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&setpagename(ゼロの女帝 第十六話)
「それはこの世の真理を否定することだ!」
その叫びとともに、ワルドの遍在が掻き消える。
「あら?もう精神力が尽きたのかしら」
「違う。おそらく『遍在』による攻撃が通用しないと判断した。
通用しないなら無意味に精神力と体力を消耗するだけ」
「だろうね。『遍在』の強みは分身が見た聞いた感じた事も知る事が出来るというもの。
つまり彼は『遍在』が倒される度に四回『死』を体感してると言っていい。
死とまではいかないかもしれないが一度につき四回もマダム・セトの攻撃に貫かれる
感触を味わっているのだ」
解説役になったウェールズとタバサ。
「女ならそれは日常茶飯事ですけど、普通の殿方ならそれはつらそうですわね」
「『遍在』は作った時に魔法を唱えるだけの精神力を分け与えねばならない。
通常の数倍消耗するといっていいだろう」
「おそらく手数を減らして一撃必殺の大技に賭ける、多分」
彼女らの読みは的中していた。
ワルドは瀬戸を甘く見てはいなかった。
最強の平民であると。
「しかし!最強であっても所詮は平民!
平民である以上貴族に!メイジに敗れる以外のことは許されない!
それが始祖ブリミルが定めたこの世の理なのだ!
食らうがいい!『ライトニング・クラウド』!」
通常を上回る精神力と魔法衛士隊の誇りを込めたその一撃は、範囲といい威力といい恐るべき物であり
それはトライアングルであるキュルケや実戦経験豊富なタバサ、ウェールズが戦慄するほどのものであった。
普通ならその執念は正しく報われ、小生意気な平民は足元でケシズミと化していただろう。
だが彼の、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドの前に立っていたのは普通の平民ではなかった。
それは神木・瀬戸・樹雷。
究極神、あるいは絶対神を上回る十五次元の存在の寵愛を受けしモノ
彼女は眼前に薄く輝く光の膜を生み出した。
ワルドが放った雷光は、その膜に触れるや否や
「な、なに?なにがおきたの?」
「き・・・・・・・・消えた?」
「違う どちらかというとあの膜に吸い込まれた様に見えた」
「まるで、あそこには膜ではなく穴が空いているみたいだ」
呆然とする一同。
それでもある程度状況を(しかも正しく)把握しているのはタバサとウェールズ。そして
判った
判ってしまった
理解できてしまった
自分の能力では彼女には何がどうまかり間違っても勝てないと
それはメイジとか平民とかいったチンケなものではない、もっと根源的なモノ
さしずめ上は下よりも上なのだ、といったほどの現実
エンジン音を聞いただけでブルドーザーなのだと判ってしまうレベル
彼女へ攻撃を届かせようと思ったら、天空の月に置いた的に当てるほどの飛距離と
精度を兼ね備えた一撃を放たねばならないのだと
「これほどの・・・・・・」
「これほどの力を持っていながらなぜここまで動こうとしなかった!
わたしやルイズを・・・・・・力無き輩がもがく様はさぞたのしかったろうなぁ!」
「それはちがうわ、ワルドちゃん」
「何が違う!」
「あたしに力ずく、あるいは理屈で諭されたからといって貴方は己の野望を封じたり、捨てたりできた?
出来はしないわ。
それは全ての殿方の悪い癖。
だから貴方にぎりぎりまで望んでいたの。
普通に、平穏に幸せになれる道を選ぶことを」
「普通?平穏?そんなもの欲しくない!
わたしが望んだのは「ソレは他人の幸せを踏みにじってでも手にする価値があるの?」 ぐっ」
「他人の幸せを、そしてルイズちゃんの心を踏みにじって手にした以上、貴方は他人に踏みにじられても
文句は言えないわ。
いわゆる『覇道』とはそういうモノ。
貴方にはその道を歩む覚悟があるの?
『踏みにじられる』覚悟が。
それに大体貴方の言う『聖地』とはそれほどの価値があるの?
っていうか『聖地』の事どの位知ってるの?」
「えっ とぉ その、だから、あのぉ
「呆れた 何にも知らないの?
知らずに騒いでたの?」
愕然とするワルド。
自分は何も知らずに求めてたのだ
そもそも『聖地』とはいったい何なのだ
エルフがのんびり畑耕してるだけかもしれないではないか
がっくりと膝をつく
「わ・・・・・・・・・・わたしは・・・・・・・」
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