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THE GUN OF ZERO 10
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ディス・アストラナガンを見た日の夜は少々びくびくしていたが、クォヴレーが別段普段と変わらぬ受け答えを続けるうちに、ルイズの方もすぐにそれまでと変わらぬ応対をするようになった。
ただ、何かしら理由がない限り、自分の近くでディス・アストラナガンを呼び出さないことははっきりと要求していたが。
そんな、クォヴレーが呼び出されてから初めての休日。虚無の曜日。
「クォヴレー、今日は街に行くわ。付いてきなさい」
いつものように朝の洗濯を終えて戻ってきたところで、着替えを終えたルイズがそう声をかけてきた。
馬に乗るのは初めてだったが、以前チョコボに乗った事があるのが功を奏したらしい。比較的容易に乗りこなすことが出来た。
街の入り口に馬を預けておき、そこからは徒歩で行く。
「ここが、トリステインの首都、トリスタニアよ。トリステインで一番大きな街ね」
「成る程」
この規模の文明社会としてはまぁまぁの大きさだろうと軽く道を見回す。
「それで、今日は何をしに来たんだ?」
「何言ってるのよ。アンタの買い物に来たのよ」
「俺の?」
心底に意外そうな表情をするクォヴレー。
「そ、アンタの服とか。分かんない?さっきから視線向けられてるのは、その変な服のせいでもあるんだからね」
改めて自分の身体を見下ろすクォヴレー。成る程、パイロットスーツはこの中ではかなり浮いてしまう部類だろう。
「そうか、ありがとう、ルイズ」
「な、何よ!別にアンタのためなんかじゃないんだからね!?こういう視線を私の周りから無くしたいだけなんだから!」
「そうか、苦労をかける。済まない」
ツンデレのテンプレktkrな反応のルイズに、真面目に申し訳なさそうな顔をするクォヴレー。
今更だが、素直クールなクォヴレーに、ツンデレのルイズではすれ違いまくりであった。
「……と、とりあえず、まずは朝食よ」
遅めの朝食を終え、二人は古着屋に入る。
古着屋といっても、一般の平民が使うような所ではない。比較的金のある商人や、逆に役人など、ある程度の公的立場に有りながらあまり金のない者が利用する、それなりに質の高い古着を扱う店だ。
多少ほつれたりくたびれている部分もあるが、あて布で破れた箇所を塞いでいたりする平民の服と比べれば雲泥の差だ。
「私の従僕に合う服を探しているのだけど?」
余計な混乱を避けるため、従僕としてクォヴレーを扱う。まぁ、実際そんな扱いなのでクォヴレーもあれこれ口を挟まない。
そしてどこの世界でも女の子は着せ替え人形が好きなもので。
しばらくの間あれを着ろこれを付けろと着せ替えられてしまった末、クォヴレーはルイズがチョイスした、黒いズボンと白い七分袖のシャツ、黒いベストと茶色のブーツを着ていた。
「ほら。あの変な服より、そっちの服装の方がずっと様になっているわ!」
出来映えに気をよくしたらしいルイズが、嬉しそうにしきりに頷く。
(西部劇にでも出てきそうな格好だな……)
しげしげと身を包む服を見る。
「何よ。文句あるの?」
「いや、無い。ただ、出来ればグローブも欲しいんだが」
「グローブ?全く贅沢な使い魔ね。そうね……これなんてどうかしら」
文句を言いながらも選んでくれた、手甲の部分が開いている革製のグローブを付ける。
ぎゅっぎゅと手を開いたり閉じたりし、手を握り合わせてグリップも確かめる。
「……良い具合だ」
「服はこれで良いわね」
満足げに頷きながらルイズ。代金を支払い、古着屋を後にする。
サービスして貰ったズタ袋にパイロットスーツを押し込みながらクォヴレーも後を追う。
「さぁ、次は武器屋よ」
「武器屋?何を買うんだ」
「アンタの剣よ」
「剣?」
怪訝な顔をするクォヴレー。
「だが、ルイズ。俺は剣を扱ったことがないし、必要とも思えない」
戦闘用ナイフぐらいならαナンバーズ時代の訓練で使ったことはあるが。剣とはリーチも違えば使い方も異なる。
「どの口が言うのかしら?そんなことを!」
怒りに口の端をひくひくと振るわせるルイズ。往来で立ち止まり、振り返って後ろにいるクォヴレーに指を突きつける。
「アンタの銃が強力なのは判るけど、それを決闘の時みたいにバカスカ撃って、それで今度は壁の修理費を私に払わせるつもり!?」
「…………」
流石に一度やってしまった手前、言い返せない。
「済まない。確かに必要なようだ」
「判ったなら黙って付いてきなさい!」
結構な剣幕で歩くルイズに、人々の流れが若干割れていた。そりゃあ誰だって不機嫌なメイジに積極的に関わろうとはしないだろう。
「そういえば……あの、アストラナガン?だったかしら?」
先日の恐怖体験を思い出す。
「ああ」
「……あれにも、何か武器があったりするのかしら?」
「ある」
とんでもないのが。
「……お願いだから戦いに使わないでよね。あの巨体じゃ暴れられるだけでも厄介なんだから」
「流石に周辺被害は考慮する」
しなければ建造物どころかこの星一つの危機である。
「ホントに頼むわよ?コルベール先生もいつでも助けてくれるとは限らないんだからね?」
若干懇願の色も含めてルイズは言った。
「……ところでルイズ」
「何?」
「古着屋を出た辺りから付けられているようなんだが」
「何ですって!?」
ばっと振り返る。
瞬間、人混みの中、赤い髪が建物の影に入っていった。
「あの髪……」
髪のある位置から推測する背格好からもほぼ間違いあるまい。
「キュルケとタバサだろうな」
「タバサも?何で判るのよ」
「街に来る時にシルフィードで空を飛んでいた。休日だから彼女たちも買い物に行くんだと思っていたが、どういうつもりだ?」
「くっ……」
ルイズが渋い顔をする。
十中八九、自分たちを追っているに違いない。何せ先日も夜出た時に追ってきたくらいだ。
「クォヴレー、撒くわよ」
「了解した」
駆け出すルイズに従い、クォヴレーも歩調を早める。真意は分からないが、ともかく主の命には従おう。だが
「……ルイズ、これでは撒けない」
「わ、判ってるわよ!」
息一つ乱れずに駆けるクォヴレーに対し、ルイズの足は年相応の少女のものでしかなかった。
後ろから近づいてくる二人の影も未だ消えない。
体格的に勝っているキュルケはともかく、ルイズよりも小柄なタバサまでが付いてきているのは、クォヴレーにとって少々以外だった。
(やはり、彼女は見た目通りの少女という訳では無さそうだな……)
とりあえず走り出したことで二人がこちらを追っているらしいのは確信に至った。ついでに、主人はそれを引き離したいらしい。ならば
「じっとしていろ、ルイズ」
「え?きゃあ!?」
返事を待たずに、ルイズをお姫様抱っこにして通りを駆け抜ける。
バルシェムといえど純粋な身体能力では、某戦闘民族や流派東方不敗の面々に遠く及ばないものの、体のさばき方に関してはやはり普通の人間の比ではない。
理想的なフォームで効率よく体を動かし、人混みをかき分けてゆく。
ある程度走ったところで角を曲がり、ルイズを下ろし、角から頭だけ出す。
「……撒けたようだ」
しばし呆然としていたルイズだが、ようやく口を開く。
「あ、アンタ足速いのね……私持ち上げながらあんなに……」
何とも的はずれな台詞だったが、クォヴレーはそれ以上に的を外していた。
「いや、実際ルイズは軽いからな。大した負担でもない」
「ふ、ふん。別におだてたって何も出ないわよ!」
「おだて?何がだ?」
「…………」
嫌な沈黙が降りる路地裏。
「……ああ、軽い、というのは女性にとって誉め言葉になるんだったな」
ようやくにして納得したらしいクォヴレー。遅すぎである。
「別に良いわよ……おだてじゃないって判ったもの……」
それでも、何だか釈然としないルイズだった。
「しかし、何故二人を撒こうとした?何かしらたくらんでいるのか?あの二人は」
「え?そ、それは……」
言われてみれば、何故わざわざ二人を撒こうとしたのか……。
「わ、分かんないけど……そうよ!理由は分からないけど、見張られているなんていい気はしないでしょ?そういうことよ」
「それは同感だ」
そういう経験がないでもない。
イングラムのことを知覚していなかった時など、常に思考の裏側に誰か別の意思を感じて、嫌悪感を抱いたものだ。
「さぁ、行くわよ。武器屋は調度ここから辻二つ向こうの筈よ」
ルイズの先導でようやくにして二人は武器屋にたどり着く。
「き、貴族様?うちはまっとうな商売でして……」
これ見よがしに低姿勢になる店主に、むしろ機嫌を悪くするルイズ。これでは何もなくても疑いたくなるではないか。
「客よ」
ぶっきらぼうに一瞬驚いたような顔をしていた店主が、ルイズの後ろに立つクォヴレーに目を向ける。
「この平民に合いそうな剣を探しているの」
「あぁ!左様で!」
ようやく納得したように頷いて奥に引っ込む。
一方のクォヴレーは店内をぐるりと見回していた。
剣、弓、兜、盾etcetc.……一角には銃もあったが、やはりマスケットレベルのようだ。
「最近は土くれのフーケなんて盗賊も出る物騒な世の中ですからね。宮廷の貴族様方でも、従者に剣を持たせるのが流行っているそうで」
そう世間話を織り交ぜつつ、2,3本の剣を持って再び店先に戻ってくる店主。
「ふーん、結構立派じゃない」
しげしげとそれらを眺める。
「へぇ、これなんかは、なんでもかの有名なゲルマニアはシュペー卿の作だそうで。魔法がかかっているんでさ」
「そう……どうかしら?クォヴレー」
「どう、と言われてもな……俺に剣を見る目はない」
「ああ、もう、いいわよ!ちょっと、これはいくら!?」
最も華美な、魔法がかかっているという剣を指さす
「エキュー金貨なら2000枚、新金貨なら2500枚といったところですかねぇ」
「……家が一軒買えるじゃない」
憮然とした表情で唸るルイズ。
本来の歴史では平賀才人治療費に充てられた水の秘薬代がまるまる残っているとはいえ、高い。
「ルイズ、別にもっと安いものでも構わないと思うが」
「な、何よ!これぐらいの値段……!」
「というよりも、そんな大仰な魔法の剣をアテにしなければならない状況なら、ある程度の被害は覚悟の上で銃も使わせて欲しい」
こちらは結構切実に本心だった。
なまじ質の高いものを持たされては、より銃の使用を制限されかねない。それでピンチに陥ってはお笑いである。
「……そ、そうね……あくまで、アンタにとって本命はそっちなのよね……」
「銃、ですかい?それなら……」
「ああ、いいのよ。銃に関しては。もう持ってるから」
別なセールスポイントを見つけたと思っていた店主を軽く一蹴する。
「ハハハハハ!久しぶりに鴨が来たって、足下見ようと思ったら、あっさりとかわされやがったな!」
成人男性のような笑い声が店内に響く。
「何?」
慌てて店内を見回すクォヴレー。自分、ルイズ、店主、やはりそれ以外には見あたらない。
「うるっせえぞデル公!」
「けっ!せこい真似しようとすっからだよ!」
二度目の声で、ようやく声の発信源が判った。
「喋る剣か。珍しいな」
剣の飾られている一番端っこ。比較的目立たないように飾られている、錆びた剣が声を発していた。
「へぇ、これって、インテリジェンスソード?」
「そ、そうでさ。若奥様。誰が始めたんでしょうかねぇ?剣を喋らせるなんて」
「中々に便利だぞ。物持ちが良ければ、人より遙かに多くのことを見聞きする物知りだ」
星辰剣しかり、闇の剣しかりである。前者は無駄口も多いが。
「ほぉ、兄ちゃん。判ってるじゃねぇか。気に入ったぜ、俺を買いな!」
「そうだな……錆びているし、いくらか安いんだろう」
くるりと店主の方を向いて尋ねる。流石に困惑顔だ。
「は、はぁ、そいつなら100エキューで結構ですが……」
どうだ?とルイズの方を向く。
「そ、そりゃあそれぐらいは出せるけど……ホントに良いの?そんなので?一応数打ちものでも他にあるのよ?」
「構わない。どうせ俺は剣を扱ったことがないから、まともな切り方は期待出来ない。ならば切れ味の善し悪しはあまり意味がない」
「おいおい!買えっつって何だが、俺は棍棒じゃねぇんだぞ!?」
不満げに声を上げる剣。
「善処はする。ただ、扱いについて指導出来るところがあればして欲しい。何しろずぶの素人だ」
「かぁーっ、まいいったなこりゃあ……」
困惑したようにぼやく。
(……そういえばクォヴレーってやたら技術習得が早かったわよね)
自ら教えてくれる剣というのがあれば、それこそメキメキと上達するかも知れないと思いつく。
「そうね。あれにするわ」
「へ、へぇ、まいどあり!」
目玉が売れなかったのは些か惜しいが、まぁ厄介払い出来たのだからよしとしようとポジティブに考える店主をよそに、かけられている喋る剣を手に取った。
「……こりゃおでれーた。坊主、お前『使い手』か?」
「使い手?何のことだ」
「……何だったっけかな?」
「…………」
一人と一振りの間に微妙な空気が流れる。
「物知りだと思ったんだがな」
「流石に長く生きすぎて忘れちまったよ。勘弁してくれ」
「扱われ方の指導ぐらいは出来るだろう?」
「まぁな、俺っちはデルフリンガー。これからよろしく頼むぜ、相棒」
「俺はクォヴレー・ゴードンだ。こちらこそよろしく」
店主の出した鞘にデルフリンガーを入れ、あれこれ迷った末に背中に背負うように剣を持ち、ルイズに続いて武器屋を後にする。
「……ちょっと、さっきから何後ろの方をちらちら見てるのよ」
街の外へ向かいながら、しょっちゅう首を振り向かせるクォヴレーにルイズが尋ねる。
「いや、先程店を出た直後にキュルケ達を見つけたんだが……追ってこないな?」
「え?居たの!?」
しきりに首をかしげるクォヴレー。
「どういうつもりだったんだ。あいつらは……」
学院に戻ってから、その答えは知れた。
「はい、ダーリン!私からのプレゼント!」
部屋に入る直前の女子寮廊下。満面の笑みを浮かべながら、キュルケが鞘に収まった剣を差し出していた。
……要するに、自身に対抗しようとしているらしいと頭を抱えながらルイズは悟る。
しかもそれ、あの武器屋においていたシュペー卿の作ったとかいう剣じゃなかったか。
「ちょっとキュルケ。何のつもりよ」
「何って、私からダーリンへのプレゼントだって言ったじゃない」
更に得意げに胸を張るキュルケ。
「……錆びたインテリジェンスソードしか買えないルイズと違って、私はあの店一番の業物よ?」
「なっ……!何でそれを……!」
「この剣を買うついでに聞いたら気前よく教えてくれたわよ?厄介払いが出来たって凄く嬉しそうだったわ」
今度あの武器屋に失敗魔法をぶち込んでやる、と物騒な決意を固めるルイズ。
一方クォヴレーは差し出された剣をしばし眺めた後、手に取った。
「くれるというのなら、ありがたくいただいて置くが……あまり使う機会は無いと思う」
「え?な、なんで!?」
予想外の展開に驚くキュルケ。ルイズの剣よりずっと良い剣を送ってハートもゲット!の計画だったのだが。
「生憎と俺は剣の扱いに慣れていない。剣を使う時は――インテリジェンスソード、というのか?この喋る剣のデルフリンガーに教えられながら剣を振るうことになるだろうし、二刀流が出来る力量もまた、俺は持っていない」
「おうおう!そいつぁいい心がけだぜ!まぁ、『使い手』の相棒なら大丈夫とも思うけどな、武器として使ってもらえりゃ言うこと無しだ!」
背中のデルフリンガーも嬉しそうにカチカチと鍔を鳴らす。
「……使う時が来るのなら、だが」
「なっ、いきなり不安になるようなこと言うんじゃねぇ!」
「武器は出来れば使わないに越したことは無いだろう」
フッといたずらっぽい笑みを浮かべながら剣とじゃれるクォヴレー。
一方のルイズは、一瞬不利かと思ったが、クォヴレーの言葉に優越感を露わにした。
「まぁ、インテリジェンスソードを選んだ私がいかに使い魔を理解している主人かという事よね?」
形勢逆転。ふふんと勝利の笑みをキュルケに向ける。
くっと悔しそうな顔をするキュルケ。
「ところで……」
肩口から覗くデルフリンガーから、キュルケに視線を移しながらクォヴレーが尋ねた。
「昼間、タバサと共に俺たちを尾行していたようだが、どういうつもりだ?」
「…………」
(こいつ本気で判ってないのかしら)
既にキュルケの気持ちは口頭で伝えたはずであり、しかもこのシュペー卿の剣を出す時に明らかにルイズに対抗心を露わにしていたのだが。
「え?それは勿論、愛しのダーリンを追っていたのに決まってるじゃない?」
「何を馬鹿なことを言ってるのよ!不必要にクォヴレーに近づかないで頂戴!私の使い魔なのよ!?」
そう言いつつ、庇うようにクォヴレーを自分の部屋に押し込む。
押されるがままにクォヴレーは扉を開けて中へはいる。
「それじゃあダーリン、また明日ね?」
ひらひらと手を振るキュルケ。
クォヴレーを押し込むままに部屋に入り、もたれかかるように背で扉を閉め込む。
「っはぁー……」
ふかーくため息をつくルイズ。
「ほぉ、もてるな、相棒」
「生憎と、色恋沙汰には関心が薄くてな」
「またまたぁ、憎いね!このこの!」
もしデルフリンガーに腕があるのなら小突いているところだろう。
「……まぁ、どうとるかは自由だが」
「ちょっと、クォヴレー」
ルイズが両手を腰に当てて、クォヴレーを呼ぶ。
「何だ?」
「今回は、まぁ良いけど、今後キュルケがアンタに何か贈ろうとしても、受け取っちゃダメよ?」
「何故だ?」
「何故って……その……あ、アイツは!アンタを自分のものにしようとしてるのよ!しゅ、主人の私としては!アンタが居なくなったら困るし……」
「……判った。ルイズが不安になるのなら、今後誰かから物を貰うのは控えるとしよう」
こくりと頷いてみせる。
「ええ!そうしなさい!」
使い魔の横を通り過ぎ、ルイズは部屋の奥へ向かう。
クォヴレーは自分が寝るための毛布の置かれている場所に二振りの剣とズタ袋を下ろし、パイロットスーツを取り出す。
「少し早いが、自由時間にさせて貰っても構わないか?」
「そうね……別に用事もないわ。好きにしなさい」
すこし考えるそぶりを見せてから、放逐する。
「何だ?相棒どっか行くのか?なら連れて行けよ!折角退屈な武器屋の店先から解放されたんだ。少しは刺激が欲しいぜ」
デルフリンガーがカチカチと鍔を鳴らしながら訴える。
「着いてきたいのか?まぁ構わないが」
パイロットスーツとデルフリンガーを背負い、クォヴレーは主の部屋を後にした。
2時間後。
クォヴレーと共にハルケギニアを文字通りに飛び回ってきたデルフリンガーは、相棒にこう尋ねた。
「俺、必要か……?」
「アストラナガンを呼び出すスペースがなかったり、銃撃の弾が跳弾しては困る様な場所ではお前に頼ることになる」
「それって、すげー限定的な状況の気がするぜ……」
冷静なクォヴレーの受け答えに、気落ちしながらデルフリンガーはため息をついた。
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