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「ゼロの使い魔は魔法使い(童貞)-04」(2008/12/20 (土) 14:08:18) の最新版変更点
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「………なるほど。」
学院長であるオールド・オスマンはルイズ達から話を聞くと大きく頷いた。
「とうとう奴の言っておった者が復活したか………これは厄介じゃのう。」
「オールド・オスマン! そんな悠長なことを言ってないで早くフーケを…」
「残念だがお主ら相手でも勝てんじゃろう。たとえどれだけ数があろうとも。」
「そんな………」オスマンはルイズの声を退けた。そしてルイズ達の顔を見渡し、こう続けた。
「じゃが、対抗する方法がひとつだけある。それはおぬしの力を復活させることじゃ。」
「…………えっ?」
オスマンが杖を向けた相手はすでに魔法が使えなくなったド変態である使い魔のエイジであった。
翌日、ルイズ達とオスマンは宝物庫の中にいた。
はじめてみたそれは見たところガラクタばかりで、ルイズには価値がわかりかねるものばかりであった。しかし――
「こ、これは………」
ただ一人、使い魔であるエイジはこれらが何であるかを理解していた。
「○○さくらの○○○カードに、○○teの聖杯………コ○ブ○ヤのフィギュアもこんなにいっぱい………!」
エイジは思わず辺りをくまなく見回した。するとそこには美少女のポスターがすきまなく貼り付けられているではないか。
「ここは昔ここに迷い込んできた"魔法使い"が持ってきたものじゃよ。」
オスマンはそういいながら一際頑丈そうな宝箱を開ける。
「ふむ………やはりないか。」
その宝箱には中にあるはずの破壊の杖が盗まれており、その代わりに『破壊の杖確かに頂戴しました 変わり身のフーケ』と印字されていた。
「なんでこんなガラクタがここに………?」
エイジが横で愕然としているのを無視してキュルケはオスマンに質問した。
「数百年前にこの魔法学院に迷い込んできた男がおったのじゃ。奴は自分のことを"魔法使い"だと言っておった。そして奴はこれらの物を"萌えグッズ"と呼んでおったのじゃ。」
「つまり………その彼は"萌"属性の魔法使いだったという事ですね。」
「その通りじゃ。」
ルイズの出した答えにオスマンは嬉しげに頷いた。だがそれを聞いたエイジが思わず手を挙げた。
「自分のいた世界では魔法使いが誕生したのは歴史にして数十年ぐらいのものでありやす。しかし、貴方は数百年前からとおっしゃってましたが、数百年前は確か………」
「人類は滅亡しておったはずじゃ。」
エイジは目を見開いた。確かに自分のいた世界では数百年前に人類は滅んでしまい、魔法使いギルドが再構成したのはほんの数十年前のことなのである。
「こんな言い伝えを聞いたことはないか? 『三十を過ぎた童貞は魔法使いになれる』……と。」
「………童貞? 童貞ってどういう意味なの?」
質問をしたルイズを除く全員が驚きのあまり目を見開いた。
「どっ、童貞というのは、つっ、つまりっ、そのっ、あのっ、」
動揺しまくっているエイジをよそにキュルケは優しく耳打ちした。
「童貞ってね………男の人に対して使う言葉で………うん、まだしてない人のことを童貞っていうのよ。」
「ええええええっ!!!! そ、そんな奴がいっ、いるわけないでしょうが!」
ぐさっ
「あのマリコルヌですら結婚できないことは無いと言われているのに……」
ぐさぐさっ
「まあこの時代じゃ考えられないことなのよね。その……どっ、童貞ってのは。 貴方はどうなの、エイジ?」
「ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
エイジは動揺のあまり関西弁をしゃべっていることに気づいていなかった。
「つまりここに来た魔法使いはその方法で勝手になったと主張しておったのじゃが………」
「じゃあ勝手になったのではなくてどのようになったのですか?」
「いや、勝手になったのは本当のようじゃ。しかし、それに至るまでの過程を聞いてみるとどうやらなるべくしてなったようでの………」
オスマンは近くにあった萌えグッズに腰を下ろして語り始めた。
「かつて、その男は国中の童貞が集まる都に足繁く通っていたそうなのじゃ。
その都では童貞を守るための聖典が盛んに売買されており、更にその聖典の多くは童貞の手によって作られておった。」
オスマンはエイジの目を見据えた。エイジはビクッとして思わず目をそらす。オスマンは話を続けた。
「童貞が童貞の為に聖典を作り、それを童貞自身が売り、また童貞が買う………
奴は日常的にこのようなことを繰り返しておったらしい。そして魔法使いになったその瞬間、奴はこの世界に飛ばされたらしいのじゃ。」
「そんな魔法使いがいたなんて………」
ルイズたちは驚愕のあまり言葉も出なかったようだ。オスマンは本題に話を移す。
「しかし、かの魔法使いは既に力を失っておった。ただのド変態になっていたのじゃよ。お前のようにな」
エイジは思わず俯いた。オスマンは「いや、お主を責めるつもりは無いのじゃよ。」と言っているが明らかに嘘だとエイジは思った。
「そこで奴は魔法を復活させる装置を作ったのじゃ」
「装置?」
「そうじゃ。それはここより地下のほうにある。君たちも一緒に来なさい」
言うと、オスマンは萌えグッズの一つを脇に押しのけ、人一人が入れるぐらいの穴に入るように促した。
「これは…………」
ルイズ達は目の前のものに驚愕した。まさか魔法学院にこんなものがあったとは………
そこには白くて大きな建物が待ち構えていた。
それは人を寄せ付けない印象があり、入るものを躊躇させる威圧感があった。
「最終試練『シュレーディンガーの箱』じゃ。この中でエイジは最終試練を受ける。」
オスマンはボタンのようなものをいじりながら話を続ける。
「無論、この試練は過酷でお主にとっては地獄を見るものになるじゃろう。
そしてかの魔法使いはこれで命を失ったのじゃ。」
エイジは目の前にある大きな建物を見つめた。
「この中で………何が?」
目の前の物は何も言わずただ威圧感や重圧感を漂わせているだけだ。
「最後にもう一度確認するぞ? お主はここで地獄を見る。そして命の危険に晒されるかも知れぬ。それでも良いのか?」
オスマンの真剣な表情にエイジは思わず息を呑んだ。そして唇を震わせながらも自分の意思を伝えようとする。
「お、おれ………は………」
エイジが何かを言おうとしたその瞬間、
「勿論よ。早く始めちゃいなさいよ!」
と答えたのはルイズである。
What's!? あまりのサプライズにエイジは思わず英語でそう叫んでしまった。
それを聞いたタバサとキュルケはルイズと一緒にエイジの背中を押す。
「ほら、あんたもただのド変態のままなんて嫌でしょうからさっさと覚醒なり何なりしちゃいなさいよ!」
「そ、そんな! う、受けるのは自分でありやして……」
「だから何? さっさと始めなさいよっ!」
そしてエイジはそのままシュレーディンガーの箱に押し込められてしまった。
尚、このシュレーディンガーの箱は最終試練を受けるエイジとは別にルイズ達は別室でモニタリングすることが出来る。
「エイジー? 聞こえるー?」
そして別室での声はマイクを通してエイジに聞こえるようになっている。しかし逆にエイジの声はルイズたちに聞こえることは無い。
「どうして私たちまでここに?」
ルイズは疑問に思っていたので聞いてみた。オスマンはしきりにボタンをいじりながらルイズの問いに簡潔に答えた。
「君達がエイジの最終試練を見届けることがエイジの最終試練をクリアする近道になるのじゃよ。………さて、準備完了じゃ。」
オスマンは目の前にあるレバーをゆっくりと下げていった。
「さあ覚悟するのじゃぞ、エイジ!」
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