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「紙袋の使い魔-05」(2008/06/22 (日) 13:23:08) の最新版変更点
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#navi(紙袋の使い魔)
トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番背が高い塔の中にあった。
百人は優に座れると思われる空間が広がっている。
ルイズは、自分と同じ色をしたマントをつけた集団へと指をさした。
「あそこが私たち二年生の席よ。ただ・・・この食堂は貴族のみが使う食堂なのよ・・・
ファウスト。申し訳ないけど、食事を用意させるから何処か別の場所で食べてきて貰える
かしら?」
「はいぃ。何処でもいいですぉ。それよりも私ハラペコで・・・」
「ちょっと待ちなさいな・・・そこのメイド。少しいいかしら?」
ルイズは、近くで給仕をしていた黒髪のメイドへと話しかけた。
「何でしたでしょうか?貴族様」
「一人前、別に食事を用意して欲しいのよ。私の使い魔のファウストの分を」
「使い魔・・・こちらの方でしょうか・・・?」
少女は先ほどから気になっていた紙袋を被った男性へと視線を向ける。
「ファウストと申します・・・お嬢さん・・・お名前は・・・?」
「シェスタと申しますわ。ミスタ・ファウスト」
「シェスタさん・・・。ハラペコな私に救いの手を・・・どうか・・・」
「わ、分かりました。貴族様。私たち給仕の食べる賄いの様な物でしたらすぐにご用意できますが」
「そう。それでいいわ。ね?ファウスト?」
ファウストを首を猛スピードで振り続けた。
「シェスタさん。貴女ホントいい人だぁー!!」
「それでは厨房に食べるスペースがありますのでこちらへ・・・」
ルイズはそれを一瞥すると。
「それじゃあ、ファウスト。御飯食べ終わったら外で待ってて頂戴ね」
「分かりましたヨ!ルイズさん!ささ・・・シェスタさん。レッツらゴーですぅ!」
食堂の裏手にある厨房へと案内される。
「ミスタ・ファウスト。少々お話をさせてもらってもよろしいですか?」
「えぇ。どうぞ。この紙袋に関してなら、これはオシャレということにしておいて下さい」
「い、いえ。何か事情がある事と存じ上げます。その事についてではなく・・・使い魔の事
なのですが・・・」
「あぁ~。そうですね。私は本当にルイズさんの使い魔ですヨ。人間の使い魔ってのは他に例が
無いらしいですがねぇ」
「ではミスタ・ファウストは特別なんですね」
「いえいえ。何処にでもいるありふれた医者ですよ。たまたま使い魔になっただけです」
医者という言葉にシェスタはハッとなると。
「ミスタ・ファウストはお医者様なのですか!?それは失礼致しました!!」
「そんなにかしこまる事は無いですよ。私は所謂ここでいう平民ってヤツですから」
「平民なのに使い魔でお医者様・・・。フフフ・・・変わってらっしゃるんですね・・・。
あ、すみません!私ッたら笑ったりなんかして・・・!」
「いいんですよシェスタさん。貴女はかしこまった顔をしているより笑っていた方がお似合いです」
シェスタは少し赤みがかった顔で笑う。
「お上手なんですね!ファウストさんは!」
この使い魔とお医者様は見た目に反してすごく親しみやすい。思わずシェスタもそう呼んでしまう。
「フフフ。あ、ここが厨房でになります。今コック長のマルトーさんを呼びますので」
シェスタが声をかけると、恰幅がいい男が近づいてきた。
「どうしたい!?シェスタ?」
シェスタはファウストの食事を用意する事をルイズより承った事と、ファウストについて説明をした。
「へぇ!あんた平民のお医者様なのに貴族の使い魔にされちまったのか!?そりゃ災難だったな俺の名はマルトー。ここのコック長をしてるもんだ。飯ならいくらだって食わせてやるさ!小食ぞろいの貴族に食わす位ならアンタに食べて貰ったほうが俺も嬉しいぜ!」
そういうとマルトーは、ファウストの肩を叩こうと・・・。
「あんたデカイ体してんなぁ!?飯の作りがいがあらあなぁ!ちょいとそこで待っててくんな!」
マルトーは厨房の奥へと戻ると、他のコックに指示を下した。間もなくしてファウストの下へと山盛りの食事が運ばれて来た。
「どうだい?ハラペコなんだろ?さ!遠慮はいらねぇ!ガツンといってくんな!」
「それでは遠慮なく・・・・。おひょー!!これは美味!実に美味ですよ!マルトーさん!!」
「へへ!そうだろう、そうだろう!」
見る見る内にファウストの前に並んだ皿は空になっていった。
「それにしてもいい食いっぷりだねぇ!惚れ惚れしちまうぜ!」
「グゥレイトォ!僕のようにでっかくなろう!!」
またいつでも来いと言うマルトーへ感謝の意を伝えると。シェスタ、コック達へ一礼し。厨房を後にした。
食堂の外で待っていると間もなくして食事を終えたルイズと合流した。
「ファウスト。お腹はいっぱいになったかしら?」
「えぇ。ありがとうございますルイズさん。皆さんいい人ばかりでまた来てもいいと言ってくださいましたよ」
「そう。なら次からの食事は大丈夫ね」
「はいぃ。ところでこれからどうなさるのですか?」
ルイズは、食堂から離れた搭へと目を向けると。
「あそこで搭ががあるでしょ?。これからあそこで魔法学院の授業があるのよ。勿論使い魔も一緒でね」
「ほう。それは興味深い。魔法の授業ですか」
「じゃぁ行きましょうか」
魔法学院の教室へと入ると、既に授業の開始を待つ生徒たちでいっぱいだった。
ルイズが教室へと入って来た事を確認した生徒たちがくすくすと笑い始めた。
少し離れた席に座っていたキュルケがこちらに気付くと、はぁ~いとばかりに軽く手を振っていた。
こちらも軽く手を振って対応した後、端の方の席へとついた。
「ファウスト。少し狭いと思うけど我慢して座ってね」
「大丈夫ですよ。私こう見えて判定小さいですから」
ルイズの後に入ってきた生徒達が席について暫くするとがらりとドアが開き、先生らしい中年の女性が部屋へと入ってきた。
「皆さん。おはようございます。春の使い魔召喚の儀式は、皆さん大成功だったようですね。
このシュヴルーズ、こうして春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
そういって彼女は教室を見渡した。
「おやおや、ミス・ヴァリエール・・・とても変わった使い魔を召喚したのですねぇ」
彼女のその一言を聞いた他の生徒たちが声を張り上げた。
「ゼロのルイズ!サモン・サーヴァントが上手くいかなかったからってそんなよく分かんない奴連れてくるなよな!」
「そうだぞ!ゼロのルイズ!いくら魔法成功率がゼロだからって、それは無いだろー!?」
「(そうですか・・・”ゼロ”とはそういう意味だったのですか・・・しかし・・・)お待ち下さい皆さん」
「お?ルイズの使い魔が喋ったぞー!?」
ファウストは、自身に刻まれたルーンを高々と掲げると。
「これを見てください。これは契約の証のルーンです。これが刻まれているという事はルイズさんは契約の魔法を成功させたと言うことです。」
そういうと、大半の生徒は何も言わなくなったが、まだ一部納得のいかない様子の生徒達が居た。
ファウストは彼らの方を向くと。
「皆さんは私が召喚された時に一緒に居たのですよね?ならばその時、あなた方の先生が何を言い、何をされていたかを見ている筈です。そう・・・あの時いらっしゃった男性の先生は私のルーンを確認し、それに満足して授業を終えられたのです。ルイズさんを疑うという事はあなた達の先生をも疑っていると言う事になるのですよ?」
さすがに自分たちの恩師であるコルベールの話を持ち出されたのでは彼らには分が悪い。
そんな様子を見ていたシュヴルーズは、コホンと席をすると杖を振った。
机の上に石ころがいくつか現れた。
「私の二つ名は「赤土」。「赤土」のシュヴルーズです。これから一年、皆さんに「土」の魔法を講義致します」
「それでは、ミス・ヴァリエール、魔法の四大系統はご存知ですね?」
「はい。「火」「水」「土」「風」の4つです」
「はい、その通りです。以上の4つに、今は失われた系統、「虚無」をあわせて5つの魔法系統が存在する事は皆さんもご存知の通りです」
「その5つの系統の中で、「土」は、最も重要な位置を占めると私は考えます。私が「土」属性のメイジだから
という身びいきではありません」
そう言いながら彼女はおっとりとした微笑を見せた。
「「土」は、万物の組成を司る、重要な魔法です。様々な金属の製造や加工、家屋などの建築には欠かせない魔法であり、農作物の育成や収穫などにも大きな役目を果たしています。「土」系統の魔法は、皆さんの生活に密接に関係しているのです」
彼女は先ほど出した石ころへと杖を向けると。
「今から、「土」系統魔法の基本である「錬金」の魔法を覚えてもらいます。一年生の時に既に覚えている人もいらっしゃるかもしれませんが、基本は重要です。もう一度おさらいを致しましょう」
彼女はそのまま呪文を呟くと石ころが光だした。
「ゴ、ゴ、ゴールドですか!? ミセス・シュヴルーズ!?」
「いいえ。これは真鍮ですよミス・ツェルプストー。ゴールドを錬金するには「スクウェア」クラスの実力が必要です。私は「トライアングル」にすぎませんから」
「ルイズさん。彼女が言っているスクウェアやトライアングルと言う言葉は、魔法の実力のランク付けの事ですか?」
「その通りよ。大抵は学生は一系統使える「ドット」、ニ系統の「ライン」、極稀に三系統の「トライアングル」なんかもいるわね」
「そうですね・・・。実際に誰かにやって貰いましょう。それでは・・・・ミス・ヴァリアール。こちらへいらっしゃって下さい」
シュヴルーズの一言に教室の雰囲気は変化した。
「先生!危険です!!」
「危険?何を言っているのですか?」
「先生はルイズを教えるのは初めてですよね?」
「そうですよ。彼女が努力家と言うことは聞いております。さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってみなさい。失敗を恐れていては前えと進めませんよ?それに失敗する事で得る物もあるのですから」
「どうなっても知りませんよ・・・」
「黙ってなさい。キュルケ。先生。やらせてください」
ルイズが魔法の準備に取り掛かると、生徒たちは次々と椅子や机の下に隠れていった。
「ミスタ・ファウスト。あなたも隠れないと危ないわよ?」
「どうしてですか?私は彼女の使い魔です。彼女のやる事を見届けるつもりですヨ」
ファウストがそう言ってルイズの方へと集中すると、彼女を中心に力の歪みが発生するのをファウストは目にした。
「!?イケない!ルイズさん!!」
ファウストは法力を用い、彼女の元へと転移するとその歪みが生じた力場を自らの体で覆い隠した。
間もなくその力場は爆発へと力を変わりファウストを包み込んだ。
「ファ、ファウスト!?」
ルイズが魔法を唱えた瞬間目の前にファウストが現れ、錬金しようとしていた石へと覆いかぶさった。
そして聞こえたのは大きな爆発音と、視界を覆う煙であった。
「大丈夫!?ファウスト!?ファウスト!?」
煙が晴れてくると、ファウストは頭をアフロヘアーへと変え立ち尽くしていた。
「大丈夫ですか?ルイズさん。お怪我は・・・」
その一言を聞いたルイズは意識を失った。
「ミス・ヴァリエール!?誰か!ミス・ヴァリエールを医務室に・・・」
シュヴルーズが混乱し生徒達へと話かけていると、ルイズを抱えファウストは歩き出した。
「大丈夫デスよ。彼女は私が介抱致しますので」
「ですが今の爆発であなたも・・・」
「私ですか?頭が燃えただけですよ。それでは先生。失礼しますネ」
彼女を抱え彼女の自室へと戻ったファウストは彼女が目が覚めるまで彼女の部屋で待っていた。
「・・・ん・・・?ここは・・・?」
「貴女の部屋ですよルイズさん」
「ファウスト!?怪我は無いの!?」
「えぇ。大丈夫ですよあの程度の爆発。いつも巻き込まれている物に比べれば軽いものです」
「・・・・そう。ごめんなさいね・・・。あんたが庇ってくれたお陰で私も先生も無傷ですんだわ・・・
フフフ・・・笑っちゃうでしょ?私はね、魔法を使うと爆発するのよ・・・成功したのはサモン・サーヴァント
とコントラクト・サーヴァントだけ。召喚したあんたが異世界の法力使いだってのに主である私は魔法もろくに
使えないゼロのルイズ・・・」
「ルイズさん。学生の本分は勉強です。失敗は付き物ですよ。これから頑張ればいいのですから。ただ、先ほどの魔法の際、一つ気になった事がありますね」
「なにがかしら?」
「先ほどの先生が魔法を使った時と、ルイズさんが魔法を使った時とで力の流れが違っていたのですよ。同じ魔法を唱えているのならその構成は一緒の筈です・・・。ですがそれが違った・・・」
彼の言っている意味がよく分からず。ルイズはキョトンとした表情をしている。
「つまりですね。ルイズさんの魔法は普通の人と違うのは無いのでしょうか?そう・・・根源たる物が違う様な気がするのです。私はこの世界の魔法に詳しくありませんから現在は原因不明ですが、法力を使ってアプローチしてみれば原因が究明できるかもしれませんね」
「私の失敗の理由が分かるの!?」
自分の今までの失敗に何か原因があるのではないかと言うファウストに対し思わず声を張り上げてします。
「まぁそれには、この世界の魔法の事を私が理解し、ルイズさんには少し法力について学んでもらう必要が・・・」
「やる!やるわ!!魔法が使えるようになるんなら!やって見せるわ!こっちの魔法の事に関してなら実技は無理だけど知識なら人より勉強した分あるわ!だから・・・」
「では、お互いに勉強と言うわけですね。お願いしますね。ルイズさん」
「こちらこそお願いするわ」
それから2人はルイズの部屋でお互いの情報を交換する日々が続くのであった。
#navi(紙袋の使い魔)
#navi(紙袋の使い魔)
トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番背が高い塔の中にあった。
百人は優に座れると思われる空間が広がっている。
ルイズは、自分と同じ色をしたマントをつけた集団へと指をさした。
「あそこが私たち二年生の席よ。ただ・・・この食堂は貴族のみが使う食堂なのよ・・・
ファウスト。申し訳ないけど、食事を用意させるから何処か別の場所で食べてきて貰える
かしら?」
「はいぃ。何処でもいいですぉ。それよりも私ハラペコで・・・」
「ちょっと待ちなさいな・・・そこのメイド。少しいいかしら?」
ルイズは、近くで給仕をしていた黒髪のメイドへと話しかけた。
「何でしたでしょうか?貴族様」
「一人前、別に食事を用意して欲しいのよ。私の使い魔のファウストの分を」
「使い魔・・・こちらの方でしょうか・・・?」
少女は先ほどから気になっていた紙袋を被った男性へと視線を向ける。
「ファウストと申します・・・お嬢さん・・・お名前は・・・?」
「シェスタと申しますわ。ミスタ・ファウスト」
「シェスタさん・・・。ハラペコな私に救いの手を・・・どうか・・・」
「わ、分かりました。貴族様。私たち給仕の食べる賄いの様な物でしたらすぐにご用意できますが」
「そう。それでいいわ。ね?ファウスト?」
ファウストを首を猛スピードで振り続けた。
「シェスタさん。貴女ホントいい人だぁー!!」
「それでは厨房に食べるスペースがありますのでこちらへ・・・」
ルイズはそれを一瞥すると。
「それじゃあ、ファウスト。御飯食べ終わったら外で待ってて頂戴ね」
「分かりましたヨ!ルイズさん!ささ・・・シェスタさん。レッツらゴーですぅ!」
食堂の裏手にある厨房へと案内される。
「ミスタ・ファウスト。少々お話をさせてもらってもよろしいですか?」
「えぇ。どうぞ。この紙袋に関してなら、これはオシャレということにしておいて下さい」
「い、いえ。何か事情がある事と存じ上げます。その事についてではなく・・・使い魔の事
なのですが・・・」
「あぁ~。そうですね。私は本当にルイズさんの使い魔ですヨ。人間の使い魔ってのは他に例が
無いらしいですがねぇ」
「ではミスタ・ファウストは特別なんですね」
「いえいえ。何処にでもいるありふれた医者ですよ。たまたま使い魔になっただけです」
医者という言葉にシェスタはハッとなると。
「ミスタ・ファウストはお医者様なのですか!?それは失礼致しました!!」
「そんなにかしこまる事は無いですよ。私は所謂ここでいう平民ってヤツですから」
「平民なのに使い魔でお医者様・・・。フフフ・・・変わってらっしゃるんですね・・・。
あ、すみません!私ッたら笑ったりなんかして・・・!」
「いいんですよシェスタさん。貴女はかしこまった顔をしているより笑っていた方がお似合いです」
シェスタは少し赤みがかった顔で笑う。
「お上手なんですね!ファウストさんは!」
この使い魔とお医者様は見た目に反してすごく親しみやすい。思わずシェスタもそう呼んでしまう。
「フフフ。あ、ここが厨房でになります。今コック長のマルトーさんを呼びますので」
シェスタが声をかけると、恰幅がいい男が近づいてきた。
「どうしたい!?シェスタ?」
シェスタはファウストの食事を用意する事をルイズより承った事と、ファウストについて説明をした。
「へぇ!あんた平民のお医者様なのに貴族の使い魔にされちまったのか!?そりゃ災難だったな俺の名はマルトー。ここのコック長をしてるもんだ。飯ならいくらだって食わせてやるさ!小食ぞろいの貴族に食わす位ならアンタに食べて貰ったほうが俺も嬉しいぜ!」
そういうとマルトーは、ファウストの肩を叩こうと・・・。
「あんたデカイ体してんなぁ!?飯の作りがいがあらあなぁ!ちょいとそこで待っててくんな!」
マルトーは厨房の奥へと戻ると、他のコックに指示を下した。間もなくしてファウストの下へと山盛りの食事が運ばれて来た。
「どうだい?ハラペコなんだろ?さ!遠慮はいらねぇ!ガツンといってくんな!」
「それでは遠慮なく・・・・。おひょー!!これは美味!実に美味ですよ!マルトーさん!!」
「へへ!そうだろう、そうだろう!」
見る見る内にファウストの前に並んだ皿は空になっていった。
「それにしてもいい食いっぷりだねぇ!惚れ惚れしちまうぜ!」
「グゥレイトォ!僕のようにでっかくなろう!!」
またいつでも来いと言うマルトーへ感謝の意を伝えると。シェスタ、コック達へ一礼し。厨房を後にした。
食堂の外で待っていると間もなくして食事を終えたルイズと合流した。
「ファウスト。お腹はいっぱいになったかしら?」
「えぇ。ありがとうございますルイズさん。皆さんいい人ばかりでまた来てもいいと言ってくださいましたよ」
「そう。なら次からの食事は大丈夫ね」
「はいぃ。ところでこれからどうなさるのですか?」
ルイズは、食堂から離れた搭へと目を向けると。
「あそこで搭ががあるでしょ?。これからあそこで魔法学院の授業があるのよ。勿論使い魔も一緒でね」
「ほう。それは興味深い。魔法の授業ですか」
「じゃぁ行きましょうか」
魔法学院の教室へと入ると、既に授業の開始を待つ生徒たちでいっぱいだった。
ルイズが教室へと入って来た事を確認した生徒たちがくすくすと笑い始めた。
少し離れた席に座っていたキュルケがこちらに気付くと、はぁ~いとばかりに軽く手を振っていた。
こちらも軽く手を振って対応した後、端の方の席へとついた。
「ファウスト。少し狭いと思うけど我慢して座ってね」
「大丈夫ですよ。私こう見えて判定小さいですから」
ルイズの後に入ってきた生徒達が席について暫くするとがらりとドアが開き、先生らしい中年の女性が部屋へと入ってきた。
「皆さん。おはようございます。春の使い魔召喚の儀式は、皆さん大成功だったようですね。
このシュヴルーズ、こうして春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
そういって彼女は教室を見渡した。
「おやおや、ミス・ヴァリエール・・・とても変わった使い魔を召喚したのですねぇ」
彼女のその一言を聞いた他の生徒たちが声を張り上げた。
「ゼロのルイズ!サモン・サーヴァントが上手くいかなかったからってそんなよく分かんない奴連れてくるなよな!」
「そうだぞ!ゼロのルイズ!いくら魔法成功率がゼロだからって、それは無いだろー!?」
「(そうですか・・・”ゼロ”とはそういう意味だったのですか・・・しかし・・・)お待ち下さい皆さん」
「お?ルイズの使い魔が喋ったぞー!?」
ファウストは、自身に刻まれたルーンを高々と掲げると。
「これを見てください。これは契約の証のルーンです。これが刻まれているという事はルイズさんは契約の魔法を成功させたと言うことです。」
そういうと、大半の生徒は何も言わなくなったが、まだ一部納得のいかない様子の生徒達が居た。
ファウストは彼らの方を向くと。
「皆さんは私が召喚された時に一緒に居たのですよね?ならばその時、あなた方の先生が何を言い、何をされていたかを見ている筈です。そう・・・あの時いらっしゃった男性の先生は私のルーンを確認し、それに満足して授業を終えられたのです。ルイズさんを疑うという事はあなた達の先生をも疑っていると言う事になるのですよ?」
さすがに自分たちの恩師であるコルベールの話を持ち出されたのでは彼らには分が悪い。
そんな様子を見ていたシュヴルーズは、コホンと席をすると杖を振った。
机の上に石ころがいくつか現れた。
「私の二つ名は「赤土」。「赤土」のシュヴルーズです。これから一年、皆さんに「土」の魔法を講義致します」
「それでは、ミス・ヴァリエール、魔法の四大系統はご存知ですね?」
「はい。「火」「水」「土」「風」の4つです」
「はい、その通りです。以上の4つに、今は失われた系統、「虚無」をあわせて5つの魔法系統が存在する事は皆さんもご存知の通りです」
「その5つの系統の中で、「土」は、最も重要な位置を占めると私は考えます。私が「土」属性のメイジだから
という身びいきではありません」
そう言いながら彼女はおっとりとした微笑を見せた。
「「土」は、万物の組成を司る、重要な魔法です。様々な金属の製造や加工、家屋などの建築には欠かせない魔法であり、農作物の育成や収穫などにも大きな役目を果たしています。「土」系統の魔法は、皆さんの生活に密接に関係しているのです」
彼女は先ほど出した石ころへと杖を向けると。
「今から、「土」系統魔法の基本である「錬金」の魔法を覚えてもらいます。一年生の時に既に覚えている人もいらっしゃるかもしれませんが、基本は重要です。もう一度おさらいを致しましょう」
彼女はそのまま呪文を呟くと石ころが光だした。
「ゴ、ゴ、ゴールドですか!? ミセス・シュヴルーズ!?」
「いいえ。これは真鍮ですよミス・ツェルプストー。ゴールドを錬金するには「スクウェア」クラスの実力が必要です。私は「トライアングル」にすぎませんから」
「ルイズさん。彼女が言っているスクウェアやトライアングルと言う言葉は、魔法の実力のランク付けの事ですか?」
「その通りよ。大抵は学生は一系統使える「ドット」、ニ系統の「ライン」、極稀に三系統の「トライアングル」なんかもいるわね」
「そうですね・・・。実際に誰かにやって貰いましょう。それでは・・・・ミス・ヴァリアール。こちらへいらっしゃって下さい」
シュヴルーズの一言に教室の雰囲気は変化した。
「先生!危険です!!」
「危険?何を言っているのですか?」
「先生はルイズを教えるのは初めてですよね?」
「そうですよ。彼女が努力家と言うことは聞いております。さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってみなさい。失敗を恐れていては前えと進めませんよ?それに失敗する事で得る物もあるのですから」
「どうなっても知りませんよ・・・」
「黙ってなさい。キュルケ。先生。やらせてください」
ルイズが魔法の準備に取り掛かると、生徒たちは次々と椅子や机の下に隠れていった。
「ミスタ・ファウスト。あなたも隠れないと危ないわよ?」
「どうしてですか?私は彼女の使い魔です。彼女のやる事を見届けるつもりですヨ」
ファウストがそう言ってルイズの方へと集中すると、彼女を中心に力の歪みが発生するのをファウストは目にした。
「!?イケない!ルイズさん!!」
ファウストは法力を用い、彼女の元へと転移するとその歪みが生じた力場を自らの体で覆い隠した。
間もなくその力場は爆発へと力を変わりファウストを包み込んだ。
「ファ、ファウスト!?」
ルイズが魔法を唱えた瞬間目の前にファウストが現れ、錬金しようとしていた石へと覆いかぶさった。
そして聞こえたのは大きな爆発音と、視界を覆う煙であった。
「大丈夫!?ファウスト!?ファウスト!?」
煙が晴れてくると、ファウストは頭をアフロヘアーへと変え立ち尽くしていた。
「大丈夫ですか?ルイズさん。お怪我は・・・」
その一言を聞いたルイズは意識を失った。
「ミス・ヴァリエール!?誰か!ミス・ヴァリエールを医務室に・・・」
シュヴルーズが混乱し生徒達へと話かけていると、ルイズを抱えファウストは歩き出した。
「大丈夫デスよ。彼女は私が介抱致しますので」
「ですが今の爆発であなたも・・・」
「私ですか?頭が燃えただけですよ。それでは先生。失礼しますネ」
彼女を抱え彼女の自室へと戻ったファウストは彼女が目が覚めるまで彼女の部屋で待っていた。
「・・・ん・・・?ここは・・・?」
「貴女の部屋ですよルイズさん」
「ファウスト!?怪我は無いの!?」
「えぇ。大丈夫ですよあの程度の爆発。いつも巻き込まれている物に比べれば軽いものです」
「・・・・そう。ごめんなさいね・・・。あんたが庇ってくれたお陰で私も先生も無傷ですんだわ・・・
フフフ・・・笑っちゃうでしょ?私はね、魔法を使うと爆発するのよ・・・成功したのはサモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントだけ。召喚したあんたが異世界の法力使いだってのに主である私は魔法もろくに使えないゼロのルイズ・・・」
「ルイズさん。学生の本分は勉強です。失敗は付き物ですよ。これから頑張ればいいのですから。ただ、先ほどの魔法の際、一つ気になった事がありますね」
「なにがかしら?」
「先ほどの先生が魔法を使った時と、ルイズさんが魔法を使った時とで力の流れが違っていたのですよ。同じ魔法を唱えているのならその構成は一緒の筈です・・・。ですがそれが違った・・・」
彼の言っている意味がよく分からず。ルイズはキョトンとした表情をしている。
「つまりですね。ルイズさんの魔法は普通の人と違うのは無いのでしょうか?そう・・・根源たる物が違う様な気がするのです。私はこの世界の魔法に詳しくありませんから現在は原因不明ですが、法力を使ってアプローチしてみれば原因が究明できるかもしれませんね」
「私の失敗の理由が分かるの!?」
自分の今までの失敗に何か原因があるのではないかと言うファウストに対し思わず声を張り上げてします。
「まぁそれには、この世界の魔法の事を私が理解し、ルイズさんには少し法力について学んでもらう必要が・・・」
「やる!やるわ!!魔法が使えるようになるんなら!やって見せるわ!こっちの魔法の事に関してなら実技は無理だけど知識なら人より勉強した分あるわ!だから・・・」
「では、お互いに勉強と言うわけですね。お願いしますね。ルイズさん」
「こちらこそお願いするわ」
それから2人はルイズの部屋でお互いの情報を交換する日々が続くのであった。
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