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「DTC(デトロイト・トリステイン・シティ)」(2007/07/31 (火) 00:25:41) の最新版変更点
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「ええー?今日はこんな台詞をしゃべるんですか?」
どう見ても悪魔か魔王にしか見えぬ男が、外見とはうらはらの……
なんというか牛蒡っぽいしゃべり方で目の前の金髪女性に抗議の声を上げる。
「FUCK!」
金髪女性が男に蹴りを入れる。弁慶の泣き所にクリーンヒットし、男がうずくまる。
「今日ゲストで来ているハリー・ルイ・ズェルフォンは薬の打ちすぎで普段から
異世界異世界言っているイカれたジャンキーミュージシャンだ。
先に十八番を奪ってやらなくてどうするんだよSHIT!」
「そ、そんなおかしい人の真似したくないですよ。」
「いいから行けってんだよこのもやし牛蒡!」
男の背中に回し蹴り。
よろよろしながら男が舞台袖へ向かう。
『ぼくがやりたいのはこんなおかしい音楽じゃないのに……』
涙を堪えるが、やりきれなさが胸に溢れる。なんだろう、この感情は。
ぼくは、こんなことをやりたくないのに……
「今日は母さん犯したぜ!明日は父さん掘ってやる!」
ものすごいノリノリで歌う男。どこが嫌なんだろうかって感じである。
「異世界など俺が4次元を犯したときにできた望まれない鬼子にすぎぬわ~!」
ゲストで来ていた男を袋に包み、ぐるぐる回転させながら、腰を振る。
「出たー!クラウザーさんの4次元ポケットタケコプターレイプだー!」
興奮したファンが雄叫びを上げる。
「これでわかったろう。この世界の支配者が誰なのか!」
クラウザーさん、と呼ばれた男が、雄叫びに応えるように吼える。なんという汚いデスヴォイスだ。
その目の前に、突然光輝く扉が現れた。
『え……なんだ?』
キラキラと輝く、光の鏡のようなものを思わず覗き込むクラウザー。
『ひょっとして社長が用意した演出なのかな?飛び込まないと怒られるのかな?』
ギャイーンとギターをかき鳴らしながら、クラウザーさんが走る。
「見ていろ!異世界もレイプしてくれるわ~!」
クラウザーさんは、光の鏡めがけて飛び掛った。
光の鏡はクラウザーさんを飲み込み、そして消える。
一瞬静まり返る客席。だが次の瞬間。
「出たぞ!クラウザーさんの異世界征服レイプだ!」
「瞬間移動で獲物(女)を探しに行ったに違いないぜ!」
「さすが異常性欲者だ!魔法使いだろうがモンスターだろうが容赦しないぜ!」
「地獄に帰ったのかもしれないぜ!」
地鳴りのような音を立てるバンドハウス。
『さすが根岸、メタルモンスターだぜ。』
横にいたもうひとりの悪魔がその身体を張ったパフォーマンスに感心する。
「ファ~ック。どうやったのか知らないけど、なかなかイカれたパフォーマンスじゃねぇか、クラウザー。」
「うおー!見ろ、ゼロのルイズが使い魔の召喚に成功したぞ!」
「あの禍々しいオーラを見ろ!間違いなくあれはかなり高位の悪魔に違いないぜ!」
「魔王だ!魔王に違いない!」
クラウザーの目の前で、黒マント姿の少年少女がどよめきをあげる。
『な、なんだここ……さっきまでライブハウスにいたはずなのに……』
いつの間にか屋外にいることにパニックになり、周囲を伺うクラウザーさん。
「見ろ!周囲を警戒しているぞ!」
「バカ、あれは獲物を探しているに違いない!」
「早く契約しないとルイズが犯し食い殺されちまうぞ!」
その様子に唖然とするクラウザー。
『なんだ?アメリカンスクールなのかな?みんな外国人なのに日本語ペラペラだなぁ。
うぅ……。やっぱりこんなアメリカンスクールのひとたちにまで、DMCって知られちゃってるんだ…』
なんともやるせない気持ちになるクラウザーさん。その様子を見て…
「おい、瞑想しているぞ!」
「どうやって俺たちを殺そうかと思案しているに違いない!」
「ルイズ!急げ!急いで契約するんだ!」
そんな級友の声援?に後押しされ、ピンクがかったブロンドの少女がおずおずとクラウザーさんの前に立つ。
「あ、あンた……誰?」
『…やっぱりファンの子達の前でまともに答えちゃダメだろうなぁ…』
「きさまら人間に答える名前などあるはずがなかろう。」
ビクッと身を固まらせる少女。今にも泣き出しそうだ。それを見て慌てるクラウザーさん。
「い、いや。今日はここに召喚されたこともあって特別に教えてやろう。
ヨハネ・クラウザーII世だ。」
おおお、と学生がどよめく。
「クラウザーII世!なんて恐ろしい名前だ…。」
「魔界の王であることは間違いないな」
「こわいよ、ママ~」
『うう……この人たちも反応良すぎるよ。いつものファンの子達なみだよ。』
どんどん気持ちが沈んでいくクラウザーさん。
「い、いまよ!」
隙をうかがっていた少女が、クラウザーさんの唇を奪った。
次の瞬間、額に激痛が走る。
「ぐおおおおお!」
あまりの熱さに叫び声をあげるクラウザーさん。
「見ろ、魔王が悶えているぞ。」
「なんだ!?何が起きたんだ!?」
激痛にのたうち、よろけてルイズを巻き込んで転倒するクラウザーさん。
「ああ!」
教師らしい男を含め、全員が叫んだ。
「「「ルイズがレイプされたー!」」」
「あの魔王、この隙を狙っていたんだ!」
「いくらゼロとはいえメイジがあっというまに純潔を奪われたぞ!」
「さすがクラウザーさんだ!」
「おまえ、悪魔にさんづけかよ。」
「なんだとこら、SATSUGAIするぞ!」
「え、ち、ちがう…!」
慌てて起き上がるクラウザーさん。その下には身体を縮め、おびえきった少女の姿が。
「なんて使い魔だ!登場して1分ですでに主人をレイプしたぞ!」
「ち、違…」というクラウザーの弁明は、ルイズの泣き声と歓声に打ち消された。
こうしてクラウザー2世の使い魔としての人生がスタートしたのであった。
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