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「風船の使い魔-03」(2008/09/12 (金) 01:30:58) の最新版変更点
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#navi(風船の使い魔)
ギーシュとルイズの使い魔クラウドの決闘はルイズの妨害で引き分けという形になった
ルイズは「私は何もしていない」と必死で訴え続けたがあんな爆発お前以外に誰が出来るとその場全員皆から言われ
そういう結果になってしまった
当然ルイズは納得していないがもう一人納得のいかない人物がいた、決闘の相手のギーシュ自身である
彼が言うところによるとあの決闘は完全に僕の負けだ、ルイズの妨害があったところで負けていた・・・と
それにあの爆発はルイズが起こしたものとは思えない、あれは使い魔が爆発したんじゃないか・・・と
実際周りの奴等もあの決闘はクラウドの勝ち・・・と思うものばかりだった
そう言われるとルイズも下手にその通り、自分のクラウドが勝ったのだ・・・などと言えなくなり結局引き分けという事になった。
当のクラウドは気ままに風に流されていた
あの後ギーシュは3人の女子に謝っていた、モンモラシーとケティとルイズの三人にである
完膚なきまでにクラウドにやられて自身の愚かさに気づいたとでも言うのかはたまた貴族の誇りという物をルイズに教えられたのか
そんな彼もクラウドが風に流されているところを見ると「ヒィッ」と情けない声を上げるようになる
やはり怖いのだろうか
「クラウドー?もう、どこ行ったのかしら・・・」
決闘から数日後、ルイズはもうゼロと呼ばれることは無くなった・・・新しい呼び名が出来たので
その名も 『 爆 発 の ル イ ズ 』 まんますぎる
はじめその名で呼ばれた時「え?ゼロじゃなくて爆発?それってゼロよりマシ・・・?それとももっと不名誉な事?」と数日云々悩んでいたが
クラウドの顔を見ているとそんな悩み吹っ切れて「まぁ爆発でもゼロよりはいっか」という結論にたどり着いた
しかし今度はクラウドが使い魔らしい事をあまりしない事に少々悩むようになった
使い魔の主な役割は『感覚の共有』『魔法材料の確保』『主人の護衛』とあるがクラウドはいつも風に流されている
夜にはキチンと帰って来るんだがそれまでの間日中クラウドが何をしているのかルイズにもわからなかった
明日は虚無の曜日、一日中クラウドが何をしているか観察する事にした
朝、起床。
クラウドが持って来た制服に着替える。着替えの手伝いは出来るんだから器用な使い魔だと思う。
その後クラウドと一緒に朝食のため食堂へ向かう、クラウドにはいつものようにフルーツを2~3切れ与える。
見ると一人のメイドが嬉しそうに果物を持ってきてクラウドに与えている、あのメイドと何かあったのだろうか
満足そうに体をさすった後、クラウドは風に乗ってどこかへと飛んでいく・・・・・って!あんな高いところに飛んでいかれたら追いかけられないじゃないの!?
クラウドがルイズの監視から逃れた後フワフワ学院中を彷徨っているととある部屋の前で立ち止まった
タバサの部屋である
タバサは虚無の曜日になると一日中部屋の中に閉じこもって趣味の読書に明け暮れる、それを邪魔される事を大層嫌っていた
集中している間はどれだけドアをノックされても叫ばれても気にせず本を読み続ける
しかしタバサはその気配に気づいた、ドアの向こう側にいる人でもこの世のものでもない気配を・・・
「・・・・・・誰?」
「プワヮー」
律儀に返事をするクラウド、その声を聞いてそこにいるのがあの風船幽霊であることに気づいたタバサは冷や汗が垂れる
.・・・自分に何か用があるのか・・・しかし絶対に関わりたくない相手であったので放置する事にした
客などはじめから来なかった。そう思って再び本を読み直す
「プワ~」
聞こえない。私は何も聞いていない。今日は虚無の曜日、じっくりと本を読み漁るのだ。
しかし目の前のドアからスッと当の幽霊が現れたらそうも言ってられなくなる
「!?!?!?!?」
「プワー」
ドアには鍵をかけていた・・・・がそんな事気にもせずにコイツはドアをすり抜けてきた、物質をすり抜けて移動できる存在など
この世にはいない・・・この世のものじゃない・・・・あの世?
タバサは逃げ出した!!しかし回り込まれてしまった!!
ゆっくりと近づいてくるクラウド、本当に気がどうにかなってしまいそうな恐怖に襲われるタバサ
そしてクラウドは恐怖によって混乱しているタバサの手をとった
「!?!?」
「プワ」
無口キャラと鳴き声しか無いものの会話の描写は難しすぎる
クラウドがタバサの手を必死で引っ張る、その様子にはじめは脅えていたがだんだんと考えも変わってくる
こんな引っ張り返せば簡単に振り回せそうな、風が吹けば簡単に吹き飛ばされてしまいそうな風船が幽霊・・・?
なんでこんな相手に脅えていたんだろう・・・と思えてきた
よく見れば結構可愛い顔をしている、そんな他人の使い魔が自分をどこかへ引っ張っていこうとする
何か大事な用でもあるのだろうか・・・
そう思うと本に詩織を挟みクラウドが連れて行こうとする方についていった
『さいみんじゅつ』・・・本来は相手を眠りにする技だが相手の思考を戸惑わせる意味合いが強いこの技にタバサはいつの間にか掛かっていた
霧が深い・・・トリステイン魔法学院にこのような場所があっただろうか・・・?
そう疑問に思いながらもクラウドについていくと霧が晴れてきた
そこには河原があった、黄金色の川だ。こんな幻想的な光景見た事がない、まるでこの世ではないようだ
川岸には小船が一艘ありクラウドがそれに乗れと言わんばかりにタバサの腕を引く
その船に乗り対岸を目指す・・・とこのような状況何かの本に載っていた事を思い出す
この世とあの世の境にあるという三途の川、その川を渡ってしまうともうこの世には戻ってこれなくなる・・・
ふと舟をこぐのをやめ対岸を見ると亡くなった筈の父親が手を振っている
「まだこっちに来ちゃ駄目だー」
父さんがこっちに来てはいけないと言っている、クラウドは船を引っ張っている
タバサは舵でクラウドを叩き飛ばした後全力で船を反転、来た道を戻った
クラウドに悪気は無かった、ただ己が本能に従っただけだった
『あのよへ つれていこうとして こどもの てを ひっぱろうとするが はんたいに ふりまわされてしまう。』
軽く見回したところ一番小柄で年下な子供はタバサしかいなかった、だから彼女を選んだ。選ばれた彼女にしたらたまった物ではないが。
それからというものタバサの部屋には大量の書物以外に投げるのに丁度よさそうな石が大量に置かれていた
キュルケが気になって聞くと「・・・お化け避け」としか言わなかった
一日中ルイズがクラウドを探して日も暮れた頃クラウドが風に流され戻ってきた
「もう!クラウドあんたどこ行って・・・どうしたのその痕?」
「プワ~~」
変にひしゃげたクラウドの顔の痕を気にしながら自室に連れて帰る。
次の虚無の曜日こそ・・・!と心に誓うルイズであった。喋る剣の悲痛な叫びが聞こえてきそうだ
#navi(風船の使い魔)
#navi(風船の使い魔)
彼、ギーシュは焦っていた。こんな風船みたいな使い魔、自分の自慢のゴーレムなら
一発当てれば抵抗しなくなって後はルイズが来るまでジワジワトいたぶれるだろうと思っていた
実際抵抗という抵抗はしてこなかった・・・・が、こちらの攻撃が一発も当たっていない
だからといって相手が必死になって避けているのか・・・といえばそうでもなく余裕の表情で避けているのだ
これでは完全に自分が遊ばれている・・・という状況なのだ
実際のところは一枚の羽毛に対して攻撃するかのように自分の攻撃の風圧で相手がフワフワと避けているようなのだが
それにしても一発ぐらい入ってくれてもいいのだが何故か一発も入らない
むきになった彼は薔薇の花を振り更にゴーレム・・・ワルキューレを数体呼び出す
そして2体のゴーレムがクラウドを掴む・・・剣筋はヒョイヒョイ避けていたのに何故かあっさりと捕まってしまう、コレも風船ゆえか・・・
動けなくなったクラウドにワルキューレの剣筋が振り落とされる・・・と言う時にやっと広場にルイズが駆け込んでくる
「クラウド!」
「遅かったねミス・ヴァリエール、今君の使い魔に止めを刺すところだよ」
「やめて!お願いだから!!」
周りの観客はとどめ・・・?と聊か疑問に思っていたがこの絶体絶命の状況確かにとどめか・・・と納得もしていた
そしてルイズが静止を訴えている中ワルキューレの剣筋が完全にクラウドを捉えた
間違いなくワルキューレの剣筋はクラウドを貫いた・・・・筈だった
「プワ?」
「何?」
見るとクラウドに怪我は無く別に何てこと無いという顔をしている
「フッ、どう避けたのか知らないけどそう何度も避けれはしないだろう!!」
再び、いや何度もワルキューレの剣筋がクラウドを切りつける、切りつけている筈なのだがクラウドは何とも無い顔を変えなかった
まるで雲を切っているかのような感触にギーシュは不気味さを覚え一旦離れる
「剣が効かない・・・?一体どうなっているんだ?」
剣が効かない・・・つまり煙のような体なのかはたまたアレは幻なのか、しかし2体のゴーレムが横から押さえつけているところを見ると確かに実体は存在している・・・
と思った直後、クラウドは2体のゴーレムの手の中から抜け出した。
どうやって抜け出した!?と再び掴みにかかるが今度は実体が無いのかいくら掴もうとしてもすり抜けてしまう
そしていい加減相手が自分に敵意を向けていることに気づいたクラウドはギーシュに対して敵意の込めた目で睨み付ける
その魂の篭っていない・・・一片の光も無い瞳に恐怖を感じたギーシュは7体全部のワルキューレをクラウドにぶつける・・・がやはり効果が無いようだ
「な・・・何だって言うんだ!?この使い魔は!?」
「クラウド・・・貴方・・・?」
その時クラウドの体から何ともいえない生暖かい風が吹く・・・
その生暖かい風は広場一帯を包み込み観客達も巻き込んだ
生暖かい筈なのに寒気がする、背筋がゾクッとする、ハッキリ言って気持ち悪い。
膝を突く生徒や嘔吐しそうになる生徒も居るぐらいだ
『あやしいかぜ』、相手に対する追加効果は無いが一定の確率で自身の攻撃・防御・特殊攻撃・特殊防御・素早さを上昇させるゴースト攻撃
物理的ダメージは低く魂を持たないゴーレムに効果は無いはずなのだが何故か目の前のゴーレム達が崩れ去っていく
「なっ!?そんな僕のゴーレムが!?」
ギーシュが慌てて花弁を振るう・・・がそれは出来なかった
何故かと言うと先ほどの妖しい風で花弁・・・ギーシュ特有の杖が萎れていた
「何!?何で皆苦しんでるの!?」
周りのもの全てを巻き込んでいるはずの妖しい風だがクラウドの主たるルイズだけは巻き込んでいないようで
彼女自身はバタバタと倒れていく周りの生徒の異常な光景にこれまた恐怖していた
観客の中に青い髪の小柄な少女、タバサも混ざっていたが彼女はガタガタと本気で震えていた
アレはあんな可愛い顔をしていながらとんでもない事をしている・・・
何よりこの生暖かく寒気がするという矛盾をはらんだ風、これは色々な書物で表記されているある物に酷似している
そう、幽霊が現れる時に共に発生する『おどろおどろしさ』とでも言う不気味な風・・・
その事に気づいた直後、タバサは全力でその場から逃げ出していた
妖しい風のダメージによって膝を付くギーシュ、それにクラウドがフヨフヨとゆっくり近づいてくる
その瞳には何も映っていない、見ているだけで自分の魂が引き込まれそうになる
「ヒィッ!?!?く、来るなああぁぁぁ!!!!!」
使い物にならなくなった杖をブンブンと振る、が当たっている筈でもスカスカとすり抜けてしまう
再び恐怖に駆られ奇声をあげながら魔法使いとしての証でもあるその杖を捨てて足元に転がっている石を投げつける
苦しみながらもまだ見ている観客達は「ああ・・・終わったな」と思っていた、ギーシュの敗北という意外な形で・・・
しかしギーシュの投げた石はクラウドに当たった
「プワ!?」
へ・・・?と呆気に取られた顔をするギーシュ、涙を流しながら石の当たったところを痛そうにさするクラウド
試しにもう一つ石を投げてみる・・・再びクラウドに命中、プワッ!と痛そうな声を上げる
「フフハハ・・・ハハハハハハ!!そうか!石に弱いのか!!」
急に強気になるギーシュ、そして足元にある石を次々と投げる、頭が暴走しているギーシュの投げるそれは数発しか当たらなかったがクラウドには十分致命傷である
「ちょっ、ギーシュ!!それが貴族の戦い方!?完全に蛮族のやり方じゃない!!」
「うるさい!ミス・ヴァリエール!!杖もこうなってしまった以上、使える物は何でも使う!貴族に負けは許されないのだから!!」
「く、狂ってる・・・」
実際今のギーシュは狂っていた、先ほどから今まで味わったことの無いような屈辱と恐怖、その二つを存分に味あわされて彼の中で何かが壊れてしまっていた
しかし一つの石が当たった時、風船らしからぬカシャンと高い音がした
と、同時に嗅ぎなれた匂いがギーシュの鼻腔内に届く
「これは・・・モンモラシーの香水?」
そう、この決闘の原因にもなったモンモラシーの香水である、まだクラウドが持っていたのだが先ほどの石が一つビンに当たってしまい割れてしまったようだ
それが拙かった、一つは先程まで狂っていたギーシュがその匂いで意識がハッキリと戻ってしまったこと、
そしてクラウドの持っていた持ち物が無くなったという事・・・・その二つである
意識が戻ったギーシュはそれでも投石攻撃をやめなかった、見ればもうボロボロであと2~3発ぶつければ勝てると思ったのだ
しかしその石はクラウドに当たることはなかった、意識がハッキリとして狙って投げた石がである
「へ・・・・?」
思わず口から間抜けな声が上がる、しかし目の前の風船が有り得ない速度で動いているのでそれはまた仕方の無い事とも言えよう
軽業・・・フワンテ属しか持たないその特性は持ち物を失うことで発揮され自身の素早さが2倍になると言うものである
そのまま先程の風船のような間抜けな動きでなくなったクラウドは一瞬でギーシュの眼前まで詰め寄った
「うひゃぁ!?!?」
ギーシュが理解するまえに目の前に現れるクラウド、必死で石を投げようとするがもう既に石は投げつくしてしまった
ギーシュの精神はもはや限界に達していた、がそれと反比例するようにルイズの心は高ぶっていた
自分の使い魔が貴族相手に圧倒しているのである、それは心も高揚するだろう
そして今ギーシュにとどめを指さんとするクラウドにルイズは精神がハイになっていた
「やっちゃえ~!!クラウドー!!!」
それが拙かった。
クラウドは今の命令をしっかりと聞いて実行に移したのである、自身の最強の技で
早い話が大爆発である。
結果的に言うと決闘はクラウドの勝ち・・・の筈だったのだがお流れになってしまった。
広場は謎の大爆発に包まれ観客をも巻き込んで崩壊したのである。
その結果ルイズが二人の決闘に水を差したのだ・・・と
「私は何もしてない~!!!」と彼女は語るが誰も信じる者はいない・・・ルイズがまた爆発させたんだと信じて疑わなかったのだ
ギーシュと使い魔の決闘は引き分け・・・という事になったが当のギーシュは完全な敗北感に打ちひしがれていた
そしてクラウドは大爆発したにもかかわらずケロッとした顔でルイズの傍らをフワフワと浮かんでいた
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