「ゼロの女帝-02」(2008/07/25 (金) 18:37:32) の最新版変更点
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#navi(ゼロの女帝)
&setpagename(ゼロの女帝 第二話)
彼女は・・・神木・瀬戸・樹雷は屋根に座って杯を傾けながら星を見ていた。
主たるルイズの世話をするうち仲良くなったコックのマルト-に貰った酒は正直、意外に美味しい。
樹雷の味になれた自分の舌に合う酒がこんな未開の、辺境の地にあるとは思わなかった。
二つの月、というのは別に奇異には思わない。
樹雷の一員として幾多の星を巡り、様々な風景を見てきた。
97の衛星を持つ星があれば二つの衛星リングを建造している星もあったのだから。
しかし今彼女が思いを巡らせているのはルイズの事だ。
否、ルイズを正しく導く義務を持っているはずのコルベ-ルという教師の事だ。
錬金とやらの授業を見て、ルイズが失敗するのを見た。
そしてその後、コルベ-ルがルイズに対して行った補修とやらもみた。
正直この世界の魔法なるものは今ひとつ理解できない。
だがあれは違う、と感じる。
コルベ-ルは、ルイズが集めたエネルギ-をわざと制御出来ないよう煽り、故意に歪めて
暴発するよう仕向けたのは間違い無い。
ただ・・・それが何の為なのか。
悪意ではなさそうだ。
ルイズに敵意を持っているとも思えない。
機会があったら問いただしてみるべきか
杯を干しながら、彼女は推測を立てていた。
優しい、実直で生徒思いな教師の 真意を。
さて、召喚の儀式から数日が経った。
当初、いかなる騒ぎになるのかとハラハラしていたルイズだが、以外に普通に周囲に溶け込んでいるセトに
安堵と困惑を感じていた。
「ねえ、セト。あなた随分手馴れてるようだけど」
「こう見えても主婦ですからね、家事とか色々お手の物よ」
そういって笑いながら炊事選択掃除をするセト。
メイドやコックたちとも随分打ち解けてきたようだ。
コルベ-ル先生は、時折彼女を監視? 影から密かに見守っているようだけど。
「先生、何そんなにセトを見つめてるんです?
ひょっとして恋ですか?」
「・・・・・・いえ、彼女は・・・危険ではありませんが・・・恐ろしい人です。
多分・・・相手を『殺さない理由が無い』という理由で殺せる狂気を有している。
しかも、その狂気を制御できる人だ」
「?」
「あなた達には判らないでしょうし、判らないほうが幸せではありますがね
戦場・・・いやあらゆる状況において自分の狂気を制御できる人というのが
もっとも邪悪で、もっとも凶暴で、もっとも恐ろしく・・・そして最後に生き残る」
そんな先生の言葉を思い出しつつ、食堂でウェイトレスとして皿を運んでいるセトを見ながらクックベリ-パイを食べていた。
ど-でもいいけどセト、その年でメイド服はちとイタ「ルイズちゃん、何かよからぬこと考えてない?」
そ、そそそそ、そんな、めっそ-もありません
などとやっていると、向こうの方で騒ぎが起こった。
「二人のレディの名誉が」とか「君が機転を利かせて」などといった声が聞こえる。
あの色ボケギ-シュが二股ばれて、通りすがりの平民に責任なすりつけようとしてるんだろう。
やれやれ。
正直わたしは、この数日で随分変わったと思う。
魔法は使えない(らしい)けどなにかとてつもない、と思わせるセトに聞かせてもらったお話。
空気の無い海での悪党との戦い、優しい少女との友情、麗しいハンサムとのラブロマンス。
……………それがどの程度本当なのかは置いておいて、ハルケギニアにおいて至高の能力とされている魔法など
一歩外に出れば宴会芸の一つでしかないのだ、と理解した。
そして、彼女の紹介で幾人かの、かつて平民と蔑んだ人達と友達になれた。
マルト-なんかスゴい。
炎の魔法を自在に操るより美味しい料理を作ることのほうが数万倍偉いのだと、今は理解できる。
そして、最初に友達になってくれたメイドのシエスタに、あいつは言いがかりをつけてるようだ。
ここは一発、バカにふさわしくシメてやらねばなるまい。
「で、なぜあなたがしゃしゃり出てくるのかね」
「だって、あんまりギ-シュちゃんが無体な事ばかり言うんですもの」
どしゃあ!
豪快に食堂の床にイチロ-ばりのスライディングをかます。 ところでイチロ-って誰?
「何やってんのよセト!」
「ああ、いい所に来てくれたよルイズ。彼女を何とかしてくれないか」
いつのまにかシエスタに代わってセトがギ-シュの相手をしていた。
「でもね、このコがあんまり聞き分けないから」
「平民風情が貴族を子ども扱いするな!」
「あら、駄々こねちゃ駄目よ、良い子良い子」
「やめないかぁ!」
ありゃ馬鹿にしてるというか怒りを煽ってるというか・・・わざと怒らせてるように見える。
「こんな侮辱は我慢出来ない!決闘を申し込む!」
「おおっ!」
いやおでれ-た。
あのヘタレのギ-シュが平み・・・魔法を使えない人相手とはいえ決闘を申し込むほど度胸があるとは。
セトがあのホラ話の数万分の一でも強いのならヘタレ程度恐るるに足らないのでしょうけど。
「よろしい、その決闘受けましょう! ルイズちゃんが」
「あたしスかぁ?」
「そ-よ、ルイズちゃん。使い魔といえば主と一心同体。
主の危機は使い魔のピンチ。使い魔のおやつは主のおやつ。ならば使い魔が申し込まれた決闘は主が受けたも同然でしょ」
へ?そうなの?
ギ-シュも、何者とも知れない平民よりは無能とはいえ貴族と決闘した方が聞こえが良いって考えてるのが
見え見えな嫌らしい笑顔をしてる。
あんな笑顔は許せない!
「いいわ!その決闘、このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが受けた!」
あれ?何でこんな事になっちゃったんだろ・・・
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