「ゆるーい使い魔?」(2007/07/29 (日) 10:59:36) の最新版変更点
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泉こなたは、ネトゲ仲間で担任でもある黒井に挨拶をすると、ゲームから ログアウトしてPCの電源を落とした。
時間は既に午前三時。今夜は見たいアニメも無く、そして明日は平日なので学校がある。何よりもう眠気が我慢できそうに無い。ここが潮時だろうと彼女は思い、長い間モニターを見つめていたため、凝りきった肩を解した。そして椅子に座ったまま大きく伸びをした、その時だった。
「そろそろ寝よっかな……んん~?」
こなたの逆さの視界に、大きな『鏡』が映っていた。はて、この部屋にこんな物があっただろうかと疑問に思い、姿勢を正して椅子から降りた。そして丁度真後ろに存在していたその鏡を、顎に手を当てて唸りながら見つめる。
それは見れば見るほど奇妙な物体だった。彼女の身長より高く、光り輝くその鏡は何と宙に浮いているではないか。しかし、彼女はそれに奇妙な既視感を覚えていた。つい最近これに似た何かを見たような気がしてならないのだった。口をωの形にしてうんうんと唸りながら暫く考えていたが、それが何なのかどうしても思い出せない。
「何だったかなぁ? ……ってこれだ!」
こなたは本棚に向かって手を伸ばすと、つい最近、行きつけのメイトで購入したライトノベル――ゼロの使い魔を取り出した。ページをパラパラとめくる。
数冊それを繰り返し、漸く目当てのページに辿り着いた。挿絵のあるページだ。
「そうそう、これがそっくりなんだよ」
挿絵には光り輝く鏡のような物が描かれている。丁度今、自分の目の前にあるような。そこでこなたは気付いた。確かこれは主人公ルイズが召喚の儀式を行った際に現れるものだったはず。それが一体何故ここに?
再び考え始めるこなた。数分間の沈黙を経て、彼女は顔を上げた。今手元にあるものは――ゼロの使い魔の既刊、携帯ゲーム、食べかけのお菓子。うん、十分だ。
既に他の住人は床に着いたのか、静まり返った家の中を忍び足で進み、リビングに到着する。そして部屋から持ち出したノートを千切り、メモを残した。
『ちょっと出かけてきます こなた』
玄関から靴を持ち出し、素早く部屋に戻る。外行き用の服に着替え、旅行用のバッグに下着や原作本など、必要なものを詰め込む。準備は整った。こなたは靴を片手に持ち、鏡の前に立つ。
「……強くてニューゲームって、ある意味王道だよね」
手元には話の展開が全て網羅された本がある。これがあればさぞ愉快な事が出来るに違いない。
そして彼女は、異世界へと足を踏み入れた――
「という夢を昨日見たんだよ」
「そんなオチかい!」
いつもの教室。いつものメンバーで、こなた達は駄弁っていた。
彼女の目の前には呆れた様子の柊姉妹。姉のかがみは頭に手を当てて、妹のつかさは苦笑いを浮かべていた。
「いやー、いい所でお父さんに起こされちゃってねえ。
思わず『空気読めよ!』なんて言っちゃったせいで、お父さんが泣いて泣いて。朝から大変だったよ」
「こなちゃん……それは流石に酷いんじゃないかな」
「釘宮ボイスが生で聞けると思ったんだけどなあ。残念残念」
「あんたって、夢の中でもそんなんばっかりなのね……」
へらへらと笑いながらも、その本気で悔しがっている様子に溜息を吐くかがみ。
今日も陵桜学園高校は平和だった。
ゆるーい使い魔? 完
泉こなたは、ネトゲ仲間で担任でもある黒井に挨拶をすると、ゲームから ログアウトしてPCの電源を落とした。
時間は既に午前三時。今夜は見たいアニメも無く、そして明日は平日なので学校がある。何よりもう眠気が我慢できそうに無い。ここが潮時だろうと彼女は思い、長い間モニターを見つめていたため、凝りきった肩を解した。そして椅子に座ったまま大きく伸びをした、その時だった。
「そろそろ寝よっかな……んん~?」
こなたの逆さの視界に、大きな『鏡』が映っていた。はて、この部屋にこんな物があっただろうかと疑問に思い、姿勢を正して椅子から降りた。そして丁度真後ろに存在していたその鏡を、顎に手を当てて唸りながら見つめる。
それは見れば見るほど奇妙な物体だった。彼女の身長より高く、光り輝くその鏡は何と宙に浮いているではないか。しかし、彼女はそれに奇妙な既視感を覚えていた。つい最近これに似た何かを見たような気がしてならないのだった。口をωの形にしてうんうんと唸りながら暫く考えていたが、それが何なのかどうしても思い出せない。
「何だったかなぁ? ……ってこれだ!」
こなたは本棚に向かって手を伸ばすと、つい最近、行きつけのメイトで購入したライトノベル――ゼロの使い魔を取り出した。ページをパラパラとめくる。
数冊それを繰り返し、漸く目当てのページに辿り着いた。挿絵のあるページだ。
「そうそう、これがそっくりなんだよ」
挿絵には光り輝く鏡のような物が描かれている。丁度今、自分の目の前にあるような。そこでこなたは気付いた。確かこれは主人公ルイズが召喚の儀式を行った際に現れるものだったはず。それが一体何故ここに?
再び考え始めるこなた。数分間の沈黙を経て、彼女は顔を上げた。今手元にあるものは――ゼロの使い魔の既刊、携帯ゲーム、食べかけのお菓子。うん、十分だ。
既に他の住人は床に着いたのか、静まり返った家の中を忍び足で進み、リビングに到着する。そして部屋から持ち出したノートを千切り、メモを残した。
『ちょっと出かけてきます こなた』
玄関から靴を持ち出し、素早く部屋に戻る。外行き用の服に着替え、旅行用のバッグに下着や原作本など、必要なものを詰め込む。準備は整った。こなたは靴を片手に持ち、鏡の前に立つ。
「……強くてニューゲームって、ある意味王道だよね」
手元には話の展開が全て網羅された本がある。これがあればさぞ愉快な事が出来るに違いない。
そして彼女は、異世界へと足を踏み入れた――
「という夢を昨日見たんだよ」
「そんなオチかい!」
いつもの教室。いつものメンバーで、こなた達は駄弁っていた。
彼女の目の前には呆れた様子の柊姉妹。姉のかがみは頭に手を当てて、妹のつかさは苦笑いを浮かべていた。
「いやー、いい所でお父さんに起こされちゃってねえ。思わず『空気読めよ!』なんて言っちゃったせいで、お父さんが泣いて泣いて。朝から大変だったよ」
「こなちゃん……それは流石に酷いんじゃないかな」
「釘宮ボイスが生で聞けると思ったんだけどなあ。残念残念」
「あんたって、夢の中でもそんなんばっかりなのね……」
へらへらと笑いながらも、その本気で悔しがっている様子に溜息を吐くかがみ。
今日も陵桜学園高校は平和だった。
ゆるーい使い魔? 完
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