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「ゼロの使い魔は魔法使い(童貞)-02」(2008/12/20 (土) 14:05:13) の最新版変更点
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#navi(ゼロの使い魔は魔法使い(童貞))
「信じらんない! なんで私の下着なんか待ち歩いてんのよっ!!!
あんた頭おかしいんじゃないの!?」
部屋に戻るとルイズの叱責が始まった。エイジは頭を下げたまま黙って聞いている。
「その分だと……私の上着とかも持ってそうね!!」
「……これのことで?」
エイジの手にはルイズのネグリジェがあった。よりによって彼女のお気に入りのものだった。
「この腐れド変態がッ………」
ルイズは握り拳をわなわなとふるわせて思いっきりエイジの顔を殴った。
エイジはよけることなくそれを受けた。鼻から少しだけ血が出た。
「お嬢さん誤解です。これは好きでもっている訳じゃあありやせん。」
エイジは言い訳を始めた。さっきのルイズの下着も好きでもっている訳ではないらしい。
「自分の"萌"属性にはMPというのが存在しやす。MPというのは、魔法使うための水がめのようなものでありやす。
そのMPを補給するには"萌えグッズ"からパワーをもらって回復しなければなりやせん。
更に、そのMPを回復する"萌えグッズ"は全員が共通するとは限りやせん。」
「……つまり、エイジにとってそれは"萌えグッズ"だったとしても他の魔法使いにはそれが通用しない場合もある…って事?」
「おっしゃるとおりでありやす。
あと、"萌えグッズ"の他にも相手がその魔法使いに対して"萌え"の感情を抱いたらその思念もMPに吸収することが出来ます」
「まああんたにはそれは無理だろうけどね。あんな気持ち悪い格好じゃ」
ピシッと音がしたような気がした。そしてルイズは好奇心でこんな質問をした。
「ねえ……あんたの"萌えグッズ"ってどんなものなの?」
「え」
「ねえ、ちょっと見せなさいよ。それとも何? 何かやましいものでもあるの?」
「そっ、そんなものは だっ、断じてありやっせんっ!!!」
ルイズがエイジの懐に手を入れようとするとエイジは急に慌てだした。
「あるんでしょ」
「ありやせん!」
「あるんでしょ」
「ありやせんったらありやせん!!」
「今なら正直に話せば許してあげるから」
「ごめんなさい。やましいものいっぱいありやす。」
とりあえずエイジは土下座をした。ルイズはそれを呆れた眼差しで見つめていた。
「何度でも言いやすがこれは誤解なんです! 自分はMP補給のために……」
「じゃあそのやましいものって嫌々持ってるの?」
「それは……くっ……お嬢さん、自分をあまり責めないで下さいっ……」
エイジはやましいものの一つである紺色のブルマを握り締めてわなわなと身を震わせた。
翌日
「………以上のような理由から、最強の系統は『風』なのである。『風』というのは全てを薙ぎ払う力がある。
『火』も、『水』も、『土』も、試したことは無いが『虚無』でさえ吹き飛ばすに違いない。いやあそうに違いない!!」
ミスタ・ギトーの講義は生徒からの評判がすこぶる悪い。
自分の属性である『風』を褒めちぎるばかりでなく『火』や『水』の系統の魔法を貶めるのである。聞き分けの無い生徒には力を持ってしてそれをわからせるのだ。
時には生徒に対して魔法をぶつけさせるように命令する。無論その後ギトーが魔法をお見舞いするのだからそんな命令は誰も受けたくは無かった。
「そうだ、今日は試しに君が私に魔法をぶつけてみたまえ。」
ギトーの杖がルイズに向けられた。それを見て、またたくまに生徒が騒ぎ出した。
「おい、ミスタ・ギトーは本気か? あのゼロのルイズだと話にならないじゃないか!」
「ああ、でもルイズのあの爆発を『風』の魔法で跳ね返したらそれはすごいかも。」
「いや、それは流石に無理だろ。」
ざわざわと騒がしくなってきた教室内をギトーが一喝して静めさせた。
そして杖をルイズではなくその隣にいたエイジに向けられた。
「勘違いしているようだが、私の相手をするのはミス・ヴァリエールではない。その使い魔だ。」
ざわめきがいっそう大きくなった。無論ルイズはこのことに対して抗議した。
「ミスタ・ギトー! 私の使い魔はあなたの戯れの相手ではないですわ!! お断りさせていただきますわ。」
「ほう………では代わりに君が私の相手をしてくれるのかね? 私はどちらでもいいのだが」
ギトーは杖をルイズのほうに向けた。それはいつにも増して殺気立っているように感じたが、ルイズは臆することなくこう答えた。
「望むところよ。本当の魔法の使い方を教えてあげるわ。」
ルイズは杖をとった。ギトーの顔がにやりと歪んだ。
「言うねぇ………それでこそ誇り高きトリステイン魔法学院の生徒というものよ。
まあその態度は教育せねばならぬ。私も教師らしいところを皆に知らしめなければならないからね。」
一触即発。生徒たちが慌てて机の下に隠れ、戦いの火蓋がきって落とされようとしたときに―――
「お待ちになってください。」
エイジの凛とした声が教室内に響いた。ルイズもギトーの思わず彼のほうに注目した。
「お嬢さんの危機とあれば魔法を使わないわけにはいきやせん………」
エイジは汗だらけの右手を見つめて、そう答えた。
「そうかそうか。実のところ私も魔法を使ってミス・ヴァリエールを傷物にしてしまうのではないかと心配しててねえ………
君がやる気になってくれて私も嬉しいよ。」
そんなことを抜かしながらギトーは杖を剣のようになぎ払った。
「パピコン」
エイジはステッキを取り出すと、メイド服に変身し片腕でギトーの攻撃を跳ね返した。
「ば、馬鹿なっ!!! 気合で跳ね返しただとっ!!!」
動揺するも杖を握り締めるギトー。しかしもう遅い。彼の呪文はすでに始まっていた。
「ロンリー・ラブリー・シンメトリー・プックンジップで・ロリポップ!!」
今回は一人キャイ~ン、一人だっちゅ~の、一人敬礼、締めにキスというコースだった。
そしてこの間ギトーはエイジの動きから目を離すことができず、
「キ…キレイだ……」
そういい残して爆発した。そのときに見せた満面の笑みがルイズが見た彼の最初で最後の笑みだったことを付け加えておく。
「あれ………?」
生徒たちが気づいたときには半壊してしまって青空が見え隠れする教室と汚れた教室を黙々と掃除をしているルイズ。そして、
「ミスタ・ギトーは杖の暴発で爆発してしまい意識を失われてますわ。」
消し炭になった教師がいた。
「はあっはあっはあ………はあっ」
エイジは一目散に駆け出して着替えなければならなかった。こんな姿を見られたら自分自身が死んでしまう。
自分自身が死なないためにもこんな姿を見られるわけには………
「あ」
女性と目が合ってしまった。固まっているエイジをよそに彼女は何事もないかのように通り過ぎていった。
(ひょっとして俺のことが見えてなかったとか………? だったら嬉しいんだけど………)
彼はこのことを誰にも話すことはなかった。当然、エイジは彼女がその時自分の姿を見てにやりと笑っていたことに気づいていなかったのだ。
「なかなかやるわね、エイジ。でもね………」
彼女はこっそり魔法のステッキを取り出し、妖しげにに微笑むと
「あまり深淵に突っ込んじゃだめよ。ふふふふふ………」
ミス・ロングビルは一人、そんなことをつぶやいた。
さらに翌日
シエスタは一昨日と同じ時刻に水洗い場に向かった。ミス・ヴァリエールの使い魔であるエイジに一昨日の決闘の事について話を聞くためだ。
エイジが決闘相手であるギーシュを半殺しにしたという噂は耳にしたのだが具体的にどのようにして勝ったのかは誰も知らないのである。
更に昨日は教師であるギトーを意識不明にさせたらしいし、わからないことだらけなのである。
そして周りの話によるとエイジとルイズは一昨日の事や昨日の事に関して堅く口を閉ざしたままだった。
なのでエイジに直接聞いてみることにしたのだ。
程なくしてシエスタはエイジの姿を発見したので声をかけようとした。が、
「………」
エイジは魔法学院の制服を見つめながらあたりをきょろきょろと見回していた。
シエスタはとっさに隠れて様子を見ることにした。
使い魔であるエイジはご主人様であるルイズの下着等を洗うことも要求された。……だがそれは一昨日までの話だ。無論シエスタはこの事を知らない。
誰もいないことを確認すると、エイジは自分の衣服を脱ぎだした。
「お嬢さん………」
そしてエイジは持ってきた小さな制服に袖を通し、入りきらなかったおなかの筋肉の部分を愛しげに撫で回した。
「!!!!!!!!」
シエスタは急いで目を背け、自分で自分の口をふさいだ。そうでもしないと大声で叫びかねなかったからだ。
(見なかったことにしよう………でも出来るかな?あんなに強烈だったのに。なんか夢に出てきそうだわ………)
女子の制服を着て至高の気分に浸っているエイジの嬌声が聞こえてきたが書くに耐えないのでここでは割愛する。
「ふぅ………」
すっかり満足したエイジは制服を懐にしまい、歩き出した。
(に、逃げなくちゃ………!)
抜き足差し足忍び足 シエスタは昔おじいちゃんに教えてもらった歩き方でこの場から離れようとした。が、
「「あ」」
完全に目が合ってしまった。二人とも足がすくんで逃げ出すことができなかった。
エイジは何とか言葉を紡ぎ出そうとする。
「さっ、さっきのはっ、その………」
しかしエイジが言い訳する前にシエスタが口を開いた。
「いや、私はなにもみてないといいますか。もし仮に見てたとしても私はそういう趣味に偏見とかは持ってないですし、
だからここで見たことは何も言いませんし、ただ人の制服を勝手に盗んでするのはどうかと思いますけど、
とにかく! 私は見てないですからこれで失礼します!」
シエスタはそこまで早口でまくし立てた後にあっという間に走り去ってしまった。
「………」
エイジは引きとめようとしていた右手をぎゅっと握り締めてじっと見つめていた。
拳に一粒の涙が落ちた。
結局シエスタに一昨日の事や昨日の事については聞かれることはなくなったためエイジは助かったといえる。
シエスタとのフラグは完全に折れてしまったが。
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