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#navi(ゼロの女帝)
&setpagename(ゼロの女帝 第十五話)
「うわーんうわーん」
ワルドはまだ泣き続けていた。
「ね、ワルドちゃん、もう泣かないで」
「うるさいやい、さわんな」
頭を撫でようとした瀬戸の手を振り払う。
「ヴァリエール、あんたなんとかしなさいよ。婚約者でしょ」
「やよ。あんたこそなんとかしなさい」
「あたしだって嫌よ。子供の頃からよく言われたでしょ、『他人の嫌がることを進んでやりなさい』って」
「意味が違う」
「しょうがないわね。
はい、ワルドちゃんの杖一本だけ返したげるから泣き止んで」
「ほんと?ほんとにホンモノのボクのつえ?」
「ちょっとセト!」
「しかたないじゃない。
このままじゃまるであたしが弱い者苛めしてるみたいだから」
そういって瀬戸はワルドの手に一本の杖を渡す。
「わぁい 『予備の杖くん28号』だ!
おまえがいればビルの町にがおーで夜のハイウェイにがおーだ!」
「いいも悪いもリモコンしだい、ね」
「と、いうワケで杖が戻ってきた以上私は無敵だ!」
「もう立ち直ったわね」
「杖依存 魔法依存」
「あたし、下手ぁうつとアレの子供産んでたの?」
「『ルイズはわたしの母になってくれたかもしれん女性だ』かい?」
「勘弁してよぉ」
「五月蝿いそこ!とにかくウェールズ王子を含めお前達全員皆殺しだ!
帰還したらルイズの勝手な行動の結果私を除いて全員死亡、と報告しておいてやろう」
「殺る気マンマンね」
「そりゃもうあんな醜態見られたんだからね、僕たち全員生かしておく訳には行かないだろう」
「五月蝿いそこ!」
その言葉とともに、ワルドが五人に増える。
「あらやだ、今をときめく近衛衛士ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド卿ってば分裂出来たの?」
「いや、ここは普通に遍在だろう」
そんなワルドの前に、ふらりと立ちはだかる瀬戸。彼女が懐から取り出したのは
「フォークとナイフ?」
「さっき宴でごそごそしてたのはそれを集めてたから?」
「「「「「そんなモノで何をしようというのかね?食らえ『エア・カッター』」」」」」
一斉に解き放たれた五つの魔法。
それに対し瀬戸は手にした四本のフォークとナイフを投げ放つ。
「なっ?」
彼女の投げたナイフとフォークは『エア・カッター』を打ち砕きそのままワルドを貫いた。
掻き消える四人のワルド。
消されなかった魔法を華麗なジャンプでかわす瀬戸。
「ほう、たいしたものだ。
しかし五分の四という確立にも裏切られたね」
またも五人となるワルド。
しかし言葉や表情と裏腹に頭の中ではパニクっていた。
(わたしの魔法を打ち消したということはあれはただナイフやフォークを投げてるだけじゃない。
しかし先住魔法とも違う)
レコン・キスタの任務で幾度となくエルフとやりあった経験をもつ(といっても尻に帆かけて逃げ出したのが殆どだが)
故、先住魔法には多少の知識をもっていた。
(だが、五人のわたしに対し投げたナイフが四本。
これは彼女が一度に『力』を込めて投げられるのが四本まで、と言う事を意味している。
ならば、ナイフが外れたツキに頼るしかない)
再び瀬戸が投げた四本のナイフは、再び四人のワルドとその魔法を貫きかき消していく。
「むう、またも外れたんだね」
「これはワルドの運が良いのか、それともミセス・セトの運が悪いのか」
「そのどちらかであってくれればいいんですがねぇ」
ルイズは全身全霊を持って溜息をついた。
「はあっ はあっ」
ワルドの全身はびっちゃりと濡れていた。
これが敵、特にウェールズの血であったら任務を達成した誇りに身を包んでいる所だが
あいにく、自分の汗でしかなかった。
もう、何回遍在を出したのだろう。
覚えているのは、その全てがルイズの使い魔によって消されている、と言う事だけだ。
ルイズは彼女は使い魔などではない、というがそんな事はありえない あってはいけない。
銃を使ったりふいをついたり、といった形で魔法を使わない平民がメイジを倒す事はまあまれにあるだろう。
地震とか雷とか、そういった「単なる不運」だ。
メイジが気まぐれか何かで与えてやった力で能力の低いメイジを害する、というのも許容範囲だ。ありえない事ではない。
しかしそういった事が無い平民風情が実力で、しかもスクェアメイジを圧倒するなど許されない、許してはいけない。
「それはこの世の真理を否定することだ!」
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