「ゼロの視線-01」(2010/02/11 (木) 22:45:52) の最新版変更点
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#navi(ゼロの視線)
第一話 開幕
「よおおおおっしゃあ!」
毎度おなじみ世界の危機・・・・・・・もとい春の使い魔召喚の儀。
魔法成功率ゼロ、故に異名を「ゼロのルイズ」と呼ばれし少女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの
気合は拳を持って天を衝かんがごとくであった。
まさに「わが生涯に一片の悔い無し」な感じである。
「いや・・・・・その・・・・・・・・・いいのかね?ミス・ヴァリエール」
「何がです?」
コッパゲの問いに、拳を突き上げた姿勢のまま答える「ゼロのルイズ」
「彼は、確かに見た事も無い服装ではあるが杖も持たずマントも羽織っていない。
ぶっちゃけただの平民にしか見えないのだが」
そう、われらがルイズは、こともあろうに魔獣聖獣幻獣でもない、ただの獣ですらない
黒髪の平民を呼んでしまったのだ。
「ふっ 浅はかですね、コルベール先生。
彼をよく見てください・・・・・・・・・・・・美形です!」
「だからどおしたぁ!」
その場にいる全員からの壮烈なツッコミに怯む事無く説明を続けるルイズ。
「たとえ使用人であろうと、平民達は結局心の底では私達貴族に反抗をしているもの。
それが悪いとは申しません。
心の奥底まで縛り付けることなど愛し合う男女すら適わぬもの。
しかしわたしに使い魔として召喚されたこのハンサムは魂の奥底ですら私に従わずには居れないのです。
だから、例えば想像してみてください・・・・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夜のバルコニーで、星空を見上げ寛ぐルイズ。
そんな彼女に、黒髪の使い魔が呼びかける。
「ルイズさま、ワインをお持ちしました」
使い魔を見ようともせずワインを受け取った彼女は、可愛らしい顔に嫌悪の表情を浮かべる。
「不味い 換えてきなさい」
「しかしこれは間違い無くルイズさまが「くどい!」
主が投げつけた杯が、使い魔の端正な顔を直撃する。
「わたしが換えて来いといったら換えてくるのよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そしてこの美形は、額から血を流し、この美しい黒髪からワインをたらして歯を食いしばり
しかしわたしに逆らおうと考える事すら出来ないのです・・・・・・・・・」
なにやらヤバげな表情を浮かべながら白昼夢を語る少女。
その場にいた女性陣の全てが、その風景を思い浮かべて一斉にぐびり、と生唾を飲み込む。
恋多き情熱の少女は勿論の事無表情な眼鏡少女すら、それは例外ではなかった。
「どうかされましたか、コルベール先生」
「いや・・・・・・・・この年になってもまだ抱き続けてきた『女の子への幻想』ってヤツが
木っ端微塵に粉砕されましてね・・・・・・
まあそれはどうでもいい、はやく『コントラクト・サーヴァント』を行いたまえ」
「合点承知!おっしゃあ!」
どこぞの三代目に匹敵しかねん見事なダイブをかましたルイズは、呪文を唱えながら口づけをおこなう。
「ぷはぁ」
豪快に口元をぬぐうルイズ。
親父臭さ全開だ。
(しかしこの男性は何者なのだろう)
コルベールは考える。
(筋肉のつき方から、戦士であるのは間違い無い。おそらく戦い、殺す事が日常だっただろう。
なのに周囲でこれほど騒いでいながら目覚めない・・・・・・・・何かあるのか?)
などと考えていると、その黒髪の男性の左手甲になにやら紋章のような物が浮かび上がる。
「ぐ・・・・うぅ・・・・・・・・・・ぐううううう」
気を失ったまま呻き、身をよじる「使い魔」
その、男でありながらなんとも色っぽい情景に再び「ぐびり」と生唾を飲み込む女性たち。
中には「ちがうんやー 俺は女の子が好きなんやー!」とのた打ち回るマリコルヌとかもいたりするのだが。
やがて『彼』がゆっくり目を開ける。
「ようやく目覚めたわね」
「ここは・・・・・・・・」
しばらく横臥したまま呆然としていた『彼』はやがてがばりと起き上がると慌てて周囲を見回す。
「ここは何処だ?そして朧は?」
「オボロって何よ?アンタはこのあたしが召喚したんだからね。
たった今からあたしに絶対の忠誠を誓いなさい!
そういえばアンタ名前は?」
「わたしの名は・・・・・・弦之介。甲賀・・・・・・弦之介」
「とりすていん・・・・・・そしてさもん、さーばんと・・・だと?」
以前他所の忍が地面に面妖な模様を描いて呼び出した奇怪な獣と戦った経験があるので
その辺は簡単に受け入れた。
「で、どうやったら帰れる?」
「帰れるわけ無いでしょ。送り返す魔法なんか無いんだから」
なんとも素晴らしい答えが返ってきた。
まあよかろう。
一族十人集悉く死に(幾人かは自らの朧への想いが殺したのだ)向こうに未練も戻るべき理由も存在しない。
そう考えて振り向いた弦之介は、己が目を疑った。
子供達が、一斉にそらを飛んでいるのだ。
「こ・・・・・・これは?」
「アンタ『フライ』も知らないの?心底田舎者ね」
ふらい?・・・・・・・南蛮の揚げ物料理の事か?
いや手足も無く地を這う者や壁や地面に潜り込む者が居るのだ。
ならば空を飛ぶ術があっても普通だろう。
卍谷の面々や鍔隠れの者達を思い出す。
「で、るいずどのはふらいをせぬのか?」
「出来ないのよ・・・・・・あたしは『フライ』も『レビテーション』も何一つ出来ないのよ!」
その悲しみに満ちた声に、朧を思い出す。
(弦之介さま・・・・・・・・・わたくしは・・・・・鍔隠れ集の棟梁にあるべきはずなのに・・・・何も出来ませぬ)
「ならば出来る事をすればよい。出来る事が無いのなら出来る事を探せばよいのだ」
薄く笑った弦之介は、少女を背負う。
「な、何すんのよ」
「しっかりつかまっておれよ」
言うや否や、弦之介は走り出す。
空を飛ぶメイジはおろか馬より早く風を抜く。
「うわぁ、サラマンダーよりはやーい」
「・・・・・・さらまんだーとは何だ?」
「女の子が早い乗り物に乗った時はこう言わなきゃいけないの。
決まりよ決まり」
主となった(らしい)少女が寝具でふやふやと寝息を立てている。
あの後、この世界の幾つかの取り決めや常識を教わった。
・・・・・・・・それがどの程度信用できるのかは疑問だが。
(しかし、まこと遠くへ来てしまったのだな)
夜空に、月が二つ浮いている。
甲賀を遠く離れれば星の並びも異なるのだと聞いた事があるが、まさか月すら異なるとは。
朧・・・・・・わたしはこのような所に来てしまった。
お前は・・・・・・あのまま死んだのか?
はい、本当にここまでです
「奇怪な獣」云々は勝手に出しました
なんていうか風太郎ワールドならそのくらいありえるのではないか、と思いまして
#navi(ゼロの視線)
#navi(ゼロの視線)
第一話 開幕
「よおおおおっしゃあ!」
毎度おなじみ世界の危機・・・・・・・もとい春の使い魔召喚の儀。
魔法成功率ゼロ、故に異名を「ゼロのルイズ」と呼ばれし少女ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの
気合は拳を持って天を衝かんがごとくであった。
まさに「わが生涯に一片の悔い無し」な感じである。
「いや・・・・・その・・・・・・・・・いいのかね?ミス・ヴァリエール」
「何がです?」
コッパゲの問いに、拳を突き上げた姿勢のまま答える「ゼロのルイズ」
「彼は、確かに見た事も無い服装ではあるが杖も持たずマントも羽織っていない。
ぶっちゃけただの平民にしか見えないのだが」
そう、われらがルイズは、こともあろうに魔獣聖獣幻獣でもない、ただの獣ですらない
黒髪の平民を呼んでしまったのだ。
「ふっ 浅はかですね、コルベール先生。
彼をよく見てください・・・・・・・・・・・・美形です!」
「だからどおしたぁ!」
その場にいる全員からの壮烈なツッコミに怯む事無く説明を続けるルイズ。
「たとえ使用人であろうと、平民達は結局心の底では私達貴族に反抗をしているもの。
それが悪いとは申しません。
心の奥底まで縛り付けることなど愛し合う男女すら適わぬもの。
しかしわたしに使い魔として召喚されたこのハンサムは魂の奥底ですら私に従わずには居れないのです。
だから、例えば想像してみてください・・・・・・・
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夜のバルコニーで、星空を見上げ寛ぐルイズ。
そんな彼女に、黒髪の使い魔が呼びかける。
「ルイズさま、ワインをお持ちしました」
使い魔を見ようともせずワインを受け取った彼女は、可愛らしい顔に嫌悪の表情を浮かべる。
「不味い 換えてきなさい」
「しかしこれは間違い無くルイズさまが「くどい!」
主が投げつけた杯が、使い魔の端正な顔を直撃する。
「わたしが換えて来いといったら換えてくるのよ」
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そしてこの美形は、額から血を流し、この美しい黒髪からワインをたらして歯を食いしばり
しかしわたしに逆らおうと考える事すら出来ないのです・・・・・・・・・」
なにやらヤバげな表情を浮かべながら白昼夢を語る少女。
その場にいた女性陣の全てが、その風景を思い浮かべて一斉にぐびり、と生唾を飲み込む。
恋多き情熱の少女は勿論の事無表情な眼鏡少女すら、それは例外ではなかった。
「どうかされましたか、コルベール先生」
「いや・・・・・・・・この年になってもまだ抱き続けてきた『女の子への幻想』ってヤツが
木っ端微塵に粉砕されましてね・・・・・・
まあそれはどうでもいい、はやく『コントラクト・サーヴァント』を行いたまえ」
「合点承知!おっしゃあ!」
どこぞの三代目に匹敵しかねん見事なダイブをかましたルイズは、呪文を唱えながら口づけをおこなう。
「ぷはぁ」
豪快に口元をぬぐうルイズ。
親父臭さ全開だ。
(しかしこの男性は何者なのだろう)
コルベールは考える。
(筋肉のつき方から、戦士であるのは間違い無い。おそらく戦い、殺す事が日常だっただろう。
なのに周囲でこれほど騒いでいながら目覚めない・・・・・・・・何かあるのか?)
などと考えていると、その黒髪の男性の左手甲になにやら紋章のような物が浮かび上がる。
「ぐ・・・・うぅ・・・・・・・・・・ぐううううう」
気を失ったまま呻き、身をよじる「使い魔」
その、男でありながらなんとも色っぽい情景に再び「ぐびり」と生唾を飲み込む女性たち。
中には「ちがうんやー 俺は女の子が好きなんやー!」とのた打ち回るマリコルヌとかもいたりするのだが。
やがて『彼』がゆっくり目を開ける。
「ようやく目覚めたわね」
「ここは・・・・・・・・」
しばらく横臥したまま呆然としていた『彼』はやがてがばりと起き上がると慌てて周囲を見回す。
「ここは何処だ?そして朧は?」
「オボロって何よ?アンタはこのあたしが召喚したんだからね。
たった今からあたしに絶対の忠誠を誓いなさい!
そういえばアンタ名前は?」
「わたしの名は・・・・・・弦之介。甲賀・・・・・・弦之介」
「とりすていん・・・・・・そしてさもん、さーばんと・・・だと?」
以前他所の忍が地面に面妖な模様を描いて呼び出した奇怪な獣と戦った経験があるので
その辺は簡単に受け入れた。
「で、どうやったら帰れる?」
「帰れるわけ無いでしょ。送り返す魔法なんか無いんだから」
なんとも素晴らしい答えが返ってきた。
まあよかろう。
一族十人集悉く死に(幾人かは自らの朧への想いが殺したのだ)向こうに未練も戻るべき理由も存在しない。
そう考えて振り向いた弦之介は、己が目を疑った。
子供達が、一斉にそらを飛んでいるのだ。
「こ・・・・・・これは?」
「アンタ『フライ』も知らないの?心底田舎者ね」
ふらい?・・・・・・・南蛮の揚げ物料理の事か?
いや手足も無く地を這う者や壁や地面に潜り込む者が居るのだ。
ならば空を飛ぶ術があっても普通だろう。
卍谷の面々や鍔隠れの者達を思い出す。
「で、るいずどのはふらいをせぬのか?」
「出来ないのよ・・・・・・あたしは『フライ』も『レビテーション』も何一つ出来ないのよ!」
その悲しみに満ちた声に、朧を思い出す。
(弦之介さま・・・・・・・・・わたくしは・・・・・鍔隠れ集の棟梁にあるべきはずなのに・・・・何も出来ませぬ)
「ならば出来る事をすればよい。出来る事が無いのなら出来る事を探せばよいのだ」
薄く笑った弦之介は、少女を背負う。
「な、何すんのよ」
「しっかりつかまっておれよ」
言うや否や、弦之介は走り出す。
空を飛ぶメイジはおろか馬より早く風を抜く。
「うわぁ、サラマンダーよりはやーい」
「・・・・・・さらまんだーとは何だ?」
「女の子が早い乗り物に乗った時はこう言わなきゃいけないの。
決まりよ決まり」
主となった(らしい)少女が寝具でふやふやと寝息を立てている。
あの後、この世界の幾つかの取り決めや常識を教わった。
・・・・・・・・それがどの程度信用できるのかは疑問だが。
(しかし、まこと遠くへ来てしまったのだな)
夜空に、月が二つ浮いている。
甲賀を遠く離れれば星の並びも異なるのだと聞いた事があるが、まさか月すら異なるとは。
朧・・・・・・わたしはこのような所に来てしまった。
お前は・・・・・・あのまま死んだのか?
はい、本当にここまでです
「奇怪な獣」云々は勝手に出しました
なんていうか風太郎ワールドならそのくらいありえるのではないか、と思いまして
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