顔で辺りを見回す、港町と言うには海がどこにも見えない
険しい岩山の中を縫うように進むとやがて街が見えてきた
「これでやっとで一息つける・・・」
ギーシュが安直の声を漏らす
その時だった
崖の上から馬に向かってに向かって投げ込まれた
松明は赤々と燃え上がり峡谷を照らす
ロムは瞬時に崖の上を睨んだ
「な、なんだ!?」
「奇襲だギーシュ!君は下がれ!」
ロムが怒鳴るとギーシュは馬を下がらせようとする
二人目掛けて何本も矢が夜風を切り裂き飛んでくる
その中でロムは腰に携えているデルフリンガーの柄をを握りそれを引き抜いた
「行くぞ!デルフリンガー!」
「やっとで出番か・・・・、暴れてくれよ相棒!」
デルフリンガーが出てきたのと同時に全ての矢が地面に突き刺さった
ロムの左手のルーンが輝く
再び矢がひゅんひゅんと音をしならせロムとギーシュ目掛けて跳んでくる
(シャキーン!)ロムは口下のバイザーを閉じるとデルフリンガーを天に掲げ、身を横に倒し高速回転させる
「天空真剣!真空竜巻!!」
ロムの頭上で風が集まり小さな竜巻が現れる
それは唸り声を上げてギーシュに当たる筈の矢を弾き飛ばし、自分に目掛けて飛んでくる矢を竜巻の中に集めた
竜巻が止むとロムの回りに矢がぼとぼとと地に刺さる
「ほほう、やるじゃないか!」
横でグリフォンに跨がっていたワルドが感嘆の声をあげる
ルイズも驚いた顔になっていた
「とあーーー!!」
ロムは崖に向かって飛び付き、途中、岩壁を蹴りながら上に向かっていった
「う、うわあ!あいつ向かって来やがる!」
「打て!打ち落とすんだ!!」
崖の上の野盗達がロムに向かって矢を向ける
しかし、横から突然強い風が巻き起こり、野盗達が吹き飛んで行く
「な、なんだぁ!?ってうわぁ!」
「天空宙心拳!月光蹴り!!」
崖の上にたどり着いたロムは野盗の一人を勢いよく蹴りあげる
ロムはさらに残りの野盗を睨むが野盗達は恐怖を浮かべ腰を抜かしていた
「なんだ?こいつらどうしたんだ?」
上からばっさばっさという音が聞こえてくる
ロムは空を見上げるとそこには月をバックに見慣れた幻獣が姿を見せた
「シルフィード!!」
崖の下から見ていたルイズが驚き声をあげる
確かにそれはタバサの風竜であった
シルフィードはは羽ばたき崖の上に近づくとそこから赤毛の少女が飛び降りてロムに向かって行った
「お待たせ!ダーリン!」
キュルケはロムの腕に抱きつく
ロムは驚いた顔でキュルケとシルフィードを見た
「なんであんた達がここにいるのよー!!」
ルイズが怒鳴ると、キュルケが崖から見下ろした
「助けに来たのよ。朝方、窓を見てたらあんた達が馬に乗って学院を出るから
タバサを叩き起こして後をつけたのよ」
キュルケがシルフィードに向かって指を差す
そこにはパジャマ姿で本を読むタバサが乗っていた
「それよりダーリン!さっきの蹴り、カッコよかったわぁ!」
「そ、そうか」
「こらー!ツェルプストー!人の使い魔にベタベタするなー!」
ルイズが怒鳴るとキュルケはべーって舌を出した
ルイズは唇を噛んで真っ赤になった
そんなルイズにワルドはぽんっと両肩を叩いてにっこり微笑む
「ワルド・・・・」
「さっさと街に行って休もう。ルイズの使い魔君!そこにいる男達を尋問しといてくれ!」
「わかった!」
ロムがワルドに答える
その後すぐに目がデルフリンガーの方に向いた
(デルフリンガーを握った時、何故かいつもより力がみなぎった・・・・。このルーンが関係しているのか?)
崖の上から見えるラ・ロシェールの町の灯りは怪しく輝いていた
ラ・ロシェールで一番上等な宿、『女神の杵』亭に泊まる事にした一行は一階の酒場でくつろいでいた
「ヴァリエールの婚約者?それ本当?」
「ああ、おまけに魔法衛士隊隊長ときたからね」
ギーシュの簡潔なワルドの紹介にキュルケは声をあげた
同時にちょっと悔しそうな顔になった
「そんな素敵な人がねぇ・・・・、あっでもダーリン気にしないでね!私はいつもダーリン一筋だから!」
そこに『桟橋』へ乗船の交渉に行っていたワルドとルイズが戻ってきた
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと出ないようだ。明後日、アルビオンが最もラ・ロシェールに近づくらしい」
「では暫くは休みが取れるのか」
「ああ、今日はもう寝よう、部屋は取ってある」
ワルドは鍵束を机の上に置いた
「キュルケとタバサは相部屋だ。そして、ギーシュとロムが相部屋。僕とルイズは同室だ」
ルイズははっとしてワルドの方を向いた
「ワルド、私達まだ結婚していないじゃない!」
「大事な話があるんだ。二人きりで話したい」
ワルドとルイズの部屋はかなり立派な作りであった
テーブルにワルドが座っている
「君も腰掛けて一杯やらないかいルイズ?」
ワルドが二人分のグラスにワインを満たす
「二人に」
ルイズはちょっとうつ向いて杯をあわせた
「姫殿下からの手紙はちゃんと持っているかい?」
ワルドの一言にルイズはあることを思い出した
あの時アンリエッタが手紙を渡した時の表情
アンリエッタは幼き時からの友人である彼女がどのような時にどのような顔をするのかも覚えているつもりだ
あの時の表情はとんなものか、ルイズにはわかっていた
「・・・・ええ」
「心配なのかい?これからのことが」
「心配だわ・・・」
「大丈夫だよ。きっとうまくいく。なにせ、僕がついているんだから」
「・・・・そうね、あなたがいればきっと大丈夫よね。あなたは昔から頼もしかったもの。で、大事な話って?」
ワルドは遠い目になった
「覚えているかい・・・・あの日の約束を・・・」
翌日、ロムとギーシュの扉がノックされた
目を覚ましたロムは起き上がりドアを開ける
すると自分と同じ背丈の羽帽子を被った男と目があった
「おはよう使い魔君」
男はワルドであった
「おはようございます。こんな朝早くどうしたんですか?」
ロムがそう言うとワルドはにっこり笑った
「君は伝説の使い魔『ガンダールヴ』なんだろう?」
「・・・それをどこで?」
ロムが尋ねるとワルドは首を傾げた
「フーケの一件で僕は君に興味を抱いたのだ。さきほどグリフォンの上でルイズに聞いたが君は異世界から来たそうじゃないか
しかも『ガンダールヴ』だそうだね?」
「あ、ああ」
誰が『ガンダールヴ』のことについて話したんだろうか?オスマン氏しか知らない筈だが・・・・
「僕は歴史と兵に興味があってね。フーケを尋問した時にきみに興味を抱き、王室図書館で君の事を調べたのさ。
それで君が『ガンダールヴ』とたどり着いた」
ワルドはさらに続けた
「あの『土くれ』を捕まえた腕が知りたいんだ。ちょっと手合わせ願いたい」
「・・・・決闘か?」
「ふふふ、そのとおりさ」
ワルドが笑うとロムは答えた
「わかった。どこでやるんだ?」
「中庭の練兵場に来てくれ。そこならできる」
そう言うとワルドは自分の部屋に戻っていった
「相棒、朝っぱらからえれー事になったな」
デルフリンガーが語りかけてきた
「是非俺を使ってくれよなぁ」
「ああ、このルーンの事もある。試すには丁度いいかもしれないな。それに・・・」
「それに?」
「・・・・いや、なんでもない」
ロムはそう言うとデルフリンガーを担いで部屋を後にした
おまけ
ワルドがフラグを立てようと頑張っている時、ロムとギーシュの部屋
「・・・・・・・・」
「なあ、さっきから何をしているんだい?」
ギーシュがベットの上で座禅を組んでいるロムに声をかける
「・・・・集中しているんだ」
「集中?」
「そうだ、天空宙心拳の極意でな。常に集中することによって如何なる事が起きても対応できるようにするんだ」
「へぇ~、で、その天空宙心拳っていうのは何なんだい?」
「悪を切り裂く正義の心を受け継いだものが使う事を許される拳法、それが天空宙心拳だ」
ギーシュは野盗に襲われた事を思い出した、確かにロムはそんなことを叫びながら闘っていた
「・・・その天空宙心拳は、いきなり竜巻を起こしたり、フライより高く跳び上がったりすることが出来るのかい?」
「かなりの修行が必要だが」
「・・・なあ、僕にも、その天空宙心拳を・・・・教えてくれないかい?」
「・・・なに?」
思わずロムが座禅を解く、まさかこんなに線の細いギーシュがそんな事を言うとは思わなかったからだ
「本当に教えてくれないか!?さわりだけでもいいからさ!」
「邪念とかがあればそうそう出来るものじゃないぞ。体も鍛えなければいけない。それに俺はルイズの身の世話で忙しい・・・・」
「頼むよ!じゃあこうしよう!」
「どうするんだ?」
「うーんとなー・・・・・・・・
そうだ!交換日記だ!!」
(天空宙心拳は流石に厳しいので)ロムが武術の基本を書いてギーシュがそれを定期的に書かれている事をこなす
これによってギーシュは少しずつだが成長していった
この交換日記、「ロム・ストールとギーシュ・ド・グラモンの『今日からマル秘な日記』」はこの日を始まりとする
後にこれを読んだ某魔法衛士隊の隊長は
体術と魔術を掛け合わせた最強の特殊戦闘術
『VARIATION-MAGIC&ACTION-Xtype』
通称『V―MAX』を編み出し、日記は後の世まで語り継がれることになる
魔法学院を出てから半日、ワルドのグリフォンは疲れを見せずにはしりつづけていた
乗り手のようにタフな幻獣である
「もう少しペースを落とさないの?」
前に跨がるルイズがそう言うとワルドも後ろを向いた
グリフォンの後ろでは馬が二頭、それぞれロムとギーシュが乗っていた
ロムはまだ余裕の表情を見せていたがギーシュは馬にしがみつくようにへばっていた
「やれやれ、ラ・ロシェールの港町まで止まらず行きたいのだが・・・・」
「普通は馬で二日かかる距離なのよ」
「駄目なら置いてけばいいじゃないか」
「そういうわけにはいかないわよ」
「どうして?」
ワルドの問い掛けにルイズは困ったように言った
「だって・・・・二人とも仲間じゃない」
「やけに二人の肩を持つね。どちらが恋人かい?」
「こ、恋人なんかじゃないわ」
またルイズは後ろを向いてロムの顔を見る
ロムの目は常に真っ直ぐ、前を見てた
力強く手綱を握りただひたすら馬を走らせていた
あのフーケとの戦いで助けられた時、あの腕に抱きしめられた
その時鎧越しに感じられた暖かさ
今回も、彼は自分がピンチになったら助けてくれるだろうか?
ルイズはそんな事を思ってぼーっとしていた
「ルイズ?大丈夫かい?」
心配したワルドの一言でルイズは我にかえった
「だ、大丈夫よ」
ワルドは微笑みながら頷いた
「もう半日以上走りっぱなしだ。どうなっているんだ。魔法衛士隊は化け物か・・・・」
「ギーシュ頑張るんだ。強い志を持って前に進んで行けば必ず目的地着くぞ」
「そうだった、君も化け物だったな」
余裕を持って励ましてくるロムにギーシュは疲れた声で返す
歳はそれほど変わらないはずなのに一体あの気力はどこから出てくるのか
ギーシュはロムの顔を見てみた
相変わらず朝の時の小難しい事を考えいるような顔だ
目線の先は前、グリフォンに跨がる二人であったのでひょっとしたら・・・・と思いからかってみることにした
「なあ君・・・・」
「どうした?」
「ひょっとして君・・・・、やきもち焼いているのかい?」
「どうしてだ?」
「だって君、ずっとあの二人の事を見ていただろ?」
ロムは少し驚いた表情を見せた
「それはだな・・・・、色々、考えていただけさ」
「ふ~~~ん」
ギーシュが悪戯を思いついたような子供のような顔になる
からかってやるって事だ
「あ、二人がキスしている!」
「何!」
少し慌てた感じの表情となったロムを見てギーシュは笑った
「へえ、君もそういう顔になるんだ」
「な・・・・、そうそうからかうものじゃないぞ」
馬にしがみつきながらもケラケラと笑うギーシュ、ロムは調子を崩されて複雑な顔をしながらもその中には笑みが含まれていた
何度も馬を替えて飛ばしてきたので一行はその日の夜中にラ・ロシェールの入り口についた
ロムは怪訝そうな顔で辺りを見回す、港町と言うには海がどこにも見えない
険しい岩山の中を縫うように進むとやがて街が見えてきた
「これでやっとで一息つける・・・」
ギーシュが安直の声を漏らす
その時だった
崖の上から馬に向かってに向かって投げ込まれた
松明は赤々と燃え上がり峡谷を照らす
ロムは瞬時に崖の上を睨んだ
「な、なんだ!?」
「奇襲だギーシュ!君は下がれ!」
ロムが怒鳴るとギーシュは馬を下がらせようとする
二人目掛けて何本も矢が夜風を切り裂き飛んでくる
その中でロムは腰に携えているデルフリンガーの柄をを握りそれを引き抜いた
「行くぞ!デルフリンガー!」
「やっとで出番か・・・・、暴れてくれよ相棒!」
デルフリンガーが出てきたのと同時に全ての矢が地面に突き刺さった
ロムの左手のルーンが輝く
再び矢がひゅんひゅんと音をしならせロムとギーシュ目掛けて跳んでくる
(シャキーン!)ロムは口下のバイザーを閉じるとデルフリンガーを天に掲げ、身を横に倒し高速回転させる
「天空真剣!真空竜巻!!」
ロムの頭上で風が集まり小さな竜巻が現れる
それは唸り声を上げてギーシュに当たる筈の矢を弾き飛ばし、自分に目掛けて飛んでくる矢を竜巻の中に集めた
竜巻が止むとロムの回りに矢がぼとぼとと地に刺さる
「ほほう、やるじゃないか!」
横でグリフォンに跨がっていたワルドが感嘆の声をあげる
ルイズも驚いた顔になっていた
「とあーーー!!」
ロムは崖に向かって飛び付き、途中、岩壁を蹴りながら上に向かっていった
「う、うわあ!あいつ向かって来やがる!」
「打て!打ち落とすんだ!!」
崖の上の野盗達がロムに向かって矢を向ける
しかし、横から突然強い風が巻き起こり、野盗達が吹き飛んで行く
「な、なんだぁ!?ってうわぁ!」
「天空宙心拳!月光蹴り!!」
崖の上にたどり着いたロムは野盗の一人を勢いよく蹴りあげる
ロムはさらに残りの野盗を睨むが野盗達は恐怖を浮かべ腰を抜かしていた
「なんだ?こいつらどうしたんだ?」
上からばっさばっさという音が聞こえてくる
ロムは空を見上げるとそこには月をバックに見慣れた幻獣が姿を見せた
「シルフィード!!」
崖の下から見ていたルイズが驚き声をあげる
確かにそれはタバサの風竜であった
シルフィードはは羽ばたき崖の上に近づくとそこから赤毛の少女が飛び降りてロムに向かって行った
「お待たせ!ダーリン!」
キュルケはロムの腕に抱きつく
ロムは驚いた顔でキュルケとシルフィードを見た
「なんであんた達がここにいるのよー!!」
ルイズが怒鳴ると、キュルケが崖から見下ろした
「助けに来たのよ。朝方、窓を見てたらあんた達が馬に乗って学院を出るから
タバサを叩き起こして後をつけたのよ」
キュルケがシルフィードに向かって指を差す
そこにはパジャマ姿で本を読むタバサが乗っていた
「それよりダーリン!さっきの蹴り、カッコよかったわぁ!」
「そ、そうか」
「こらー!ツェルプストー!人の使い魔にベタベタするなー!」
ルイズが怒鳴るとキュルケはべーって舌を出した
ルイズは唇を噛んで真っ赤になった
そんなルイズにワルドはぽんっと両肩を叩いてにっこり微笑む
「ワルド・・・・」
「さっさと街に行って休もう。ルイズの使い魔君!そこにいる男達を尋問しといてくれ!」
「わかった!」
ロムがワルドに答える
その後すぐに目がデルフリンガーの方に向いた
(デルフリンガーを握った時、何故かいつもより力がみなぎった・・・・。このルーンが関係しているのか?)
崖の上から見えるラ・ロシェールの町の灯りは怪しく輝いていた
ラ・ロシェールで一番上等な宿、『女神の杵』亭に泊まる事にした一行は一階の酒場でくつろいでいた
「ヴァリエールの婚約者?それ本当?」
「ああ、おまけに魔法衛士隊隊長ときたからね」
ギーシュの簡潔なワルドの紹介にキュルケは声をあげた
同時にちょっと悔しそうな顔になった
「そんな素敵な人がねぇ・・・・、あっでもダーリン気にしないでね!私はいつもダーリン一筋だから!」
そこに『桟橋』へ乗船の交渉に行っていたワルドとルイズが戻ってきた
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと出ないようだ。明後日、アルビオンが最もラ・ロシェールに近づくらしい」
「では暫くは休みが取れるのか」
「ああ、今日はもう寝よう、部屋は取ってある」
ワルドは鍵束を机の上に置いた
「キュルケとタバサは相部屋だ。そして、ギーシュとロムが相部屋。僕とルイズは同室だ」
ルイズははっとしてワルドの方を向いた
「ワルド、私達まだ結婚していないじゃない!」
「大事な話があるんだ。二人きりで話したい」
ワルドとルイズの部屋はかなり立派な作りであった
テーブルにワルドが座っている
「君も腰掛けて一杯やらないかいルイズ?」
ワルドが二人分のグラスにワインを満たす
「二人に」
ルイズはちょっとうつ向いて杯をあわせた
「姫殿下からの手紙はちゃんと持っているかい?」
ワルドの一言にルイズはあることを思い出した
あの時アンリエッタが手紙を渡した時の表情
アンリエッタは幼き時からの友人である彼女がどのような時にどのような顔をするのかも覚えているつもりだ
あの時の表情はとんなものか、ルイズにはわかっていた
「・・・・ええ」
「心配なのかい?これからのことが」
「心配だわ・・・」
「大丈夫だよ。きっとうまくいく。なにせ、僕がついているんだから」
「・・・・そうね、あなたがいればきっと大丈夫よね。あなたは昔から頼もしかったもの。で、大事な話って?」
ワルドは遠い目になった
「覚えているかい・・・・あの日の約束を・・・」
翌日、ロムとギーシュの扉がノックされた
目を覚ましたロムは起き上がりドアを開ける
すると自分と同じ背丈の羽帽子を被った男と目があった
「おはよう使い魔君」
男はワルドであった
「おはようございます。こんな朝早くどうしたんですか?」
ロムがそう言うとワルドはにっこり笑った
「君は伝説の使い魔『ガンダールヴ』なんだろう?」
「・・・それをどこで?」
ロムが尋ねるとワルドは首を傾げた
「フーケの一件で僕は君に興味を抱いたのだ。さきほどグリフォンの上でルイズに聞いたが君は異世界から来たそうじゃないか
しかも『ガンダールヴ』だそうだね?」
「あ、ああ」
誰が『ガンダールヴ』のことについて話したんだろうか?オスマン氏しか知らない筈だが・・・・
「僕は歴史と兵に興味があってね。フーケを尋問した時にきみに興味を抱き、王室図書館で君の事を調べたのさ。
それで君が『ガンダールヴ』とたどり着いた」
ワルドはさらに続けた
「あの『土くれ』を捕まえた腕が知りたいんだ。ちょっと手合わせ願いたい」
「・・・・決闘か?」
「ふふふ、そのとおりさ」
ワルドが笑うとロムは答えた
「わかった。どこでやるんだ?」
「中庭の練兵場に来てくれ。そこならできる」
そう言うとワルドは自分の部屋に戻っていった
「相棒、朝っぱらからえれー事になったな」
デルフリンガーが語りかけてきた
「是非俺を使ってくれよなぁ」
「ああ、このルーンの事もある。試すには丁度いいかもしれないな。それに・・・」
「それに?」
「・・・・いや、なんでもない」
ロムはそう言うとデルフリンガーを担いで部屋を後にした
おまけ
ワルドがフラグを立てようと頑張っている時、ロムとギーシュの部屋
「・・・・・・・・」
「なあ、さっきから何をしているんだい?」
ギーシュがベットの上で座禅を組んでいるロムに声をかける
「・・・・集中しているんだ」
「集中?」
「そうだ、天空宙心拳の極意でな。常に集中することによって如何なる事が起きても対応できるようにするんだ」
「へぇ~、で、その天空宙心拳っていうのは何なんだい?」
「悪を切り裂く正義の心を受け継いだものが使う事を許される拳法、それが天空宙心拳だ」
ギーシュは野盗に襲われた事を思い出した、確かにロムはそんなことを叫びながら闘っていた
「・・・その天空宙心拳は、いきなり竜巻を起こしたり、フライより高く跳び上がったりすることが出来るのかい?」
「かなりの修行が必要だが」
「・・・なあ、僕にも、その天空宙心拳を・・・・教えてくれないかい?」
「・・・なに?」
思わずロムが座禅を解く、まさかこんなに線の細いギーシュがそんな事を言うとは思わなかったからだ
「本当に教えてくれないか!?さわりだけでもいいからさ!」
「邪念とかがあればそうそう出来るものじゃないぞ。体も鍛えなければいけない。それに俺はルイズの身の世話で忙しい・・・・」
「頼むよ!じゃあこうしよう!」
「どうするんだ?」
「うーんとなー・・・・・・・・
そうだ!交換日記だ!!」
(天空宙心拳は流石に厳しいので)ロムが武術の基本を書いてギーシュがそれを定期的に書かれている事をこなす
これによってギーシュは少しずつだが成長していった
この交換日記、「ロム・ストールとギーシュ・ド・グラモンの『今日からマル秘な日記』」はこの日を始まりとする
後にこれを読んだ某魔法衛士隊の隊長は
体術と魔術を掛け合わせた最強の特殊戦闘術
『VARIATION-MAGIC&ACTION-Xtype』
通称『V―MAX』を編み出し、日記は後の世まで語り継がれることになる
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