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#navi(虚無と狂信者)
教皇庁生物学研究所より再生能力強化用製剤及び当該研究データの全てが奪われ、研究者
十五名が殺害される。遺体の状況から吸血鬼の犯行であると判断し、13課が捜査開始。
二年間の捜査の後構成員二名が行方不明。その後10年間の捜査の結果、進展が認めら
れず捜査の終結を決定する。当製剤唯一の被験者であるアレクサンド・アンデルセン神父
「一体ここどこだ?」
平賀才人は視界に突然現れた森に茫然とする。それもそうだ、今まで東京に居たんだから。
上を見ると月が二つある。彼は笑って言う。
「夢だなこりゃ。」
「「私の使い魔しらない?」」
ルイズとキュルケは二人同時に話しかける
「あなた、リンゴの香水?それ。」
強い匂いにルイズは顔をしかめた。その途端キュルケが震えだす。常に冷静なゲルマニア
の娘の取り乱した姿に、只ならぬものを感じたルイズは話題をそらす。
「そうね…、ねえ、あれ何。」
二人はその光景に絶句する。向こう側の塔の側に巨大なゴーレムが立っていた。
「まさか土くれのフーケ?」
ゴーレムの上には二人の人間が立っていた。一人は黒いローブを着て長い筒を持ち、
一人は白いスーツを着て銀の箱を小脇に抱えた。彼女達はすぐさま向かった。
アーカードとアンデルセン、異世界から来た二人はゴーレムではなく、そこに立つ人間に
注目した。白いスーツを着た男に。
「伊達男」
二人は解き放たれたように走り出した。
「待ちなさい。」
撤退するゴーレムの前にルイズが立ちはだかる。ゴーレムは構うことなく突き進もうとする。
「ファイアーボール。」
爆発が起こりゴーレムの左足を抉った、失敗魔法の威力は本物のファイアーボールを凌駕する。
その威力に驚愕したのかゴーレムの動きが止まり、続けさまに横から現れたキュルケが炎
で追撃。ゴーレムは転倒する。伊達男はすぐさま飛び立ち塔の上に登った。そのあまりの
身体能力に二人の少女とフーケさえも驚いた。しかし、伊達男は三人以上の衝撃を受ける。
向かってくる二人の男に、その一方は自分を屠った相手。トバルカインは払って置いた保険
に感謝した。
「ではさよならフーケさん。さよならセニョリータ。」
彼は指を鳴らした。森から三つの影が飛び出した。
三人の男は人を超越した速度でルイズ達に迫る。ルイズは錬金をしようとするがその隙すら
無く押し倒された。ルイズを恐れさせたのはその後だ。男の口に生える牙に。キュルケも
また似たような状況になる。男たちは彼女らの首に吸い付こうとする。恐怖に目を瞑った
その時、爆音が響いた。アーカードがキュルケの上の男の頭に銃を撃ったのだ。さらに、
ルイズの上の男の首がぼとりと落ちた。ルイズは慌ててその死体を押しのけた。火事場の
馬鹿力というものだろう。彼女は慌てる頭でそれが自分の使い魔のしたことだときづいた。
彼は真っ直ぐに残った男を見据えている。笑みを浮かべて
残った男は四人に対した。黒い布を纏い姿は見えないその手にはナイフが握られている。アンデルセンとアーカードはすぐにその男が他とは別格の力を持つと見抜いた。二人は目
配せする。アンデルセンは聖書を飛ばし自分の体を包みかき消した。光るページの群れが
トバルカインを追う。アーカードはキュルケとルイズに後退を促し男と対峙する。男は呪
文を唱えた。
濁流が剣の先から沸き起こりアーカードを襲う。アーカードは横っ飛びでかわし弾丸を撃
つ。男はそれらをナイフで弾き続けざまに呪文を放つ。氷の刃が襲いアーカードに突き刺
さった。キュルケは戦慄を覚えた。男の魔力はトライアングルである親友のタバサに匹敵
する。しかも男の身体能力から明らかに吸血鬼であろう。では同じくトライアングルであ
る自分
は勝ち目がほとんど無い。首筋を汗が伝う。男を見た。彼はさらに氷の矢をアーカードに
叩き込む。そしてアーカードの死体を凍らした。それでも彼はアーカードを見据える。挽
肉の様になり凍った物に未だ警戒を解かない。どこからか蝙蝠が舞い降りる。キュルケは
気づいた。凍らされた物がどす黒くなって腐っているのを、蝙蝠が舞、人を形つくり、ア
ーカードが姿を表す。その顔に浮かぶは、狂った笑いだ。
「素晴らしい、お前を危険度A級の吸血鬼と見なそう。」
拘束制御術式を解放する。彼の体に目が現れる。巨大な複数の目だ。キュルケはそれよりも
アーカードの両眼にこそ恐怖した。
「見せてやろう、本物の吸血鬼の闘争を!」
彼から巨大な犬が飛び出した。その牙が男を襲う。彼はかわそうとするが、左手を食い千
切られた。男は苦しげに呻いた。
「さあ、お楽しみはこれからだ!傷を回復しろ!使い魔を出せ!魔法を使え!姿を霧に変
えろ!ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!」
男は背中を向け、悲鳴を上げ逃げようとする。アーカードは怒りを露わにする。
「つまらん!お前も雑魚供と…同じか!」
ヴァスカビルの犬が襲う。それは確かに男に喰いついた。最後男は何かしたかに見えたが何も起こらなかった。
己の使い魔の異常性を見ながらキュルケは眼前で繰り広げられた闘争を思い直した。
(吸血鬼は私たちの世界のものじゃない。アーカードの世界のものだ。それが四体も?
一体何が起こってるって言うの?)
キュルケは白い男が持っていた銀の箱を思い出す。
(あれを奪いに彼らはここへ来た。)
ふと辺りを見回した。フーケがいない。おそらく逃げ出したのだろう。しかし、もう一つ
あるべき影が無い。
「ルイズ…?」
彼女の足跡は森へ続いている。
「あの馬鹿娘!」
件の少女は森を走りながら、息を切らし毒ついた。
「何よあいつ!ご主人様を置いてくんじゃないわよ!馬鹿使い魔!」
走るトバルカインの前の木に聖書のページが突き刺さる。驚きながらも振り返る。
その眼はミレニアムの中尉に相応しく闘争の歓喜に染まる。
「いいだろう!首切り判事!お前は我々のサンプルの一つとして列挙されるのだ!」
アンデルセンは十字に銃剣をかざし、いつものように言った。
「我らは神の代理人、神罰の地上代行者、我らが使命は我が神に逆らう愚者をその肉の最後の
一片までも絶滅すること。」
火花が散る。
「AMEN!!!」
#navi(虚無と狂信者)
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教皇庁生物学研究所より再生能力強化用製剤及び当該研究データの全てが奪われ、研究者
十五名が殺害される。遺体の状況から吸血鬼の犯行であると判断し、13課が捜査開始。
二年間の捜査の後構成員二名が行方不明。その後10年間の捜査の結果、進展が認めら
れず捜査の終結を決定する。当製剤唯一の被験者であるアレクサンド・アンデルセン神父
「一体ここどこだ?」
平賀才人は視界に突然現れた森に茫然とする。それもそうだ、今まで東京に居たんだから。
上を見ると月が二つある。彼は笑って言う。
「夢だなこりゃ。」
「「私の使い魔しらない?」」
ルイズとキュルケは二人同時に話しかける
「あなた、リンゴの香水?それ。」
強い匂いにルイズは顔をしかめた。その途端キュルケが震えだす。
常に冷静なゲルマニアの娘の取り乱した姿に、只ならぬものを感じたルイズは話題をそらす。
「そうね…、ねえ、あれ何。」
二人はその光景に絶句する。向こう側の塔の側に巨大なゴーレムが立っていた。
「まさか土くれのフーケ?」
ゴーレムの上には二人の人間が立っていた。一人は黒いローブを着て長い筒を持ち、
一人は白いスーツを着て銀の箱を小脇に抱えた。彼女達はすぐさま向かった。
アーカードとアンデルセン、異世界から来た二人はゴーレムではなく、そこに立つ人間に
注目した。白いスーツを着た男に。
「伊達男」
二人は解き放たれたように走り出した。
「待ちなさい。」
撤退するゴーレムの前にルイズが立ちはだかる。ゴーレムは構うことなく突き進もうとする。
「ファイアーボール。」
爆発が起こりゴーレムの左足を抉った、失敗魔法の威力は本物のファイアーボールを凌駕する。
その威力に驚愕したのかゴーレムの動きが止まり、続けさまに横から現れたキュルケが炎で追撃。
ゴーレムは転倒する。伊達男はすぐさま飛び立ち塔の上に登った。そのあまりの身体能力に二人の少女とフーケさえも驚いた。
しかし、伊達男は三人以上の衝撃を受ける。
向かってくる二人の男に、その一方は自分を屠った相手。トバルカインは払って置いた保険に感謝した。
「ではさよならフーケさん。さよならセニョリータ。」
彼は指を鳴らした。森から三つの影が飛び出した。
三人の男は人を超越した速度でルイズ達に迫る。
ルイズは錬金をしようとするがその隙すら無く押し倒された。
ルイズを恐れさせたのはその後だ。男の口に生える牙に。キュルケもまた似たような状況になる。
男たちは彼女らの首に吸い付こうとする。恐怖に目を瞑った
その時、爆音が響いた。アーカードがキュルケの上の男の頭に銃を撃ったのだ。
さらに、ルイズの上の男の首がぼとりと落ちた。ルイズは慌ててその死体を押しのけた。
火事場の馬鹿力というものだろう。彼女は慌てる頭でそれが自分の使い魔のしたことだときづいた。
彼は真っ直ぐに残った男を見据えている。笑みを浮かべて
残った男は四人に対した。黒い布を纏い姿は見えないその手にはナイフが握られている。
アンデルセンとアーカードはすぐにその男が他とは別格の力を持つと見抜いた。
二人は目配せする。アンデルセンは聖書を飛ばし自分の体を包みかき消した。光るページの群れがトバルカインを追う。
アーカードはキュルケとルイズに後退を促し男と対峙する。男は呪文を唱えた。
濁流が剣の先から沸き起こりアーカードを襲う。アーカードは横っ飛びでかわし弾丸を撃つ。
男はそれらをナイフで弾き続けざまに呪文を放つ。氷の刃が襲いアーカードに突き刺さった。
キュルケは戦慄を覚えた。男の魔力はトライアングルである親友のタバサに匹敵する。
しかも男の身体能力から明らかに吸血鬼であろう。では同じくトライアングルである自分は勝ち目がほとんど無い。
首筋を汗が伝う。男を見た。彼はさらに氷の矢をアーカードに叩き込む。
そしてアーカードの死体を凍らした。それでも彼はアーカードを見据える。挽肉の様になり凍った物に未だ警戒を解かない。
どこからか蝙蝠が舞い降りる。キュルケは気づいた。
凍らされた物がどす黒くなって腐っているのを、蝙蝠が舞い、人を形つくり、アーカードが姿を表す。その顔に浮かぶは、狂った笑いだ。
「素晴らしい、お前を危険度A級の吸血鬼と見なそう。」
拘束制御術式を解放する。彼の体に目が現れる。巨大な複数の目だ。キュルケはそれよりもアーカードの両眼にこそ恐怖した。
「見せてやろう、本物の吸血鬼の闘争を!」
彼から巨大な犬が飛び出した。その牙が男を襲う。彼はかわそうとするが、左手を食い千切られた。男は苦しげに呻いた。
「さあ、お楽しみはこれからだ!傷を回復しろ!使い魔を出せ!魔法を使え!姿を霧に変えろ!ハリー!ハリー!ハリー!ハリー!」
男は背中を向け、悲鳴を上げ逃げようとする。アーカードは怒りを露わにする。
「つまらん!お前も雑魚供と…同じか!」
ヴァスカビルの犬が襲う。それは確かに男に喰いついた。最後男は何かしたかに見えたが何も起こらなかった。
己の使い魔の異常性を見ながらキュルケは眼前で繰り広げられた闘争を思い直した。
(吸血鬼は私たちの世界のものじゃない。アーカードの世界のものだ。それが四体も?一体何が起こってるって言うの?)
キュルケは白い男が持っていた銀の箱を思い出す。
(あれを奪いに彼らはここへ来た。)
ふと辺りを見回した。フーケがいない。おそらく逃げ出したのだろう。しかし、もう一つ
あるべき影が無い。
「ルイズ…?」
彼女の足跡は森へ続いている。
「あの馬鹿娘!」
件の少女は森を走りながら、息を切らし毒ついた。
「何よあいつ!ご主人様を置いてくんじゃないわよ!馬鹿使い魔!」
走るトバルカインの前の木に聖書のページが突き刺さる。驚きながらも振り返る。
その眼はミレニアムの中尉に相応しく闘争の歓喜に染まる。
「いいだろう!首切り判事!お前は我々のサンプルの一つとして列挙されるのだ!」
アンデルセンは十字に銃剣をかざし、いつものように言った。
「我らは神の代理人、神罰の地上代行者、我らが使命は我が神に逆らう愚者をその肉の最後の一片までも絶滅すること。」
火花が散る。
「AMEN!!!」
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