「蒼い使い魔-12b」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「蒼い使い魔-12b」(2008/08/05 (火) 20:40:44) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
#navi(蒼い使い魔)
一方その頃、モット伯邸内では…
モット伯は自室のソファに腰掛け優雅にワインを味わっていた
久しぶりの上物だ、どのようにして愉しもうか、
数多くの若い娘を召抱え味わって来たがあの娘はそのなかでもいい体つきをしている
顔も悪くない、そう考え一気にワインを煽る
その時、モット伯のドアがコンコンッとノックされ先ほど呼びつけた若い娘の声がする
「シエスタでございます」
「入れ」
そう命ずるとかなり際どい格好をしたシエスタが入ってきた
その顔は何かに怯えるように青くなっている。
「おぉ来たか、待っておったぞ、こっちだ」
そう嬉しそうにモット伯はシエスタを手招きする
シエスタが覚悟を決めモット伯に近づいて行く、その時、ドンドンとドアが激しくノックされた
「なんだ?」
これから久しぶりの上物を愉しもうとしているところを邪魔され不愉快そうにドアを見る
「大変です!賊がッ!ばっ化け物が侵入しました!」
「化け物だと!?どういうことか報告しろ!」
報告では突如死神の様な化け物が現れ使用人や衛兵を殺している、
それを蒼いコートを纏った長伸の男が衛兵もろとも斬り倒しながらこちらに向かって進んでいるとのことだった。
蒼いコート、その言葉を聞きシエスタが呟く
「まさか…バージルさん…?」
そんなはずはない、だってあの時バージルさんを怒らせてしまったんだ、それなのに助けに来てくれるはずはない…。
そうシエスタが俯きバージルのことを考えるその横でモット伯は狼狽していた。
「はっ、早くなんとかしろ!化け物と賊を食い止めろ!」
そうドアの前の使用人に言い放ち杖を取る。
だがその返答が返ってくることはなかった、
ドアを破るように飛び込んでくる使用人の死体
その体には無数の鎌が突き刺さっている。
「キャアアアアアア!!!」
部屋にシエスタの悲鳴が響き渡る、その声に反応するかのように部屋に悪魔が入ってくる
その姿は手に大鎌を携えまさに死神の姿をしていた。
外では腰をぬかし立ち上がれないルイズを庇う様にタバサが一人悪魔の群れを相手に奮闘していた
氷の槍を飛ばし悪魔を串刺しにし、風を巻き起こし吹き飛ばす。
「何よ…私だけ…」それを見てルイズは呟く
―守ってもらってばかりじゃない、あの時バージルは私を見ずタバサにここは任せると言った
つまり数にもいれられてない、貴族として助けにいく、そんな大見得切っておきながら戦いもせず腰を抜かしている
そう考えると情けなくなる。
討ちもらした一体がタバサに襲い掛かる、鎌がタバサに突き刺さるその刹那
「フライ!」
その詠唱と共に悪魔が爆発した
タバサが驚いて後を見る、そこには杖を構え立つルイズの姿があった
「私だって…戦うわ!バージルはあんただけに任せるって言ったんじゃないんだから!」
タバサは小さく頷くとルイズと共に悪魔へと向き直り魔法を放った。
「なっ、なんなんだコイツは!」
部屋へ入って来た悪魔を見てモットが叫ぶ、
ゆっくりと歩み寄ってくる悪魔に向かい杖を向ける、その瞬間
―キィンッ!「ギャアッ!」
歩み寄って来た悪魔が真っ二つになり崩れ落ちる、そこには蒼いコートを羽織った男が立っていた
「だっ、誰だ貴様は!」
「バージルさん!どうして!?」
二人は一瞬で悪魔を斬り殺した男に向かって叫ぶ
「貴様がモットだな?死ね」
バージルはそう言うと閻魔刀に手をかける
「なっなんだと!?この化け物どもを呼び寄せたのは貴様だな!?」
「フン、あれは貴様の欲望が呼び寄せただけだ、奴らが消える方法は貴様が死ぬことだけだ」
「たわごとを!貴様のような平民に殺されるような私ではない!
私の二つ名は『波涛』!『波涛』のモット!トライアングルのメイジだ!」
「だからどうした、貴様は死ぬ、それだけだ」
その挑発に反応しモットは水を生み出す
水が竜の如く舞い上がり、渦を巻きながらバージルに殺到した。
ズッバァーン!とバージルに水がぶちあたる
「まだ終わらんぞ!」
そうモットは吠え水を氷の槍に変えバージルに向け発射する
部屋の壁は崩壊し土煙りが上がりどうなったかは確認できない
だが、あれほどの攻撃を受けたのだ、普通の人間ならメイジであろうと無事ではいまい
それを見たシエスタは気を失ってしまう。
「ハァハァ…、フン!平民が貴族に敵うとでも―「それで終わりか?」」
土煙りが収まると腕を組み詰まらなそうにモットを見るバージルの姿があった。
「ばっ、バカな!あれほどの攻撃を受けてなぜ立っていられる!?」
それを見たモットは驚き声をあげる。
「あれが攻撃?失望だな…」
そう言うとモットに向かってバージルは悠然と歩きながら距離を詰める
向かってくるバージルにモットは魔法を放つもそのすべてがバージルにかすりもしない、
―ゴッ!
モットの目の前に立ったバージルは閻魔刀の鍔でモットの頭を打ち抜く
予備動作なしで飛んできたバージルの攻撃にモットが反応できるはずもなく
もろに一撃をもらい錐揉み状態になりながら壁に叩きつけられる。
「ぐっ…うっ…」
モットが顔をあげると目の前には案の上閻魔刀の切っ先が突き付けられていた。
「ま…待ってくれ!助けてくれ!」
「それは無理だ」
必死に命ごいをするモットを冷たい目で見ながらバージルは答えた
「そうか!金だな?いくらだ?幾らでも払うぞ!」
「だめだ、気が乗らん」
「この屋敷にあるものならなんでも持って行ってもいい!だから助けて―」
そう言い切る前に閻魔刀をモットの心臓に深く突き立て、捻る。
「ぐぁっ…あぁっ…」
そう短く呻くとモットはあっけなく絶命した。
モット伯の絶命と同時に邸内の悪魔の気配が急速に消えていくのがわかった
「ひゅ~相棒、相変わらずえげつないねぇ、でも貴族殺しちまったな?どうするんだ?」
「フン、こうすれば問題ない、おそらく屋敷から逃げだせた人間も存在するだろう、
状況を見れば下手人は悪魔、そう言うことになる」
そう言いながらヘル=ラストが握っていた鎌をモット伯の遺体にドッ!と突き立てる。
「死人に鞭打つか…おめーはどこまでも悪魔だな…」
「…帰るぞ」
そういうと気を失っているシエスタの首根っこを持って引きずるようにその場を後にした。
「来た」
「バージル!」
庭に出たバージルをルイズとタバサが出迎える。
「フン、生きていたか」
「生きてるわよ!っていうかあんたはっ!?っ・・・シエスタは無事だったの!?」
「この通りだ」
そう言いながら気絶したシエスタを放り投げる
「うっ…うぅ~ん」
「ちょっ!どこの世界に気を失ってる女の子を放り投げるやつがいるのよ!
もうちょっと丁寧に扱ってあげなさいよ!」
そう言いながらルイズはシエスタを抱えると放り投げられた衝撃かシエスタが目を覚ます。
「あれっ?ミス・ヴァリエールにミス・タバサ…バージルさん…あの…これは一体?」
「目を覚ましたわね、あんたを助けにきたのよ、散々な目にあったけどね」
「えぇっ!?そんな!私のために!あのっ!モット伯は!?」
「そうよ!モット伯は!?まさかあんた…」
最も重要なことを思い出しルイズはバージルに訪ねる、まさかこの男殺してはいないだろうか?
もし殺していたら一大事だ。
「フン、当ぜ―「あぁー、いやいや、モット伯ならあの化け物共に殺されちまってたよ!おでれーたなあれはー!」」
と急いでデルフがハッタリを利かせる。
「そっ、そう!ならいいんじゃない?あんたが殺してないならね…
でも…なんだったのかしら?あの化け物…急に砂になって消えちゃうし」
「さっきも言ったが、あれは色欲を司る下級悪魔だ」
「消えたのは?」
「奴等の目的、モットが死んだからだ、今頃モットは地獄でよろしくやってる所だろう」
その話を聞き三人は押し黙る
「あんなの…いままで見たことなかったわ…タバサは?」
「見たことない」
「そこまでだ、貴様らはあの竜に乗って帰れ、俺は歩いて帰る」
そう言うとさっさと邸宅の門に向かってバージルはさっさと歩きだす
その背中にシエスタが声をかけた
「あのっ!バージルさん!助けてくれて…ありがとうございました!」
「……」
無言のまま立ち去るバージルに向かいシエスタは深々と頭を下げた。
「まぁ、アイツはあーゆーやつだから…あんまり気にしないで」
とさすがにフォローに回るルイズであった。
「なぁ、相棒、思う事があるんだ」
「なんだ」
学院へと戻るバージルにデルフが話しかける。
「お前さんのそのルーンのことだが、どうもお前さんにあまり力を貸してないみたいだな」
「どういうことだ」
「通常使い魔のルーンってのは、元々主人に従順になるように働きかける力があるんだ、相棒のルーンはそれプラス
なんらかの特典がついてくるはずなんだがね、だが相棒の場合、そのルーンの力の大部分が従順になる力に費やされているみたいだな」
「何が言いたい」
「お前さん、あの娘っ子に全然心を開いてないだろ?」
「…」
図星である、事実バージルは召喚されてからルイズのことを一度も名前で呼んでいない。
自分から語りかけることすら稀である。形式上従っているだけであり心を開いているわけではない。
「つまり、このルーンの本当の力を引き出したければあの小娘に心を開けと?」
そう言うと忌々しい表情でルーンを見つめるバージル
「そういうことにならぁね、ま、相棒がいらないっていうなら俺はなんとも言わんよ?
相棒はこのルーンの力なんざなくったって恐ろしく強い、俺っちを使ってくれれば文句はないしな。」
そうカチカチと笑うようにデルフは音を立てた。
「いい機会だ、もう少しあの嬢ちゃんに少し心を開いて見た―「気にいらん」」
一蹴されてしまった。
「ハァ…しっかし、主人も主人なら、使い魔も使い魔だぁね…」
と、デルフが小さくぼやいた。
「しかし相棒、どうしてあのメイドの嬢ちゃんを助けようと思ったんだ?いつものお前さんなら無視しそうなもんなんだが」
「フン、奴がいなくなったら誰があの小娘の洗濯をするんだ」
「まさか…それだけの理由…?」
「あぁ…」
「…おでれーた…それだけで何人殺したんだよ…おでれーた…」
さすがにその発言にはデルフも思わず絶句せざるを得なかった
翌日、学院はモット伯邸宅で起こった何者かによる襲撃事件についての噂でもちきりだった
噂は、謎の化物の襲撃で邸内にいたほとんどの人間が殺害されてしまった。モット伯もその一人であり
自室で心臓に大鎌が突き刺さった状態で発見された、という内容だった、
蒼いコートを纏った人物が、という言葉が出てこず心の底から安堵するルイズ、これなら面倒毎にはなるまい。
シエスタも雇われた先の人間が殺されたとあって、学院に再配属になった。
さらにシエスタのバージルに対する認識が変わり、わだかまりも消えた
バージルに至ってはいつもと同じだが…
全ては元の鞘に戻り、いつもの学院生活にもどったのだった。
バージルが廊下歩いていると、向こう側からタバサが近づいてくる
「悪魔との戦い」
先日とは違い、今度はバージルが話しかける
「楽しめたか?」
その問いにコクリと頷く
「いい経験になった」
あの悪魔の群れとの戦い
悪魔は手強く、狡猾で、残忍だ、そんな化け物と戦いそして生き残った
それは今まで以上にタバサを成長させた。
「もっと力が欲しい…」
そう呟く、この男について行けば、より大きく自身の成長につながり
目的へと前進する、この男の技術を自分のものにできれば…。
そう思いながら歩き去るバージルを見送った。
#navi(蒼い使い魔)
#navi(蒼い使い魔)
一方その頃、モット伯邸内では…
モット伯は自室のソファに腰掛け優雅にワインを味わっていた
久しぶりの上物だ、どのようにして愉しもうか、
数多くの若い娘を召抱え味わって来たがあの娘はそのなかでもいい体つきをしている
顔も悪くない、そう考え一気にワインを煽る
その時、モット伯のドアがコンコンッとノックされ先ほど呼びつけた若い娘の声がする
「シエスタでございます」
「入れ」
そう命ずるとかなり際どい格好をしたシエスタが入ってきた
その顔は何かに怯えるように青くなっている。
「おぉ来たか、待っておったぞ、こっちだ」
そう嬉しそうにモット伯はシエスタを手招きする
シエスタが覚悟を決めモット伯に近づいて行く、その時、ドンドンとドアが激しくノックされた
「なんだ?」
これから久しぶりの上物を愉しもうとしているところを邪魔され不愉快そうにドアを見る
「大変です!賊がッ!ばっ化け物が侵入しました!」
「化け物だと!?どういうことか報告しろ!」
報告では突如死神の様な化け物が現れ使用人や衛兵を殺している、
それを蒼いコートを纏った長身の男が衛兵もろとも斬り倒しながらこちらに向かって進んでいるとのことだった。
蒼いコート、その言葉を聞きシエスタが呟く
「まさか…バージルさん…?」
そんなはずはない、だってあの時バージルさんを怒らせてしまったんだ、それなのに助けに来てくれるはずはない…。
そうシエスタが俯きバージルのことを考えるその横でモット伯は狼狽していた。
「はっ、早くなんとかしろ!化け物と賊を食い止めろ!」
そうドアの前の使用人に言い放ち杖を取る。
だがその返答が返ってくることはなかった、
ドアを破るように飛び込んでくる使用人の死体
その体には無数の鎌が突き刺さっている。
「キャアアアアアア!!!」
部屋にシエスタの悲鳴が響き渡る、その声に反応するかのように部屋に悪魔が入ってくる
その姿は手に大鎌を携えまさに死神の姿をしていた。
外では腰をぬかし立ち上がれないルイズを庇う様にタバサが一人悪魔の群れを相手に奮闘していた
氷の槍を飛ばし悪魔を串刺しにし、風を巻き起こし吹き飛ばす。
「何よ…私だけ…」それを見てルイズは呟く
―守ってもらってばかりじゃない、あの時バージルは私を見ずタバサにここは任せると言った
つまり数にもいれられてない、貴族として助けにいく、そんな大見得切っておきながら戦いもせず腰を抜かしている
そう考えると情けなくなる。
討ちもらした一体がタバサに襲い掛かる、鎌がタバサに突き刺さるその刹那
「フライ!」
その詠唱と共に悪魔が爆発した
タバサが驚いて後を見る、そこには杖を構え立つルイズの姿があった
「私だって…戦うわ!バージルはあんただけに任せるって言ったんじゃないんだから!」
タバサは小さく頷くとルイズと共に悪魔へと向き直り魔法を放った。
「なっ、なんなんだコイツは!」
部屋へ入って来た悪魔を見てモットが叫ぶ、
ゆっくりと歩み寄ってくる悪魔に向かい杖を向ける、その瞬間
―キィンッ!「ギャアッ!」
歩み寄って来た悪魔が真っ二つになり崩れ落ちる、そこには蒼いコートを羽織った男が立っていた
「だっ、誰だ貴様は!」
「バージルさん!どうして!?」
二人は一瞬で悪魔を斬り殺した男に向かって叫ぶ
「貴様がモットだな?死ね」
バージルはそう言うと閻魔刀に手をかける
「なっなんだと!?この化け物どもを呼び寄せたのは貴様だな!?」
「フン、あれは貴様の欲望が呼び寄せただけだ、奴らが消える方法は貴様が死ぬことだけだ」
「たわごとを!貴様のような平民に殺されるような私ではない!
私の二つ名は『波涛』!『波涛』のモット!トライアングルのメイジだ!」
「だからどうした、貴様は死ぬ、それだけだ」
その挑発に反応しモットは水を生み出す
水が竜の如く舞い上がり、渦を巻きながらバージルに殺到した。
ズッバァーン!とバージルに水がぶちあたる
「まだ終わらんぞ!」
そうモットは吠え水を氷の槍に変えバージルに向け発射する
部屋の壁は崩壊し土煙りが上がりどうなったかは確認できない
だが、あれほどの攻撃を受けたのだ、普通の人間ならメイジであろうと無事ではいまい
それを見たシエスタは気を失ってしまう。
「ハァハァ…、フン!平民が貴族に敵うとでも―「それで終わりか?」」
土煙りが収まると腕を組み詰まらなそうにモットを見るバージルの姿があった。
「ばっ、バカな!あれほどの攻撃を受けてなぜ立っていられる!?」
それを見たモットは驚き声をあげる。
「あれが攻撃?失望だな…」
そう言うとモットに向かってバージルは悠然と歩きながら距離を詰める
向かってくるバージルにモットは魔法を放つもそのすべてがバージルにかすりもしない、
―ゴッ!
モットの目の前に立ったバージルは閻魔刀の鍔でモットの頭を打ち抜く
予備動作なしで飛んできたバージルの攻撃にモットが反応できるはずもなく
もろに一撃をもらい錐揉み状態になりながら壁に叩きつけられる。
「ぐっ…うっ…」
モットが顔をあげると目の前には案の上閻魔刀の切っ先が突き付けられていた。
「ま…待ってくれ!助けてくれ!」
「それは無理だ」
必死に命ごいをするモットを冷たい目で見ながらバージルは答えた
「そうか!金だな?いくらだ?幾らでも払うぞ!」
「だめだ、気が乗らん」
「この屋敷にあるものならなんでも持って行ってもいい!だから助けて―」
そう言い切る前に閻魔刀をモットの心臓に深く突き立て、捻る。
「ぐぁっ…あぁっ…」
そう短く呻くとモットはあっけなく絶命した。
モット伯の絶命と同時に邸内の悪魔の気配が急速に消えていくのがわかった
「ひゅ~相棒、相変わらずえげつないねぇ、でも貴族殺しちまったな?どうするんだ?」
「フン、こうすれば問題ない、おそらく屋敷から逃げだせた人間も存在するだろう、
状況を見れば下手人は悪魔、そう言うことになる」
そう言いながらヘル=ラストが握っていた鎌をモット伯の遺体にドッ!と突き立てる。
「死人に鞭打つか…おめーはどこまでも悪魔だな…」
「…帰るぞ」
そういうと気を失っているシエスタの首根っこを持って引きずるようにその場を後にした。
「来た」
「バージル!」
庭に出たバージルをルイズとタバサが出迎える。
「フン、生きていたか」
「生きてるわよ!っていうかあんたはっ!?っ・・・シエスタは無事だったの!?」
「この通りだ」
そう言いながら気絶したシエスタを放り投げる
「うっ…うぅ~ん」
「ちょっ!どこの世界に気を失ってる女の子を放り投げるやつがいるのよ!
もうちょっと丁寧に扱ってあげなさいよ!」
そう言いながらルイズはシエスタを抱えると放り投げられた衝撃かシエスタが目を覚ます。
「あれっ?ミス・ヴァリエールにミス・タバサ…バージルさん…あの…これは一体?」
「目を覚ましたわね、あんたを助けにきたのよ、散々な目にあったけどね」
「えぇっ!?そんな!私のために!あのっ!モット伯は!?」
「そうよ!モット伯は!?まさかあんた…」
最も重要なことを思い出しルイズはバージルに訪ねる、まさかこの男殺してはいないだろうか?
もし殺していたら一大事だ。
「フン、当ぜ―「あぁー、いやいや、モット伯ならあの化け物共に殺されちまってたよ!おでれーたなあれはー!」」
と急いでデルフがハッタリを利かせる。
「そっ、そう!ならいいんじゃない?あんたが殺してないならね…
でも…なんだったのかしら?あの化け物…急に砂になって消えちゃうし」
「さっきも言ったが、あれは色欲を司る下級悪魔だ」
「消えたのは?」
「奴等の目的、モットが死んだからだ、今頃モットは地獄でよろしくやってる所だろう」
その話を聞き三人は押し黙る
「あんなの…いままで見たことなかったわ…タバサは?」
「見たことない」
「そこまでだ、貴様らはあの竜に乗って帰れ、俺は歩いて帰る」
そう言うとさっさと邸宅の門に向かってバージルはさっさと歩きだす
その背中にシエスタが声をかけた
「あのっ!バージルさん!助けてくれて…ありがとうございました!」
「……」
無言のまま立ち去るバージルに向かいシエスタは深々と頭を下げた。
「まぁ、アイツはあーゆーやつだから…あんまり気にしないで」
とさすがにフォローに回るルイズであった。
「なぁ、相棒、思う事があるんだ」
「なんだ」
学院へと戻るバージルにデルフが話しかける。
「お前さんのそのルーンのことだが、どうもお前さんにあまり力を貸してないみたいだな」
「どういうことだ」
「通常使い魔のルーンってのは、元々主人に従順になるように働きかける力があるんだ、相棒のルーンはそれプラス
なんらかの特典がついてくるはずなんだがね、だが相棒の場合、そのルーンの力の大部分が従順になる力に費やされているみたいだな」
「何が言いたい」
「お前さん、あの娘っ子に全然心を開いてないだろ?」
「…」
図星である、事実バージルは召喚されてからルイズのことを一度も名前で呼んでいない。
自分から語りかけることすら稀である。形式上従っているだけであり心を開いているわけではない。
「つまり、このルーンの本当の力を引き出したければあの小娘に心を開けと?」
そう言うと忌々しい表情でルーンを見つめるバージル
「そういうことにならぁね、ま、相棒がいらないっていうなら俺はなんとも言わんよ?
相棒はこのルーンの力なんざなくったって恐ろしく強い、俺っちを使ってくれれば文句はないしな。」
そうカチカチと笑うようにデルフは音を立てた。
「いい機会だ、もう少しあの嬢ちゃんに少し心を開いて見た―「気にいらん」」
一蹴されてしまった。
「ハァ…しっかし、主人も主人なら、使い魔も使い魔だぁね…」
と、デルフが小さくぼやいた。
「しかし相棒、どうしてあのメイドの嬢ちゃんを助けようと思ったんだ?いつものお前さんなら無視しそうなもんなんだが」
「フン、奴がいなくなったら誰があの小娘の洗濯をするんだ」
「まさか…それだけの理由…?」
「あぁ…」
「…おでれーた…それだけで何人殺したんだよ…おでれーた…」
さすがにその発言にはデルフも思わず絶句せざるを得なかった
翌日、学院はモット伯邸宅で起こった何者かによる襲撃事件についての噂でもちきりだった
噂は、謎の化物の襲撃で邸内にいたほとんどの人間が殺害されてしまった。モット伯もその一人であり
自室で心臓に大鎌が突き刺さった状態で発見された、という内容だった、
蒼いコートを纏った人物が、という言葉が出てこず心の底から安堵するルイズ、これなら面倒毎にはなるまい。
シエスタも雇われた先の人間が殺されたとあって、学院に再配属になった。
さらにシエスタのバージルに対する認識が変わり、わだかまりも消えた
バージルに至ってはいつもと同じだが…
全ては元の鞘に戻り、いつもの学院生活にもどったのだった。
バージルが廊下歩いていると、向こう側からタバサが近づいてくる
「悪魔との戦い」
先日とは違い、今度はバージルが話しかける
「楽しめたか?」
その問いにコクリと頷く
「いい経験になった」
あの悪魔の群れとの戦い
悪魔は手強く、狡猾で、残忍だ、そんな化け物と戦いそして生き残った
それは今まで以上にタバサを成長させた。
「もっと力が欲しい…」
そう呟く、この男について行けば、より大きく自身の成長につながり
目的へと前進する、この男の技術を自分のものにできれば…。
そう思いながら歩き去るバージルを見送った。
#navi(蒼い使い魔)
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: