「炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!-08」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!-08」(2013/05/10 (金) 00:26:58) の最新版変更点
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#navi(炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!)
次回予告
「ガンパードだ。秘宝『ルサールカの鎧』を狙うフーケ。阻止はできるか」
「ヒロインといっても、1人ではないんでおじゃろう?」
「GP-08 奇襲ツチクレ
――GO ON!!」
モット伯邸を壊滅させ(シエスタを除いて)意気揚々と学院に帰還するルイズ達。
しかしもうすぐ学院が見えてくるという時、突然蛮ドーマ機内に警報が響いた。
「な、何!?」
「む、あそこは確か宝物庫!」
操縦するキタネイダスの言葉にルイズが宝物庫に視線を向けると、身長30メイル近い巨大な土人形が宝物庫の壁を殴りつけていた。
「ゴーレム!?」
急加速して蛮ドーマをゴーレムに接近させたルイズ達は、呆然としつつもその様子を見守っていた。
一撃で宝物庫の壁が崩壊し大穴が空いたかと思うと、ゴーレムの腕の上を人影のような何かが駆け抜け穴に飛び込んでいった。
「泥棒!?」
聞こえないはずのシエスタの言葉に反応したかのように、ゴーレムは蛮ドーマめがけパンチを放ってきた。
「くらうぞよ!」
蛮ドーマの砲撃でゴーレムの腕の一部が弾けたものの、即座にその傷が修復された。
「再生能力かよ……」
「少々分が悪いでおじゃるな……」
「ミス・ヴァリエール、相手が悪すぎます。ここは逃げましょう」
「蛮ドーマ、最大出力ぞよ!」
「駄目! それじゃ泥棒が逃げちゃう!」
「何言ってんだお嬢! あいつに勝てるわけねえだろうが!」
「メイジがいればそいつを狙えばいいが、中に入られては蛮ドーマの火力であいつの相手は無理ぞよ」
「キタネイダスの言葉通りなり。あの大きさから見て、トライアングルかスクウェアクラスのメイジなり。蛮ドーマでは勝算が無いなり!」
残念ながらヨゴシュタインの正論は仇になった。「トライアングルかスクウェア」の忠言は、ルイズの心を煽ってしまったのだ。
「トライアングルの土メイジって……、まさか『土くれのフーケ』?」
「そ、そうかもしれません……。そんな相手じゃ奇跡でも起きないと……」
「それならなおさら逃がすわけにはいかないわ!」
――GP-08 奇襲ツチクレ――
「相手に後ろを見せないのが貴族よ! 奇跡が起きなきゃ勝てないなら奇跡を起こして――」
「ルイズ」
そんなルイズの言葉を遮ったのは、それまで沈黙していたケガレシアだった。
「ギーシュとの決闘の時やさっきのモット伯邸での時、奇跡が起こったと思うでおじゃるか?」
「えっ……?」
「自分とわらわ達を誇ろうとするルイズのため、シエスタを助け出すため、わらわ達は一丸となったでおじゃる。そんな結束の結果でおじゃる」
脳裏に嬉々としてセンプウバンキを作ろうとしているキタネイダス達の姿、モット伯邸侵入の際巡回の衛兵を始末したデルフリンガー・イカリバンキの姿が浮かび、ルイズは思わず目を閉じた。
「ヒロインといっても、1人ではないんでおじゃろう?」
「……ケガレシア……。……わかったわ。起こらないから奇跡って言うのよね。だから全力を尽くすわよ」
「違うでおじゃる、ルイズ。奇跡は起こるでおじゃる。でも最高の奇跡は既に起きているでおじゃるよ」
「もう? 最高の奇跡が?」
「わらわ達がルイズに召喚されて使い魔になった。それが最高の奇跡でおじゃる! それ以上は……無いでおじゃるよ!」
「ええ!」
ルイズの言葉に満足げな笑みを浮かべケガレシアは頷いた。そして砲撃でゴーレムへの牽制を続けるキタネイダスに、
「キタネイダス、シエスタを安全な場所まで頼むでおじゃる。わらわ達はフーケとかいうあのゴーレムを使っているメイジを追うでおじゃる」
「任せるぞよ」
「ケガレシア、行くわよ!」
「無論でおじゃる!」
そう言い終えるが早いか、2人は蛮ドーマから飛び降りていった。
「こいつが『ルサールカの鎧』かい」
水晶にも似た透明で堅固な物質でできた箱の中から取り出した目的の物を抱え、フーケは呟いた。
全体的に薄い赤銅色、どこの家の家紋なのか随所に渦巻き模様の紋章らしき意匠が施された鎧。手甲には盾と一体化した騎槍が握られていて、兜の支えらしい青い仮面は左半分に亀裂が入り端整な容貌を不気味な雰囲気に変えている。
ワイバーンすら打ち倒す魔力とは、この鎧が装着者に与える魔力とはいったいどれほどなのだろうか。
(まあ、自分で使うよりは売った方が金になるだろうね)
長居は無用とばかりフーケは入ってきた穴に向かった。外からは轟音が聞こえてくる。追っ手の動きが予想以上に早かったようだ。
「土くれのフーケ!!」
「観念するでおじゃる」
穴から出たフーケの視線の先で大剣を手にした薄桃色の髪の少女と、鞭を構え銀色の部分鎧を纏った女性がゴーレムの腕の上に立ちはだかっていた。
即座に2人を排除するための計算を脳内で開始する。
(宝物庫の中に戻って本来の出入口から脱出する……こんな騒ぎになってたらすぐ見つかる。却下)
(ゴーレムに腕を振らせて振り落とす……私も落ちるじゃないか。却下)
(ゴーレムを土に戻して生き埋めにする……だから私も生き埋めだろ。却下……待てよ)
その時、フーケの頭に却下しかけた作戦の改良案が閃いた。
即座に杖を振り、宝物庫の穴にかけているゴーレムの手首を石化させる。
「足場の確かさの差が戦力の決定的な差じゃない事を教えてあげるわ!」
「待つでおじゃる、ルイズ!」
ゴーレムの腕の上を駆けてフーケに迫ろうとするルイズだったが、
「目障りだ、埋まれ!」
その言葉と共に石化していた手首を除くゴーレム全体が土に還元された。ルイズは手首目指して咄嗟に跳躍したものの、わずかに及ばず腕を構成していた大量の土砂と共に落下していった。
「ああ! ちょっと、埋まっちゃったじゃない!」
2人の様子を地上から見上げていたキュルケは冷や汗をかいた。
これだけの騒動に彼女達が気付かなかったわけがない。魔法を使っても致命傷にならないならばフーケを狙うしかないと、シルフィードで上空を旋回していたのだ。
ゴーレムの手に立つフーケらしい人影が積極的にルイズ達を狙っているようなのでその隙に、と思った途端に土砂の大量落下だ。
ルイズ達が埋まったのを見て、フーケらしき人物は満足そうに頷き塔に開いた穴から飛び降りる。どうやらこのまま逃げるようだ。
「タバサ! 追いかけなきゃ!」
「……助けないと……」
「そうね……」
タバサの指差した場所に視線を向けると、校舎の3階部分に届こうかという土の小山が見える。先程フーケのゴーレムが土に戻った場所、ルイズ・ケガレシアが埋まっているだろう場所。
それを見てキュルケは額に手を当て溜め息を吐きつつ、恨めしげに逃走するフーケを睨みつける。
学院の外壁を飛び越えフーケは姿を消した。
『「ルサールカの鎧」、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ』
夜も明けぬうちに、トリステイン魔法学院は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
何しろ宝物庫に納められた「ルサールカの鎧」が盗まれたのだ。それもゴーレムで壁を破壊するという大胆不敵な方法で。
口々好き勝手喚いて責任の擦り合いをしている教師達のもとに、ミス・ロングビルが近所の森をうろついていた不審者の情報を持ってきた。
「では捜索隊を結成する。我と思うものは杖を上げよ!」
オスマンの宣言に呼応するかのように1本の杖が上がり、それに2本の長い杖と1本の鞭が続く。
周囲の教師達の視線が4人の人物に注がれた。最初に杖を掲げたルイズ、そしてそれに続いたヨゴシュタイン・キタネイダス・ケガレシア。
「ミス・ヴァリエール、ミスタ・キタネイダス、ミス・ケガレシア、ミスタ・ヨゴシュタイン! あなた達は生徒とその使い魔ではありませんか! ここは教師に任せて……」
「その教師の誰が杖を掲げているんですか、ミセス・シュヴルーズ? そう言うのならあなたも同行しますか?」
「ふん、ヴァリエールには負けられませんわ」
「……心配……」
負けじと杖を掲げるキュルケを見てタバサも杖を掲げた。さらにギーシュも、
「僕にも手伝わせてもらおう、ミスタ・ヨゴシュタイン。僕も決闘以来修行を積んでいるのでね。足手まといにならない程度の力は付けたと自負しているよ」
オスマン・コルベールは不安を覚えた。
強力な炎メイジのキュルケ・シュヴァリエのタバサ・そして何より「蛮機獣」という強力なゴーレムを作り出せるルイズの使い魔達……。戦力としてだけなら楽勝とはいかないまでも不安はほとんど無い。
問題はそれ以外の部分……特にルイズの使い魔達だ。
コルベールは魔法に依存しないでマジックアイテム同様の効果を発揮する道具を開発する技術(ヒューマンワールドにおいて「科学技術」と呼ばれている技術)に大きな関心を持っている。
魔法に依存せずとも魔法と同じ力を得られれば、魔法を使えない多数の平民も魔法と同じ恩恵が得られると信じている。
しかしそれも魔法同様使い方次第の単なる「力」であり「道具」、悪用・暴走によって大きな悲劇をもたらすものだという事も知っている。
決闘の時3人が見せつけたのは、コルベールには求めてやまない異界の技術の暗黒面を見せつけられたように思えた。
(私の危惧が的中していたら、ミス・ヴァリエールは……)
自身の使い魔とそれを召還した自身の力に恐怖のあまり心を閉ざす、それは重大な問題だがまだ最悪ではない。
幼少の頃より魔法が使えない事に苦しんだだろうルイズが魔法によらない強大な力を得た事で、使い魔達と共に自分を苦しめてきた魔法と疎んじてきたメイジに復讐の牙を剥いたら……、
(私には彼女を止められるだろうか……?)
実時間にして1分足らずの間にコルベールはこの先一生分と言えるほども考え抜き、
「……私も行きましょう。大人達は子供を守る、それが私の子供の頃も私の両親が子供の頃も変わらない常識です。子供達に戦わせて大人が後ろで高見の見物と決め込むなど、あってはなりません」
「よし、決まりだ。討伐隊はこの8名。ミス・ロングビル、案内役を」
「はい」
「今すぐ出発と行きたいがこの闇夜では不利じゃろう。夜明け頃に到着するように出発は3時間後じゃな。……よいか! わしが許可するのは『ルサールカの鎧』の奪回だけじゃ。無謀な行動はするのではないぞ。そして皆、必ず生きて帰ってきてくれ」
『杖にかけて』
#navi(炎神戦隊ゴーオンジャー BUNBUN!BANBAN!クロスオーBANG!!)
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次回予告
「ガンパードだ。秘宝『ルサールカの鎧』を狙うフーケ。阻止はできるか」
「ヒロインといっても、1人ではないんでおじゃろう?」
「GP-08 奇襲ツチクレ
――GO ON!!」
モット伯邸を壊滅させ(シエスタを除いて)意気揚々と学院に帰還するルイズ達。
しかしもうすぐ学院が見えてくるという時、突然蛮ドーマ機内に警報が響いた。
「な、何!?」
「む、あそこは確か宝物庫!」
操縦するキタネイダスの言葉にルイズが宝物庫に視線を向けると、身長30メイル近い巨大な土人形が宝物庫の壁を殴りつけていた。
「ゴーレム!?」
急加速して蛮ドーマをゴーレムに接近させたルイズ達は、呆然としつつもその様子を見守っていた。
一撃で宝物庫の壁が崩壊し大穴が空いたかと思うと、ゴーレムの腕の上を人影のような何かが駆け抜け穴に飛び込んでいった。
「泥棒!?」
聞こえないはずのシエスタの言葉に反応したかのように、ゴーレムは蛮ドーマめがけパンチを放ってきた。
「くらうぞよ!」
蛮ドーマの砲撃でゴーレムの腕の一部が弾けたものの、即座にその傷が修復された。
「再生能力かよ……」
「少々分が悪いでおじゃるな……」
「ミス・ヴァリエール、相手が悪すぎます。ここは逃げましょう」
「蛮ドーマ、最大出力ぞよ!」
「駄目! それじゃ泥棒が逃げちゃう!」
「何言ってんだお嬢! あいつに勝てるわけねえだろうが!」
「メイジがいればそいつを狙えばいいが、中に入られては蛮ドーマの火力であいつの相手は無理ぞよ」
「キタネイダスの言葉通りなり。あの大きさから見て、トライアングルかスクウェアクラスのメイジなり。蛮ドーマでは勝算が無いなり!」
残念ながらヨゴシュタインの正論は仇になった。「トライアングルかスクウェア」の忠言は、ルイズの心を煽ってしまったのだ。
「トライアングルの土メイジって……、まさか『土くれのフーケ』?」
「そ、そうかもしれません……。そんな相手じゃ奇跡でも起きないと……」
「それならなおさら逃がすわけにはいかないわ!」
――GP-08 奇襲ツチクレ――
「相手に後ろを見せないのが貴族よ! 奇跡が起きなきゃ勝てないなら奇跡を起こして――」
「ルイズ」
そんなルイズの言葉を遮ったのは、それまで沈黙していたケガレシアだった。
「ギーシュとの決闘の時やさっきのモット伯邸での時、奇跡が起こったと思うでおじゃるか?」
「えっ……?」
「自分とわらわ達を誇ろうとするルイズのため、シエスタを助け出すため、わらわ達は一丸となったでおじゃる。そんな結束の結果でおじゃる」
脳裏に嬉々としてセンプウバンキを作ろうとしているキタネイダス達の姿、モット伯邸侵入の際巡回の衛兵を始末したデルフリンガー・イカリバンキの姿が浮かび、ルイズは思わず目を閉じた。
「ヒロインといっても、1人ではないんでおじゃろう?」
「……ケガレシア……。……わかったわ。起こらないから奇跡って言うのよね。だから全力を尽くすわよ」
「違うでおじゃる、ルイズ。奇跡は起こるでおじゃる。でも最高の奇跡は既に起きているでおじゃるよ」
「もう? 最高の奇跡が?」
「わらわ達がルイズに召喚されて使い魔になった。それが最高の奇跡でおじゃる! それ以上は……無いでおじゃるよ!」
「ええ!」
ルイズの言葉に満足げな笑みを浮かべケガレシアは頷いた。そして砲撃でゴーレムへの牽制を続けるキタネイダスに、
「キタネイダス、シエスタを安全な場所まで頼むでおじゃる。わらわ達はフーケとかいうあのゴーレムを使っているメイジを追うでおじゃる」
「任せるぞよ」
「ケガレシア、行くわよ!」
「無論でおじゃる!」
そう言い終えるが早いか、2人は蛮ドーマから飛び降りていった。
「こいつが『ルサールカの鎧』かい」
水晶にも似た透明で堅固な物質でできた箱の中から取り出した目的の物を抱え、フーケは呟いた。
全体的に薄い赤銅色、どこの家の家紋なのか随所に渦巻き模様の紋章らしき意匠が施された鎧。手甲には盾と一体化した騎槍が握られていて、兜の支えらしい青い仮面は左半分に亀裂が入り端整な容貌を不気味な雰囲気に変えている。
ワイバーンすら打ち倒す魔力とは、この鎧が装着者に与える魔力とはいったいどれほどなのだろうか。
(まあ、自分で使うよりは売った方が金になるだろうね)
長居は無用とばかりフーケは入ってきた穴に向かった。外からは轟音が聞こえてくる。追っ手の動きが予想以上に早かったようだ。
「土くれのフーケ!!」
「観念するでおじゃる」
穴から出たフーケの視線の先で大剣を手にした薄桃色の髪の少女と、鞭を構え銀色の部分鎧を纏った女性がゴーレムの腕の上に立ちはだかっていた。
即座に2人を排除するための計算を脳内で開始する。
(宝物庫の中に戻って本来の出入口から脱出する……こんな騒ぎになってたらすぐ見つかる。却下)
(ゴーレムに腕を振らせて振り落とす……私も落ちるじゃないか。却下)
(ゴーレムを土に戻して生き埋めにする……だから私も生き埋めだろ。却下……待てよ)
その時、フーケの頭に却下しかけた作戦の改良案が閃いた。
即座に杖を振り、宝物庫の穴にかけているゴーレムの手首を石化させる。
「足場の確かさの差が戦力の決定的な差じゃない事を教えてあげるわ!」
「待つでおじゃる、ルイズ!」
ゴーレムの腕の上を駆けてフーケに迫ろうとするルイズだったが、
「目障りだ、埋まれ!」
その言葉と共に石化していた手首を除くゴーレム全体が土に還元された。ルイズは手首目指して咄嗟に跳躍したものの、わずかに及ばず腕を構成していた大量の土砂と共に落下していった。
「ああ! ちょっと、埋まっちゃったじゃない!」
2人の様子を地上から見上げていたキュルケは冷や汗をかいた。
これだけの騒動に彼女達が気付かなかったわけがない。魔法を使っても致命傷にならないならばフーケを狙うしかないと、シルフィードで上空を旋回していたのだ。
ゴーレムの手に立つフーケらしい人影が積極的にルイズ達を狙っているようなのでその隙に、と思った途端に土砂の大量落下だ。
ルイズ達が埋まったのを見て、フーケらしき人物は満足そうに頷き塔に開いた穴から飛び降りる。どうやらこのまま逃げるようだ。
「タバサ! 追いかけなきゃ!」
「……助けないと……」
「そうね……」
タバサの指差した場所に視線を向けると、校舎の3階部分に届こうかという土の小山が見える。先程フーケのゴーレムが土に戻った場所、ルイズ・ケガレシアが埋まっているだろう場所。
それを見てキュルケは額に手を当て溜め息を吐きつつ、恨めしげに逃走するフーケを睨みつける。
学院の外壁を飛び越えフーケは姿を消した。
『「ルサールカの鎧」、確かに領収いたしました。 土くれのフーケ』
夜も明けぬうちに、トリステイン魔法学院は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
何しろ宝物庫に納められた「ルサールカの鎧」が盗まれたのだ。それもゴーレムで壁を破壊するという大胆不敵な方法で。
口々好き勝手喚いて責任の擦り合いをしている教師達のもとに、ミス・ロングビルが近所の森をうろついていた不審者の情報を持ってきた。
「では捜索隊を結成する。我と思うものは杖を上げよ!」
オスマンの宣言に呼応するかのように1本の杖が上がり、それに2本の長い杖と1本の鞭が続く。
周囲の教師達の視線が4人の人物に注がれた。最初に杖を掲げたルイズ、そしてそれに続いたヨゴシュタイン・キタネイダス・ケガレシア。
「ミス・ヴァリエール、ミスタ・キタネイダス、ミス・ケガレシア、ミスタ・ヨゴシュタイン! あなた達は生徒とその使い魔ではありませんか! ここは教師に任せて……」
「その教師の誰が杖を掲げているんですか、ミセス・シュヴルーズ? そう言うのならあなたも同行しますか?」
「ふん、ヴァリエールには負けられませんわ」
「……心配……」
負けじと杖を掲げるキュルケを見てタバサも杖を掲げた。さらにギーシュも、
「僕にも手伝わせてもらおう、ミスタ・ヨゴシュタイン。僕も決闘以来修行を積んでいるのでね。足手まといにならない程度の力は付けたと自負しているよ」
オスマン・コルベールは不安を覚えた。
強力な炎メイジのキュルケ・シュヴァリエのタバサ・そして何より「蛮機獣」という強力なゴーレムを作り出せるルイズの使い魔達……。戦力としてだけなら楽勝とはいかないまでも不安はほとんど無い。
問題はそれ以外の部分……特にルイズの使い魔達だ。
コルベールは魔法に依存しないでマジックアイテム同様の効果を発揮する道具を開発する技術(ヒューマンワールドにおいて「科学技術」と呼ばれている技術)に大きな関心を持っている。
魔法に依存せずとも魔法と同じ力を得られれば、魔法を使えない多数の平民も魔法と同じ恩恵が得られると信じている。
しかしそれも魔法同様使い方次第の単なる「力」であり「道具」、悪用・暴走によって大きな悲劇をもたらすものだという事も知っている。
決闘の時3人が見せつけたのは、コルベールには求めてやまない異界の技術の暗黒面を見せつけられたように思えた。
(私の危惧が的中していたら、ミス・ヴァリエールは……)
自身の使い魔とそれを召還した自身の力に恐怖のあまり心を閉ざす、それは重大な問題だがまだ最悪ではない。
幼少の頃より魔法が使えない事に苦しんだだろうルイズが魔法によらない強大な力を得た事で、使い魔達と共に自分を苦しめてきた魔法と疎んじてきたメイジに復讐の牙を剥いたら……、
(私には彼女を止められるだろうか……?)
実時間にして1分足らずの間にコルベールはこの先一生分と言えるほども考え抜き、
「……私も行きましょう。大人達は子供を守る、それが私の子供の頃も私の両親が子供の頃も変わらない常識です。子供達に戦わせて大人が後ろで高見の見物と決め込むなど、あってはなりません」
「よし、決まりだ。討伐隊はこの8名。ミス・ロングビル、案内役を」
「はい」
「今すぐ出発と行きたいがこの闇夜では不利じゃろう。夜明け頃に到着するように出発は3時間後じゃな。……よいか! わしが許可するのは『ルサールカの鎧』の奪回だけじゃ。無謀な行動はするのではないぞ。そして皆、必ず生きて帰ってきてくれ」
『杖にかけて』
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