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「紙袋の使い魔-07」(2008/06/28 (土) 13:23:36) の最新版変更点
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#navi(紙袋の使い魔)
「ファウストさん・・・それにミス・ヴァリエール・・・。私を庇って・・こんな事に
申し訳ありません・・・」
「アンタが謝る事は無いわ。それより・・・どうするのよファウスト?」
「ハイィ?何がですかね?」
「決闘の事よ。ギーシュを適当に諌めて事を終えようと思っていたのに」
「そうなんですか?こりゃまた失礼しました!しかし、彼のような少年には一度オシオキをして
あげないとダメです。そう。大人として!!」
「アンタ武器も無いんでしょう?前に言ってたメス?とかいうの。そりゃあんたはすごい法力使いなのは知ってるけど、お医者様なんだし、戦う手段はあるのかしら?」
「メスに関しては・・・無くともなんとかなるでしょう・・・。代用してもいいのですがネ。法力については多少は戦闘が出来る位には嗜んでいますので心配ご無用!!」
ファウストはルイズの様子を見ると、ニヤリとした。
「もしかして・・・心配してくれちゃったりします?」
「!?違うわよ!武器の代わりを探してきてあげようと思ってたのよ!!そのメスってのはどんな武器なの?」
「そうですねぇ・・・例えるなら槍って所ですかね?槍ねぇ・・・。まぁ良いわ。探して見る。それまで負けるんじゃ無いわよ!!」
ルイズはそういうと食堂の外へと走り去っていく。
ファウストはシエスタへと話しかける。
「まぁ、そんな感じです。ここは私に任せておいて下さいヨ!」
「しかし・・・。分かりました。私に・・ファウストさんの戦いを見届けさせてください!!」
「分かりました。近くで応援をお願いしますネ。それでは行きましょうか?私に掴まって下さい」
シエスタは傘を広げだしたファウストの行動に疑問を覚えたが、ほどなく彼の腕を掴んだ。
「それではっ。道案内お願いしますよぉ~」
彼はシエスタを抱きかかえるように空へと飛び上がると、彼女の耳元で告げた。
「ファウストさん!?メイジだったんですか!?」
「正確には違うのですが・・・・。同じようなモノです。ね、大丈夫そうでしょ?それで場所は・・・あちらですか?ではしっかりと掴まってて下さいねぇ~」
ヴェストリの広場は、魔法学院の敷地内「風」と「火」の搭の間にある。中庭で、日中もあまり日がささない場所にある決闘にはうってつけの場所だ。
普段はあまり人が居ない場所なのだが、今回は何処からか噂を聞きつけたか、野次馬で溢れかえっていた。
ギーシュは広場の中央。見渡しがよく何処からでも見える場所に一人薔薇を咥えて待っていた。
一人の生徒が空を見上げて叫ぶ。
「何かふってくるぞ!?」
上空から人型の物体が広場へと降りてくる。近づいてくるに連れ、それが彼の決闘の相手と、例のメイドだと分かる。
「秘密の・・・・ファウスト!」
「ようやく来たか!待ちくたびれたよ使い魔君。フライを使ってここまで来たという事は、君はメイジだったのだな。だが、使い魔程度がこの僕を侮辱した罪は消えない!」
ギーシュは、空から降りてきたファウストに対し驚いたが、怒りが驚きを上回っているのかそんな素振りは見せず、ファウストへと声高らかに宣言した。
「さぁ!決闘を始めるとしよう!」
ファウストは、シエスタを自分の後ろへ、下がらせるとギーシュの前へと進む。
「分かりました。さぁ、オペの始まりです!」
HEVENN
OR
HELL
LET’S! LOCK!!
「僕も君と同じくメイジだ。メイジ同士の戦いは先手必勝。攻めさせて頂く!ワルキューレっ!!!」
ギーシュは、手にした薔薇の花を振った。花びらが一枚宙に舞うと、甲冑を来た女戦士の形をした人形が現れる。
「僕の名はギーシュ。青銅のギーシュ。その名の通り青銅を操る術を得意とする。君の相手はこの青銅の女神、ワルキューレが勤めさせて頂く!!」
「フム・・。これがこの世界の魔法ですか・・・。召喚法?いえ、少し違うようですね。実に興味深い・・・」
「何をブツブツ呟いている!いけ!ワルキューレっ!!」
ワルキューレがファウストへ向かい突進を行う。
その勢いのまま、彼の顔へと拳を抉りこませた。
「あいやっ!」
ファウストは呻いて、後ろへと吹き飛ぶ。
「なんだね。まだ終わりという訳ではあるまい?立て!君もメイジなのであろう!君の魔法を見せてみたまえ!このまま終わってしまっては決闘とは呼べない!」
このような呆気ない幕切れを彼は望んではいない。自分を侮辱した使い魔を、全力で叩き潰す。そうしないと彼の傷ついたプライドは癒されない。
「なかなかにイイ攻撃です!びんびんときましたよ~。それではお言葉に甘えまして・・・出番ですよ!ちびファウストくん!」
ほぼ無傷と思われるファウストはさっと立ち上がると、彼自身に酷似したモノを放り投げた。
「何!?杖も無しに魔法を使うだと・・?まさか先住魔法を使うとでも言うのか・・・?しかしそのような小さいゴーレムでこの僕のワルキューレと戦おう等と・・・力の差を教えてやろう!!」
ギーシュと相対するメイジが杖も無く魔法を使う。この事実にヴェストリの広場は震撼とする。
だが、ギーシュは戦いの中にいる為、野次馬達ほど動揺せずに済んだ。
ファウストの姿に酷似したゴーレムを叩き潰す為、自らのワルキューレへと命を下す。
「やれ!ワルキューレ!そのゴーレムと共に奴を 叩き潰すんだ!」
所変わってここは学院長室。
ミスタ・コルベールは、冷静に彼の調べた結果をオールド・オスマンへと説明する。
ルイズが召喚した使い魔のルーン。それが伝説の使い魔、始祖ブリミルの使い魔である、ガンダールヴのルーンと同じモノである事を。
「ではミスタ・コルベール・・・君はその使い魔の人間を、ガンダールヴであると・・・そう言いたいのじゃな?」
「はい。その通りですオールド・オスマン。このようなルーンは他に見たことがありません」
「確かにルーンは同じじゃ。しかし、それだけで決め付けるのも早計かもしれん」
「それはそうですが・・・」
自分よりも冷静であるオールド・オスマンに諭され、言葉を繋げずにいると。
コンッコンッ・・・とドアがノックされる音が響く。
「誰じゃ?」
扉の向こうから、ミス・ロングビルの声が聞こえてきた。
「私です。オールド・オスマン」
「何のようじゃ?」
「ヴェストリの広場で、決闘している生徒がいるようです。教師も止めようとしたのですが
生徒たちに邪魔されているらしく、決闘は続いているようです」
「全く、暇な貴族ほど性質の悪い生き物はおらんな。で、誰が暴れておるんじゃ?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「あのバカ息子か。血は争えんのう。どうせ女がらみじゃろ?。相手は誰じゃ?」
「それがミス・ヴァリエールの使い魔だという話です・・・」
2人は顔を見合わせた。噂をすればなんとやら、先ほどの話の主たる人物が、急に話に出てきたからだ。
「教師たちからは、眠りの鐘を使用し決闘を止めるべきだ・・・と言った意見が出ている様です」
オールド・オスマンの目が、鷹の様に鋭く光った。
「ふん。秘法を使ってまで止める様なモノでもあるまい。勝手にやらせておきなさい」
「分かりました」
ミス・ロングビルが去っていく音が聞こえた。
「オールド・オスマン」
「うむ。偶然じゃが、いい機会じゃ。ミスタ・コルベール。先ほどの話の真相が分かるかもしれぬぞ?」
オールド・オスマンが杖を振ると壁の鏡に、ヴェストリの広場の様子が映し出された。
ギーシュは驚いていた。ワルキューレがファウストのゴーレムへとぶつかり合うと、ワルキューレは音を上げて崩れていった。
「何故だ!そんな小さいゴーレムに僕のワルキューレが力負けしたと言うのか!?」
その小さきゴーレム、名をちびファウストと呼んでいたモノは、トコトコとギーシュの元へと近づいてくる。
「ひっ!?ワルキューレ!」
手に持った薔薇を振り、ギーシュはさらに六体ものワルキューレを作り出す。
「物量戦というやつですか?それでは私も・・・皆さ~ん!出番ですよ!」
ファウストはさらに、ちびファウストを召喚した。そのままワルキューレの編隊へと皆で歩いていく。
先ほどと同じくワルキューレは砕け散り、残されたギーシュへと近づく。
「そ、そんな馬鹿な・・・僕のワルキューレ達が全滅・・・?それも瞬殺だと・・・」
考え込み、動きが止まっているギーシュの周りをちびファウスト達が囲み出した。
そのまま彼へと組み付くと、両手、両足へと引っ付いた。
「何をする気だ!?離せ!離したまえ!」
ギーシュは、手と足を振り解こうとしたがちびファウスト達はビクともしない。
そんな彼の元へ、目の前の、紙袋を被った男は歩み寄ってくる。
「何って・・・ナニに決まっているじゃないデスかぁ・・・大丈夫。痛くしませんよ・・・?」
怪しく目を輝かすファウストに、ギーシュは自分がどんな目にあってしまうか想像もつかない。
軽く身を震わせる・・・。
その時、決闘を見守る野次馬の列を掻き分けて一人の少女が彼らの元へ現れた。
「ファウスト!!武器を見つけてきたわよ!!受け取って!!」
ファウストは、自らの主人から槍を受け取ると、状態を確かめる。
「(どうやら模造品のようですね・・・まぁこれで十分でしょう・・・。おや?何故だか体にビンビンと力が沸いてくる気がしますねぇ・・・)ありがとう御座いますルイズさん。さすがは我が主・・・欲しいときに無い物を持ってきてくれるなんて私たちの絆は思ったより深いですヨォ!!」
突如現れたルイズに野次馬達はガヤガヤと話をしている。
「ゼロのルイズの奴・・・ギーシュは劣勢だってのに・・・鬼か奴は・・・?」
「どこからどう見てもあの使い魔の勝ちじゃない・・・そこに武器なんて・・・」
「よし!何一つ分からない!」
「ギーシュの奴・・・とんでも無いやつに戦いを挑んでしまったんだな・・・」
自分の登場と共に場から変な雰囲気を感じる。皆、自分を畏敬の念で見ている気がする。
「な、何?何なのよ・・・」
先ほど決闘場についたルイズは、ギーシュとファウストの決闘の状況を知らない。
ファウストと別れた後、急いで武器庫へと走っていった。
そこで槍を見つけると、ヴェストリの広場へと急ごうとしたのだが・・・。
彼女の想像以上に槍は重く(正確には模造品なのだが)、引きずって運んできた
おかげで意識も朦朧としていた。そんな状態なので当然ファウストに武器を渡す事しか
確認していない。
「そ~れではギーシュさん!!オ・シ・オ・キ・タ~イムのお時間ですよぉー」
「僕に何をする気なんだ!?僕を動けない状態にして・・・・」
「なーに。簡単なゲームですヨ!コレをみて下さい!」
パチッとファウストが指を鳴らすと、目の前に四つの宝箱が現れた。
「ウフフ!この四つの宝箱には一つだけ当たりがあります。それを当てれば貴方には何もしませんよ~」
「ほ、本当なのか・・・よし。分かった・・・少し時間をくれ・・・」
ギーシュの額に汗が流れる。何せ、この中から当たりをひくことが出来れば、このいい知れぬ恐怖から
解放されるのだ・・・。
ギーシュは己の意識を集中させた・・・。
「さぁ・・・お時間が来ましたヨ・・・答えをどうぞ・・・・」
「・・・・・右から二番目の宝箱だ!!」
「・・・・・・・ザ~ンネン!!それではイキますよ!!」
叫ぶと共に目の前からファウストの姿が消える。
次の瞬間彼のお尻から凄まじい衝撃が体中を走り抜けた!!
「!?モンモン、これには訳が!!」
ギーシュは、断末魔の叫びをあげると、その意識を手放した・・・。
「ビバ私!オペ終了、成功デス!」
彼はポーズを決めるとそう高らかに宣言した。
広場を何とも言えない雰囲気と静寂が支配していた、暫くして周囲からはギーシュへと駆け寄る者、
勝利者を祝う者、尻を押さえながら畏怖の視線を送る者達と、様々な者達の声に支配された。
オールド・オスマンとミスタ・コルベールは、遠見の鏡で一部始終を見終えると、顔を見合わせた。
「オールド・オスマン」
「何じゃね?ミスタ」
「勝ちましたね・・・。武器を使わず」
「一応トドメは武器じゃったがの・・・そんな事より魔法を使っておったな・・・」
「えぇ。杖も用いずに・・・」
「結局分かったのは先住魔法の様なモノが使えるって事だけじゃのう」
「はい。ガンダールヴたる力は確認出来ませんでした」
「どちらにせよ。彼が我々の知らぬ力を持っていることには変わるまいて。アカデミーの連中が
知ったらすぐさまやってくるじゃろうな」
オールド・オスマンはコルベールへと告げる。
「ミスタ・コルベール。この件はわしが預かる。他言は無用じゃ」
「かしこまりました。私もこの件に関しては、外部に漏れぬ様、指示に従います」
「うむ。頼んだぞ」
野次馬達が去った後、そこに残っていたのはルイズ、シエスタ、ファウスト、意識を失ったギーシュ、
モンモランシー、キュルケ、青い髪の少女達だけであった。
意識を失っていたギーシュは、目を開けるとぼんやりと呟いた・・・。
「ぼ、僕は・・・・いったい・・・どうしたんだ・・・?」
目を開けたギーシュにモンモランシーは声を気付くと、彼へと抱きつく。
「!?目が覚めたのねギーシュ!?良かった・・・」
「モンモランシー・・・どうしたんだい?僕に何かあったのかい?」
「覚えていないの?貴方、ルイズの使い魔と決闘を行って負けたんじゃない・・・。最後の一撃を受けて
意識を失ったのよ・・・」
ギーシュはハッとすると、その事実を思い出し、その使い魔の方へと向き直る。
「そうだったね。思い出したよ。僕は負けたのだな。完膚無きまでにやられたんだね・・・。だが、
僕の体には傷一つ付いていないようだ・・・。心なしか体の調子も良くなっているようだが・・・」
「ギーシュさん。貴方最近食欲が無かったでしょう?それに寝つきも悪い」
「何故それを君が知っているのかね?」
「治療しておきましたヨ。保険証は入りません?」
「どうやってそんな事を・・・」
「ファウストはお医者様なのよ。それも飛び切りのね」
説明役として板が付いてきたルイズは言う。
アメリカの超人やイギリスの超人にも直に追いつくだろう。
「そうなのか・・・。決闘を行った僕の体の調子を良くしてどうする気だね?」
「医者は治すのが仕事ですよ。ギーシュさん」
「フフフ・・・これは勝てない訳だよ。使い魔君。よかったら君の名前を聞かせて頂けないかな?」
「ファウスト・・・と申します」
「ファウスト・・・か。お医者様なら先生と付けなきゃいけないかな?」
「お好きにどうぞ。ギーシュさん。さて、貴方の健康状態もよくなり、決闘には一応私が勝ちました・・・」
ギーシュはキザッたらしくファウストへと手をやり、横にいるシエスタの前へと躍り出た。
「分かっているとも、ファウスト先生。メイド君、君の名前を聞かせて頂きたい」
シエスタは自分へ話が振られた事に驚いたが、すぐにギーシュへと向き合い。
「シエスタと申します」
と、告げた。
「シエスタ。すまない。貴族である僕が、美しいレディーである君に対して無礼を働いてしまった。
許しては貰えないだろうか?」
この言葉に周囲は驚く。プライドの塊の様な男、ギーシュが平民へと頭を下げたのだ。ムッとしたモンモランシーと謝られた張本人であるシエスタ以外のメンバーはその光景を見つめていた。
「はい。ギーシュ様。分かっていただければ結構ですわ」
「ありがとうシエスタ。君は本当に美しい。身も心もね。よく見れば、たわわに実った双丘も実に・・・
痛!痛いよモンモランシー!何をするのだね!?」
「何鼻の下伸ばしてるのよ!用件が済んだのならさっさといくわよ!!」
「へ?許してくれるのかねモンモランシー・・・」
「黙って行くわよ!」
耳を引っ張られて強引に連れて行かれる。途中、サワヤカに叫んでいった。
「ファウスト先生ー!また調子が悪くなったらお願いするよー!それではみんな、僕はおいとまさせて貰うよ!ハッハッハー・・・・」
「いっちゃったわね・・・」
「ええ、そうね。ところでミスタ・ファウスト。すごいわね。先住魔法を使えるお医者様なんて。
どう?ルイズの使い魔をやめて私に雇われてみないかしら?」
この聞き捨てならない台詞にルイズはキュルケへと噛み付くように叫ぶ!
「ちょっとキュルケ!人の使い魔になんて事言うのよ!ファウストが私を捨てる訳ないじゃない!!」
「フフ・・・冗談よ。冗談。さて、ルイズをからかうのはここまでにして・・・タバサ、行きましょうか?」
熱くなるルイズに比べ、楽しそうに笑ったキュルケは、近くにいる青い髪の女の子へと話しかけた。
その女の子はキュルケの声に反応せずに、ファウストへと話しかけた。
「貴方・・・何者?」
「私ですか?ファウスト・・・と申し・・」
「それは知ってる」
「そうでしたか?何者?と聞かれても困るものがありますねぇ~」
「あんな魔法見た事がない。それにそんなものを使う医者がいるとも」
「魔法?コレの事ですか?」
手をタバサに差し出すと。ちびファウストくんを彼女へと差し出す。
「これ・・・かわいい」
ちびファウストは頬を染め、タバサへと擦り寄る。
「ほう!貴女、タバサさんと申しましたか?このちびファウストくんの可愛さが分かるとはやりますね!
実にいいセンスですよ!この子も貴女を気に入った様ですし・・・どうです、暫く預かってみますか?」
「いいの?」
表情という表情を感じられない少女だが、この時少し嬉しそうな顔をするのを彼は見逃さなかった。
彼女の様子を見ていたキュルケも嬉しそうにしてそれを見ていた。
「・・・・ありがとう。ファウスト。先住魔法を使う医者・・・居てもいいと思う。」
以外に現金な娘のようだ。
キュルケに視線を向けると、その視線の意味を理解したキュルケと共にその場を去ろうとした。
「医者・・・。先住魔法を使う・・・。もしかしたら・・・」
人間の耳には聞き取れない様な声で呟く彼女の声だったが、ファウストの耳にはそれは届いていた。
彼女の目の奥に言い知れぬ悲しみを感じていた。
「タバサさん。心の傷は自分自身にしか癒す事は出来ない。だが、助けが要る限りは助力を惜しみません」
「!?分かった。覚えておく・・・」
「タバサ?何のこと?」
「別に・・・」
「そう・・・なら良いわ行きましょうか?それじゃぁルイズ、ミスタ・ファウスト。御機嫌よう」
そういうと、そのまま2人は去っていった。
残されたルイズとファウストも自分たちの自室へと戻っていった。
#navi(紙袋の使い魔)
#navi(紙袋の使い魔)
「ファウストさん・・・それにミス・ヴァリエール・・・。私を庇って・・こんな事に
申し訳ありません・・・」
「アンタが謝る事は無いわ。それより・・・どうするのよファウスト?」
「ハイィ?何がですかね?」
「決闘の事よ。ギーシュを適当に諌めて事を終えようと思っていたのに」
「そうなんですか?こりゃまた失礼しました!しかし、彼のような少年には一度オシオキをして
あげないとダメです。そう。大人として!!」
「アンタ武器も無いんでしょう?前に言ってたメス?とかいうの。そりゃあんたはすごい法力使いなのは知ってるけど、お医者様なんだし、戦う手段はあるのかしら?」
「メスに関しては・・・無くともなんとかなるでしょう・・・。代用してもいいのですがネ。法力については多少は戦闘が出来る位には嗜んでいますので心配ご無用!!」
ファウストはルイズの様子を見ると、ニヤリとした。
「もしかして・・・心配してくれちゃったりします?」
「!?違うわよ!武器の代わりを探してきてあげようと思ってたのよ!!そのメスってのはどんな武器なの?」
「そうですねぇ・・・例えるなら槍って所ですかね?」
「槍ねぇ・・・。まぁ良いわ。探して見る。それまで負けるんじゃ無いわよ!!」
ルイズはそういうと食堂の外へと走り去っていく。
ファウストはシエスタへと話しかける。
「まぁ、そんな感じです。ここは私に任せておいて下さいヨ!」
「しかし・・・。分かりました。私に・・ファウストさんの戦いを見届けさせてください!!」
「分かりました。近くで応援をお願いしますネ。それでは行きましょうか?私に掴まって下さい」
シエスタは傘を広げだしたファウストの行動に疑問を覚えたが、ほどなく彼の腕を掴んだ。
「それではっ。道案内お願いしますよぉ~」
彼はシエスタを抱きかかえるように空へと飛び上がると、彼女の耳元で告げた。
「ファウストさん!?メイジだったんですか!?」
「正確には違うのですが・・・・。同じようなモノです。ね、大丈夫そうでしょ?それで場所は・・・あちらですか?ではしっかりと掴まってて下さいねぇ~」
ヴェストリの広場は、魔法学院の敷地内「風」と「火」の搭の間にある。中庭で、日中もあまり日がささない場所にある決闘にはうってつけの場所だ。
普段はあまり人が居ない場所なのだが、今回は何処からか噂を聞きつけたか、野次馬で溢れかえっていた。
ギーシュは広場の中央。見渡しがよく何処からでも見える場所に一人薔薇を咥えて待っていた。
一人の生徒が空を見上げて叫ぶ。
「何かふってくるぞ!?」
上空から人型の物体が広場へと降りてくる。近づいてくるに連れ、それが彼の決闘の相手と、例のメイドだと分かる。
「秘密の・・・・ファウスト!」
「ようやく来たか!待ちくたびれたよ使い魔君。フライを使ってここまで来たという事は、君はメイジだったのだな。だが、使い魔程度がこの僕を侮辱した罪は消えない!」
ギーシュは、空から降りてきたファウストに対し驚いたが、怒りが驚きを上回っているのかそんな素振りは見せず、ファウストへと声高らかに宣言した。
「さぁ!決闘を始めるとしよう!」
ファウストは、シエスタを自分の後ろへ、下がらせるとギーシュの前へと進む。
「分かりました。さぁ、オペの始まりです!」
HEVENN
OR
HELL
LET’S! LOCK!!
「僕も君と同じくメイジだ。メイジ同士の戦いは先手必勝。攻めさせて頂く!ワルキューレっ!!!」
ギーシュは、手にした薔薇の花を振った。花びらが一枚宙に舞うと、甲冑を来た女戦士の形をした人形が現れる。
「僕の名はギーシュ。青銅のギーシュ。その名の通り青銅を操る術を得意とする。君の相手はこの青銅の女神、ワルキューレが勤めさせて頂く!!」
「フム・・。これがこの世界の魔法ですか・・・。召喚法?いえ、少し違うようですね。実に興味深い・・・」
「何をブツブツ呟いている!いけ!ワルキューレっ!!」
ワルキューレがファウストへ向かい突進を行う。
その勢いのまま、彼の顔へと拳を抉りこませた。
「あいやっ!」
ファウストは呻いて、後ろへと吹き飛ぶ。
「なんだね。まだ終わりという訳ではあるまい?立て!君もメイジなのであろう!君の魔法を見せてみたまえ!このまま終わってしまっては決闘とは呼べない!」
このような呆気ない幕切れを彼は望んではいない。自分を侮辱した使い魔を、全力で叩き潰す。そうしないと彼の傷ついたプライドは癒されない。
「なかなかにイイ攻撃です!びんびんときましたよ~。それではお言葉に甘えまして・・・出番ですよ!ちびファウストくん!」
ほぼ無傷と思われるファウストはさっと立ち上がると、彼自身に酷似したモノを放り投げた。
「何!?杖も無しに魔法を使うだと・・?まさか先住魔法を使うとでも言うのか・・・?しかしそのような小さいゴーレムでこの僕のワルキューレと戦おう等と・・・力の差を教えてやろう!!」
ギーシュと相対するメイジが杖も無く魔法を使う。この事実にヴェストリの広場は震撼とする。
だが、ギーシュは戦いの中にいる為、野次馬達ほど動揺せずに済んだ。
ファウストの姿に酷似したゴーレムを叩き潰す為、自らのワルキューレへと命を下す。
「やれ!ワルキューレ!そのゴーレムと共に奴を 叩き潰すんだ!」
所変わってここは学院長室。
ミスタ・コルベールは、冷静に彼の調べた結果をオールド・オスマンへと説明する。
ルイズが召喚した使い魔のルーン。それが伝説の使い魔、始祖ブリミルの使い魔である、ガンダールヴのルーンと同じモノである事を。
「ではミスタ・コルベール・・・君はその使い魔の人間を、ガンダールヴであると・・・そう言いたいのじゃな?」
「はい。その通りですオールド・オスマン。このようなルーンは他に見たことがありません」
「確かにルーンは同じじゃ。しかし、それだけで決め付けるのも早計かもしれん」
「それはそうですが・・・」
自分よりも冷静であるオールド・オスマンに諭され、言葉を繋げずにいると。
コンッコンッ・・・とドアがノックされる音が響く。
「誰じゃ?」
扉の向こうから、ミス・ロングビルの声が聞こえてきた。
「私です。オールド・オスマン」
「何のようじゃ?」
「ヴェストリの広場で、決闘している生徒がいるようです。教師も止めようとしたのですが
生徒たちに邪魔されているらしく、決闘は続いているようです」
「全く、暇な貴族ほど性質の悪い生き物はおらんな。で、誰が暴れておるんじゃ?」
「一人は、ギーシュ・ド・グラモン」
「あのバカ息子か。血は争えんのう。どうせ女がらみじゃろ?。相手は誰じゃ?」
「それがミス・ヴァリエールの使い魔だという話です・・・」
2人は顔を見合わせた。噂をすればなんとやら、先ほどの話の主たる人物が、急に話に出てきたからだ。
「教師たちからは、眠りの鐘を使用し決闘を止めるべきだ・・・と言った意見が出ている様です」
オールド・オスマンの目が、鷹の様に鋭く光った。
「ふん。秘法を使ってまで止める様なモノでもあるまい。勝手にやらせておきなさい」
「分かりました」
ミス・ロングビルが去っていく音が聞こえた。
「オールド・オスマン」
「うむ。偶然じゃが、いい機会じゃ。ミスタ・コルベール。先ほどの話の真相が分かるかもしれぬぞ?」
オールド・オスマンが杖を振ると壁の鏡に、ヴェストリの広場の様子が映し出された。
ギーシュは驚いていた。ワルキューレがファウストのゴーレムへとぶつかり合うと、ワルキューレは音を上げて崩れていった。
「何故だ!そんな小さいゴーレムに僕のワルキューレが力負けしたと言うのか!?」
その小さきゴーレム、名をちびファウストと呼んでいたモノは、トコトコとギーシュの元へと近づいてくる。
「ひっ!?ワルキューレ!」
手に持った薔薇を振り、ギーシュはさらに六体ものワルキューレを作り出す。
「物量戦というやつですか?それでは私も・・・皆さ~ん!出番ですよ!」
ファウストはさらに、ちびファウストを召喚した。そのままワルキューレの編隊へと皆で歩いていく。
先ほどと同じくワルキューレは砕け散り、残されたギーシュへと近づく。
「そ、そんな馬鹿な・・・僕のワルキューレ達が全滅・・・?それも瞬殺だと・・・」
考え込み、動きが止まっているギーシュの周りをちびファウスト達が囲み出した。
そのまま彼へと組み付くと、両手、両足へと引っ付いた。
「何をする気だ!?離せ!離したまえ!」
ギーシュは、手と足を振り解こうとしたがちびファウスト達はビクともしない。
そんな彼の元へ、目の前の、紙袋を被った男は歩み寄ってくる。
「何って・・・ナニに決まっているじゃないデスかぁ・・・大丈夫。痛くしませんよ・・・?」
怪しく目を輝かすファウストに、ギーシュは自分がどんな目にあってしまうか想像もつかない。
軽く身を震わせる・・・。
その時、決闘を見守る野次馬の列を掻き分けて一人の少女が彼らの元へ現れた。
「ファウスト!!武器を見つけてきたわよ!!受け取って!!」
ファウストは、自らの主人から槍を受け取ると、状態を確かめる。
「(どうやら模造品のようですね・・・まぁこれで十分でしょう・・・。おや?何故だか体にビンビンと力が沸いてくる気がしますねぇ・・・)ありがとう御座いますルイズさん。さすがは我が主・・・欲しいときに無い物を持ってきてくれるなんて私たちの絆は思ったより深いですヨォ!!」
突如現れたルイズに野次馬達はガヤガヤと話をしている。
「ゼロのルイズの奴・・・ギーシュは劣勢だってのに・・・鬼か奴は・・・?」
「どこからどう見てもあの使い魔の勝ちじゃない・・・そこに武器なんて・・・」
「よし!何一つ分からない!」
「ギーシュの奴・・・とんでも無いやつに戦いを挑んでしまったんだな・・・」
自分の登場と共に場から変な雰囲気を感じる。皆、自分を畏敬の念で見ている気がする。
「な、何?何なのよ・・・」
先ほど決闘場についたルイズは、ギーシュとファウストの決闘の状況を知らない。
ファウストと別れた後、急いで武器庫へと走っていった。
そこで槍を見つけると、ヴェストリの広場へと急ごうとしたのだが・・・。
彼女の想像以上に槍は重く(正確には模造品なのだが)、引きずって運んできた
おかげで意識も朦朧としていた。そんな状態なので当然ファウストに武器を渡す事しか
確認していない。
「そ~れではギーシュさん!!オ・シ・オ・キ・タ~イムのお時間ですよぉー」
「僕に何をする気なんだ!?僕を動けない状態にして・・・・」
「なーに。簡単なゲームですヨ!コレをみて下さい!」
パチッとファウストが指を鳴らすと、目の前に四つの宝箱が現れた。
「ウフフ!この四つの宝箱には一つだけ当たりがあります。それを当てれば貴方には何もしませんよ~」
「ほ、本当なのか・・・よし。分かった・・・少し時間をくれ・・・」
ギーシュの額に汗が流れる。何せ、この中から当たりをひくことが出来れば、このいい知れぬ恐怖から
解放されるのだ・・・。
ギーシュは己の意識を集中させた・・・。
「さぁ・・・お時間が来ましたヨ・・・答えをどうぞ・・・・」
「・・・・・右から二番目の宝箱だ!!」
「・・・・・・・ザ~ンネン!!それではイキますよ!!」
叫ぶと共に目の前からファウストの姿が消える。
次の瞬間彼のお尻から凄まじい衝撃が体中を走り抜けた!!
「!?モンモン、これには訳が!!」
ギーシュは、断末魔の叫びをあげると、その意識を手放した・・・。
「ビバ私!オペ終了、成功デス!」
彼はポーズを決めるとそう高らかに宣言した。
広場を何とも言えない雰囲気と静寂が支配していた、暫くして周囲からはギーシュへと駆け寄る者、
勝利者を祝う者、尻を押さえながら畏怖の視線を送る者達と、様々な者達の声に支配された。
オールド・オスマンとミスタ・コルベールは、遠見の鏡で一部始終を見終えると、顔を見合わせた。
「オールド・オスマン」
「何じゃね?ミスタ」
「勝ちましたね・・・。武器を使わず」
「一応トドメは武器じゃったがの・・・そんな事より魔法を使っておったな・・・」
「えぇ。杖も用いずに・・・」
「結局分かったのは先住魔法の様なモノが使えるって事だけじゃのう」
「はい。ガンダールヴたる力は確認出来ませんでした」
「どちらにせよ。彼が我々の知らぬ力を持っていることには変わるまいて。アカデミーの連中が
知ったらすぐさまやってくるじゃろうな」
オールド・オスマンはコルベールへと告げる。
「ミスタ・コルベール。この件はわしが預かる。他言は無用じゃ」
「かしこまりました。私もこの件に関しては、外部に漏れぬ様、指示に従います」
「うむ。頼んだぞ」
野次馬達が去った後、そこに残っていたのはルイズ、シエスタ、ファウスト、意識を失ったギーシュ、
モンモランシー、キュルケ、青い髪の少女達だけであった。
意識を失っていたギーシュは、目を開けるとぼんやりと呟いた・・・。
「ぼ、僕は・・・・いったい・・・どうしたんだ・・・?」
目を開けたギーシュにモンモランシーは声を気付くと、彼へと抱きつく。
「!?目が覚めたのねギーシュ!?良かった・・・」
「モンモランシー・・・どうしたんだい?僕に何かあったのかい?」
「覚えていないの?貴方、ルイズの使い魔と決闘を行って負けたんじゃない・・・。最後の一撃を受けて
意識を失ったのよ・・・」
ギーシュはハッとすると、その事実を思い出し、その使い魔の方へと向き直る。
「そうだったね。思い出したよ。僕は負けたのだな。完膚無きまでにやられたんだね・・・。だが、
僕の体には傷一つ付いていないようだ・・・。心なしか体の調子も良くなっているようだが・・・」
「ギーシュさん。貴方最近食欲が無かったでしょう?それに寝つきも悪い」
「何故それを君が知っているのかね?」
「治療しておきましたヨ。保険証は入りません?」
「どうやってそんな事を・・・」
「ファウストはお医者様なのよ。それも飛び切りのね」
説明役として板が付いてきたルイズは言う。
アメリカの超人やイギリスの超人にも直に追いつくだろう。
「そうなのか・・・。決闘を行った僕の体の調子を良くしてどうする気だね?」
「医者は治すのが仕事ですよ。ギーシュさん」
「フフフ・・・これは勝てない訳だよ。使い魔君。よかったら君の名前を聞かせて頂けないかな?」
「ファウスト・・・と申します」
「ファウスト・・・か。お医者様なら先生と付けなきゃいけないかな?」
「お好きにどうぞ。ギーシュさん。さて、貴方の健康状態もよくなり、決闘には一応私が勝ちました・・・」
ギーシュはキザッたらしくファウストへと手をやり、横にいるシエスタの前へと躍り出た。
「分かっているとも、ファウスト先生。メイド君、君の名前を聞かせて頂きたい」
シエスタは自分へ話が振られた事に驚いたが、すぐにギーシュへと向き合い。
「シエスタと申します」
と、告げた。
「シエスタ。すまない。貴族である僕が、美しいレディーである君に対して無礼を働いてしまった。
許しては貰えないだろうか?」
この言葉に周囲は驚く。プライドの塊の様な男、ギーシュが平民へと頭を下げたのだ。ムッとしたモンモランシーと謝られた張本人であるシエスタ以外のメンバーはその光景を見つめていた。
「はい。ギーシュ様。分かっていただければ結構ですわ」
「ありがとうシエスタ。君は本当に美しい。身も心もね。よく見れば、たわわに実った双丘も実に・・・
痛!痛いよモンモランシー!何をするのだね!?」
「何鼻の下伸ばしてるのよ!用件が済んだのならさっさといくわよ!!」
「へ?許してくれるのかねモンモランシー・・・」
「黙って行くわよ!」
耳を引っ張られて強引に連れて行かれる。途中、サワヤカに叫んでいった。
「ファウスト先生ー!また調子が悪くなったらお願いするよー!それではみんな、僕はおいとまさせて貰うよ!ハッハッハー・・・・」
「いっちゃったわね・・・」
「ええ、そうね。ところでミスタ・ファウスト。すごいわね。先住魔法を使えるお医者様なんて。
どう?ルイズの使い魔をやめて私に雇われてみないかしら?」
この聞き捨てならない台詞にルイズはキュルケへと噛み付くように叫ぶ!
「ちょっとキュルケ!人の使い魔になんて事言うのよ!ファウストが私を捨てる訳ないじゃない!!」
「フフ・・・冗談よ。冗談。さて、ルイズをからかうのはここまでにして・・・タバサ、行きましょうか?」
熱くなるルイズに比べ、楽しそうに笑ったキュルケは、近くにいる青い髪の女の子へと話しかけた。
その女の子はキュルケの声に反応せずに、ファウストへと話しかけた。
「貴方・・・何者?」
「私ですか?ファウスト・・・と申し・・」
「それは知ってる」
「そうでしたか?何者?と聞かれても困るものがありますねぇ~」
「あんな魔法見た事がない。それにそんなものを使う医者がいるとも」
「魔法?コレの事ですか?」
手をタバサに差し出すと。ちびファウストくんを彼女へと差し出す。
「これ・・・かわいい」
ちびファウストは頬を染め、タバサへと擦り寄る。
「ほう!貴女、タバサさんと申しましたか?このちびファウストくんの可愛さが分かるとはやりますね!
実にいいセンスですよ!この子も貴女を気に入った様ですし・・・どうです、暫く預かってみますか?」
「いいの?」
表情という表情を感じられない少女だが、この時少し嬉しそうな顔をするのを彼は見逃さなかった。
彼女の様子を見ていたキュルケも嬉しそうにしてそれを見ていた。
「・・・・ありがとう。ファウスト。先住魔法を使う医者・・・居てもいいと思う。」
以外に現金な娘のようだ。
キュルケに視線を向けると、その視線の意味を理解したキュルケと共にその場を去ろうとした。
「医者・・・。先住魔法を使う・・・。もしかしたら・・・」
人間の耳には聞き取れない様な声で呟く彼女の声だったが、ファウストの耳にはそれは届いていた。
彼女の目の奥に言い知れぬ悲しみを感じていた。
「タバサさん。心の傷は自分自身にしか癒す事は出来ない。だが、助けが要る限りは助力を惜しみません」
「!?分かった。覚えておく・・・」
「タバサ?何のこと?」
「別に・・・」
「そう・・・なら良いわ行きましょうか?それじゃぁルイズ、ミスタ・ファウスト。御機嫌よう」
そういうと、そのまま2人は去っていった。
残されたルイズとファウストも自分たちの自室へと戻っていった。
#navi(紙袋の使い魔)
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